ソードアート・オンライン~神話と勇者と聖剣と~
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異なるの物語との接触~クロスクエスト~
神との戦い
前書き
ボスキャラの外見は《未来日記》のあの神様を想像してください。
「みんな!無事だったか!」
「当たり前だろ」
「無事じゃなかったらなんだっていうのよ」
「負けてる可能性なんてないに等しいと思うけどな」
「なんか物足りないくらいだったかな」
「もうちょっと面白味のある戦いがよかったな」
「それより次はどうなるの?まだ何かあるんでしょ!早く早く!!」
「続きをしよう!物足りない!!」
「ダメだ……。こいつら止まらない」
上からセモン、フブキ、メルム、ビート、シャノン、ソレイユ、アルテミス、ケイロン、カガミ。
全員が天使たちを駆逐し、この最後のエリア、《大聖堂》へと集った。ついに、アインクラッド隠しボスとの対面だ。
場に緊迫した雰囲気が満たされる。そこに、ソレイユのおお、と言う何か思いついたような声が響いた。
「そうだ。セモン、次のボス戦でLA取れなかったら罰ゲームな」
「何で俺!?」
「この話の主役だから。他の奴からかっても面白くないだろう?」
「……」
一気に場の空気が和む。空気を操るすべに長けた奴がいるもんだ。とセモンは思った。
「さーて。開けるぞ、みんな」
ソレイユがひときわ巨大な扉を開ける。
そこには十二枚の翼をもった、巨大な《何か》が描かれていた。
*
「なんだ、ここ」
部屋の中に入った時の、セモンが放った第一声がそれだった。
真っ白。ひたすらに真っ白な空間。よく見ると足元に一本の道のようなものが広がり、その先には広場のように丸い形のエリア。しかしそれも、道と同じように周りと微妙に色が違うのみで、目をそらせばもう見つけられそうになかった。
その円形の中心に、あまりにも場違いな、ひたすらに奇妙なモノが鎮座していた。
大理石のような素材で作られた、大きな黒い直方体。
「あれは?」
「ねえ、ボスは?」
「とにかく近づいてみましょう」
大理石に一行が一歩近づいたその時。
いきなり、ピロピロと緑色の光が地面から浮きあがり始めた。それは何かの文字列のようにも見えて、何やら気持ちの悪い気配を漂わせる。
セモン達の位置と大理石の位置の中間地点に、ひときわ強く光りが集まり……はじけた。
閃光。巨大な存在が出現する。
漆黒のローブ。十二枚の翼。一見天使かと見まがうその翼だが、よく見ると機械のような構造であることがわかる。
その顔は白銀のマスクに覆われており、ぎょろりとした相貌だけがスリットから覗いている。
腕もまた、一寸の隙間もなく白銀の鎧をまとっており、その姿からは全く生物の躍動を感じない。
十二段重ねのHPバー。カラーカーソルに、ネームタグが表示される。名前は……
《The-Deus-ex-machina》・・・機械仕掛けの神。
聖書に詳しいカガミとソレイユが反応した。
「デウス……?」
「主神か……。どーりで天使が出てきたわけか……。まぁ、予想できたことだけどな……」
デウスはその十二枚の羽根を開き……しゃべった。
『人間よ!この聖地に招かれざる者たちよ!!去れ!!』
「!?喋ったぁ!?」
「自分で会話するボスモンスター……ジェネシアスのボスたちと同じだな」
メルムとソレイユが感想を口に出す。
『去らぬか……ならば、我の聖なる裁き、受けよ!!!!!』
戦闘、開始。
*
ここに集まったプレイヤーたちは、全員がユニークスキル使いだ。加えて、ソレイユとシャノンはレベル250越え。パワーバランスはとっくに崩壊している。彼らだけでアインクラッドをクリアできそうなくらいだ。
そんな彼らが―――――苦戦している。デウスは、想像を超えた攻撃方法をとってきていた。
ピピピピ、と言う音が響き、デウスがホロウィンドウを操作する。メルムの周りに緑色の奇妙な文字がつづられた立体魔方陣が展開する。魔方陣がはじけ飛ぶと同時に、HPが四割がた減る。
「く!?」
「HPの遠隔操作!?」
「なんだそれ……」
それだけでは収まらない。デウスの周辺に緑の魔法陣。そこから同じ色のレーザー攻撃。照準は全くと言っていいほどでたらめで、あっさりと回避ができた、が。
その攻撃が当たった地面が粉砕され、データの羅列がのぞくようになった。
「はぁっ!!」
ビートの重突剣技、《ネオ・ストライク》。しかし、その一撃は、デウスに届く前に輝きを失い、消滅した。同時にビートが吹き飛ばされる。
「ゴフッ!!」
「ビート!!」
「大丈夫だ……!」
シャノンが気付く。
「そうか……キリスト教の唯一神……絶対神の聖なる裁き……。間違いない!あいつは……あいつが操っているのは、《システム》だ!!」
「えぇ!?」
「システム相手にどう戦えと!?」
その時だ。何かを考えていたようなソレイユが、動いた。
《剣聖》ソードスキル、《グランド・クロス》の構え。
「!?何をするんだ!?」
「ソードスキルは止められて……」
しかし。《グランド・クロス》は、デウスをやすやすと切り裂いた。
『ムォオオオオオオオオオオッ!!?』
「!?」
「攻撃が消えなかった!?」
「やっぱりな……」
ソレイユが呟く。
「どういうことだよ?」
「あいつはさ。アクセスできるシステムの領域に、多分限りがあるんだよ。ソードスキルのレベルとか、そういうのが高いものには干渉できないんだ。メルムのHPを一気に削り取らなかったあたりから、なんでだろうな、って思ってたんだが……そうなんだろ?唯一神さん?」
『……よくぞ気づいたな。そうとも。我はこの世界の偽神の一人にすぎぬ。すべてに神威が及ぶわけではない……。そなた、名は?』
「俺の名は――――――ソレイユ。《剣聖》ソレイユだ」
『くくく……はははははは!!面白い!実に心揺さぶられる!!簡単には、終わらせぬぞ!!』
ピピピピ!!と、デウスの周りに展開する魔方陣たち。その数、先ほどの二倍近く。
「ふぇえええええ!?」
「これは……」
「みんな、ちょっと下がってて」
「安心して。対策はある」
焦るメンバーたちに、シャノンとカガミが声をかける。
「ソレイユ君もご一緒に頼める?それと、ビート君とフブキ君。僕たちがあの攻撃を破壊するから、その隙に、今使える中でも強力な剣技をたたきこんでくれるかな」
「任せろ!!」
「のぞむところだ!」
「ついでにアルテミスにケイロンも」
「まかせて!今まで出番なかったから思いっきりやっちゃうわ!!」
「やろう!今すぐやろう!!粉々になるまで!!ぶっ潰そう!!」
「それと、セモン。君も……限界にその先があることを信じて、最高の剣撃をしてくれ」
「限界の、その先……?……なんだかわからないけど……やってみる。勝とう!!」
『『『『おう!!』』』』
「セリフとられた!?」
byシャノン。
『ムンッ!!』
システムデータを破壊する死の裁きが迫る。しかし、対峙するシャノンたちはひるむそぶりもない。
ソレイユが構える。納められた刀が黄金の光を放ち始める。《剣聖》最上位剣技《ワールド・エンド》。
シャノンは、なぜかビットを剣の方向に剣先が向くように配置した。構え方は、ソレイユのそれによく似たもの。
カガミのそれは、二本の刀を、あまりにも奇妙奇天烈な形に握ったものであった。短刀を順手に、長刀を逆手に構えて、右手を後ろに、左手を前に。しかし、足はその逆。
接近した断罪の閃光に、ついに、三人が動く。
抜刀。黄金の光が放たれる。
シャノンのビットたちが、まるでスぺースシャトルの発射ブースターの様に打ち出され、高速の斬撃を放たせる。
カガミのキリキリと引き絞った体勢から、ゴムが元の形に戻るような斬撃が繰り出される。
「《ワールド・エンド》!!」
「《フォトン・デストラクション》!!」
「《斬斬桜》!!」
それら三つのソードスキルは、あまりの威力か……死の閃光を、悠々と弾き飛ばした。当たったところが消滅。それらのうち一筋が、デウスにもあたる。
『ぐぁああああああああああ!!!』
HPが急減少、というか、一本存在が消滅した。
「いまだ!みんな!!」
『『『おう!!』』』
まず、いつの間にか片手剣のほかに、左手に短剣を逆手持ちしていたフブキ。
氷片で切り裂き、それらをまるでビットのように扱う。双の剣にまとわせた氷の刃によって、デウスに斬撃を食らわせる。
切り上げ、切り下げ、切り上げからの、斬りおろし。左手で、横薙ぎ、反対に、もう一度。そして反対に。氷片でも切り裂いていく。一、二、……九、十……二十。
総勢二十八連撃。《氷結剣》上位ソードスキル、《アイシクル・グラス・ブレイクス》。
ビートの目に見えない速さでの斬撃。いつの間にか終了していたソードスキルは、十二の斬撃だった。激しいインパクトエフェクトは、クリティカルヒットの証。
《神殺剣》上位ソードスキル、《ライトニング・スフェア》。
続けてアルテミスの二本の細剣が、流星のごとく刺突を叩き込む。アルテミスの美貌と、輝くようなエフェクトライトが相まって、さながら一つの芸術作品のよう。総勢三十二連撃。
《星衝剣》最上位ソードスキル、《スターバースト・シューティンガー》。
重厚な、大地を揺るがすかのような斬りおろしからの、切り上げ、そして、一撃必倒の大上段切り。
龍が暴れるかのごとき、《重覇震剣》上位ソードスキル、《グラビティ・アテンション・ドラグニティ》。
放たれた矢の数は、なんと十本にも上る。それが途上分離。三十本に増える。
三十の矢を放つ《三日月弓》上位ソードスキル、《ディクティターズ・ボーイング》。
『グオォオオオオオオオオオオオオオオオッ!!?』
のけぞるデウス。
その懐に入り込むセモン。
「まだ……おわら……ねぇぞ!!!」
セモンの剣がうなる。
《神話剣》最上位のソードスキル、《アラブル・ランブ》が叩き込まれていく。
しかし。ゼウスのHP総量を、削りきるだけの威力が、無い。このままでは、全員が硬直している間に、また《死の閃光》を放たれてしまう。
「まだだ……もっと……もっと速く!!もっと強く!!!」
その瞬間。いままで沈黙を守っていた漆黒の長方形が、鮮やかな光を発した。それはセモンの剣技と同じ、オレンジの光。
『――――――――世界を……救って――――――勇者たち―――――』
誰かの。幼い少女の声。
それと共鳴するかのように、セモンの剣が輝きを増す。瞬間、スピードが速くなる。一撃の威力が重くなる。
最後の二十七撃目。しかし、それがヒットしても、剣は止まることはなかった。
「はぁああああああああああああああああああああああああ!!!」
『ぬぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!?』
四十三もの斬撃が叩き込まれる。
これこそが、後にセモンの、アインクラッド最後の戦いの時、切り札となる剣技。
《神話剣》、真の最上位ソードスキル。四十四連撃、《アラブル・バーニン・ヴァルブレイヴ》。
あの少女だ。
どうしてか、セモンはそう思った。
キリトに背負われたあの少女。きっと、彼女がこの剣技を託したのだ。
そして、それは間違いではなかった。
彼女は――――ユイは、この戦いを感知し、セモンにソードスキルを託したのだ。消える自分の代わりに。
キリトとアスナを助けるために。
「これで、おわりだぁあああああああああああああああああああああ!!!」
最後の一撃が、デウスに迫り………
そして、届かなかった。
具体的には、突き抜けてしまった。それはもう。気持ちいいくらいに、スカッ!っと。
「へ?」
セモンが横を見ると……満々の笑みで、ソレイユと、フブキと、ビートが、攻撃を当てていた。セモンより先に。
「罰ゲームだな、セモン」
ソレイユの心から嬉しそうな言葉。
「―――――――――――――――――なんでこうなるんだぁあああああああああああああああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!」
その声は、ダンジョンの外にも聞こえたという。
後書き
次回はエピローグ。今までお付き合いいただき、ありがとうございました。ALO編もよろしく!そしてハザード君のお嫁さんネタ、まだ募集中です!
ハ「ちょ!?おい、作者!?」
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