とある六位の火竜<サラマンダー>
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出会い
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「私のファン?」
常盤台のエース、レベル5の‘超電磁砲’<レールガン>である御坂美琴<みさかみこと>は目の前の席に座る後輩に聞き返す。
「風紀委員<ジャッジメント>177支部で私のバックアップを担当している子ですの。一度でいいからお姉さまにお会いしたいとことあるごとに・・・」
「はあぁぁぁ・・・」
ツインテールのお嬢様言葉の後輩、白井黒子<しらいくろこ>の言葉に大きなため息をつく御坂。今日はシステムスキャンで学校が早く終わり、話があると言われファミレスにやってきたらこれである。ファンとかそういうものがあまり得意ではない御坂がため息をつきたくなるのも当然だろう。そんな御坂の様子を見て白井が続ける。
「常日頃からお姉さまがファンの子達の無礼な振る舞いに閉口されているのは存じていますわ。けれど、初春は分別をわきまえたおとなしい子。そしてなにより私が認めた数少ない友人。ここは黒子に免じてひとつ。」
そうまで言われては仕方ないかな。と御坂が思い始めたとき、白井がなにやら手帳を取り出しにやにやし始める。
「さらにお姉さまのストレスを最小限に抑えるため、今日の予定はこの黒子がばっちり・・・あっ!!ちょっ!!」
「え~と、なになに・・・初春を口実にしたお姉さまとのデートプラン
①・・・ファミレスで親睦を深める。
↓
②・・・ランジェリーショップ(勝負下着購入)
↓
③・・・アロマショップでショッピング(媚薬購入)
↓
④・・・初春駆除
↓
⑤・・・お姉さまとホテルへゴー!!
つまり、おとなしく分別ある友人を利用して自らの変態願望を叶えようと。」
「いえ・・・あの・・・」
嫌な予感がして御坂が奪いとった手帳に書いてあったのは白井の変態願望。冷や汗をだらだら流しながらなんとか弁解しようとする白井をジト目で見る御坂。
「読んでるだけですんごいストレス溜まるんですけど!!!」
「いふぁいふぇふふぁふぉふぇふぇふぁふぁ~」
そして白井の両頬を引っ張り制裁をくわえる。少しのあいだ引っ張り続けてから手を放した御坂はもう一度ため息をつく。
「でもまぁ、黒子の友達じゃあ仕方ないか・・・」
「お姉さま・・・」
「ん?」
ルームメイトでもある後輩の友達なら仕方ないという意味で言ったのだが、白井はなにを勘違いしたのか目を輝かせだす。そして御坂がそのことを疑問に思ったとき、白井の姿が目の前から消えて後ろに現れる。
「お姉さま~!!!」
「ちょっ!?くろ・・・」
白井がいきなり御坂に抱きつく。目が完全にハートマークになっている。白井の能力はレベル4の‘空間移動’<テレポート>。この能力は学園都市でも珍しく白井ほどの能力者はほとんどいない。
「お姉さまがこんなにも黒子のことを考えてくださってたなんて・・・黒子はもう・・・!!!」
「ちょっ!黒子!!離れなさ・・・あっ・・・」
抱きついてくる白井を必死に引き離そうとする御坂だったが外をみて固まる。その視線の先では制服姿の女子2人、男子1人の3人組がこちらを見て固まっている。さらに
「あのぅ、お客様・・・」
「へ?」
「申し訳ありませんが他のお客様のご迷惑になりますので・・・」
店員にまで遠慮がちに注意される。それでも離れようとしない白井に
「お姉さま~!!!」
「ふん!!!」
御坂の拳骨の制裁がくわえられた。
初春に連れられて、待ち合わせ場所だというファミレスにやってきた蓮たちは目を疑う光景を目の当たりにしていた。
「なにあれ・・・」
「さぁ・・・」
ファミレスの中では茶髪の髪の女子にツインテールの女子が抱きついていた。なにがどうなっているのかさっぱりわからない。あの2人が目当ての人じゃありませんように・・・という願いも初春の様子を見る限り叶いそうにない。
「なぁ、すでに帰りたくなってんの俺だけ・・・?」
「大丈夫、あたしもだから。」
「あはははは・・・・」
茶髪のほうがツインテールの子の頭に拳骨をし、ファミレスからでてこちらに来ようとしているのを柵川中学からきた3人はなんとも言えない微妙な表情と気持ちで待ち構えた。
「というわけで、とりあえず紹介いたしますわ。こちら柵川中学1年、初春飾利さんですの。」
「は、はじめまして!初春飾利です・・・」
ツインテールの子の紹介に合わせて初春が茶髪の少女に挨拶する。憧れの人を前にして緊張気味だ。今、蓮たちは茶髪の少女と向き合っており、両者の間にツインテールの少女がいる。立ち位置からして茶髪が御坂、ツインテールが白井だと佐天と蓮は察する。
「それから・・・あなたがたは?」
「ど~も~。初春のクラスメイトの佐天涙子で~す。なんだか知らないけど着いてきちゃいました~。ちなみに能力値はレベル0で~す。」
「さ、佐天さん!なにを・・・」
白井に聞かれて嫌味たっぷりに自己紹介した佐天。その態度に初春が慌てたあと、蓮を心配そうにちらりと見る。蓮も佐天のような態度をとったらどうしようと考えているのだろう。
(さぁ、どうするか・・・)
もちろん佐天のような挨拶をするつもりはない。いろいろ考えるが、とりあえず普通の挨拶をしてみることにする。
「同じく柵川中学1年の神谷蓮です。よろしくおねがいします。」
無難な挨拶をした蓮を見て初春がほっとしたように息をはく。蓮の足元にすぐ逃げられるようスケボーが用意されているのはもはや仕方がないだろう。
(変な人もしくはめんどくさい人だったら即逃げる!!)
蓮はそんな決意を胸に御坂の反応をうかがう。
「初春さんに佐天さんに神谷くん・・・。私は御坂美琴。よろしく。」
呟くように名前を確認した後、返ってきたのは蓮の決意とは裏腹のごくごく普通の挨拶。親しみやすい笑顔つきだ。
「「「よ、よろしくおねがいします・・・」」」
予想外の返事に少し驚きながら返事をする3人。そんな3人に構わず話は進む。
「ではつつがなく紹介もすんだ所で、多少予定は狂ってしまいましたが、今日の予定はこの黒子がバッチリ・・・」
「ふん!!」
「痛い・・・ってああっ!!」
手帳を取り出してにやにやしだした白井の頭に本日2度目の拳骨が落ちると、その拍子に手帳が蓮の前に転がってきた。何の気なしに蓮がそれを開いて佐天が隣から覗き込む。
「「・・・・・・」」
「あっ!私にも見せてくださいよ!!」
無言で手帳を閉じる蓮。書いてあった内容は白井の変態願望。自分でも顔が引きつっているのが分かった。隣では佐天も微妙な表情で固まってしまっている。その引きつった表情のまま、中身を見れずに騒いでいる初春の相手を佐天に任せて、蓮は御坂に向き直る。
「御坂さん。」
「なに?」
「①この手帳を燃やしてなにもなかったことにする。
②すべて忘れて白井に手帳を返してなかったことにする。
どっちがいいですか?」
とりあえず御坂に判断を任せるために選択肢を提示する蓮。蓮個人的には問答無用で①なのだが、御坂は少しの間考える。
「個人的には①と言いたいところだけど・・・」
「お姉さま!?」
「さすがに可哀想だから返してあげて。」
「了解です。」
一瞬①を選択しかけた御坂だったが、最終的に②を選択。こうして手帳は無事白井の手に返還される。
「あ、危なかったですの・・・」
「ったく・・・。でもまぁこんなところにいてもしかたないし、ゲーセンいこっか?」
「えっ?」
「ゲーセン・・・」
「ですか?」
またもや予想外の言葉が御坂から飛び出し、戸惑う柵川中学の3人。
「ほら、黒子いくよ?」
手帳を大事に抱える白井に声をかけた御坂はそんな3人に対し優しく笑ってみせた。
後書き
話すすまない(笑)
感想よろしくです。
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