DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第2章:おてんば姫とチャラ王の冒険
第24話:努力は報われる…とは限らないが、努力しなければ絶対に報われない!
(エンドール城-コロシアム)
大観衆が響きを放つ中、エンドール城に併設されるコロシアムでは、武術大会最終予選を迎えていた。
この最終予選を終えると、そのまま前日までに予選を勝ち抜いてきた選手等の本戦Bへと突入する。
そして本戦Bを見事勝ち抜くと、数週間前に決定した本戦Aの勝者である『デスピサロ』との決勝戦が開始される。
つまり、この最終予選から勝ち抜き優勝を納めるのであれば、圧倒的に不利な6連戦を勝ち抜かねばならないのだ!
本日で長きに渡った武術大会もフィナーレを迎えるとあって、その盛り上がりは予選から凄い物がある。
流石のアリーナも、コロシアム控え室に入ってから緊張を隠せず、終始無言で至る所を見詰めている。
(エンドール城-コロシアム)
クリフトSIDE
アリーナ様の緊張が手に取る様に分かる…
何とか解してあげたいのだが、一体どうすれば良いのか私には判らない。
こんな時はリュカさんの出番だろうに…先程フラッと何処かに行ったきり、まだ戻ってこないです。
ナンパではないだろうな!?
「アリーナ殿。もうそろそろ出番ですので、準備の方をよろしくお願いします」
すると係の者が我々に時間である事を知らせてきた。
どうしよう…私も緊張で震えてきました。
「お、時間か? 良かった…間に合ったよ!」
アリーナ様が立ち上がり、ぎこちない動作で試合場への階段へ動き出した時、何処からともなくリュカさんが現れ、何時もの軽い口調で話しかけてきました。
「ど、ど、何処に…い、い、言ってた…のよ…」
緊張のあまり上手く喋れないアリーナ様…
このままでは勝つ事など出来ないのでは?
「メンゴ。…あっちにさ、これが売ってたから…」
そう言うとリュカさんはアリーナ様の左手を取り、今し方購入した『鉄の爪』を装備させました。
「あ、ありがとう…こんな所に売ってる所があったのね?」
「うん。ここで売ってる訳だし、反則にはならないと思うんだ。試合では反則って言われたら外すしかないけどね(笑)」
だが見た限りでは、武器の使用も魔法の使用も許可されている大会だった。大丈夫だろう…
「でも何で左手なの?」
「アリーナは右利きだろ。いきなり使い慣れない物を装備しても、上手くいかない事があるから、これは武器としてではなく防具的な役割とハッタリを込めた使い方で良いと思うんだ。本気の攻撃は利き手の右で…敵が左手の武器に気を取られている隙に、会心の一撃を右手で打ち込める様に戦うのが良いと思うよ」
「なるほど…ありがとうリュカ!」
凄いなリュカさんは…
ちゃんと考えて購入したんだ…
「お礼はいいよ…購入代金は、この数日間でアリーナが倒したモンスターから入手したお金だからね…アリーナが稼いだもんだからね」
相変わらずの爽やかスマイルで、アリーナ様の心を奪いそうだ…
すると私の心を読んだかの様に、アリーナ様からは見えない位置で私にメモを見せつけるリュカさん…
メモには“これからやる事にお前もノって来い! 否定したり、常識論を言うな!”と書いてあり、読み終わると素早くリュカさんが握り潰しました。
何なんだろうか?
「ところでアリーナ…もしかして緊張してるの?」
「わ、分かる? そ、そりゃ緊張するわよ…私だって人間なんだから」
「分かるよ…こんなに乳首を堅くしちゃってんだもん!」
さりげない会話をしながら、あろう事かアリーナ様の服に手を滑り込ませ、胸を…ち、乳首を触り笑い出すリュカさん。
思わず怒鳴りそうになったのだが、先程のメモを思いだし我慢しました!
「ちょ…止めてよスケベ! こんな時に何してるのよ!!」
「でも触り心地が良いよ。ほら…クリフトも触ってみ!」
暴れるアリーナ様を簡単に押さえ付け、私に触る様差し出すリュカさん…
一瞬戸惑いましたが、先程のメモを思いだし…
「あ、本当ですね。服の上からも分かります!」
と触ってみました。
私はとんでもなく罪深い神官です…神様の罰も、アリーナ様の罰も甘んじてお受けします!
私がアリーナ様の乳首の触り心地に本気で浸っていると、慌てて我らの腕を払い除けたアリーナ様が、顔を真っ赤にしながら睨み付けてきました。
不埒な事をした罰に、殴られる事を覚悟したのですが…
「もう…男って奴は………あ、ありがとう。お、お陰で緊張が無くなったわよ!」
と、お怒りながら言い捨て、試合場へ続く階段を駆け上がっていきました。
ホッとして階段を眺めている私…
「良く我慢したなクリフト…お前のお陰でアリーナは全力を出し切れるはずだ」
そう頭を撫でられながらリュカさんに褒められました。
そしてリュカさんは、アリーナ様の後を追う様に試合場へ上がって行きます。
「キサマ…この状況じゃなかったら、殺してやるところじゃぞ!」
と、ブライ様に睨まれながら、私は苦笑いでお二人の後を追います。
どうしよう…本当にリュカさんは凄いお人なんだと分かり始めてきました。
クリフトSIDE END
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