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万華鏡

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第二十話 蚊帳その三

「だから部活の間は真面目にしろってさ」
「で、それ以外は?」
「それ以外のことは?」
「特にさ」
 また言う美優だった。
「怪我するなっていうんだよな」
「文科系なのに?」
「それでもなの」
「ああ、それでもだよ」
 例え文科系であってもだというjのだ。
「うちって部活で走ったりサーキットするだよ」
「体力練成よね」
「あとダンスもするわよね」
「そうだよ、それにバンドって身体を激しく動かすだろ」 
 かなりの汗もかく、それがバンドだ。
「だから怪我をしない様にな」
「それで五月蝿いのね、それで」
「運動だから」
「ああ、そうなんだよ」
 まさにそうだというのだ。
「事前のストレッチとかはしとけってな」
「殆どスポーツね、それだと」
「そのままよね」
「そうだよ。スポーツだよバンドは」
 美優自身も言う。
「だから余計にさ」
「そういうことに五月蝿いにね」
「怪我に」
「そうなんだよ。本当jに厳しいんだよ」
 こう言うが美優jの顔は穏やかだた。
「あんな先輩いjないよな」
「とか言いながら顔笑ってるわよ」
「いい先輩なのね」
「確かに厳しくて口煩い人だけれどさ」 
 それでもだというのだ。
「あたし達jのことを真剣に思ってくれててな」
「いい人なのね」
「つまりは」
「そうだよ」
 その通りだというのだ。
「心根は凄くいい人なんだよ」
「厳しいのも想うが故」
「そういうことね」
「ああ、そうだよ」
 まさにそうだというjのだ。
「そういう人なんだよ」
「ううん、格好いいわね」
「想うが故に厳しいって」
「そういうのってね」
「ちょっと出来ないわよね」
「だよな。あたしもそう思うよ」
 美優自身もそうだというjのだ。
「そんなこと出来ないよ。滅多に」
「意地悪とかはできてもね」
 それはだというのだ。
「けれそんなのやるってね」
「正直嫌な奴でしかないからな」
「そうそう、後で自分に返るから」
「しないに限るわよね」
「因果応報ってあるからさ」
 美優自身もこう言う。
「どうしてもさ」
「そうそう、悪いことしたら返るのよね自分に」
「それも絶対にね」
「私もそうだったし」
「私もよ」
「あたしもだよ」
 そしてそれは美優もだった。過去を振り返りながらの言葉だった。
「子供の頃男友達の捕まえた虫取ろうとしたjんだよ」
「沖縄の虫?」
「それを?」
「ああ、そうしたんだよ」 
 男友達のそれをだというのだ。
「で、その時にだ」
「何があったの?それで」
「一体」
「その虫に刺されたんだよ」
 そうなったというのだ。 
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