自由の灯り
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第十話
前書き
やっとここまで来た
本格的に進められる
「くそ!二人とも走れ!」
「たっくも~!あいつ、後で覚えときなさいよ!」
「まだ追って来てます!」
風により草が揺れているコンフェイト大森林、ここでは一人の青年と二人の少女が息を切らせながらひたすら走り続けていた。
その後ろを剣を右手に持ちながらスタスタ歩いている男の姿が見える。
「唸れ竜巻・・斬り裂け疾風・・・フィアフルストーム!」
突如現れた、怒涛の嵐は前方を走っていた三人を飲み込むと、無数の風の刃が深々と体を斬り裂く。
嵐が消えると、一人の少女がそのまま森の奥に吹き飛ばされてしまい、青年と少女とはぐれてしまう。
魔術を放った男は不適な笑みを浮かべながら、はぐれた少女の後を歩きながら追いかける。
取り残された青年と少女は手持ちのグミを使い体の傷を癒す。
「っち!リタ!早くしろ!このままじゃエステルが!」
「わかってるわよ!」
二人は別の道を探すと、そのまま森の奥地に足を進める。
吹き飛ばされた少女はその勢いで、木に体をぶつけてしまい、激痛に耐えながらひたすら走り続けた。
後ろには先程の男が少女を追いかけて来ていた。
少女は目に涙を溜めながらも男から逃げる為、走るのを止めなかった。
「うぅ・・・ユーリ、リタ、助けて・・」
少女の言葉は風により、誰にも聞こえる事はなかった。
先程コンフェイト大森林にたどり着いた、ディア、シング、ヴェイグ、ミントの四人はヘーゼル村との合流地点を目指していた。
「ねえ、ヴェイグ」
「何だ?」
シングに名前を呼ばれたヴェイグは後ろに居るシングの方を振り向く。
名前を呼んだシングはしばらく間を置くと、ヴェイグに質問する。
「俺の村を襲ったのは、ウリズン帝国で紫色の髪に変な喋り方をする奴で、すっごく強いやつなんだ」
「!?まさかサレか!」
「サレ?なんか可哀想な名前だね去れなんて」
「それだ!じゃあヴェイグたちのところにも同じ奴が来てるんだ!」
ディアのボケは見事にスルーされると、ディアはいじけて森のはしっこでしゃがみながら土いじりを始めてしまった。
それを見ていたミントは苦笑いをしながら、ディアを励まし始めた。
しばらくすると、ディアは立ち直りサレについて質問をする。
「サレって誰?」
「サレはウリズン帝国の幹部で悪行高いと有名です、噂によれば嵐を起こす力があるそうです」
「そしてここはサレが担当している森だ、サレの部隊に見つからないよう、慎重に進むぞ」
そこからディアたちは会話を止め、周囲に注意しながら奥地に進む。
しばらく歩き続けていると、ディアが急に立ち止まり耳を澄ます。
突然の行動にヴェイグたちは足を止めると、ディアが呟く。
「足音が聞こえる、二つ聞こえる。一つは逃げてるみたいに走ってる」
「まさか、村の人たちかも!俺たちも行こう!」
シングの意見に賛成すると、ディアたちは足音が聞こえる方向に向かって走り出す。
走り続けていると一人の男が少女を壁に追い詰めていた。
ヴェイグは男を見ると、まさかという表情で叫ぶ。
「あれは、サレ!?」
「あの人が!もう一人の人は誰なんだろう?」
「わかりません、けど助けましょう」
「うん!行こう!」
四人は少女を助けるため、地面を蹴って走り出す。
少女は弾んだ息を整えながら、逃げ道がないか辺りを見渡す。
それを見ていたサレが余裕そうな笑みで、話しかける。
「どうやら、ゲームはここまでだね、ガルバンゾ国のお姫様、近々君の国とは戦争になろうとしている。けど君たちの国が星晶を全て差し出したら僕たちは軍を退こう、どうする?無駄な争いなんて君は望まない筈だ、君の判断で多くの民が生きるか死ぬんだ、やっぱ命って思いかい?」
「魔神剣!」
突然現れた、衝撃波をサレは顔を歪めながら、間一髪かわすとディアたちが少女を守るように、サレの前に立ちはだかる。
サレはめんどくさそうにディアたちを見ていると、ヴェイグを見て目付きが変わる。
そして笑いながら喋りだす。
「くくく、まさかまた会えるとはね、ヴェイグ。君が僕に手傷を追わせたのは覚えてるよ、あの日からずっと僕の玩具になってほしいって思てったんだ」
「・・サレ、今度は倒す」
ヴェイグは自分の背中に装備していた大剣を取り出すと、それに続きシングは片手剣、ディアは双剣を取り出す。
サレは面白そうに左手を上げると、茂みがガサガサ揺れ、ウルフが二体現れた。
よく見てみると首輪かなにかを着けていた。
「まずは僕の玩具と遊んでよ」
「ミントさん、その人の傷を治してから、側で魔術の援護をしてください、僕たちが守りますから」
「わかりました、気をつけてください」
ミントは魔術の詠唱を始めると、それが開始の合図かのようにディアは右側のウルフ、シングとヴェイグは左側のウルフに向かって走り出す。
ディアはウルフの目の前に迫ると、双剣で素早い連続突きを放つ。
「散沙雨!」
しかしウルフは素早く、攻撃をかわすと勢いを付けてディアに突進する。
野生のウルフとは桁違いのパワーでディアはそのまま吹き飛ばされる。
一方シングとヴェイグは何度も攻撃を繰り返すが、ウルフに一度も当たることがなく、隙ができるとウルフの爪で体を斬り裂かれる。
「ぐぅ!」
「っく!」
「ナース!」
タイミングよくミントの治癒術が発動すると、二人を囲むように癒しの光が降り注ぐ。
傷が癒えるとディアは自分でファーストエイドを放っており、一度三人は固まってウルフを二体見据える。
「このウルフ、野生のウルフよりもパワーもスピードも上だよ」
「ああ、それに一直線の攻撃じゃ、上手く攻撃が当たらない」
シングとヴェイグが話していると二体のウルフが突進してきたので、ディアは素早く双剣を地面に突き刺す。
「シング!技を借りるよ!昇煌陣!!」
ディアの回りに衝撃波が現れ、衝撃波がウルフを襲うが、ダメージが浅くどちらも倒れることはなかった。
「(どうしよう、これだけじゃ勝てない、もっと強力な技を放たないと・・そうだ!)シング、ウルフがまた突進してきたら僕を上に投げて!」
「よくわからないけど、投げればいいんだね」
三人はウルフが再度突進するのを待っていると、ウルフが動き出した。
「お願いシング!」
「よしいっけぇぇ!」
ウルフが突進するのと同時に、シングが両手でディアを空中に上げると、新たな詠唱を終えたミントが魔術を放つ。
「ディアさん!今です!シャープネス!」
「ありがとう、ミント!」
ディアは空中で双剣を鞘にしまうと、腰に装備している双銃を取り出し、弾丸の代わりに火のマナを込める。
そして突進してくるウルフ二体に向かって回転しながら炎の弾丸を放つ。
「これで、終わりだよ!ブレイズゲート!!!」
灼熱の炎が二体のウルフを飲み込むと、ウルフは悲鳴を上げながら消滅をした、それをサレは舌打ちをしながら見ていた。
ディアは地面に着地すると、サレを見て叫ぶ。
「僕は皆が居れば、負けない!絶対にあなただけには負けない!」
続く
後書き
次回はいよいよサレ戦頑張って書くぞ~
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