八条学園怪異譚
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第二十四話 古墳その十六
「お豆腐とか」
「そういうのでいいかしら」
「元々日本で飲まれているお酒だし」
それならというのだ。
「別にいいでしょ」
「そうなのね、それじゃあね」
二人で話して酒とその肴の話は決まった、そしてだった。
二人は動物園を後にして猫又達と別れた、そのうえで家に帰りこの日は休んだ。そして次の日の放課後にだった。
聖花は愛実の家に柿の種は魚の干物を持って来た。そうして瓢箪を持っている愛実と一緒に飲んだ、飲みながら話をするのだった。
「ねえ、もうすぐ夏休みで」
「夏は授業がないけれどね」
二人で一階の今でお湯飲みにお酒を入れ合い飲みつつ話をする。
「それでも部活があるから」
「だから学校にはよく行くわね」
「そうね、それで」
愛実はさらに言う。
「泉もね」
「次は水族館ね」
「その後で植物園に行こう」
「予定通りそれでいくのね」
「うん、そうしよう」
愛実は自分と同じ脚を横に崩した正座をしている聖花に言った、所謂女の子座りをして話をしているのだ。
「まずはそうして」
「それでもまだ見付からなかったら」
「他の場所を探すけれどね」
「他の場所ね、何処かしら」
「ううん、これまで結構回ってるから」
愛実は飲みながら聖花に話す。
「段々候補地もね」
「学校の怪談スポットかなり回ったわよ」
「他にもまだあるわよね」
「絶対にね。この学校そういう話が一杯あるから」
二人が今聞いているだけでもまだ相当な数が残っている、そしてその中で。
聖花は柿の種とピーナッツをかじりつつ愛実に言った。
「そこで泉の場所となるとね」
「結構限られるかしら」
「そうね、水族館と植物園にしても」
「水族館は夜にお魚さん達の幽霊が出て」
このことは動物園と変わらない。
「植物園は何かいる筈のない人がいてよね」
「そう、花の精みたいね」
「植物園には他にもいるみたいだけれど」
その花の精だけではないというのだ。
「とにかくその人達がいるわ」
「けれど泉になると」
それは、というのだった。
聖花は今度は濁酒を口にしてから言った。
「何処なのかしら」
「その時に一緒に来てくれそうな日下部さんに聞いてみる?」
「どうかしらね。日下部さんでもいいけれど」
ここで聖花はこう愛実jに言った。
「博士の方がよくない?」
「この学校のことなら何でも知ってるから」
「そう、だからどうかしら」
これが聖花の提案だった。
「それでね」
「そうね。博士は別格だからね」
伊達に百何十年生きているかわからないだけはある、二人もそのことがわかっているからだ。
そのうえでこう言ったのである。
「お話を聞く?」
「そうしよう」
「わかったわ、それじゃあね」
愛実は聖花のその提案に頷いた、そうしてだった。
泉の候補地について博士にさらに聞くことにした。これでこの話は決まった。
そのうえで酒をさらに飲む、愛実は飲みながら聖花にこうも言った。
「ねえ、濁酒ってね」
「どうしたの?」
「あまり酔わないのよね」
今の時点で量は多い、だがだった。
愛実も聖花もまだ顔はそれ程赤くはなっていない、それで言うのだ。
「普通の日本酒よりもね」
「アルコール度が低いのよ」
「ああ、それでなのね」
「そう、清酒より酔わないの」
そうだというのだ。
「濁酒はね」
「そうなのね。それに甘いし」
これもまた清酒とは違って、である。
「癖があるのよね」
「そうそう、けれど愛実ちゃんって」
「何?」
「いや、濁酒もいけるのね」
「好きな方よ」
実際にそうだというのだ。
「あれば飲むわ」
「そうなのね」
「聖花ちゃんは違うのね」
「清酒の方が飲むこと多いし」
今はそうなっている、濁酒は少なくなってきているのだ。
「だからね」
「けれど嫌いじゃjないわよね」
「ええ、嫌いじゃないわ」
実際にそうだというのだ。
「だから飲めるし」
「そうよね、じゃあね」
「一人一升だし」
二升入っているからそれだけだというのだ。
「大分あるわよ」
「そうね、ゆっくり楽しもうね」
「ただ、飲んでると」
聖花は扇風機の風に愛実と一緒にあたりながらこうも言った。
「暑くなるわね」
「お酒だからね」
「ビールよりもね」
ビールは身体を冷やす、だが日本酒の系統のものは温めるので必然的にそうなってしまうのだ。尚ワインも身体を温める。
それでだと自分で言ってまた飲む聖花だった。そして。
愛実もまた飲む、二人はこの日は猫又から貰った濁酒を心から楽しんだのだった。
第二十四話 完
2013・1・30
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