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自由の灯り

作者:光龍牙
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第十五話

「さあ!起きた、起きた、起きたぁ!ですぅ!」

太陽が登り始めた頃の朝、キャナルは布団に寝ているヴェントを起こそうと布団を剥ぎ取りながら、ヴェントを叩き起こす。
ヴェントは耳を押さえながら目を覚ます。
布団からでると、不機嫌さを隠さずキャナルの側まで近づき、拳骨をかます。

「あぅ!痛いですぅ~」
「お前は毎度毎度こんな起こし方をするな!まだ5時だぞ!」

ヴェントは部屋に置いてあった時計を指さしながらキャナルを叱る。
キャナルが加入してから三日がすぎ、この三日間ずっとこの調子だった。
完全に目が覚めてしまったので、溜め息をつきながら本棚に置いてあった小説を取り読み始める。
痛みが引いたキャナルは何の悪気も無さそうな態度で、ヴェントの側まで近づき朝の挨拶をする。

「おはようですぅ~♪」
「はぁ・・・おはよう」

ヴェントは仕方なく挨拶をすると、キャナルがヴェントの腕を引っ張る。

「さぁ、さぁ!朝の散歩ですぅ~♪」
「おい!待て!小説が・・」

ヴェントの静止の声も虚しく、そのままキャナルに甲板に連れていかれる。
甲板に到着すると、キャナルははしゃぎながら甲板を駆け回る。
ヴェントはそんなキャナルを見ながら、甲板の壁に寄りかかり、腰を下ろす。
しばらくボーッと空に顔を向けながら眺めていると、ヴェントは一つの疑問を思いだしキャナルに訪ねることにした。

「そういえば、何で三日間ほとんど俺の側にいるんだ?他にも仲良くなれるやつはいるだろ?」
「え~と、ヴェントとは一番仲良くなれそうだからですぅ~」

と、言われ、ヴェントはそんな理由かと思いながら、再び空に視線を戻す。
皆が起きる時間まで甲板にいると、キャナルがお腹が減ったと騒ぎ出したので、食堂に向かう。
食堂にはロックスと、クレア、カノンノが居て、カノンノは丁度朝食を食べ終えていた。
食器を下げると、そのまま出口に向かう。
そこでヴェントと、キャナルの存在に気付く。

「ヴェント、キャナル、おはよう」
「おはようですぅ~♪」
「おはよう、ディアの方は大丈夫か?」
「今日で一週間経つけどまだ起きないみたい、もう少し眠ったままだって」
「そっか・・早く目を覚ますといいな」

カノンノは「うん」とだけいうと、ディアが居る医務室に向かうため、食堂を出る。
ヴェントとキャナルはロックスとクレアに朝食を作ってもらい、ご飯を食べ始める。
朝食を食べている最中、キャナルとの一緒のご飯は初めてだと思い、ヴェントはキャナルに視線を写し、朝食を見た瞬間、口に含んでいた米を吹き出す。

「わぁ!汚いですぅ~」

キャナルは口を膨らませながら、不満そうにヴェントに文句を言う。
しかし、ヴェントは無言でキャナルの朝食を見る。
キャナルの朝食は真っ赤に染まっているからだ。

「何なんだそれは!」
「ふぇ?あたしは辛いものが好きなんでですぅ~、これはタバスコですぅ~♪」

そう言いながら、モグモグ食べ始める。
ヴェントはキャナルは完全に全てがおかしいと思いながら、朝食を食べ終える。

「お前は本当に何なんだ?昔からこういう性格なのか?」
「・・・・」
「どうした?」
「な、何でもないですぅ~」

一瞬、キャナルの顔が悲しそうに見えたのは気のせいだろうか。
今のキャナルはいつものように無邪気に笑っている、きっと気のせいだと思いながらヴェントは依頼を受けに食堂を出る。

「・・昔はね・・・・」

キャナルは誰にも聞こえない声でそう呟くと、残りの朝食を頬がパンパンになるまで詰め込み、ヴェントを追いかける。
ヴェントは依頼を受けるとその依頼にキャナルが同行した。
依頼内容はルバーブ連山に落とした荷物を見つけることだった。
ルバーブ連山に到着するとヴェントは動き回りながら、荷物を探すキャナルを見て溜め息をつく。

「どっこかな~、どっこかな~♪荷物さんは何処ですぅ~?」
「はぁ・・・」
「ヴェント~、早く見つけようですぅ~♪」

キャナルはハイテンションでヴェントの腕を掴むと、もの凄いスピードでルバーブ連山の奥地に向かう。
荷物を落としたという奥地に到着した頃には、ヴェントの息は絶え絶えになっていた。
その原因であるキャナルは呼吸一つ乱れておらず辺りを見回す。
ヴェントは呼吸を整えると、荷物を探し始める。
キャナルもヴェントの後ろで荷物を探す。
そこまではいい、だがキャナルが掻き分けながら後ろに石を放り投げ、投げた石がヴェントに全て直撃して痛い。

「・・・」
「どっこかな~、荷物さん出てきてくださいですぅ~♪」

そんなキャナルはヴェントに石をぶつけてるのに気付かず、石をヴェントに向かって投げ続ける。
ヴェントは探す場所を少し変えて移動すると、そのたびにキャナルもヴェントの側に移動する。
―わざとやってるんじゃないか?
そんな考えがヴェントの脳裏に浮かぶ。
しかし、そんなことはなく、キャナルは本当に気付かずにやっているようだ。

「あれ~?何でヴェントはそんなにボロボロなんですぅ~?」
「・・お前のせいだ!俺に石を投げつけたからだ!一瞬わざとじゃないかと思ったぞ!」
「そうなんですぅ~?いや~、ごめんですぅ~♪」

全然反省してないようだったので、俺はキャナルに拳骨をかました。

「あぅ~、痛いですぅ~」
「お前は何でいつもそうなんだよ!」
「ヴェント~、優しくしてくださいですぅ~」
「断る」

即答だった。
キャナルは目に涙を浮かべながらヴェントを見るが、ヴェントは動じない。
そのままキャナルを無視すると、荷物を探しを再び始める。
少ししてからキャナルも元に戻り、荷物を探し始め、数時間かけて荷物を発見する。

「これか、よし帰るぞ」
「はいですぅ~♪」

二人はルバーブ連山を下り始めた。
帰り道、キャナルはルバーブ連山の崖の側を走り回っていた、崖の下は流れが強い川で落ちたりしたら、危険だと思い、ヴェントが注意する。

「キャナル、危ないぞ」
「大丈夫、大丈夫ですぅ~♪」

キャナルはそう言いながら、崖の側をピョンピョン跳び跳ねると、さすがにこれは本当に危険だと思いヴェントはキャナルの側に近寄る。
その瞬間

「・・っえ?」
「!?キャナル!!!」

突然キャナルの足場が崩れ、キャナルは真っ逆さまに崖に向かって落ちていく。
ヴェントは急いで崖を飛び降りて、キャナルの腕を掴み自分の方に抱き寄せる。

「ヴェ・・ント?」
「ったく!絶対俺の側から離れるな!!」

ヴェントはさらに強くキャナルを離さないように抱き締め、二人は川の中に落ちる。
流れが強いせいか上手く身動きがとれず、キャナルは苦しそうにしていた。

「おい!キャナル!!大丈夫か!」
「はぁ・・はぁ・・・あたし・・およ・・ない・・・で・・」

ヴェントは必死にキャナルが溺れないようにするが、さらなる悲劇が二人を待ち受けていた。
川に流されている方は滝になっており、後少ししたら二人は滝から落ちてしまう。

「っくそ!キャナル!頑張れ!!俺がお前を死なせたりしないから!!」
「う・・うん」

二人はそのまま滝から落ちてしまい、とてつもない衝撃が二人を襲った。
そのまま二人の姿は川の中に消えた。


続く
 
 

 
後書き
上手く話が思い付かないです
話を読んでくれてありがとうございます 
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