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ソードアートオンライン VIRUS

作者:暗黒少年
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初めてのボス戦

 
前書き
コラボ小説、今少ししか出来てない 

 
 そして、ユキが血盟騎士団に入り、ようやくボス戦に出られるようになったのは入ってからしばらくした三十二層からだった。

 しかし、初めてのボス戦はそこまで緊張しなかった。それよりも、この周りにいる男たちをどうにかしたかった。なぜか、いきなり来て「私たちがユキ様をお守りするのでご安心を!」とか言ってきた。その中にはなぜか、血盟騎士団のみならず、聖竜連合などもいた。ユキはため息を吐く。

 それと同時にあることを思い出す。今日は団長が攻略に参加しないと言っていたので代わりの指示を飛ばす人に伝言を頼まれていたのだ。すぐにユキは伝えに行こうとするとその後ろからぞろぞろと、さっきの男達がついてくる。さすがにこんな大勢のストーカー追われてるみたいな構図は嫌なので言った。

「すみません、何かストーカーされているみたいなんで止めてください。それと、ちょっと攻略に関して大切な話をしないといけないのでしばらく離れていてください」

 そう言うと男達は各ギルド戻ったり、とぼとぼと歩いて散ってくれた。そこまで執着されていなくて安堵するユキは、とある人物の所に向かう。

 その人物は端っこの木の根っこに腰をかけて、他のギルドのメンバーと談笑しながら武器の手入れをしていた。ユキはあの人が私を助けてくれた人かなと思うが、今は聞かないで攻略のことの話をすると決めた。

「ねえ、君がゲツガ君」

 そう言うと彼は話を止めてこちらを向く。ユキは彼の顔を見て迂闊にもドキッっとしてしまった。彼は十人が聞けばほとんどの人がかっこいいと答える容姿であった。

「そうだけど、何かよう?姫騎士さん」

「ちょっとね、ホワイトバレッドさんを近くで見たかったのと、団長からの伝言」

 ユキは自分がこの人が助けたのかと最初は思ったが声も背丈も非常に似ている、いや同一人物であった。しかし、この人は私を覚えているだろうか。アスナが言うにはほかにもたくさんこんなことがあったからわからないと前に言っていたので聞くのを止めて団長からの伝言を伝える。

「今回、私は参加しないから君に指揮権を任すって、それとボスの説明も頼むって」

「そうか、わかった」

 そう言ってユキはゲツガから離れる。そして血盟騎士団の集合場所に戻るとゲツガが前に出ていた。

「えっと、今回の作戦指揮官に任された、ゲツガだ」

 そう説明すると周囲からはいくらか声が発生されるが詳しいことはゲツガしか知らないためみんなしぶしぶ口を閉じる。


「今回のボスモンスターは《ザ・ビッグモス・キングJr》で、攻撃は転がり突進と棘のような毛を伸ばした後、糸を吐く攻撃。そして予測だが、今回のボス攻略はもう一体ボスが出てくるか、ビッグモス……めんどくさいから毛虫で言いや。毛虫が繭になり、羽化するかのどっちかだと思う。この層に出てくる《ビッグモス》と同じようにリンプンの広範囲攻撃と他に幾つかの攻撃が追加されてると思うから気をつけて戦うこと。まあ、羽化または別のモンスターが出てきたときは、一度後退する方針で行く。ここまでで何か質問はあるか?」

 その説明を聞いていくらかユキは驚く。確か、一人で偵察に行って、この数の情報と自らの予測をして説明していることに、すごいと思う。そして、その説明を聞いたプレイヤーたちはチームで作戦を練っていた。

「今回も誰一人欠けず、上の層に行こうぜ!」

「「「「「おー!!」」」」」

 全員、その声に腕を上に伸ばして高らかに声を上げた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 そして、ゲツガを先頭にして、プレイヤーたちはボス部屋へと入り込んだ。出てきたのはゲツガの説明したとおりの毛虫のようなモンスターであった。しかも、あまりのでかさに顔をしかめる者もいた。

「よし、戦闘開始だ!俺がまず、攻撃をしてあいつの攻撃パターンを見せる、それを一回で覚えて攻撃に入ってくれ!」

 そう言ってゲツガは後ろの壁まで跳んで壁に引っ付くと一気に壁から毛虫に突っ込んで行った。そしてそれを察知した毛虫は体毛を伸ばして突き刺そうとしてくる。ゲツガはそれを剣ですべるようにして弾きそのまま毛虫にダメージを与えた。

「すごい……」

 ユキはその動きを見て声を上げた。一度、目の前でそのワザなどを見たはずなのに、あの時とはまったく別次元だ。攻撃の動きがまるで何度も繰り返したようにユキは見えた。これが攻略組の中のトッププレイヤーの姿。

 動きに見とれていると、ゲツガが毛虫の一連の動作を見せたので帰ってくる。

「よし!攻撃のパターンを覚えたか!?特に気をつければ何の問題もない!各自、パーティーに別れて攻撃を開始してくれ!」

 ゲツガは素早く指示を飛ばすと素早く行動に移した。ゲツガの最初に攻撃を見せたおかげで全員簡単に攻撃を当てることができている。そして、すぐにHPが半分を切った。すると、毛虫が糸みたいなものを吐いて自分の身体に巻きつけていく。そして、すぐに巻き終えた毛虫のHPは急速に回復を始めた。

「急げ!今のうちに強いソードスキルを当てろ!!」

 ゲツガが指示を飛ばすと全員がソードスキルを繰り出し始める。しかし、攻撃力よりも回復の速度のほうが勝っているため少しずつ回復していく。ユキもソードスキルを使い攻撃をする。硬直時間中にちらりと目にものすごい勢いで振られる剣が見えた。そちらに目を向けるとゲツガがものすごい勢いで剣撃と拳を突き出し、蹴りを放っていた。その動きは改めてみるととてもすごかった。

『速い……それにソードスキルをまったく使わないでこの威力……』

 ユキはしばしゲツガの動きに見とれているが、自分も頑張らなければいけないのでソードスキルを放ち続ける。しかし、HPは満タン近くで止まり、繭が羽化してしまった。そこから出てきたのは大きな蛾でとても気持ち悪かった。蛾になったボスは空高く飛び上がる。攻撃が届かないため攻撃を止めて見上げているとゲツガが叫ぶ。

「全員部屋の端っこまで離れろ!何か来るぞ!」

 そう言うと全員がガの下から離れて壁周辺に向かう。走り出すと同時に蛾が翅を激しく動かして何か粉のようなものを飛ばしてくる。

「リンプン?」

 その飛ばしてきた粉のようなものは蛾の翅にあるリンプンだった。それは一定時間、蛾はリンプン飛ばしてくる。しかし、タンクの一人が遅れてそのリンプンに当たった。その瞬間、そのプレイヤーは力が抜けてように倒れた。HPゲージは緑の枠が点滅している。麻痺毒だ。

「全員、耐毒ポーションを飲め!しばらくの間はそれでカバーする!そのタンクのプレイヤーはパーティーのメンバーが助けてやってくれ!」

 そう言ってゲツガは耐毒ポーションを一気に飲み干してリンプンの中に飛び込んで行った。それに続いて他のプレイヤーも続く。

 しかし、あの蛾は空を飛んでいる。どうやって倒すと言うのだろうか?

「全員翅に向かって投擲武器を放ってくれ!そしたら落ちてくるかもしれない!」

 ゲツガの指示に従い、投擲を開始する。すると蛾はどんどん高度が下がってくる。そして、ゲツガが跳んで背中に乗ると蛾を叩き落すように剣を叩きつけると蛾は大きく高度を下げる。そしてそこに群がるようにプレイヤーが攻撃を始める。すると今度は完全に落ちてじたばたと身体を動かす。その隙に大きなソードスキルを叩き込むが思った以上に硬くダメージはそこまで食らわすことが出来ず、再びガは空へと上昇した。

 しかし、飛んでから武器を投げようとする瞬間、蛾は大きく旋回しながら突進攻撃をしてくる。タンクはそれを防いで何とかする。そして次のリンプンにまたリンプン攻撃を開始し始める。このリンプン攻撃は怖くないと思っていたが、耐毒ポーションの持続時間を倍以上減らすと言うのは少し痛い。リンプン攻撃が終わると、今度はいくらか、地上に近いところまで高度を下げてくる。そこに攻撃を加えようとすると糸を吐いてくる。その糸に当たるとしばらくは地面に張り付くといった移動不可のバットステータスが食らうから厄介だ。

 しばらく見ていると、蛾はほとんど同じパターンでしか攻撃をしてこないために攻撃を読まれてダメージをどんどんと蓄積させていく。そしてようやく、HPが最後の一本の半分を切ると、身体の色が変色していく。これは、ボス等にたまに見られる暴走状態。

「ぎゃぃやぁあああああああああああ!!」

 蛾の大きな咆哮が部屋を木霊する。その状態になった直後、ゲツガが指示を飛ばした。

「暴走状態だ!攻撃力、範囲が変わるぞ!距離を取って様子見だ!」

 ゲツガがそう指示を出すが、一つのパーティーだけ動いていない。聖竜連合だ。

「早く下がって!」

 ユキもそのパーティーにそういうが、一人のリーダ格の男が叫ぶ。

「そんな指示しなくても、もうすぐで倒せるんだ!俺らがLAをもらう!」

 そう言って突撃を開始し始めたが、蛾はちょうど近くに来た瞬間、上空に飛び上がる。そして素早くリンプンをばら撒いてくる。それを食らった聖竜連合のプレイヤーたちはバットステータスである麻痺毒や普通の毒を食らって動けなくなっている。そこに向けてガは腹の先の部分から何か白い物体をそのプレイヤーたちに向けて何か落とした。

「何あれ?」

 そうユキは口にした瞬間、その物体が割れて、先ほどのボス毛虫のような小さなモンスターが出てくる。そのモンスターはそのプレイヤーの腕を食べ始める。すると、腕が部位破損になってしまった。

「何だよこいつ!?だ、誰か!!助けてくれー!!」

「自業自得なのに、しょうがない」

 ユキはそのプレイヤーたちを助けに行こうとする前にゲツガがすでにプレイヤーたちの前に行っていた。ゲツガは素早く毛虫のようなモンスターを蹴り飛ばして倒すと全員に回復結晶を使うと、パーティー六人を投げ飛ばした。そしてゲツガも脱出しようとするが、その上から蛾がゲツガに向けて滑空していた。ユキはゲツガに向かって叫んだ。

「危ない!!」

 ゲツガはそう言われると素早く上を見上げた。しかし、避けようとしない、いや、避けれないのだ。ゲツガは俊敏を取らず、筋力だけを取っているため走っても間に合わないのだ。ゲツガは蛾に向けて剣を構える。

「早く逃げて!」

 しかし、ゲツガは一歩も動かない。そしてガと衝突する瞬間、渾身の一撃のようなものすごい剣速でガに対抗するがガの体力を少ししか減らすことが出来ず突進をまともに食らってしまった。ゲツガは床に叩きつけられる。

「ゲツガ君!!」

 ユキはゲツガに近づこうとした瞬間、いきなり蛾の口のストローのようなものが切れた。その後、足が全て斬り落とされた。ゲツガの腕が動きそれを斬り落としたのだ。

しかし、なんという剣速だろうかユキはまったく目で追えなかった。蛾がバランスを崩して倒れる。その瞬間、ゲツガが叫んだ。

「蛾が倒れたぞ!今のうちに倒せ!!」

 そう叫ぶと同時に部屋にいる全プレイヤーが攻撃を開始し始める。今度は長い時間倒れていて攻撃をかなり食らわせることが出来たおかげで蛾を倒すことが出来た。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 その後、ユキはゲツガのところへ向かう。ゲツガは叩きつけられた場所に胡坐をかいて座りぼーっと天井を眺めていた。

「あの、ゲツガ君」

「ん、ああ、姫騎士か。さっきはありがとな」

 ゲツガはユキに気付くと礼を述べる。

「いいよ、あれくらい。ちょっと、聞いていいかな?」

「いいけど、俺なんかの何が聞きたいんだ?」

 ゲツガは首を傾げる。先ほどまでの集中した姿とは結構かけ離れていた。ユキは自分のことを覚えているか聞いた。

「その、私のこと覚えてる?」

「え?新手の逆ナンパ?」

「違うよ!私が言ったのは君が私が死にそうになった時、助けたときのことをきいてるの!」

「ああ、そういうこと。ううん……たくさんあったからな、そういうの……」

 ゲツガは腕を組んで考え始める。するとすぐに顔をあげて言った。

「わかんね、結構あったからな印象に残ってるのが結構ありすぎてな、すまん」

「そうだよね……アスナが言った通りだよね……」

 ユキはゲツガが自分のことを覚えていないことに悲しさを感じた。ユキは改めてゲツガに頭を下げる。

「それでも私はゲツガ君に助けられたの。本当にありがとう。あなたのおかげで私は今も生きています」

 そう言うとゲツガはどこむず痒そうな顔をしてから頬をかいた。

「そこまでしなくていいから。それに助けた人の顔も覚えれない奴に、お礼を言う必要はないって。だから頭を上げてくれ」

 ゲツガはユキに頭を上げるように言った後、少し驚いた顔をして言った。

「しかし、助けた人が姫騎士で今や攻略組にまでなってるなんて、本当に驚いたな」

「うん、私は目標を見つけたから」

「そうか。それはよかった」

 そう言ってゲツガは武器を背中に背負って立ち上がる。

「じゃあ、俺、今日は疲れたから帰るわ」

「あ、ちょ「ユキ様~!ギルドホームに帰りますよ!!」え?」

「じゃあな」

 そう言ってゲツガは転移結晶を使って帰っていた。

「あ、帰る前に、私の名前を覚えてって言おうとしたのに」

 ユキは頬を膨らましてボス部屋から出て行った。今度ゲツガに会った時は姫騎士などではなくユキと呼んでもらおうと、そう決めた。 
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