DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章
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一章 王宮の女戦士
1-19説教
「ぼくたちのせいで、ライアンおねえちゃんはケガしちゃったし、ホイミンくんは泣いちゃったんだね。ぼくたちが、悪いから。」
「違うよ!悪いヤツらがみんなを攫って、ライアンさんに怪我させたんだよ。悪いのは、あいつらだよ!」
「でも……」
ホイミンはどうしたら良いかわからない。
困り切ってライアンを見つめる。
ホイミンの瞳が潤んでいる。
涙腺が緩んでいるのかもしれない。
仕方が無い。
ここで説教など気が進まぬが、このままではホイミンが治まりそうもない。
ライアンが話を引き取る。
「みんなは、悪いことをしたと思うんだな」
「うん」
「そうだな、大人の言い付けを破って、入ってはいけない場所で遊んだのは、悪いことだったな」
「そ、それは」
「私はこの後、みんなを見張るわけでも、育てるわけでも無い。忘れても良いから、聞きなさい」
何かが悪いとわかっていても、何が悪いかまではわからない。
子供には、時には大人でも、よくあることだ。
とは言え、各々の親御がもっとわかりやすく噛み砕き、叱りつけて叩き込むであろうから、本当に忘れてしまって良い。
ホイミンに、わかれば良い。
ホイミンは王宮戦士では無い、子供らに付き合って貰うのは助け賃とでも思っておく。
「大人が行ってはいけないと言う場所にはふたつある。ひとつは子供だから行ってはいけない場所、もうひとつは、大人でも危険で、行くべきでは無い場所だ」
ふたつくらいが、わかりやすくて良かろう。
「あの古井戸は、大人でも危険で、行くべきでは無い場所だ。魔物が多いし、壁が脆く、崩れやすい場所がある。誰も来ないから、魔物に囲まれたり、生き埋めになったりしても、誰も気付かず、助けてもらえない」
魔物を避けることには、自信がある。
生き埋めなんて見たこと無い、有るわけ無い、そんなへまはしない。
とでも思っているだろう。
「そんな場所だから、大人には絶対に見付からなくて、好きに遊べる。みんなのような元気な子には、楽しい場所だろうな」
元気で、やんちゃで、無鉄砲。
落ち着いた子なら避ける危険に、わざわざ突っ込んで行く。
「だがそんな場所は、みんなを攫った奴らのような、悪者に狙われやすい」
子供らがびくりと震える。
「大人は誰も来なくて、子供は入り浸る。大人に見付からないように子供たちを攫うのに、こんなに都合の良い場所は無い」
実際、そうなった。
「みんなのしたことは、言い付けを破って村を抜け出し、入ってはいけない場所で遊んだ。ただ、それだけのことだ。みんなが攫われたのも、私に怪我をさせたのも、ホイミンを泣かせたのも。みんなが自分で、したことでは無い。みんながしたことの結果、起きただけのことだ」
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