万華鏡
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第二十六話 江田島へその六
「あと水着を忘れない」
「あっ、海があるから」
「それでなんですね」
「そう、泳ぐから」
だからだというのだ。
「忘れないでね」
「はい、それじゃあ」
「今から」
皆そういったことへの準備にも入った、それはまさに旅行の準備だった。それを進めていくことになったのだ。
琴乃達も同じだ、琴乃は家に帰ってからすぐに母に言った。
「お母さん、水着だけれど」
「何がいいかっていうのね」
「うん、合宿の時に海に行くから」
それでだというのだ。
「それでね」
「海ね、合宿となると」
「そう、男の子もいるわ」
「じゃあ派手な水着でなくて」
「ビキニ駄目よね」
「絶対にね」
止めた方がいいというのだ。
「ワンピースがいいわね」
「そうよね、やっぱり」
「流石にスクール水着はね」
「それ駄目なのね」
「あれはあれでね」
駄目だというのだ、その理由はというと。
「マニアックだから」
「じゃあ何がいいかしら」
「普通のワンピースね」
それがいいというのだ。
「色や柄はどうでもいいけれどね」
「ワンピースなのね」
「そう、競泳水着も駄目よ」
「あれも身体のラインが出るから」
「かえっていやらしいのよ」
露出は少ない、だが露出だけが全てではない。
「だからね」
「競泳水着も駄目で」
「普通のワンピースがいいのよ」
「そうね、じゃあ」
「そうしたワンピースも持ってるわよね」
「うん」
既に買っている、それも今年に。
「ビキニと一緒にね」
「学校の行事だけれど水着はいいのよね」
「別に限らないってね」
正式にパンフレットに書いてあった、その合宿用の。
「書いてあったから」
「そうよね、じゃあね」
「ワンピースなのね」
「実はビキニの方が身体のラインは出ないけれど」
「下着だからね、殆ど」
「そう、お母さんが若い頃はね」
少し苦笑いになって言う母だった、年齢の話でもあるので。
「ビキニのグラビアとかはまだ少なかったのよ」
「アイドルでもなの」
「今よりはね。AKBとかは殆どビキニよね」
「あの人達下着にもなるし」
「ビキニになったらかなりの冒険だったのよ」
「アイドルでもなの」
「そう、アイドルでもね」
見せる、魅せるといってもいいことが仕事の彼女達でもだというのだ。
「昔はそうだったのよ」
「ううん、露出が少ないのが」
「まだ普通だったのよ」
「まあ同じ年代の男の子達の前に下着みたいな格好で出るのは」
「ワンピースでもよね」
「水泳の授業の時皆見るのよ」
「うふふ、それは何時でもよ」
もっと言えば誰でもだというのだ。
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