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八条学園怪異譚

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第二十二話 雪男の一家その十四

「時々言われますけれど」
「それでも言われると」
「嫌みたいね、やっぱり」
「はい、まだ高校一年ですから」
「十代なんで」
 後半に入るがまだ花の十代だというのだ。
「ですからちょっと」
「おばさんっていうのは」
「じゃあしっかりしてるってことにするわね」 
 この辺りは言い様である、おばさんと言えば都合が悪いがそれもしっかりしていると言えば角が立たない。
 だから二人もこう言うのだった。
「本当にお願いしますね」
「そこは」
「わかったわ。けれど泉はなかったわね」
「はい、また次ですね」
「次の場所に行きます」 
 二人もめげずにこう答える。
「今度は動物園になると思いますけれど」
「そこに行きます」
「頑張ってね。じゃあ餞別っていうか再会を期して」
「これを持っていけ」
 雪女と雪男が二人に出してきたのはアイスクリームだった、バケツの様に巨大な紙のパックに詰め込まれている。
「バニラだけれどいいわよね」
「チョコレートにストロベリーもあるぞ」
「ううんと、何ていうか」
「今すぐ食べなくていいですよね」
 二人は微妙な顔になって二人に返した。
「冷凍庫の中でアイスは」
「寒いですから」
「ああ、普通の人間だからね」
「それは仕方ないな」
「はい、それでお願いします」
「後で頂かせてもらいます」
 二人も言う、そしてだった。
 二人はアイスを受け取ってからお礼を言った、そのうえで雪女の家族と別れて冷凍庫を後にしたのだった。
 冷凍庫を出るとすぐに服を脱いで夏の制服姿に戻った、その二人に日下部が言う。
「また今度だな」
「はい、また今度です」
「今度行きます」
 二人もこう日下部に返す。
「あとアイスはゆっくり食べます」
「量も多いですから」
「そうするといい。アイスクリームは美味しいが」 
 それでもだった。
「カロリーが多いからな」
「牛乳と卵とお砂糖の塊ですから」
「そうなんですよね」
「だから食べる量は節制しなければならない」
 太りたくなければだというのだ。
「アメリカ人の多くの様になりたくなければな」
「あれってお肉だけじゃないですからね」
「アイスもありますからね」
「カロリーの高いものを常に暴飲暴食する」
「それで太らない方が不思議ですから」
「身体にも凄く悪いです」
 二人は曇った顔になって話した。
「お店に出すメニューは味が濃いめですけれど」
「それでも考えて作ってます」  
 カロリー、そして糖分をだというのだ。
「塩分もそうしてます」
「それでいて美味しく」
「店をやることも大変だな」
 日下部も腕を組み真剣な顔になって述べた。
「色々と考えて作らないといけないか」
「そうなんです、何かと」
「難しいんです」
「そうだな。健康のことも考えて作らないといけないからな」
「お客さんもその辺り意識してますし」
「本当に考えて作っています」 
 二人は真剣に話す、そしてだった。 
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