久遠の神話
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第四十話 同盟結成その四
「ですから絶対に」
「しないと駄目ですね」
「そしてそれがです」
「結果的に自分の命も守るんですね」
「そうなります」
「エチケットは命を守る場合もあるんですか」
このこともだ。上城は今知ったのだった。
それでだ。こうも言うのだった。
「わかりました。それならです」
「エチケットを守ってくれますね」
「そうします。剣道もやっていますし」
「剣道は人を切るものでjはありませんね」
「己の心を律するものですね」
「武道とはそういうものです」
運転しながらだ。大石は上城に武道についても話した。そうしたのである。
「人を斬るものではなく」
「心の邪なものを斬るんですね」
「そう言われてますね」
「はい、言われてきています」
「間違っても。他の人に暴力を振るうものではありません」
「それがわからない人もいますけれどね」
道路を大石の運転する車で進みながらだ。上城はこのことも話した。
「あの、学校の剣道部の顧問の先生で」
「暴力を振るう人がいましたか」
「僕は直接指導を受けてはいないですけれど」
「そうした人もいたんですね」
「いました。中学生相手に突きをしたり」
「私も剣道の話は知っていますが」
それで語れるとだ。大石も応える。前を見て運転している顔には今は表情はない。口調も淡々としたものである。
「何故中学生に突きをしてはいけないか」
「中学生はまだ身体ができていないからですね」
「その通りです」
「じゃあその先生はやっぱり」
「知っていなければいけないことです」
生徒に教える立場ではだ。当然のことだというのだ。
「そして教師は大人です。身体ができています」
「身体ができている人ができていない人にそうしたことをするのは」
「間違っています」
まさにだ。そうだというのだ。
「してはならないことです」
「そうなるんですね」
「しかしその先生はですか」
「していました」
「間違っていますね、絶対に」
否定の言葉でだ。大石は応えた。
「あってはなりません」
「そうですか」
「そうした教師ですと他にもですね」
「生徒に床で背負い投げをしたりとかしていたそうです」
「論外ですね。そうした教師は」
どうかとだ。大石はその顔を曇らせて述べた。
「教師の資格はありません」
「懲戒免職になったそうですけれどね」
「ならない方が不思議です。いえ」
「いえ、ですか」
「そうした教師が多いのもまた現実です」
「そういえば学校の先生の不祥事って多いですね」
「その様ですね。ですから聖職者というものはないのです」
大石はまたこの話をした。
「その人によるのです」
「学校の先生でもですね」
「卑しい輩、腐った輩はいます」
そしてだと。大石はさらに言った。
「神父の世界もですよ」
「その人によるんですね」
「宗教者が常に清らかとは限りません」
「カルト教団とかですか」
「時折いますね。カルトや詐欺師が」
「はい、います」
「宗教者もまた同じです」
学校の教師とだ。そうだというのだ。
「そうした輩もいます」
「人は仕事ではわからないですか」
「その人自体を見ることです。仕事はです」
「仕事は?」
「言うならば服です」
それだというのだ。
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