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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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丸投げか?

<ルビスの塔>

「おい、ちょっと待て!」
「………ま、まだ何かあるのですかリュカ?」
怪訝そうな表情で魔法(ルーラ)を遮るリュカに、不安いっぱいで尋ねるルビス。

「え、何お前…今、ルーラでどっかに行こうとした?1人でどっかに行こうとしましたか?」
「え、えぇ…聖なる守りも渡したし、今の私に出来る事はありませんし…聖なる祠へ帰ろうかと…そ、それが何か?」
彼女としては大魔王を倒した後に、リュカ達を元の世界へ返すの為に、祠に帰って失われた力を回復させようと思っていたのだが、リュカにはそれが気に入らない様だ。

「あ゙、何言ってんだお前…ふざけんな!僕等はこれから危険な敵陣へ乗り込むんだぞ!それなのにお前は安全な場所でのんびり過ごすのか!?」
面倒事を丸投げされた怒りか…自分だけ高みの見物をする事への不満か…リュカはまた強烈な怒気を発し、ルビスに詰め寄り怒鳴りつける。
「きゃぁ!」
ルビスはリュカの怒りに気圧され、思わず1歩後ずさり石像の時に奉られていた台座から転げ落ちた。

「あ、白だ…」
尻餅を付いて転んだルビスは、大股を広げた恰好で転がってしまい、それを見たウルフが思わず見た物を口に出してしまう。
「え?………きゃぁ!!」
慌てて股を閉じ両手で隠すルビス…その姿は殆ど普通の少女と変わらない。

(ポカリ!)
「あいた!」
「馬鹿者…見えたとしても見えてない様に振る舞え!」
リュカの拳骨が不肖の弟子の後頭部にヒットする。
「す、すんませんでした!」
後頭部を押さえ、慌てて大声で師匠に謝る弟子ウルフ…その姿はまるで体育会系だ!

そんなウルフは放置して、スッとルビスに近付き手を差し伸べ優しく抱き起こすリュカ。
「怒鳴ってすまなかった…それと訂正する。母さんに似ていると言ったが全然似てない。僕の母さんはたった1人で魔王の魔力を押さえ付けてたんだ…味方の居ない魔界で1人…安全な所に隠れることなく…自分の命を削ってまで魔王の力を押さえ込んだんだ!」
静かだが力強い声でリュカが語る…
「リュ、リュカ……しかし先程も申しましたが、私は力を失っており皆さんと共に戦う事など出来ないんです…どうかそれを判ってください」

アルル等と共に戦う事は現状の自分では出来ないと、涙ながらに語るルビス…
「ハァ~…」
しかしリュカは大きな溜息を吐き、重い声で語り出す。
「戦うだけが全てではないだろう…敵を攻撃する事が出来なくても、後方から回復魔法や補助魔法での援護で戦闘に参加したり、移動中に荷物持ちとしてアルル達の負担を減らす事だって出来るだろ!」

「に、荷物持ち…ですか…!?」
「そうだよ!『アナタになら出来ます!』とか言って、面倒事を丸投げしないで『少しでも負担を減らせる様お手伝いします!』ってパーティーに参加しようとする心意気がほしいね!」
「…………………………」
心底困り果て何も言えなくなるルビス。

「それとも人間は神の為に全てを犠牲にするのは当然…しかし神は人間如きに何一つ犠牲になど出来ない………と思ってるの?それが本音?」
「そ、そんな事思っていません!!」
心にも無い事を言われムキになってリュカを怒鳴りつけるルビス。
しかしリュカはその言葉に満面の笑みを浮かべ囁く様に告げる。
「じゃぁ…人間の為に、自身が傷付く事も顧みず、勇者アルルのパーティーに参加して、大魔王討伐に協力しようよ………それこそが長きに渡り大魔王に苦しめられてきた人々に対し、無力な神として報いる術だと僕は思うよ」

リュカの囁きに思い悩むルビス…しかし彼女は逃げられない。
如何なる理由があろうとも、ここで拒否をしてしまえばリュカの言い分が正しい事になってしまうのだ…
「わ、分かりました…私も皆さんと一緒に大魔王討伐に同行します…しかし大魔王の暗黒の力が消え失せるまで、私は神としての力を使う事が出来ません。腕力もなく魔法力も一般人よりかは上程度です。どうかその事を忘れないでください」

「あ、あのルビス様…ご無理をなさらない方が………丸投げだなんて思っているのはリュカさんだけですから…」
アルルはリュカの餌食になったルビスを不憫に思い、ムリに同行する事を止めさせようとするが…
「いいえアルル…リュカの言う事は最もです!私はこの世界を造りましたが、外敵からの侵害を防ぐ手立てを何も講じませんでした。私の考えの甘さから、この世界に住む全ての者に、多大なるご迷惑をかけてしまった事…その責任を取らねばなりません。その為に少しでも出来る事があれば、自ら進んで行わなければならないんです。…本来リュカに言われるまでもなく、私は皆様と共に旅立たなければならなかったのに…お恥ずかしい限りです」
ルビスの心は揺るぎない物になっていた。

アルル達はそんなルビスから視線を移し、この状況に導いた男に目を向ける…
リュカは皆の視線に気が付くと、唇の端をニヤリとつり上げ、面倒事を分かち合う(少しでも押し付ける)仲間が増えた事に満足感を表した。
「「「「「はぁ~………」」」」」
全員の溜息が同時に響き渡る。
リュカの性格には慣れたハズなのに…
それでも溜息が出てしまう一同…


「さて…ここで何時までも溜息を吐いていても始まらないし…そろそろアルルの剣が出来上がってるかもしれないから、一旦マイラへ戻ろうよ」
リュカが何時もの明るい口調で、次の行動を皆に伝える。
力を失っているとは言え、神様を守りながら世界を救う旅を続けねばならない現実に、アルル達は徒労感に苛まれている。

「まぁ、マイラへ赴くのですか!?あの…ご迷惑かと思いますが、マイラの温泉で疲労を回復させたいのですが…宜しいですか?」
「え…?……え、えぇ…勿論構いません。そ、そうですよね…ルビス様は封印から解放されたばかりで、お疲れですよね!?お、温泉に浸かって疲れを癒してください!」
神様に無礼な振る舞いをしてはいけない…そんな思いから、アルルは度が過ぎるくらい丁寧な対応でルビスの行動を承認する。

「よし!疲労回復に効果があると僕が思っているマッサージを、温泉に浸かりながらしてあげるね。きっと元気になると思うよ」
「………温泉に浸かりながら?……私の記憶では、マイラの温泉は混浴では無かったと思いますが…封印されている間に変わりましたか?」
「そんな些細な事気にすんなよ…僕に邪な心は微塵もないよ!だってルビスは僕の母さんにそっくりなんだもん…僕は母親に欲情しないよ。それに顔が似ているだけで、胸は全然似ていない!物足りなくてムラムラしないよ(笑)」
神を呼び捨てにし、無礼極まりない事を言う(リュカ)…そんな彼を見ると、強烈な胃痛が襲いかかるアルル。

「む、胸の事は言わないでください!い、いいじゃないですか小さくたって…」
服の上からだが胸元を押さえ付け、必死に反論するルビス…
アルルも心の中で、応援している…
そして何より、同じ仲間が出来た様な気がして、少しだけ胃痛も和らいだという…



 
 

 
後書き
新加入メンバー!
でも強さは、アリアハンを旅立った時のアルル達より少し強い程度…
みんな、ルビスちゃんの活躍に期待してね♥ 
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