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八条学園怪異譚

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第二十二話 雪男の一家その二

「あれだけれど」
「牛丼がどうしたの?何かあるの?」
「あれアメリカだとダイエット料理らしいわ」
「アメリカだとそうかもね」
「凄いからね、あの国のカロリーは」
「カロリー凄いメニューばかりだからね、あそこは」
「アイスクリームも一杯あるし」
 肥満や糖尿病の元の一つのこの非常に美味しいがそれだけに誘惑のスイーツだ。まさに天使の笑みを浮かべた悪魔である。
「だから凄く太りやすい国だけれど」
「その中では牛丼はダイエット食品らしいわ」
「凄い話ね。日本だと牛丼って」
「カロリー高い方よね」
「うちでもあれよ。カロリー高めでね」
 それで売っていうというのだ。
「おじさんや学生のお兄さんに人気のメニューよ」
「日本ではそうよね」
「やっぱりね。女の人も食べるけれど」
「吉野家の牛丼の感覚よね」
「そんな感じよ。さて」
 愛実はここで大蒜を全て切った、そしてだった。
 その大蒜を焼きはじめる。油はオリーブ油だ。
 それで焼きながらそのうえで聖花にこう言うのだった。
「大蒜はじっくりと火を通して」
「また薄く切ったわね」
「食べやすいしこっちの方が火が通るからね」
 だからだった。
「切ったの、こんな感じで」
「相変わらずお野菜切るのも上手ね」
「いつも切ってるからね」
 ここでも食堂の娘であるということが出た、やはり愛実は生粋の食堂の娘なのだ。しかもいい意味でだ。
「お野菜も。特に青菜系ね」
「ほうれん草とか菊菜とかよね」
「キャベツにレタスもね」
 そうした緑系統の野菜が特にだというのだ。
「お肉や青魚系も得意だけれどね」
「ううん、包丁はお任せ?」
「結構ね」
 愛実は言いながらフライパンで大蒜を焼いていく、聖花はその間にマカロニを入れるべき鍋を見ていた。そのうえで言うのだった。
「そろそろ沸騰するから」
「ちょっと待って、おソースはこれから作るから」
 愛実がこう言うと二人以外の女の子達が笑顔で言ってきた。
「トマトとかセロリも切ってるから」
「唐辛子もね」
「唐辛子は最後に、ソースが出来てから入れてね」
 唐辛子は火を入れると咳き込むものを出す、だから最後にするというのだ。
「さもないと大変だから」
「じゃあその大蒜のフライパンに全部入れて」
「それで作ってよね」
「そう、それでソースを作りながらね」
 今度は聖花に顔を向けて言う愛実だった。
「マカロニも茹でて」
「わかったわ、それじゃあ」
「マカロニっていいわよね」
「スパゲティとはまた違った感じのいいパスタよね」
「サラダにも出来るし定食の付け合せにもなるし」
「そうなのよね。スパゲティと比べても使い勝手いいわよね」
 聖花も言う。
「本当に」
「ええ、味もいいしね」
「スパゲティと双璧を為すって感じね」
「パスタの中でもね」
 こんな話もする二人だった、そのマカロニも鍋の中に入れて茹でられる、ソースも作り全てが終わってからだった。
 皆でそのマカロニ、トマトやセロリのソースをかけたそれを食べる。食べる前にだった。
 先生が教壇のところから言ってきた、年配の眼鏡の先生でやはり全身を三角布と割烹着で武装している。
「チーズを忘れないでね」
「粉チーズですね」
「食べる前にかけるんですね」
「そう、オリーブに大蒜に粉チーズ」
 先生が挙げるのはこの三つだった。
「チーズでもいいけれどこの三つがないとパスタは駄目だから」
「それでなんですね」
「今回もですね」
「皆食べる前に絶対にかけるのよ」 
 先生は笑顔だがその口調は真剣なものだった。 
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