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魔法少女リリカルなのは~その者の行く末は…………~

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Chapter-1 First story~Various encounter~
  number-6 invite

 
前書き


誘い。



この場合は、高町なのは。フェイト・テスタロッサ。


 

 



「……わっ、私と温泉に行かない……?」


金曜日にさあ、いざ学校へと思って家から出ると目の前には、一昨日一緒にカレーを食べたあの金髪の少女、フェイト・テスタロッサが立っていた。
なんだか恥ずかしそうに顔を赤くして、俯き気味に燐夜が出てくるのを待っていたようだ。


最初燐夜が出てきたときには、口をパクパクさせて何度も何かを言おうとはするけれども、結局躊躇ってしまって言い出せないでいた。
そして、先ほどようやく時間をかけて言い出せたのだ。
フェイトが言い出すのを待っていた時間が10分。言われたことを理解するのに10分。
現在時刻、8時40分。ただでさえ寝坊していたのに、この時間では遅刻は確定だ。


いつも、なのはとバスに乗って一緒に行くのだが、今日はフェイトから温泉に行かないかと誘われた。
しかもフェイトが用件を話し始めるのをずっと待っていたのだ。なのはが怒って先に行ってしまっただろう。一抹の罪悪感を感じるが、やむを得ない事情があったのだ。
そう自分に言い訳をする。


今の時刻はそろそろ9時になろうかといったところであろうか。
もう学校では1時限目が始まっている頃だ。なのだが、なのだが……まだフェイトに対して答えを出していないのだ。20分かけてようやく我を取り戻した燐夜。


まだ二人は出会って二日、三日しか経っていないのだ。まあ、最初の出会いがかなり印象には残っているものの、それは燐夜にも覚えがあるもので。
ただ単にフェイト・テスタロッサという人物が魔法少女だったということだけで。また、フェイトのお姉さん的な人だと思っていた女性、アルフはフェイトの使い魔で、素体が犬ということだった。
そんなことが人道倫理的にどうなのだろうかと思いもしないでもないが。
まあ、最後に結局必要になるものは二人? 一人と一匹? どちらでもいいのだが、その間の絆。ちゃんとした信頼関係が出来ているか否かといったことなのだ。


「……ダメ、かな……?」


燐夜がずっと黙っていることに不安を抱いたのか、心配そうに上目使いになりながら涙目で燐夜を見るフェイト。
そんな目をされたらダメとは言えない。言ったら言ったでその時に浮かべるであろう残念そうな表情は見たくないのだ。
そうなってしまえば自然と答えは見えてくる。
…………了承するしかないといった形で。


「……何時から行くんだ」
「明日……なんだけど、いいかな?」
「……まあ、いいか」
「……! じゃ、じゃあ」


顔をずいっとむけてくるフェイトを一旦、落ち着かせて自分もフェイトの綺麗な顔を間近で見て高鳴った鼓動を落ち着けるために深く息を吸って吐く。
フェイトはフェイトで勢い余って自分から顔を近づけてしまったことにワタワタしていた。そして、燐夜が深呼吸をしているのを見て同じように見よう見まねでフェイトも深呼吸する。


全くきちんと自分の容姿を分かっていてほしいものだ。
フェイトは、日本ではまず見られない金髪に端正な顔。黙っていれば綺麗という言葉が当てはまるが、フェイトは天然でもあるため、フェイトという人物を知れば可愛いというのが当てはまるだろう。
そんな顔が間近に迫ってきたらどうか。しかも、その上に涙目であったら。
燐夜のような反応になるのが普通である。少しもドキドキしない人は、ちょっと危ない人と判断するしかない。


「分かった、明日な。楽しみにしているよ」
「うん! また明日ね!」


燐夜が了承すると、満足したのか不安げな表情から一瞬にして晴れやかな表情になって、隣の自分の家に戻っていった。
燐夜はその後ろ姿を見て、家の中に消えていくとふうっと一息ついた。
何時だって異性と話すのは緊張する。それなりに親しい、例えばなのはとかだったら…………あ。


燐夜は今、大事なことを思い出した。
慌てて今の時間を携帯で確認する。――――9時20分。1時限目がもう少しで終わる。
今から聖祥に向かうともう2時限目になって20分経った頃になってしまう。だが、燐夜の今の身分は学生である。勉強が本業だから。さらには国の法律で定められている、義務教育だからだ。
休むことは許されない、体調が悪くない限りは。


「…………ふうっ」


息を吐いて心を落ち着かせた燐夜は、カバンを持って、家の鍵を閉めて歩き始める。
なるべく急ぎ足で。それでも、心は重いままどことなく憂鬱な気分で歩みを止めることなく歩き続けた……


      ◯


「燐夜君!! どうして遅刻したの!」
「いや、だから寝坊したんだって」
「うそ! 絶対にうそ! 燐夜君に限って寝坊なんてするわけもないもん!」


燐夜が遅刻をすること2時間と15分。学校についたときには、もう3時限目が始まっていた。
教室に入ってまず、担任の教師にこってり怒られ、気持ちがナーバスになったところに昼休みが来てなのはに今、問い詰められているところなのだ。
なのはの後ろにはアリサとすずかも立っていた。
すずかは燐夜を心配するような表情で、アリサはどちらかと言えばなのはの立場に近いだろうか。


昼食を家に忘れて、お昼の時間なのに食べることも出来ずになのはからずっと詰め寄られている。
なのはが燐夜に問い詰めている後ろでアリサとすずかはお昼にありついている。


あー早く終わらないかなぁと思っている燐夜。だが、なのはには何か感じるものがあるらしい。女の勘……いや、少女の勘か。
なのはは、燐夜が今日どこかでほかの女の子と会っていたことを直感で気づいているのかもしれない。
それが今日の朝ということだとなのはは思っているのだろう。


それにもう一つそう思える理由があった。
燐夜は1年の頃からなのはと聖祥大付属小学校に通っているが、待ち合わせ場所であるバス停には今まで
体調不良などで学校を休んだ日以外は遅刻することなくなのはよりも先に待っていたのだ。
そんな日が1年、2年と続けば今日は来なかったから休みなんだなぁとなのはは思うわけである。
しかし、遅刻した。ほかの少女とくっ付いていたのか、甘いにおいを漂わせながら。


まあ、遅刻しただけならまだ許せたのだ。
でも何だか、燐夜の服から女の子特有の甘いにおいが漂ってくるのをなのはは敏感にかぎ取ったのだ。
犬も吃驚の嗅覚である。


けれども、なのはにはその点を指摘することなんてできなかった。
何故ならば、燐夜との今の関係が崩れるのが嫌だったからである。
なのはにとって燐夜は、友達で親友で好意を抱く人で心の拠り所で……これはなのは自身も分かってはいないと思うが、依存していて。
今のこの状態がなのはは一番好きなのだ。


「……許してあげる」
「…………ありがとな」


これだ。
この優しい微笑みが昔から好きなのだ。しかも、それを自分だけにやっているときが……
なのはは不意に思い出す。
今日の朝に母から言われていたことを。


「――――ねえ、燐夜君」


燐夜はなのはに怒られて疲れたのか、眠そうに……それはただ眠いだけである。顔を上げて空を見上げていたが、なのはに呼ばれたことで顔を下げて、なのはを見た。
なのはは何かを決心したように顔を引き締めて、本気で真面目な表情をしていた。


燐夜は本能的に身構えてしまう。
一体何がなのはの口から飛び出してくるのだろうか。
この誰も口を開けようとしない無音の空間が燐夜は苦手なのだ。
騒ぐのは好きでもないが、騒がしい所にいるのは好きだ。自分を言う存在が薄くなっているような気がして。空気が軽く感じるから。
――――なのはが口を開く。


「一緒に温泉に行こう!」


…………はっ?


 
 

 
後書き
最近、テスト期間で息抜きに書いていると出来上がっている。
赤点を取るかもしれないのに、この体たらくでいいのだろうか……
ただ、一つだけ断言できることが……


英語は捨てたっ!!!
元より試験科目だけど日本人が外国語をやる必要なんてないんだ!――――ドイツ語はカッコいいと思うけど。 
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