問題児たちが異世界から来るそうですよ? 召喚士の軌跡
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第20話 キレますよ?
修也、耀、飛鳥、ジンの4人は白夜叉から黒ウサギに伝えることを聞いていた
その時
「はぁい、そこまでよ♪」
修也たちの背後から声が聞こえた
振り返ると白装束の女性が火蜥蜴を連れ、自分のフルートほどの笛を回しながら空中に浮いていた
連れている火蜥蜴は皆、サラマンドラの旗印が描かれた服を着ている
サラマンドラの同士であることは間違いない
「あらら、最強の階級支配者も、こうなっちゃぁおしまいね」
「貴様! サラマンドラの同士に何をした!」
白夜叉が吼える
「そんなの秘密に決まってるでしょ。それより、邪魔よ。あなた達」
クルクルと笛を回しながら言う女性
彼女が修也たちに笛の先端を向けると火蜥蜴達は修也たちに襲い掛かる
しかし、それは耀が巻き起こした旋風によって防がれる
「あら、やるじゃない」
白装束の女性は言う
その間に耀は飛鳥の手を、修也はジンの手をとりその場から離脱しようとする
しかし、それは女性が奏でる笛の音色によって阻まれる
その音色は甘く、誘うような響きで中枢器官を刺激する
その音色は人一倍の聴覚を持つ耀には耐えられないものだった
両手で耳を押さえ、歯噛みをして何とか耐えようとする
『助けて……!」
耀の助けを求める声が修也の頭に響いた
「クソッ、やめろおぉぉぉぉぉおおおお!!」
修也は柄の無いセンチほどの刀を召喚し、左腕に刺しながら叫ぶ
修也はその姿を鋼の竜人へと変えながら女性のほうへと飛び掛る
竜人と化した修也の拳が女性に迫る
しかし、それは突如現れた雷によって防がれる
「油断するな。ラッテン」
そう放ったのは金髪の獣耳をした女性だ
「あら、ありがとね。マグスちゃん♪」
「ふん」
マグスと呼ばれた女性はそっぽを向く
修也の攻撃は防がれたものの当初の目的である笛の演奏をとめる事はできた
修也は翼を羽ばたかせて背後にいる耀達を守るようにして空中に留まる
「ジンくん、ごめんなさいね。春日部さんを連れて逃げなさい」
「分かりました」
修也の背後では飛鳥がジンに耀を連れて逃げるよう、ギフトを使っていた
「修也くん、そこの人たちを任せたわよ」
「ギャウ」
修也は短く返事をして目の前のマグスと呼ばれた女性に飛び掛る
フェイントも無い愚直なまでの突撃にマグスは笛で軽々と受け止める
しかし、その受け止めた接点から膨大な熱量が放出される
危険と感じたマグスはその場から離れる
「ギャウ!?」
修也がラッテンに向かって攻撃を仕掛けようとしたが彼女の姿が見当たらない
どうやらさっきの一合の間にその場から離脱したようだ
修也は内心で舌打ちをしつつ標的をマグスに戻す
その時、雷鳴が当たりに響いた
「審判権限が受理されました! これより【The PIED PIPER of HAMELIN】
は審議決議に入ります!」
声が聞こえた方向には黒ウサギがいた
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ギフトゲーム名:The PIED PIPER of HAMELIN
・プレイヤー一覧 現時点で3999999外門・4000000・境界壁の舞台区画に存在する参加者・主催者の 全コミュニティ(《箱庭の貴族》を含む)。
・プレイヤー側・ホスト指定ゲームマスター 太陽の運行者・星霊、白夜叉(現在非参戦のため、中断 時の接触禁止)
・プレイヤー側・禁止事項 自決及び同士討ちによる討ち死に。休止期間中にゲームテリトリー(舞台 区画)からの脱出を禁ず。休止期間の自由行動範囲は本祭本陣営より五百 メートル四方に限る
・ホストマスター側勝利条件 全プレイヤーの屈服・及び殺害。八日後の時間制限を迎えると無条件勝 利
・プレイヤー側勝利条件 一、ゲームマスターを打倒
二、偽りの伝承を砕き、真実の伝承を掲げよ。
休止期間、一週間を相互不可侵の時間として設ける。
宣誓、上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。
グリムグリモワール・ハーメルン 印
以上が審議決議によって変更が行われた契約書類である
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ゲームが中断されてから2日が経った
修也達は怪我をしたサラマンドラの同士を治療するためにあっちこっちを走り回っていた
特に、修也が召喚する治療系のギフトは怪我の治療にとてもよく効いたので、修也は寝る間も惜しんで治療に当たっていた
あまりにもの働きっぷりに黒ウサギに休むよう言われた修也はこの2日間、全く会えていなかった耀の元へ真っ先に飛んだ
「耀、無事か!」
「修也、うん。私は大丈夫。…けど、飛鳥が」
そう、飛鳥が行方不明になったのだ
「耀、飛鳥は耀とジンを庇って捕まったんじゃない。俺のせいだ、俺がラッテンを逃さなければ飛鳥が連れ去られることなんか無かったはずだ」
修也は悲痛な表情になる
「主殿! 無事だったか!」
修也と耀の下にレティシアが走って来る
「レティシア! 飛鳥が……!」
修也の言葉にレティシアは頷き
「安心しろ、相手側は人材を求めてゲームを仕掛けてきた、だから彼女ほどの才能をあいつらはむざむざ傷つけたりはしない」
レティシアは安心させるように言った
「そう……よかった………」
その時、耀の体がグラッと傾く
「耀!?」
修也がとっさに耀の体を支える
「ごめん、なんだろ?」
耀の顔は赤くなっている
修也は耀の体がいつもより熱くなっているのを感じる
「レティシア、熱があるみたいだ。どこか隔離できるような部屋は無いか」
修也があせったように言う
「あ、ああ。こっちだ」
修也は耀を背負い、レティシアに付いていく
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翌日
隔離部屋個室の中で耀は目を覚ました
寝苦しさで目を覚ますと視界に移ったのは椅子に座ったまま腕を組んで寝ている修也だった
修也の体がピクッと動くと修也は目を開ける
「お、起きたか」
「……修也?」
耀は熱で霞む視界をこすり、修也の顔を見る
「……そっか、私、倒れたんだ」
ケホッケホとせきをして言う
「あんまり無理するな。【擬似神格・アスクレピオスの杖】でペストが進まないようにしているが生憎と俺はコイツと相性が悪くてな、レプリカでもその力の4分の1も引き出せてない」
見ると、修也の傍らには蛇と見られるものが巻きついた杖があった
「そうなんだ」
その言葉を最後に会話は途絶え、沈黙が部屋の中を支配する
「ねえ、修也」
「ん?」
その沈黙を破ったのは耀だ
「その……添い寝……して」
「は?」
耀の言葉に修也派素っ頓狂な声を上げる
赤かった耀の顔がさらに赤くなっている
「ダメ……?」
「うぐっ」
赤らめた顔(熱で火照った顔)+上目づかい(ベッドで寝ているため)+潤んだ瞳(熱の影響)×惚れた相手
「わ……分かった」
=断れるはずが無い(惚れた弱み)
修也は少しだけ顔を赤くしたままベッドの中に入る
「あ……、冷たい。気持ちいい」
耀は修也の体に密着して言う
「そりゃあ、一晩中座ってたら冷たくもなる」
修也は右腕で耀の頭を抱き寄せる
「ふふ」
耀が少し笑う
「どうした?」
「ううん、なんか昔に戻ったみたいだな~って」
「そうだな」
そう、耀は入院しているときに修也にわがままを言ってよく添い寝をしてもらっていた
そのときにはすでに修也は耀の事が好きだったために毎回体がカチコチになっていた記憶がある
「おやすみ」
「ああ、おやすみ。耀」
一方その頃、十六夜と黒ウサギは
「な……なんか、入れませんね」
「全く、お熱いこって」
部屋の扉の隙間から中を見ていた
後書き
鋼の竜人になった修也は基本的に「ギャウ」としかいえません
原作なら「GYAU」って感じですかね?(何の話だ
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