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銀河転生伝説 外伝

作者:使徒
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俺の妹がこんなに天才のわけがない


宇宙暦802年/帝国暦493年。
銀河を統一し(といっても勢力範囲はオリオン腕の8、9割とペルセウス腕の一部だが)発展の極みにある銀河帝国であったが、何の問題も無いというわけではなかった。

リップシュタット戦役終了後、アドルフが権力を握ってから平民たちの地位は以前より高まりつつあったが、自由惑星同盟を併合したことによりその流れはより大きくなりつつあった。

そうなれば、それを快く思わない者も出てくるのは必然と言えるだろう。
結果、そういった者の一人であるリンド伯爵が反乱を起こした。

その反乱の鎮圧に、ある提督が任命された。
名をマリナ・フォン・ハプスブルク。

銀河帝国38代皇帝アドルフ1世の実の妹であった。


* * *


<マリナ>

私の名は、マリナ・フォン・ハプスブルク。
歳は22歳。
銀河帝国ハプスブルク大公家の長女よ。
ま、私が生まれた時はまだ公爵家だったけどね。

兄貴は、銀河帝国38代皇帝アドルフ1世。

あの兄貴が皇帝って……プッw
流石にこれは無いわw

だってあの兄貴よ!
部屋で前世がどうたらこうたら一人で呟いてるあの兄貴よ!
エロゲのサイト見ながら『発売延期!?……orz』てやってるあの兄貴よ!

最初に聞いた時は何かの間違いかと思ったもの。
世も末よね。

・・・・・

つい先日、何をとち狂ったのかリンド伯とか言う門閥貴族の一人が反乱を起こした。
今更反乱を起こしたところで結果がどうなるか分からないのかしら?
だとしたら兄貴以上のバカよね。

ま、そんな訳で私が5000隻の艦艇を率いて討伐に向かってるってわけ。

私の階級?
中将よ。
旗艦は戦艦ブリュンヒルデ。

前に兄貴が宇宙艦隊の総旗艦として乗ってた艦だけど、私が(強引に)譲り受けた。
同盟が滅びて銀河が帝国によって統一された今、港に係留されてるだけだしね。
なら、私が有効利用してあげないと。

美しい白亜の艦。
故ラインハルト元帥が同型艦のブリュンヒルトを愛した理由が分かるわ。
ほんと、兄貴には勿体無い艦だったわよね。

兄貴のやつ、この艦を痛艦に改造してたのよ、信じられない!
あんまりムカついたからボコッてやったわ!

この艦を私にくれたときの、あのニヤニヤした笑いを堪える顔ときたら……。

思い出すだけで腹が立つわね。
帰ったらもう一度ボコッてやりましょうか。

それと、今のこの艦の艦長はメデューサ・フォン・ライドゥルン中佐。
なんか兄貴が『ライダー萌え~。おっ持ち帰り~!』とか言って連れ去ろうとしてたけど、優秀な人だからなんとか阻止したわ。

私の一撃で兄貴の腕が有り得ない方向に曲がってた気がするけど……気のせいよね。
私は何も見なかったわ。

「ハプスブルク中将、敵艦隊を発見しました。数、3000」

3000隻って……たったそれだけで反乱起こして成功すると思ったわけ?
帝国の宇宙艦隊は20万隻以上いるのよ。
バカなの?
脳ミソ腐ってるの?
何で生きてるの?
兄貴の劣化版?
それとも、兄貴の(脳の)病気がうつった?
私にだけはうつさないでほしいわね。

まあ、どうでもいいわ。
何にせよ、汚物は早く消毒しないとね。

「全艦攻撃開始。敵は数でこちらに劣っているわ、蹴散らしなさい!」

こちらの砲撃に堪えかねて敵は後退する。
数においてこちらが勝ってるから当然と言えば当然なんだけどね。
あ~あ、手応えの無い消化試合になりそうだわ。

「こ、後方に敵! 数5000。これは………」

「ふーん、さすがに一人で反乱を起こすほど無謀じゃ無かったということね……どちらにせよ結果は変わらないけど。まあいいわ、前の敵を突破した後改めて蹴散らしてあげる。全艦、紡錘陣形をとって敵の中央を突破よ!」

私の艦隊は敵中央を突破した後、陣形を再編する。
その間に、敵は増援と合流した。

これで、敵は約7500。
対する私の艦隊は5000弱。

「兵力差は多少こちらが不利だけど……あの程度なら問題無さそうね」

「は?」

「敵の連携は円滑とは言い難いわ。そこを突いて切り崩すとしましょう」

思った通り、敵は連携が上手くいってない。
最初こそ一応連携が取れていたものの、中々優勢にならない戦況に我慢できなくなったのか、徐々に乱れてきている。

「今よ、敵の両翼を砕きましょう。ゲルマン砲発射!」

ハプスブルク領から密かに(勝手に)持ち出したゲルマン砲2門。
持ってきておいて良かったわ。

残った敵中央も集中砲火を浴びてのた打ち回っていて、もはや集団として機能していない。
その上、逃亡艦もでている。
これで戦局は決したわね。

「敵軍、戦線崩壊の模様」

「当然ね。そうなるように動いたもの」

「敵旗艦オートマルク、及びクレインレンツ、パルメロンの撃沈を確認」

「そう、ならこれ以上の戦闘は無用ね。降伏勧告を出しなさい」


* * *


リンド伯爵、カビッツ子爵、ポルド子爵の首謀者3名を失ったことにより、反乱は収束。
彼らの所有していた領地は没収され、直轄領へと編入された。

マリナ・フォン・ハプスブルクは、この反乱鎮圧の功績により大将へ昇進。
約8000隻の艦隊を任せられることになった。


銀河帝国皇帝アドルフ1世の妹マリナ・フォン・ハプスブルク。
彼女は(兄と違って)天才であった。
 
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