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万華鏡

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第二十話 蚊帳その四

「いや、痛かったな」
「蜂?」
「ああ、蜂だよ」
 まさにそれだというのだ。
「腫れて大変だったよ」
「悪いことをしたら本当に報いあるのね」
「すぐじゃなくても返ってくることよね」
「そうだよ。だからさ」
 美優はまた言う。
「あたしそういうことはしない様になったんだよ」
「悪いことね」
「それをよね」
「ああ、そうだよ」
 まさにそうだというのだ。
「これがさ、蠍とかだったらな」
「蠍って。沖縄に蠍いるの」
「ハブ以外にも」
「毒はないけれどな」
 それでもだというのだ。
「それでもな」
「怖いっていうのね」
「刺されたら」
「いや、鋏があるんだよ」
 前の二本の鋏、それだった。
「あれに挟まれたら痛いんだよ」
「ああ、鋏ね」
「それね」
「蠍って毒針だけじゃないんだよ」
 確かにトレードマークにもなっているがそれ以外にもあるというのだ。
「鋏もあるからさ」
「刺されると痛い」
「意外な事実ね」
「そうだよ。後さ」
 さらに言う美優だった、今度言うことは。
「沖縄蛇もハブだけじゃないからさ」
「あれっ、他にもいるの」
「ハブの他にも」
「ヒャンとかハイとかさ」
 こうした蛇の名前を挙げる。
「ハブと違ってマイナーだけれどさ」
「ヒャン?ハイ?」
「そんな蛇もいるのね」
「ああ、いるんだよ」
 実際にそうだというのだ。
「とはいってもあまり知られてないけれどな」
「ハブは知ってるけれどね」
「それはね」
「それでもヒャンとかハイって」
「初耳だけれど」
「数が少なくてさ」
 そしてだというのだ。
「それに棲んでる場所も山奥で」
「あまり見掛けないのね」
「そうした蛇なのね」
「珍しいんだよ、どっちも」
 そうした蛇だというjのだ。
「ハブに比べたらずっとな」
「というかそうした蛇もいるのね」
「そうなの」
「あたしもこの目で見たことはないけれどさ」
 美優も実際にその目で見たことはなかった。
「いるんだよ」
「そうなの、いるの」
「そうなの」
「ああ、そうなんだよ」
 また言う美優だった。
「海には海蛇がいるしさ」
「沖縄って蛇多いのね」
「ハブだけじゃないし」
「ハブは多いな、確かに」
 沖縄の象徴の一つにもなっている、尚毒があることは有名だ。
「だから気をつけてるんだよ」
「がぶっていかれたら怖いわよね」
「毒あるから」
「そうよね、やっぱり」
「死ぬわよね」
「マムシでもそうだけれどさ」
 美優はマムシのことも言う。
「毒蛇だから下手にちょっかい出したら怖いからな」
「会っても何もするな」
「逃げろっていうのね」
「迂闊に踏んでも危ないけれどな」
 これは論外だった。 
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