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ソードアート・オンライン~神話と勇者と聖剣と~

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フェアリィ・ダンス~両刃の剣と天駆ける龍~
  VS飛龍

「…ハザード」

 セモンがそう呟いたのが聞こえたのか、赤い翼をもつ人影…ハザードは、こちらを振り向いた。

「ルル…」

 その口から漏れ出た声は、どう考えても人間のものではなかった。

「お前…どうしてここに…?てか、その格好は一体…」

 その先をセモンは言うことができなかった。ハザードが、その両手に握った大剣のうち一本をぶん投げてきたからだ。

「うお!?」
「ルゥゥゥゥゥゥゥゥオォォォォォォォォォォ――――――――――――――――ッ!!!!」

 真紅の双翼を広げて、ハザードが迫る。その右手には、もう一本の大剣。

 
 ガキィン!と音を立てて、大剣がセモンのすぐそばに突き刺さる。

「ちょ、ま、待てハザード!!」
「ルァァッ!!」

 右手の大剣が迫り、左手の大剣が―――――

「ん?」

 左手には、いつの間にかもう一本大剣が握られていた。そして、ハザードの竜尾に、いつの間にか先ほど投げたもう一本が。

 つまり。ハザードは、三本の大剣を繰っていたのだ。

「ちょぉぉぉっとまてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ―――――――――――!?!?」

 
 三連撃。

 激しいインパクト光が弾ける。

 
「あぶねぇ…」

 セモンはぎりぎりで抜刀し、大剣をはじき返していた。しかし、ハザードの大剣はあまりにも高威力過ぎた。相殺し切れなかった余波で、HPが少し削れる。


「―――――っ」
「グルルル……」


 ハザードは翼を広げると、急にセモンの背後に回った。

「な!?」
「グラルアァッ!!」

 セモンもステップで回避。

「翅ってあんな使い方があるのか!?つーかあれは羽か!?」

 セモンは刀を構えると、かつて浮遊城で《アラブル・スラッシュ》と呼ばれた斬撃のモーションをトレースした。それはハザードにとって予想外だったらしく、反応が遅れたハザードの肩口を切り裂いた。

「ガッ…」
「よし!!」

 
 追撃をすべく次のモーションに入ったセモンは…驚愕に目を見開いた。

 ハザードが攻撃のモーションに入っている。かつて浮遊城で《バーティミアス》と呼ばれた剣技だ。しかし。その大剣の刀身には、漆黒のオーラがまとわりついている。

 ソードスキルのモーションコピーは可能であることは、今さっき判明したばかりだ。しかし、モーションのコピーはできても、スキルそのものは発動しないはずだ。しかし今のハザードの剣は、明らかに()()()()()()()()()()()()()!!
 
「ルァァァァ!!」
「嘘だろ―――――――!?」


 一瞬で間合いを詰めて、大剣による重突な刺突が繰り出される。

 何とか攻撃を防ぐべく、セモンも刀を振り下ろすが、それはあっさりと弾かれて…


「ぐがぁ!?」
「セモン!!」

 
 セモンの腹にヒットした。

 瞬時の動作で体をひねり、直撃だけは避けたが、脇腹を切り裂いた斬撃のインパクトダメージで、HPはすでに半分を下回っている。むしろここまで耐えられたのが奇跡である。

 セモンは、ハザードの追撃を覚悟した。

「ルルルル…」

 しかしハザードは悔しそうな唸り声をあげると、両翼を広げて上空へと飛び立ち……世界樹の方向を目指して、飛翔した。


「…ハザード」



                      *

「あはははは!!あはははははは!!いいね!いいねぇ!!これはいいよ!!プレイヤーのモンスター化!!脳内のデータをいじくって、本能的な破壊衝動だけを覚醒させた究極体!!それにソードスキルか…これは使えるな。ククク…茅場先輩もなかなかいいものをこの僕に残してくれたじゃないか!!ははははははは!!!」


 粘つくような高笑が、世界樹に響いた。


 叫ぶのは妖精の王。

 姫君のとらわれた鳥籠にて、彼女を抱き目の前に表示されたいくつものパネルを眺める。

「やめなさい須郷!!こんなこと…許されないわよ!!」
「へぇ、だれがかい?もしかして結城社長のことを言ってるのかな?はは!!あのおじさんは何も気付いちゃいないよ!!それよりティターニア、どうかな?わかってもらえたかな?僕の研究の真の姿!!これが集大成さ!!」

 妖精王は姫君の腕を撫でさすりながら言った。

「…放して!!」
「クククク…その怒りが、スイッチ一つで僕への愛に変わる日も近いよ」


 
 その光景を、眺める人物がいたことに、気付いたものはいない。



「あ~あ…須郷さんもまた面倒なことしたね…まぁイイ。僕がぶち壊せばいいのだから」

 
 金属の翼をもった、少年だった。 
 

 
後書き
 こんにちは、お久しぶりですAskaです(微妙に五・七・五になってる)。

 さて、『神話と勇者と聖剣と』の最新話をお届けしました。いや~やっとハザード君の戦闘シーンが書けましたよ。
 
セ「結局表紙絵は新調されなかったし」

 仕方ないじゃない…あれ結構疲れるんだよ…

セ「パソコンの機能で塗ろうとするからだ。慣れないことはするな」

 …はい


 それよりも、なんとこの『神話剣』もいよいよ総合ポイントが50を突破!!今万で応援してくださった皆さんありがとうございました!!これからもセモン君たちをよろしくお願いします!! 
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