武で語るがよい!
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獣医の先生と練習試合
Sideすずか
『プルルル…プルルル…プッ、はい、海鳴動物病院です』
『もしもし、あの、私月村すずかっていう者ですが、鈴木先生はいらっしゃいますか?』
『先生ですか? 少々お待ちください』
なのはちゃんが怪我をしたフェレットを発見してから、なのはちゃんとアリサちゃんは怪我をしたフェレットを心配そうに見守り、私は今知り合いの獣医の先生の病院に電話を掛けています。
鈴木先生にはよく自分の飼っている猫の健康状態を診てもらったりしているので、先生とは私だけでなく、私の家族全員が知り合いという関係です。
『はい、お電話代わりました鈴木です、久しぶりねすずかちゃん』
『はい、お久しぶりです先生・・・実は・・・・・・』
私は先生に学校から塾に行く途中で怪我をしたフェレットを見つけたこと、そのフェレットが怪我をしていて酷く弱っていることなどを説明し、今からこの子の治療をして欲しいとお願いしました。
『分かったはすずかちゃん、その子を治療するから私の病院まで連れてちょだい』
『本当ですか、ありがとうございます』
『いいわよそれが仕事なんですもの……それじゃあ待ってるからね、またね』
先生との電話が終わり、ツーツーという電話の音を確認した後、私はこれから先生の所に行っても問題ない事をなのはちゃんとアリサちゃんに伝えます。
「なのはちゃん、アリサちゃん、獣医の先生から病院に来ても大丈夫だって」
「ホント、すずかちゃん!」
「じゃあ、早速その病院に行くわよ!」
「うん、なのはちゃん、アリサちゃん、私に付いて来て」
こうして私達3人は、夕焼けに照らされた公園の中を走り抜けて行き
鈴木先生が待っている、海鳴動物病院を目指すのでした。
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そして、公園を抜けて走り続けること10分……
なのはちゃんが『も、もう無理かも……』と汗だくになって走る中、ようやく私達は海鳴動物病院に到着しました。
ウイーン、という音と共に自動ドアを開閉し受け付けのお姉さんに『さっき電話した者です』と伝え。なのはちゃんが抱えているフェレットの状態をお姉さんに見てもらい、鈴木先生の居る診療所まで案内してもらいました。
「鈴木先生、先ほど電話があった月村さんがいらっしゃいました」
「えぇ、分かったわ、入って来て」
教室に在るような横にスライドさせるタイプのドア越しに会話しています。
受付のお姉さんと鈴木先生の話が終った後、私達はお姉さんの「どうぞ、お入りください」
との言葉に『待ってました!』と言わんばかりなほどに勢い良くドアを開け、先生の元に駆け寄った。
「「「失礼します!」」」
「久しぶりね、すずかちゃん……その子が電話で言っていたフェレットね」
椅子に座って私達を待っていた先生は、私達が勢い良く入室した事で一瞬目を見開いて
驚いたが、なのはちゃんが抱えているフェレットの状態を見て真剣な眼つきになった。
「はい、この子の事お願いします」
「「お願いします」」
私達は先生に頭を下げてお願いしました。
そんな中、先生は座っていた椅子から立ち上がりました。
「任せなさい……電話でも話したけど、動物を治すのは私たち獣医の勤めよ。
早速治療に取り掛かるからその子、預かるわね」
「は、はい、お願いします」
先生は私達に微笑みながら、それでいて『任せろ!』という趣旨の言葉と雰囲気を発して、なのはちゃんからフェレットを預かり、部屋の奥にある診察スペースに運んでいきました。
フェレットを運んで行く先生の後姿は歴戦の勇士が戦場に向かう正にそれだった。
「何だろ……何だか、あの先生に任せたら大丈夫な気がしてきたの」
「なのは……私もそんな気がするわ」
「あはは……凄い安心感だよね」
私達3人は、診察室の奥に運んでいる先生を見つめ続けながら、何とも言えない安心感を抱くのでした……。
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「メール送信っと」
先生にフェレットを渡して40分が経過しようとしていた頃、時計の針は5時を過ぎていました。私達が今日受けるはずだった塾の開始時間は17時なので完全に遅刻です……
という訳で、今私達は診察室前の廊下のベンチに座りながら塾の先生に今日の塾を休む事をメールで伝えているところです。本来ならば電話する事が一番いいのですが、もう講義が開始してしまっているのでメールにしました。
「ふぅ、こっちもメールし終えたわ」
「なのはもこれで、よしっと」
アリサちゃんとなのはちゃんもメールを打ち終えた様である
「そう言えば……あのフェレットの怪我が治ったら誰がフェレットの面倒見るの?」
メールを打ち終え、フェレットの診察はまだ時間が掛かるのかなぁ? と心配した時であるなのはちゃんが、ふと思い付いた様に言葉を発した……確かにそれは今後の最大の問題になるだろう。
私の家は猫を沢山飼っていて猫がフェレットを食べてしまう可能性がある……。
アリサちゃんも私と同様で犬を飼っているので厳しいだろう……。
最後になのはちゃんだが、なのはちゃんの家は喫茶店を経営している……つまり、飲食の取り扱いをするので衛生面の問題上、お父さんとお母さんを説得するのは難しいだろう。
「……私の家は猫が居るから無理だよぅ」
「……私の家も犬が居るから無理ね」
「……私は家が飲食店の経営だからペットは厳禁だよぉ」
「「「……どうしよう」」」
私達がフェレットの今後について語り合っている時でした。
ガァララ……と診察室のドアが横に開き、先生が診察室から出てきました。
「先生、あの子大丈夫ですか?」
「言ったはずよ、すずかちゃん……獣医っていうのは動物を治すのが仕事なのよ」
私の質問に先生は親指を立てながら、笑顔で私達に微笑んでくれました。
私達はその言葉を聞いた瞬間、自然とお互いの顔を見合わせて微笑み合いました。
「「「鈴木先生! ありがとうございました!」」」
そして、私達はフェレットの怪我を治してくれた先生に、感謝を込めてお礼を言いい
それから私達は、先生に案内されながら診察室にいるフェレットに会いに行くのでした…。
Side out すずか
なのは達がフェレットと面会した頃、この小説の主人公はというと……
「クッ! 抜かれた! おい! 誰かその3年を止めろ!」
「ふ、これでハット・トリックだ……タイガー・シュート!!」
この小説の主人公、神田 誠は呑気にもサッカーをしていた……。
しかも、今回のサッカーはいつもの友達でワイワイと遊ぶモノではなく
主人公の学校の部活メンバーVS翠屋JFCとの練習試合に参加していた。
元々こういった試合などの参加を臨まない主人公が、なぜ参加しているのか?
その理由については時間を少し遡って事のあらすじを紹介しなければならないだろう……。
なのは達がフェレットを発見し、3人が心配そうにフェレットを見つめていた頃と同時刻
神田 誠は学校の下駄箱前の廊下でいつもの様に、長野(少年A)、藤田(少年B)、
伊月(少年C)から放課後のスポーツのお誘いを受けていた。
「なぁ、誠! これから野球やろうぜ! 朝の続きしようぜ!」
藤田……今日はその野球をしてバニングスさんを怒らせたのを忘れたか?
怒ったバニングスさんに対して、謝るのは精神的に疲れたから、野球は勘弁してくれ。
「はぁ、藤田……今日はその野球をして、精神的に疲れたから……野球はまた今度な」
「ぬぉぉ! 朝早まったのが失敗だった!」
俺の言葉を聞いた藤田は崩れるように膝を付き
両手で頭を抱えながら自分の行動を後悔していた。
「ふ、抜け駆けするからそうなるんだよ、藤田」
「それに関しては俺も伊月に賛同だな」
そんな藤田に伊月、長野から『当然だ』という声が上がり、藤田はさらに頭を抱えていた。
まぁ、破天荒な性格の藤田には、今回の事でいい薬になっただろう
「なぁ、誠……実は今日、俺を含めた部活メンバーと翠屋JFCの試合があるんだ。
部活のレギュラーメンバーの数人が翠屋JFCに入ってるから、内のメンバーが足りな
いんだ、だから今日はサッカーをしてくれないか?」
今日はサッカーとバスケどっちをやるんだ? と思っていた矢先
長野からサッカーの試合に参加してくれと頭を下げてきた……。
「お、おい、長野……誠はそういった事はやらないって、以前言ってただろ?」
「伊月の言ってるとおりだぜ、長野?
誠が参加するのは基本的に、遊びとか授業の体育でやる競技位だぜ?」
頭を下げている長野を伊月と藤田がそれぞれ嗜めている……。
さっき藤田が言ったように、俺は基本的にスポーツは遊び程度に抑えている
もちろん、それにはちゃんとした理由が俺にはある。
俺のチートな肉体は修行して手に入れたものだが、その根源は神様から貰った特典だ……
この体の身体能力を使えば、どんなスポーツもプロ並に坦々とこなすだろう。
そんな俺が部活動に積極的な参加をすればどうなるだろうか?
答えは簡単だ、即レギュラー入りが確定するだろう……しかし
それは結果として、レギュラー枠を獲得する為に日々努力をしている人を押し退ける行為だ。俺はその様な行為をして、人の努力してきたものを踏み躙る様な事はしたくない……
特にスポーツの試合というのは参加する人全員が己の限界をぶつけ合うものだ。
そして俺はその高すぎる肉体スペックが故に本気を出せば、試合などは簡単に無双できてしまう。それでは試合にはならない……ならば幾分か相手のレベルに合わせて試合を行う事になるのだが……相手のレベルに合わせて手加減する事は、相手にとって唯の侮辱にすぎないと俺は考えている。
中には藤田達みたいに、腕試しや俺に勝つことを目標に励む、と言った理由の人も居るかもしれないがそれはあまりいない人の分類だろう。
だから俺がスポーツをやる時はいつも遊びの範囲内で収めて、試合には参加しないようにしている……その方が気が楽だ。それに皆でワイワイと楽しくやってる方が面白いからそれで良いと俺は思っている……だから、今回の長野の頼みごとは俺には承諾できない。
「……悪いが長野、そのサッカーの試合には参加しない
お前も知ってるだろ? 俺がそういった試合には参加しないってこと」
「あ、勘違いしないでくれ! 今日やるのは試合は試合でも練習試合なんだ」
俺が難しい顔をして返事をしたことに対して、長野は慌てて頭を上げ練習試合だと弁解してきた。
「練習試合?」
「あぁ、今回の練習試合の目的は、お互いのチームの戦力強化なんだ。……だから
できるだけ強いヤツを相手のチームも求めているんだ、だから参加してくれないか?」
練習試合か……だが、練習と言っても試合は試合だ。
そう思って長野の誘いを断ろうとした時である、長野は自分のポッケットの中に手を入
れて何かをこちらに差し出してきた。
「何なら、さっき拾ったこの綺麗な石を誠にあげるからさ」
「ッ!? な、長野それ何処で拾ったんだ?」
俺は長野が差し出してきた物を見て、思わず目を見開いてしまった。
なぜならば、長野が差し出してきた物はジュエル・シード……
原作の鍵となる21個の内の1個が、今俺の友人の手の平にあった。
「これか? なんか、サッカー部の部室の近くに落ちてたんだ」
……はぁ? サッカー部の部室の近くに落ちてた?
原作でそんなシーンあったか? まぁ、いい……取り合えず俺の取る行動はひとつだな
そう考えながら俺は長野の手にあるジュエル・シードを掴み取った。
「まぁ、しょうがないか……今回だけだぞ、長野?」
「本当か!? ありがとな! 誠!」
「「え! 何でOKがでたの!?」
危険物であるジュエル・シードを、このまま長野の手元に置いておくのは危険だと
判断した俺は、今回限りという条件で練習試合えの参加を承諾した。
長野は俺の言葉を聞いて前の藤田の時と同様に狂喜乱舞し、一方の藤田と伊月は
「何でOKだしたんだ!? 俺らの時はダメって言ってたろ!?」と俺に詰め寄ってきた。
……いや、仕方ないでしょ? と俺は心の中で少し愚痴るのだった。
そして、この件の冒頭に戻り今の現状になっている。
今現在の状況は、後半戦の終盤、3対0で部活メンバーが勝ち越しを挙げている状態であるこの点数差を見て『翠JFCが弱い』と勘違いしないでほしい。
翠JFCは堅い守備からのカウンターが強い、この地位でも指折りのサッカーチームなのだ
だが、そのカウンターもディフェンスのポディションについている主人公にはなんら意味を成さなかった。
だがそれでも強固な守りの翠JFCは失点を許さず、後半戦まで持ちこたえていた……
しかし、後半戦に入り、ディフェンスについていた筈の主人公がオフェンスにまわった
辺りからこの均衡は大きく崩れていった……。
部活メンバーから集中的にパスを受け取った主人公は、巧みなドリブルをして強固な守りを突き抜け、強力なロングシュート……いわゆるタイガーシュートを放ち、場を圧倒していた。
ピピィー!!
そして、後半戦終了のホイッスルがグラウンドに響き渡った。
グラウンドの中央にそれぞれの選手が集まり、お礼を掛け合い練習試合は終った。
試合が終った瞬間、翠JFCのコーチである高町 士郎さんが翠JFCメンバー全員に召集
をかけ、皆に励ましの言葉とこれからの課題について話している。
そんな中、俺達部活メンバーはと言うと……
「よっしゃ! よくやったぞ、神田!」
「あぁ、まったくだ! こっちのレギュラーメンバーのオフェンスが半数近くが翠屋JFCに行ってたから、決め手が無かったんだがお前のおかげで助かったぜ!」
「いやいや、先輩方のパス回しが上手かったからですよ
俺の欲しい所にピンポイントでパスを回してくれたのが結果に繋がったんです。
もちろん、長野達のディフェンスやサポートも勝利に繋がったんです」
「「「「「「神田……お前、良いヤツだな!」」」」」」」
試合に参加していたサッカー部の皆と親睦を深め合っていた。先輩からは頭をわしゃわしゃと撫でられ、同級生の長野からは「流石、誠だな!」と賞賛の声があがっていた。
「ちょっといいかい?」
皆と話し合っている時、ふと、背後から声を掛けられた。
振り替えった先に居るのは、高町なのはさんの父親の高町士郎さんだった。
「え、と、高町四郎さんですよね?
初めまして、おr……僕の名前は神田誠って言います」
「あはは、無理して敬語なんて使わなくて良いよ。
初めまして神田君、君のクラスに居る高町なのはの父親の高町士郎だ、よろしくね」
そう言って、四郎さんは俺に手を差し伸べてきた
「あ、はい、よろしくお願いします」
俺は差し伸べられた手を握り、お互いに握手をする
高町士郎……
高町なのはさんの父親で喫茶翠屋のマスターをしいる穏やかな性格の人物
そして、御神流という剣術を扱う強い剣士だと俺の記憶に残っている。
そんな士郎さんが俺に何の用だろうか?
「一つ君に聞きたい事があるんだけど、質問してもいいかい?」
「えぇ、構いませんけど?」
一体何が聞きたいのだろう? 俺は首を傾げながら士朗さんの目を覗き見る
……何だろう、何故だか士朗さんの目が少しずつだが険しいものになっていく…。
自然と俺の周りに居た先輩や同級生達も何かを感じ取ったのか翠JFCのメンバー達が居るベンチに皆行ってしまい、周りには誰も居なくなってしまった。
「それじゃあ質問させてもらうよ?……君は一体何者だい?」
そう言って士郎さんは、握手した手に少しずつ力を加え始めた。
「……は?」
夕焼けに染まる景色の中、俺は士郎さんの質問に唖然とするのだった……
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