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連隊の娘

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第二幕その六


第二幕その六

「あの娘の幸せこそが最も大事だと考えています」
「それじゃあ」
「約束しましょう」
 彼はここで断言した。
「あの娘を必ず幸せにいます」
「そうしてくれるのね」
「ええ、必ず」
 確かに頷いた。それは確かであった。
「そうしてみせるわ」
「そう。それだったら」
「お任せ下さい」
 また言うシェルピスだった。
「このことに対して」
「じゃあこれを」
 ここで結婚証書を出す侯爵夫人だった。
「これをあの娘に」
「サインをさせるのですね」
「そうすればあの娘を幸せにできるわ」
 彼女は言った。
「その為にも」
「では今からマリーのところに」
「行きましょう」
 こう話してから部屋に戻る二人だった。そこんはマリーとトニオがまだいた。侯爵夫人はその二人に対して言うのであった。
「私は貴女の為に来たのよ」
「わしもだ」
 シェルピスも言うのだった。
「貴女の幸せの為に」
「丁度ここに」
 ここで部屋の中に青く着飾った服を着た妙齢の美女とその後ろに高貴な身なりの人達が集まって来ていた。彼等はマリーを見て口々に言った。
「奥様、今日はどうも」
「私の息子との婚礼の話ですが」
 その妙齢の美女が彼等を代表して侯爵夫人の前で恭しく一礼した。
「その相手は」
「はい、それはです」
 侯爵夫人はここでマリーを指し示すのだった。
「この娘です。私の姪です」
「あら、この娘は」
 その妙齢の美女はここでにこやかに言うのだった。
「私の息子の嫁に相応しいわ」
「そう思われますわ」
「ええ、そう思うでしょう」
 にこやかに笑っての言葉であった。
「本当に」
「奥様」
 侯爵夫人もにこやかに彼に返す。
「ではここで」
「はい、これを」
 侯爵夫人はその美女に恭しく結婚証明書を差し出そうとする。しかしここで。
 何と兵士達が雪崩れ込んできたのであった。そうして瞬く間にマリーとトニオを護る様にして取り囲んでしまったのだった。あっという間であった。
「悪いけれどな」
「マリーは渡さないからな」
「あんた達にはな」
 彼等は口々にこう言うのだった。
「安心してくれ、マリー」
「ここは俺達に任せてくれ」
「どうかな」
「皆・・・・・・」
「隊長もですよ」
 彼等はマリーだけでなく皆に対しても話すのだった。
「ここは任せて下さい」
「どうか」
「僕もだ」
 トニオはマリーを己の後ろにやって言った。
「僕もマリーと結婚する、絶対にだ」
「絶対に?」
「そうだ、絶対に」
 彼は話した。
 
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