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IS インフィニット・ストラトス~転生者の想いは復讐とともに…………~

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number-49 another end

 
前書き




もう一つの終わり。




 

 


楯無は走っている。
走って、走って、走り続けている。
ある人に会うために、一刻も早く、一秒でも早く会うために。


いつもなら気にすることなく歩いている学園の廊下。
それが今日は長く感じる。
廊下で楯無とすれ違うものは皆、驚きで目を見開く。
あれほどまでに取り乱して視野が狭くなって目の前のことしか見えていない楯無を上級生はおろか、同級生、黛薫子でさえ見たことがなかったのだ。


息が切れる。
うまく空気が吸えなくて、息苦しくなってきた。
だが、楯無は気にすることはなかった。
ある人と会うために今度は階段を駆け上がる。


「ハアッ、ハアッ、ハアッ、ハアッ……」


もうすぐ――――


      ◯


一夏は授業中の教室、夏休みが終わって千冬の独断と偏見で席替えをして窓際の一番前の席になった。
そこに座っている一夏は千冬の授業ではないため、出席簿でたたかれることなく頬杖をついて窓から外を見ていた。


「…………ハアッ」


何回目の溜息であろうか。
授業を進めている担当教師にとって、実質女子高のIS学園に所属する二人のうちの一人の男の溜息が気になってしょうがない。


――――私の授業は面白くないの? それとも、何か悩んでいるのかしら? あっ! 恋の悩みかも、女の子の中に男の子一人だからねえ~


悩みと思って恋にたどり着くのは、やはりIS学園にいるせいなのだろうか。
そんな教師の考えに気付くわけもなく、一夏は変わらずに窓の外を眺め続ける。
一夏のどこか悲しげで寂しそうな顔を見て、クラスメイトも色んな考えを巡らせる。


窓の外景色を見ながら思うは、水色の外側に跳ねた髪を持つ人。
恋とはちょっとしたきっかけで芽生える物とテレビなどで言っていたが、一夏は今まさにそれを実感していた。
あの人――――IS学園生徒会長、更識楯無――――の妹のことで関わりを持った時にふとした時に見せた表情に惹かれていたのだ。


「…………ハアッ」


再び溜息。
もう優に二桁は言っているだろう。
教師もクラスメイトももはや授業どころではないのだが、ここで騒ぎ立てようものなら千冬が飛んでくるのは容易に予想できる。
授業が終わるまであと20分。
今か今かと待っている。


そんなクラスメイトの心情など一夏は知らない。
心を埋め尽くすは叶わぬ恋を捨てきれない自分の醜さと正面から向かい合っているのだが、やはり楯無のことで一気に心が埋め尽くされる。
この感情が抑えきれなくなりそうだ。


夜神鳥麗矢。
シャルロット・デュノアに深手を負わせ、憎くも思ったあの男。
今もどこかで憎いと思ったこともある。
でも、憧れの方が強かった。そして――――


――――更識楯無の心も奪った。


自分じゃあ何も手に入れられないものをあいつは、麗矢はすべて持っている。
なにも麗矢になりたいわけじゃない。
麗矢に追いつきたいだけなのに。
その差は近づくよりもどんどん離れていくような感じしかしない。


先ほどから頬杖をついていない方の手で板書しようとしているのだが、全く身が入らず、シャーペンを持っては置いてを繰り返している。
一度だけ置いた後に目元を擦っていた。
その時に擦った指がぬれていたことは一夏でさえ気づかなかった。
――――隣に座っていた篠ノ之箒には気づかれたが。


      ◯


――ガラッ!!


息を切らしながら荒々しく医務室の扉を開けた楯無。
入ってすぐに今一番会いたい人の顔が目に飛び込んできた。
幼いことからこの想いを持ち続けて、一時は離れ離れになって、奇跡的な再会を果たして、昔から変わらない思いを確認した楯無。
そしてまたいなくなって、また再会して――――


「麗矢っ!!」
「――――楯無……」


もう我慢できずに麗矢のもとへ駆け寄った楯無に変わらない声をかける麗矢。
それに感極まった楯無は麗矢に抱きついた。
胸に抱きついて泣き顔を見られない様にしながら肩を揺らす。
麗矢は何も言わずに受け止める。


「……ねえ、麗矢」
「……なんだ」


楯無は麗矢の名を呼ぶと麗矢から離れて、頬を桜色に染めながら言葉を紡いだ。
麗矢はそれを聞き、返事を返した。
楯無はまた麗矢に近づいて、麗矢の唇に自分の唇をつけた。


――――初めてのキスは涙の味がした――――


      ◯


――――好きです。あなたのことが昔から好きでした。そして、今も未来もそれは変わらない……私と付き合ってください。


――――先に言われた、か。それは俺が言うべきだったのに……ごめん。……俺から言わせて。


――――うん、いいよ。


――――あなたのことが好きです。付き合ってください。


――――はい……! 喜んでっ。




 
 

 
後書き


やべぇ……あっという間に書き終わった……
甘々な展開は書けない……


で、こんな感じでいかかでしょうか。
感想にあったトゥルーエンドというよりは、楯無にとってのハッピーエンドですね。




IS インフィニットストラトス~転生者の想いは復讐とともに…………~

このnumber-49 another endを持って完結といたします!

読者からのリクエストはまた別な形……ということで!

読了ありがとうございました!



――――以上っ!!!! 
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