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八条学園怪異譚

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第二十四話 古墳その十五

 それで古墳から完全に出てこう言った。
「じゃあ今日はね」
「もうこれでね」
「帰るんだね」
「うん、遅くなったし」
「明日もまた学校があるから」
「そろそろ夏休みだけれど一学期はまだあるね」
 送り犬は学校の時間のこともわかっていた、それで言うのだ。
「じゃあ明日に備えて」
「今日はこれでね」
「また今度ね」
「それじゃあだけれど」
 送り犬は二人の言葉を聞いてから猫又に顔を向けた、そのうえで頷き合った。
 すると猫又があるものを出してきた、それは大きな徳利だった。
「お土産だよ」
「お酒?」
「うん、そうだよ」
 その通りだと愛実に返す。
「濁酒だよ」
「濁酒ってそれはまた」
「今じゃかなり珍しいと思うけれどね」
「そうね。あまり飲んだことはないわ」
「これはこれで美味しいからさ」
 土産に出したというのだ。
「受け取ってくれるかな」
「有り難う」
 二人同時に返した。
「それじゃあね」
「有り難く」
 二人はその瓢箪を受け取った、猫又はここでまた言った。
「その瓢箪中は広いからね」
「外見よりも入ってるのね」
「そうなのね」
「今の単位で二升は入ってるよ」
 そこまでだというのだ。
「一人辺り一升だね」
「えっ、そんなに入ってるの」
「それはまた多いわね」
「だろ?だからたっぷり楽しめるよ」
 飲んでそう出来るというのだ。
「だから休みの日にでも二人で飲むといいよ」
「濁酒は甘いからあても考えないとね」
 愛実は瓢箪を手に笑顔でその話もした。
「具体的には何がいいかしら」
「普通に柿の種とかでいいんじゃないの?」
 聖花が愛実にこう提案する。 
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