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魔法少女リリカルなのはViVid~英雄の意思を継ぎし子達

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四話~『覇王』と『聖王』

 
前書き
スバル「新たな出会い。それが彼女に何を与えるのだろうか」

ティアナ「彼女は求めるものに出会えるのだろうか?」

スバル「時を超えて巡り会う二人。その出会いの意味は?」

ティアナ「第四話『覇王』と『聖王』始まります」 

 
side ノーヴェ


あたしは今、ミッドにある普通のカフェテリアで人を待っている。


「悪いな。せっかくの休日なのによ」
「いいのよ。私達もアインハルトの事は気になるし」
「そうそう!」


それでは、現在の状況を整理するとしよう。
アインハルトとヴィヴィオの手合わせを企画し、仲介役として待っているあたしに付き添いで来てくれたスバルとティアナ。
それと一緒に来てくれることになったチンク姉。
そして……


「……何故お前らまでいるんだ!」


どこから嗅ぎつけたのかウェンディ、ディエチ姉、オットー、ディードの四人まで来ていた。


「何故いるのかと聞かれたらこっそり話を聞いていたからと言わざるを得ないッスよ」
「それに、時代を超えた聖王と覇王の出会いなんてロマンチックじゃんか」
「陛下に万一の事が合ってはご両親が心配なされますから」
「護衛役としては当然」


野次馬根性の塊であるウェンディから情報が漏れたのだろう。
帰れと言っても帰らないだろうから釘を刺しておくことにする。


「見学はいいけど、余計な茶々は入れるなよ。ヴィヴィオもアインハルトもお前らと違って繊細なんだからな」
「「「「はーい!」」」」
「すまんな、ノーヴェ……」


チンク姉もこいつらのことを止めることはできそうにないと悟ったのか、謝ってくる。
そんなことがあり、あたしとチンク姉のテンションが下がった時にヴィヴィオ達が到着した。


「ノーヴェ、お待たせ~」
「ティアナさんにスバルさん!?お久しぶりです!」
「こんにちは~」


ヴィヴィオ、コロナ、リオとそれぞれ違った対応を見せつつ、あたしの方へとやってきた。


「それで、新しく紹介してくれる子ってどんな人?」


あたしの後ろに回ったヴィヴィオが聞いてくる。


「ベルカの古流武術の使い手で、お前の学校の中等科一年。あと……あれだ。お前と同じ虹彩異色」
「ほんとー?」


どうやらヴィヴィオは自分と似たものを持っている人に会えるためか、若干興奮しているみたいだ。


「まあヴィヴィオ、座ったらどう?」
「そうそう!」
「あ、はい。そうですね」


興奮しているのを気取られたヴィヴィオが若干赤くなりながら席に着こうとした時だった。


「失礼します。ノーヴェさん、皆さん。アインハルト・ストラトス、参りました」


アインハルトがやってきて優雅に挨拶する。
忘れがちだがSt.ヒルデは元々こんな感じのお上品学校だったな。


「遅れてしまって申し訳ございません」
「全然遅れてねーよ。そんな畏まるなって」
「わかりました。ところで、ノーヴェさん。紹介してくださる方というのは…」


アインハルトに言われ、ヴィヴィオを呼ぶ。
ヴィヴィオはすぐに自己紹介を始めた。


「衛宮ヴィヴィオです。初めまして!ミッド式のストライクアーツやってます!」
「こちらこそ。ベルカ古流武術、アインハルト・ストラトスです」


さて、アインハルト。お前はこいつをどう見る?




side アインハルト


衛宮ヴィヴィオさん。彼女を見て最初に感じたのは活発で行動的な方なのだろう、と言うこと。
そして、その目を見て感じたのは……私の中の覇王の記憶、その中にある聖王女オリヴィエのこと。


(彼女が……オリヴィエの……)


その姿は懐かしく、そして見ていると悲しくなる。


「こちらこそ。ベルカ古流武術、アインハルト・ストラトスです」


その感情を悟られぬ様に挨拶を返す。
だが、彼女はこちらの異変に気が付いた。


「あの……アインハルトさん?」
「…失礼しました。少し考え事を」


後ろめたい雰囲気になりそうになった時、ノーヴェさんが動いてくれた。


「ほら!こんな所でうだうだしてないでさっさと行こうぜ。場所借りてられる時間も少ないんだし」
「そうね。早く行きましょう」


ティアナさんが皆を急かして集団の移動が始まった。




side ノーヴェ


あたしは移動しながらこの前のアインハルトとの会話を思い出していた。


(やっぱり……そう簡単には割り切れねえよな)


アインハルトのあの目は感情の機微に鋭いヴィヴィオには見破られていた。
自分を見ていながら別の人物を見ている目に。
アインハルトから聞いたのは彼女の持つ覇王の記憶についてだった。




…………………………………………………………………


「覇王は、クラウスは彼女に勝てなかったんです」
「それで、時間を越えての再戦。ってわけか」


アインハルトは更に話を続ける。


「私は覇王の血が色濃く受け継がれているので、髪の色、目の色。更に彼の記憶も少しですが受け継いでいるんです」
「……そうか」
「天地に覇を持って和をなせる王であること。それが私の中の彼の記憶にある悲願なんです。……強くなかったせいで、彼は彼女を救えなかった!守れなかった!!……そんな数百年分の後悔が私の中にあるんです…」


途中で涙を流しながらもアインハルトは語るのを止めなかった。


「だから聖王に拘るんだな」
「……はい」
「いいぜ。会わせてやるよ。お望みの人物に」


そんなアインハルトを見ていられなかったあたしは咄嗟にそう答えていた。
ヴィヴィオならきっと何とかしてくれる。そう信じて。




side ヴィヴィオ


「スパーリング4分1ラウンド。射砲撃、拘束(バインド)はなしの打撃オンリーだ」
「はーい!」
「わかりました」


ノーヴェのルール説明を聞きながら構える。
アインハルトさんも同時に構えた。
その姿を見るだけで、相当な手練れであることがわかる。
剣士としてではなく、格闘家としての私がどこまで通用するのだろう。
想像するだけでワクワクする!


「レディ、ゴー!!」


ノーヴェの合図とともに牽制として一撃。
防がれたのは想定内。ここからの連撃が見せ場だ。
蹴り、肘鉄、膝蹴り、カポエラキックなどパパに教わった体術とストライクアーツを組み合わせて戦う私の格闘スタイル。


「ヴィヴィオ、結構やるわね」
「うんうん!」
「へえ~、凄いな……」


ギャラリーも見入っているようだが、そろそろフィニッシュに持っていかせてもらう!!
そう、思った時だった。


「……はぁっ!!」
「ッ……!?」


攻撃後の一瞬の隙を突かれてノーガードのボディにクリーンヒットをもらってしまう。
たったの一撃。だが、その威力は今までに私が与えたものよりもずっと大きかった。


(凄い!一撃でこの威力……)


続きを、と思った矢先、アインハルトさんが背を向ける。


「お手合わせ、ありがとうございました」


何か悪いことをしてしまったのだろうか。
不快にさせるようなことをしたのだとしたら謝らないと…!


「あの……私、何か失礼を?」
「いえ、そう言うわけではありません。私の身勝手です」
「だったらもう一戦……」
「もういいんです。私が求めていたのはあなたではなかった。それだけなんですから」


そう言われても、私は引き下がらない。いや、引き下がりたくない。
彼女は、アインハルトさんは何か問題を抱えている。いや、何かを渇望している。
それは間違いなく真実だ。だから私は問う。


「何を、求めているんですか……?」
「……ッ、失礼します!」


その問いに対してアインハルトさんは答えてくれなかった。
しかし私も負けっぱなしではいたくない。だから彼女に対して言う。


「待ってください!……次は、本気でやりますから」


この一言で彼女は何かしらの動きを見せると信じて。
 
 

 
後書き
少し半端ですがここまでとさせていただきます。

次回、娘の思いを聞いた両親の反応は…?

第五話、『ヴィヴィオの思い』ご期待ください! 
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