八条学園怪異譚
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第二十五話 飛ぶ魚その六
「それでもね」
「ドーナツはなのね」
「一階お父さん達に言ってみようかしら」
「いいんじゃないの?お菓子系もね」
「愛実ちゃんのお店も甘味の研究してるしね」
「甘いものは好きな人多いから」
だから研究を怠らないというのだ。
「だからね」
「そうよね、やっぱり」
「甘いものとお酒はね」
この二つはというのだ。
「もうお店の売り上げに大きいからね」
「パン系でも飲む人いるのよね」
「ワインよね」
「そうそう、欧州から来ている人がそうだから」
「二人共熱心じゃのう」
博士は二人の話を横から聞いて感心する顔で言った。
「よいお店の娘達やな」
「うん、本当にね」
「この娘達根っからの商売人だよ」
「まさにパン屋と食堂の娘さん達だよね」
「しっかりしてるよ」
妖怪達も感心して言う。
「今大変な商店街も多いけれどね」
「それでも頑張ってるね」
「うちの商店街は観光地にもなってるのよ」
「こっちもよ」
八条町の商店街はそうなっているのだ、それは何故かというと。
「八条グループが協力して神社とか置いてくれてね」
「あと八条町の買い物スポットになってて」
「色々珍しいお店もあって人気よ」
「駅前だって賑わってるから」
「うむ、商店街に活気があって悪いことはない」
博士も確かな顔で言い切る。
「訳のわからんニュース番組は活気がなくなってよいがな」
「訳がわからないって」
「大体わかるけれど」
二人は博士の今の話を聞いて首を少し傾げさせた。
「それでもね」
「何ていうか」
「ああした番組はどれも偏向しているうえに捏造はするしどんなことしても反省せん、しかも不況不況ばかり言う」
博士はそうした番組への批判もする。
「不況ならどうするかがないのじゃよ」
「不況不況ばかり言っても」
聖花が難しい顔で述べる。
「かえって気が滅入ってよくないのよね」
「それを毎晩聞かされれば元気もなくなるわ」
「だからそうした番組はなのね」
「全部潰れてもよい」
博士は言い切った。
「その後にドラマやアニメを放送すればいいのじゃ」
「全く以てです。例えばです」
ろく子も首を伸ばしてきて言う。
「人間と妖怪の親睦のアニメ等は」
「そういうの昔からあるわよ」
愛実はろく子の願望にすぐに突っ込みを煎れた。
「映画でもね」
「あっ、そうでしたね」
「そうよ。日本の妖怪って親しみやすいし」
「僕達の本質がわかってくれて何よりだよ」
豆腐小僧が愛実の言葉を聞いて笑顔になっている。
「よかったらお豆腐なんてどうかな。美味しいよ」
「あんたのお豆腐食べたら黴だらけになるわよね」
「あっ、知ってたんだ」
「知ってるわよ、よくね」
このことはもう既に知っているのだった、聖花もである。
「あんたの悪戯でしょ」
「美味しいお豆腐食べられるよ、それでもね」
「黴はお店にとって天敵の一つなの」
愛実は目をむっとさせて豆腐小僧にこのことを告げた。
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