久遠の神話
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第四十話 同盟結成その十六
「正解になるかな」
「いい人でも何か目的があって」
「自分の為とは限らないよ」
「悪いことをするんですか」
「世の中っていうのはそういうものさ。だからね」
「奇麗なだけじゃなくて」
「汚いことも浮け入れてね」
そしてだというのだ。
「考えていくといいよ」
「お巡りさんなら余計にですか」
「本来は清潔なばかりであって欲しいけれど」
だが、だというのだ。
「人間がそうじゃないからね。世界もね」
「ですか」
「そう。それでね」
ここでだ。高橋はこうも話した。
「上城君は俺達と一緒に戦ってくれるよね」
「はい、そのつもりです」
「それならね」
「清濁ですか?」
「いや、また別の話だよ」
それは違うというのだ。
「最後まで。俺達が生き残ったらね」
「その時はですか」
「一人を除いて皆戦いから降りよう」
「一人だけですか」
「そう。俺達は戦いを止める為に戦っているから」
それ故にだというのだ。
「だからね。一人がそれを願えばいいから」
「だからですか」
「俺達全員が生き残るとするよ」
わかりやすい様にだ。高橋は彼等にとって最高の状況を話した。
「そうすればね」
「その時はですか」
「四人のうち三人が降りて」
「残る一人がですか」
「戦いを止めることをお願いするんだ」
こう話すのだった。
「そうしよう」
「既にこのことはだ」
これまで大石と話していた工藤もだ。ここで上城に話してきた。
「俺と高橋君の間では決まっている」
「そうなんだよね」
「その時二人が生き残っていればだ」
「どちらかが降りるってことでね」
「その場合は俺が願うことになっていた」
即ちだ。高橋が降りることになっていたというのだ。
「そうな」
「もう決めておられてたんですか」
「こうしたことはしっかりと決めておかないと駄目だからね」
高橋も笑って話す。
「作戦についてはね」
「作戦だからですか」
「そう。作戦はあらかじめ細かいところまで決めておくものだから」
こう上城に話すのだった。ここから四人は細かい打ち合わせに入った。そしてそれが終わってからだった。
上城は帰路についた。大石の車に送ってもらってだ。そこで大石は助手席の彼に対してこう言ったのである。
「残るのは君になりましたね」
「はい。僕ですか」
「上城君が一番裏表がなく純真だからです」
そこからだ。大石だけでなく工藤と高橋も決めたというのだ。
「そのうえで、ですから」
「僕に」
「頑張って下さいね」
「はい」
上城は疲れが見られる声で答えた。
「そうさせてもらいます」
「では今は休みましょう」
くも言う大石だった。
「ゆっくりと」
「休息もですよね」
「必要ですから」
それでだというのだ。
「今はゆっくりと休んで」
「そうしてですか」
「次の戦いに備えて下さい」
「わかりました。それでは」
こうした話をしてだった。上城は大石に送られて今は家に帰った。そして実際にゆっくりと休んだのだった。
第四十話 完
2012・7・19
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