ハイスクールD×D ~銀白の剣士~
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第7話
Side 渚
部室を飛び出して、兄さんのいる場所に向かって数分空から地上に降りて、祐斗の言っていた住所の家を探す。
「3-2-4、3-2-4・・・・・・・・・・。ここか!」
兄さんが襲われている家を見つけたので、侵入する。気配を感じながら庭の方に回る。兄さんたちがいるであろう部屋は、幸い一階だったので、姿を隠すようにして窓から中を覗く。
(いるのは・・・・・・兄さんと神父っぽいやつに、倒れているシスターか・・・・・・。たぶん、アーシア・アルジェントとフリード・セルゲイ?とかいうのだろう)
ヒロインだったアーシアのことは記憶にあるが、敵キャラの名前はうろ覚えだ。
兄さんが女の子しかも、アーシアさんに手を出すとは思えないので、おそらくあのフリードとかいうのがやったんだろう。
「庇ってくれた女の子を前にして、逃げらんねぇよな。よっしゃ、こい!」
窓越しに兄さんの声が聞こえた。どうやらアーシアさんは兄さんを助けてくれたらしい。しかし、兄さんに勝ち目があるとは思えない。あの神父の気がそれた時に、なんとかするしかない。
兄さんがファイティングポーズを取ると、神父はうれしそうに言葉を紡いだ。
(今!)
窓を蹴破り、そのままこちらに反応できない神父を鞘に収まりし魔剣で吹き飛ばすッ! 家主さんごめんなさい!
「え? え? マジ? マジ? 俺と戦うの? 死んじゃ――ウゲラッ!」
目論見通り、僕の奇襲は成功し、神父は壁にぶつかり、倒れた。だが、この程度で終わりではないだろう。
「助けに来たよ、兄さん。それと女の子を見捨てないなんて、なかなか、カッコいいじゃいか」
兄さんを見ると左足のふくらはぎに怪我をしているようだ。
「だろ?」
光で攻撃されたはずなので、激痛だと思うのだが気丈にも言葉を返してくれた。
「なにしてくれるんですかぁ、あんたは!! せっかく愉快に楽しく、悪魔をぶち殺そうとしてたのによぉぉぉぉぉぉ!」
壁に激突していた、フリードが起き上がる。
「兄さん、そのシスターさんと僕の後ろに」
僕の前方で倒れていたアーシアさんの前に出て、兄さんと彼女を庇うように立つ。兄さんが僕のことをアーシアさんに説明していうようだ。
「悪いけど、キミの相手は僕がする」
相手は銃を持っているので、すぐに反応できるように鞘に収まりし魔剣を構える。
「なんですか、なんなんですかぁ! アーシアたんも、お前も俺の邪魔をしてぇ!」
神父が光の剣で斬りかかってくるのを、鞘に収まりし魔剣で防ぐ。てっきり銃を使うと思ったが違うようだ。そして、鍔迫り合いのようなことをしていると、床が光り始め徐々に形を作っていく。
「何事さ?」
「渚! グレモリー眷属の魔法陣だ!」
兄さんの声に、やっときたかと思いながら、強引に神父を弾き飛ばす。床に描かれた魔法陣から、見知った悪魔たちが出てきた。
「兵藤くん 、助けに来たよ」
祐斗がスマイルを兄さんに送る。さすがに今は睨み返したりはしなかった。
「あらあら。これは大変ですわね」
「・・・・・・・神父」
朱乃先輩に小猫ちゃん。どうやら、仲間が到着したようだ。
「ひゃっほう! 悪魔の団体さんに一撃目!」
フリードが構わずに斬りかかってくる。僕はそれを受け止める。
「祐斗! 代わってくれ」
「まかせて! 悪いね。彼らは僕らの仲間でさ! こんなところでやられてもらうわけにはいかないんだ!」
「おーおー! 悪魔のくせに仲間意識バリバリバリューですか? 悪魔戦隊デビルレンジャー結集ですか? いいねぇ。熱いねぇ。萌えちゃうねぇ! 何かい? キミが攻めで彼は受けとか? そういう感じなの?」
「・・・・・・・・・下品な口だ。とても神父とは思えない・・・・・・・。いや、だからこそ、「はぐれ悪魔祓い」をやっているわけか」
祐斗とフリードの会話を背に兄さんに近づく。
「兄さん、そのシスターさんは僕に任せてくれないかな?」
「ん、 なんでだ?」
痛みに顔を歪めながら兄さんが訊いてくる。悪魔にとって光は猛毒なそうなので、兄さんはよく我慢している。
「この魔法陣はグレモリー眷属専用なんだ。人間の僕たちは転移できない。だから、祐斗が相手をしてくれるうちに、一足先にその子と僕は脱出しようと思って」
「わかった。アーシアを頼む。さぁ、アーシア」
少し、びくびくしながら、僕に近づいてくる。
「初めまして、兵藤渚です。キミが庇ってくれたのは僕の兄さんなんだ」
「?」
・・・・・・そう言えば、日本語わからないんだっけ? 兄さんが僕の言った言葉をアーシアに訳してくれたようだ。悪魔は便利だな。
「ハジメマシテ、アーシア・アルジェントデス」
片言だが、日本語で返してくれる、アーシアさん。
「乗って」
彼女に背を向けて、乗るように促す。言葉はわからなくとも、通じたようで背中にのっかってくれた
「ちょっと、そこのキミィ。アーシアたんをどこに連れてくつもりですかぁ!」
「お前に、教えるはずないだろ!」
僕の代わりに兄さんが答える。
「Are you ready?」
「Yes!」
背中に乗ったアーシアさんの返事を聞いて、僕は再び空へ駆け上がった。
Side out
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Side リアス
「ナギったら、教会関係者を連れ去るなんて。・・・・・・・イッセー、ごめんなさいね。まさか、この依頼人のもとに「はぐれ悪魔祓い」が訪れるなんて計算外だったわ」
しかも、私の制止も聞かずに勝手に飛び出していくなんて・・・・・・。帰ったら、注意しなきゃね。
「・・・・・・・イッセー、怪我してるの?」
足を抑えているイッセーに話しかける。
「あ、すみません・・・・・。渚が来る前に、その・・・・撃たれちゃって。あ、あと、アーシア・・・・さっきのシスターは俺をかばってくれて・・・・・・。あ、あと、堕天使から狙われているみたいです」
半笑いで誤魔化そうとしているイッセー。ふつふつと怒りが湧いてくる。それと同時にナギがあのシスターを連れて行った理由に納得がいった。イッセーを助けたくれたから、ナギも助けたのね。
そして、私の視線ははぐれ悪魔祓いに移る。
「よくも、私のかわいい下僕をかわいがってくれたみたいね?」
低い声が私の口から洩れる。自分で言うのもなんだが、グレモリー家は情愛が深い。故に、自分の下僕が傷つけられるのを嫌う。
「はいはい。かわいがってあげましたよぉ。本当は全身くまなくザクザク切り刻む予定でござんしたが、どうにも邪魔が入りまして、それは夢幻となってしまいましたぁ」
神父の言葉に対し、私は魔力の弾を撃った。神父の後ろの家具が消し飛ぶ。よりにもよって、私の下僕をそんな目に合わせようとしていたなんて・・・・・・万死に値するわ!
「私は、私の下僕を傷つける輩を絶対に許さないことにしているの・・・・・・」
私は殺気を発し、周囲には紅い魔力がゆらゆらと立ち上っていた。
「! 部長、この家に堕天使らしき者たちの気配が複数近づいていますわ。このままでは、こちら不利になります」
朱乃が堕天使の気配を感じたのか、そう言う。私は神父を一睨みした。どうやら、時間切れのようね・・・・・・・。本当はこのはぐれ悪魔祓いを見逃すようなことはしたくないんだけど、ここは仕方がないわね。
「・・・・・・朱乃、イッセーを回収しだい、本拠地へ帰還するわ。ジャンプの用意を」
「はい」
朱乃が、呪文を唱え始める。足元にグレモリーを表す魔方陣が広がった。
「逃がすかって!」
それを邪魔するように神父が切り込んでくるが、小猫が大きなソファーを神父に投げつける。神父はそれを切り払うが、朱乃の詠唱はすでに終わっていて、私たちは本拠地であるオカルト研究部の部室にジャンプした。
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「おかえりなさい」
部室にジャンプすると、そこにはナギとシスターがいた。シスターはイッセーを見ると一目散に駆け寄る。
「イッセーさん、大丈夫ですか?」
「あ、ああ。アーシア、だいじょう―――痛ッ」
「どこか怪我してるんですか!? 見せてください!」
「あ、ああ」
イッセーは素直にズボンを捲って、傷を見せる。シスター・・・・・アーシアさんだったかしら? がその傷口に手を当てると、その手から淡い緑の光が発せられ、イッセーの怪我があっという間に消えてしまった。
「嘘・・・・・・」
「あらあら、これは」
私と朱乃が驚きの声を上げる。これは神器だ。しかし、悪魔を癒す物となると限られてくる。そして堕天使に狙われ、はぐれ悪魔祓いとともにいると言うことは、彼女は教会から追放されたのだと、簡単に予想がついた。
(悪魔を癒すこの子の力は欲しいわね)
どうにかして、この子を私の下僕にできないか考える。だが、まずはこの子を狙っている堕天使をどうにかしなければいけない。上に言わないで勝手に動いているようだし、おそらくこの子の神器が狙いでしょうから、必ずまた彼女を狙うわね。さて、どうしたものかしら・・・・・・・?
Side out
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