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万華鏡

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第二十話 蚊帳その一

              第二十話  蚊帳
 夏になった、すると急にそうなった訳でもないのに。
「暑いわよね」
「そうよね」
 皆夏の暑さの話を学校の至るところではじめた。
「もうすぐテストだしね」
「それが終わったらもう夏休みだけれど」
「校舎の中も暑いわね」
「本当にね」
「お空も綺麗になったけれど」
 窓の向こうから見える空は見事な青空だ、琴乃達が梅雨の最後の日に海辺で見た青空、それに白い雲がそのままあった。
 皆その雲を見てそして言うのだった。
「いや、何につけても暑いわ」
「ちょっと身体動かすと汗出るし」
「ハンカチじゃ足りなくてタオルだしね」
「教室にクーラーあって何よりよ」
「救世主ね、本当に」
「ええ、確かに」 
 クーラーは夏休みまでの過剰労働期間に入っていた、生徒達はその中でクーラーのもたらす幸せにア安堵と喜びを感じていた。 
 その中には美優もいる、美優は自分のクラスの中でクーラーの風を受けながらクラスメイト達にこんなこと言っていた。
「まあさ、あたし沖縄生まれでさ」
「暑さには慣れてるのね」
「神戸の暑さなら平気なのね」
「まだな。けれどさ」
 それでもだというのだ。
「学校の中でもクーラーあるってやっぱりいいよな」
「そうよね、旋風機やクーラーあると違うわよね」
「本当に違うわよね」
 クラスメイト達も笑顔で言う。
「じゃあ今からよね」
「クーラーが効いた教室で授業受けて」
「いざ期末テスト」
「夏の陣ね」
「テストが終わったら夏休みか」
 美優はもうテストの後のことを考えていた。
「楽しみだよな。やっぱり夏休みはな」
「部活よね」
「宿題もあるけれど」
「そうだよ、部活だよ」
 まさにそれだった。美優は楽しそうに話す。
「軽音楽部な。夏も殆ど毎日あるからな」
「いい部活だと毎日あっても苦にならないのよね」
「環境がよかったらね」
 要する顧問や先輩、仲間が大きく関係するのだ。
「毎日行ってもいい位」
「そういう感じになるからね」
「だから部活って大事だよな」
 美優は笑顔で言う。
「いい部活だとさ」
「いい学園生活になるからね」
「だからいいのよね」
「本当に」
「そうだよ。変な先生も多いからさ」
 日本の教育界では非常に多い。
「そうした先生が顧問だとな」
「やっぱり大変よね」
「というかそんな部活行きたくないし」
「何するかわからないし」
「そうなるわよね」
「いるだろ、暴力教師とかさ」
 美優が出したのはこうした教師だった。
「もう平気で生徒を床で背負い投げしたりさ」
「いるいる、先生って案外おかしいの多いのよね」
「セクハラとかしたりね」
「いやらしい目で見たり」
「そんな先生多いのよね」
「偉そうだったり」
 他には北朝鮮を賛美する教師もいる、とにかくそうした教師が多いのは日本の教育界の深刻な病理である。
「そんな先生もいるからね」
「うちの学校は随分ましみたいだけれど」
「先生って本当におかしい人が多いから」
「部活もね」
「どんなにいい活動でもさ」
 それでもと言う美優だった。 
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