DQ3 そして現実へ… (リュカ伝その2)
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強力な武器
<マイラ>
アルル達は新たに仲間へと加わったルビスを伴い、マイラの道具屋へ剣が出来上がったか確認しに訪れた。
「あの…お預けしたオリハルコンは、注文した剣になりましたか?」
「よう、アンタ等か…良いタイミングでやって来たな。丁度さっき程仕上がったばかりだ。………ほれ『王者の剣』だ!」
アルルは鍛冶屋に出来たての剣を手渡され、刀身をウットリ眺めてる。
「アンタ等それ持って大魔王を倒しに行くんだろ?………頼むぜ、こんな闇の世界は飽き飽きなんだ!代金はまけてやるから、絶対に大魔王を倒してくれよ!」
「ありがとう…必ず世界に平和を取り戻します!」
力強い瞳を向けて、アルルは鍛冶屋に約束をする。
鍛冶屋もアルルの気持ちを感じ、真っ直ぐ見つめ無言で頷いた。
道具屋を後にした一行は、疲れを癒す為に宿屋経由で温泉へと向かっている…
しかし途中の広場で、アルルが振り返りリュカに向けて頼み事を言い出した。
「リュカさん…お願いがあるのですが…」
「………何?」
極端に顔を顰め、嫌そうに問い返す。
「あのですね…新たに手に入れたこの『王者の剣』の試し切りをしたいので、手合わせをしてください!」
「コメントがおかしいからヤダ!」
リュカを切る事が前提の手合わせ願いに、素っ気ない態度で拒絶するリュカ…まぁ当然ですけど。
「う~ん…じゃぁ切らせてください」
「わぁ~…コメントが正しくなった………おいティミー、お前の彼女はバカなのか?」
「いいじゃないですか切られるくらい。その股間にぶら下がる暴れん坊将軍で試し切りさせれば……そうすれば父さんも大人しくなるだろうし、剣の切れ味も確認出来るし、一石二鳥ですよ!」
「どうしようビアンカさん…初めて息子に殺意を憶えたんですけど…何とか言ってやってくださいよ!」
「ちょっとティミー!リュカのソレは私のでもあるのだから、勝手な事を言わないでちょうだい!ソレがなくなったら私が困るでしょ!」
リュカの『暴れん坊将軍』部分を指差し、大声で息子を叱咤するビアンカ。
「そうですよティミーさん!リュカさんのソレは、貴方のより使用人数が多いんですよ。使用率の低いティミーさんのを差し出せばいいじゃないですか!リュカさんのは駄目です…私も使うんですから!」
リュカの『暴れん坊将軍』部分を両手で隠し、大声で必要性をアピールするハツキ。
「ティミーのは駄目よ、私が使ってるんですから!」
「アルル一人だけでしょ使っているのは!?だったら構わないじゃない!困るのはアルルだけ…リュカさんのだと大勢が困るの!」
広場の真ん中で、大声で叫ぶアルル一行…
マイラの人々も、この一行の騒がしさを熟知しているので笑って眺めているだけだ。
この騒動について行けないのは、新加入のルビスだけ…
彼女だけが呆れ果てて思考を停止させている。
「ルビス様…この程度で動じていては、この先このパーティーの巻き起こす騒動に、頭がおかしくなってしまいますよ」
軽く身を屈め、ルビスの耳元で優しく囁くラングストン。
「こ、これ以上があるのですか!?わ、私にはついて行けませんよ…」
「大丈夫…リュカ殿と共にいれば、否が応でも彼色に染まって行きますから(笑)」
泣きそうな顔で辟易するルビスと、そんな彼女を見て心底嬉しそうにするラングストン…
そんなラングストンを見たリュカは思う…「コイツ…女にもてねーな!」と…
<リムルダール>
アルル一行はマイラでの休息を済ませると、再度船に乗って南下した。
そして『聖なる祠』で『聖なる守り』提示して、『太陽の石』と『雨雲の杖』を『虹の雫』に換えてもらい、ルビスが告げる『リムルダール西端』に赴く為、アレフガルド5つ目の都市『リムルダール』へとやって来た。
この町で最後の休息を取り、魔の島へと渡り大魔王ゾーマと決戦を行うつもりなのだ。
リムルダールはモンスターの進入を阻む為、町の周りに深い堀を設け東側にだけ出入り出来る橋を通してある町だ。
その唯一の橋には、常に複数の番兵が見張っており、町へ出入りする人々に目を光らせている。
「おい止まれ、怪しい奴等め!ここはリムルダールだぞ…お前等何者だ!?」
そんな番兵の一人が完全武装のアルル一行を見るや、怪訝そうな顔つきで町への進入を阻んできた。
「な、何なの…何を基準に私達が怪しいって言うのよ!」
思わずムキになるアルル。
「こんな武装した集団が怪しくなくて、何が怪しいと言うのだ!」
「あ~あ…コイツ馬鹿だ!アルル…馬鹿の相手は疲れるから、放っておいて町に入ろうよ」
そうなのだ…このアルル達を阻んでくる番兵以外、アルル達を怪しいと思っている者は居らず、彼一人が空回り気味に職務を遂行しているのだ……つーか、よく見ると彼は正規の番兵ではなく、自らボランティアとして町の平和を守っている(つもり)の様だ。
「な…き、貴様…俺様の事を馬鹿と言ったな!?俺様の何処が馬鹿だと言うのだ!?」
「僕等はモンスター蔓延るアレフガルドの地を、ラダトームから各地を巡りここまでやって来たんだ。そんな僕等の武装が仰々しいのは当たり前だろう…そんな事も分からないお前を馬鹿と言わないで、誰を馬鹿と言えばいいんだ?」
リュカが溜息を吐きながら肩を竦めて首を左右に振る。
「ふ、ふざけるなよ…仰々しい武装と言うが、そんな武装なのは一部の奴で、お前などは杖とマントという軽装ではないか!そんなんでこのアレフガルドを巡れる訳ないだろうが!」
ボランティア番兵はリュカとの舌戦に優位に立とうと、馬鹿にした口調でパーティーの武装バランスを鼻で笑う。
「本物の馬鹿だなお前!魔法使いが戦士が着ける様な重武装をするワケないだろう馬鹿!全体のバランスを考えてパーティーを組んでいれば、各々の武装にバラつきが現れるのは当然だろうが!そのくらい説明されなくても解れ!」
「くっ……………」
リュカの説明に顔を赤くして俯くボランティア番兵…
皆、思わず笑ってしまい慌てて口を手で覆って堪えようとする。
その時、このボランティア番兵にハツキの手元が目に映り、その輝きに心を奪われた。
「お、おい女…そのお前が手に着けている武器は何だ!?武闘家専用の『鉄の爪』にしては輝きすぎる様だが…?」
「な、何ですか…こ、これは『黄金の爪』と言って、武闘家専用の武器です。世界に1つしかない私の武器です!」
後書き
次回、
ハツキ対ボランティア番兵
さて勝敗はどちらの手中に収まるのか…
それより久しぶりで活躍するハツキさん!
緊張のあまり台詞を噛まないでね!
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