ソードアート・オンライン 守り抜く双・大剣士
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第65話 =蝶の谷の動乱=
前書き
うっわぁ…タイトル適当すぎてワロタww
ちょうど煙草もどきの効果が切れ何も味がしなくなった頃、隣にいるログアウトのため座っていたリーファは目をパチリと開けてその場に勢いよく立ち上がった。
「おわっ!?…お、おかえり……」
奥にいるスプリガンの少年は同じくびっくりしたのか小さな爬虫類を何匹も刺した串焼きのようなものを落としかけていた。
「キリト君、リクヤ君…ごめんなさい!」
「……どうした?」
そしてこちらを見るやいないやいきなり謝ってきた。どういうことなのかを聞くと用事が出来た、とのことらしい。時間も限られているらしくて説明する時間もない…ということなので
「リーファはこっから戻るの?」
「ううん、アルンの方…正確には蝶の谷を抜けた辺りへ向かうんだけど…」
「それなら俺たちも方向大体一緒だからついてくよ。走りながら説明よろしく」
「……わ、わかった…じゃあ走りながら話すね」
キリトにさっさとその串焼きを食べさせてルグルーの目抜き通りを3人で駆け出す。先ほどとここにいる妖精の人数は変わってないがそれが作っているかすかな隙間を縫うように走っていくと先ほどサラマンダーズと戦ったような橋が真っ直ぐ伸びていた。
事情を聞くとどうやら先ほどのメールが関係していたらしい。俺の想像通り…と言っちゃなんだけどあの『s』の字はやはりシグルドだった。そのシグルドがシルフを裏切りサラマンダーと内通しておりパス・メダリオンと呼ばれる通行証アイテムを発行してそのサラマンダーが先ほどのトレーサーを俺たちにつけ、俺たちの動きを探っていたと言うのがリーファの話から明らかになった。何故そんなことをしたかというと…
「40分後にシルフとケットシーの領主が極秘で会談をする予定らしいんだけど…」
どうやらシグルドはその情報をサラマンダー側に流し、その会談を襲撃させるらしい。
「…なるほど」
そのリーファの話が終わるとキリトが口を開く。その内容は会談を襲ってサラマンダー側にどんなメリットがあるのか、というものだった。
「えっと…まず、シルフとケットシーの同盟を邪魔できるよね。シルフから漏れた情報で領主が討ち取られたらケットシー側は黙っちゃいないでしょ。下手したらそのせいでシルフとケットシーの戦争になりかねない……サラマンダーは今最大勢力だけどシルフとケットシーが連合すればパワーバランスが逆転するだろうからそれをサラマンダーは阻止したいんだよ」
「俺からもいい?領主を討つと何が起こる?」
お偉いさんが討たれたら何かしら討った方にメリットがあるのは当たり前だが詳しい内容は知らないので聞いてみると討たれた側の領主館に蓄積された資金の30%を無条件で取得できて10日間は領内の街全てを占領することが出来、税金を自由に書けることが出来るらしい。
「これはものすごい金額だよ。今サラマンダーが最大勢力なのは、昔、シルフの領主を罠に嵌めて殺したからなんだ。ALOで今日までに領主が討たれたのは後にも先にもその1回だけ」
「なるほど…」
「だからね…2人とも」
ちらりとリーファはこちらに視線を向けて言葉を続ける。
「これはシルフの問題だから…これ以上付き合ってくれる理由はないよ。…この洞窟を抜ければアルンまではもうすぐだし、会談場に行ったら多分、生きて帰れない。またスイルベーンからやり直しで何時間も無駄になるだろうしね………ううん、もっと言えば」
一旦言葉が切れたのでちらりと顔を見ると悲しげな表情がそこにあった。だが、リーファは続きを言い始める。
「世界樹に行きたい、っていう目的のためにはサラマンダー側についたほうが正解だと思う。サラマンダーがこの作戦に成功すれば充分…ううん、それ以上の資金を得て、万全の体制で世界樹攻略に挑むはず…。スプリガンや新勢力のヴォルトなら傭兵として雇ってくれるはずだし…。だから、今ここであたしを斬っても文句は言わない」
「……」
キリトは、リーファの言葉にしばらくの間黙っていた。が、やがてポツリポツリと言葉をこぼす。
「所詮ゲーム、殺したければ殺すし奪いたければ奪う…。そんなヤツには嫌って程出くわした。一面ではそれも真実、俺も実際に昔はそう思ってた。でも、そうじゃない。仮想世界だからこそどんなに愚かしく見えても、守らなきゃいけないものがある。俺はそれを――大事な人に教わった」
それを言った瞬間、険しい顔だったキリトが優しく、懐かしむような表情をした。
「…相変わらず説教くさいな、お前は」
「うるさいな……悪い癖なんだよ……」
自覚はあるのか頬をかきながら照れたように笑う。それがキリトの良いところでもあるんだけど…言ったことからは絶対に、どんな困難が待っていようと逃げないというのが言葉に出ている。
「でも、キリトの言うとおりだ。俺は難しく言えないけど俺たちとリーファはもう友達だろ。…俺が思ってるだけかもしれないけど…。でも俺はその友達を斬るなんて真似絶対したくないし、守ろうとするものがあるなら一緒に守りたい。
おかしいって思うかもしれないけど俺はさ、大事な人が大切に思っているものは自分にとっても大切なものって思うんだ。だからその大切なものは守り抜きたい…何に変えても」
「……リクヤ君…」
「だからリーファの大切なものを守る…じゃなくてその手伝いを俺たちにもさせてくれ」
「…え?」
俺の言葉にリーファは一瞬ぽかんとしてこちらを見てくる。
「いいよな、キリト」
「あぁ、もちろんだ。……そうなると時間潰しちゃったな…。ユイ、走るからナビよろしく」
「りょーかいです!」
「前はキリトに任せるとして……リーファの手を拝借してっと」
そういいながらリーファの手をぎゅっと掴む。リーファは顔を赤くしているが…。
「ごめん、ちょっと我慢してくれ…あと、しゃべってる舌噛むよ」
「え、ちょっと……」
リーファが言い切らないうちにキリトが走り出そうとしていたのでそれに続き俺も準備し2人して思いっきり地面を蹴る。そのせいでズバァンという音があたりに響いたような気がした。
「わああああ!?」
続いてリーファの悲鳴が。でもそれは気にしないことにしてさらにスピードを上げ続ける。今までのペースも何かと速いほうだったが今のスピードはそれとは比較にならないもの、辺りの景色が放射状に流れていくのを見て走ってる俺自身もびっくりしてる。現実ではこんなに早く走れるのはまず人間じゃないと思うし、前の仮想世界では知り合いの中でトップなんじゃないかっていうくらい鈍足だった。それも敏捷を全然上げなかったせいだけど…。
「あの、あの、モンスター!」
猛烈な速さのせいで上手く聞き取れないのか断片的にリーファの言葉が聞こえてくるが、俺とキリト、そしてユイの言葉は一緒だった。
「「無視!」」「無視です!」
その言葉の通りオークがうようよしている場所につっこんでいく。リーファも悲鳴を上げそれと重なるようにそのオークたちの雄叫びも上がり次々と刃こぼれした剣や斧が振り下ろされるが、武器が地面についたときにはその場に俺たちはいない。キリトが敵の隙間を瞬時に見つけ出し猛烈な勢いで駆け抜けその後ろを俺と引っ張られているリーファが通り抜ける。後々聞いた話だとこの行為は《トレイン》と呼ばれる非マナー行為そのものらしいが、今はプレイヤーがいないのでよしとしよう。
「お、出口かな」
「だな。一気に行くぞ!」
前方にかすかな光が見えるとさらにスピードが高まる。すると数秒でその光は大きくなり、轟音の発生とともに視界が真っ白に染まって地面が消える。いろいろなSFアニメであるようにカタパルトよろしく飛び出しそのまま翅を広げて速さを生かしたまま滑空状態まで持っていく。さっき俺たちが出てきた出口はモンスターたちで埋め尽くされており後から来た人があれを裁かなければいけないと思うと少し申し訳ない。
「ぶはっ!!」
大きく息を吐き出し慌ててリーファも同じく滑空体勢に入るとぜぇぜぇと息をしながら飛行を安定させていき、こちらを睨みつけてきた。
「じ、寿命が縮んだわよ!!」
「わはは、時間短縮になったじゃないか」
「俺考案、リクヤのジェットコースターの感想は?」
と、感想を聞いてみると「もう2度と体験したくない」らしい。さすがに俺もスピード出しすぎて驚き反面怖かった…というのは心に留めておこう。
「っ……おい…キリト、リーファ……見てみろよ…」
全員が落ち着いてきたところで辺りを見渡すと下には草原が広がっており、所々にある湖はその青い水面を輝かせている。だがそれらを空気と思わせるほどに圧倒的だったのが雲の向こう、おぼろげに浮かんでいる巨大な影だ。
「…あれが…」
「世界樹…か…」
キリトはもちろん、リーファもここまで近づいてみたのは初めてだろう。この大きな空をさせている柱のように伸びている幹が垂直に天地を貫き、上部の枝葉は幹に比例するかのようにとてつもない大きさをアピールしていた。まだこの場所からはあの樹まで20km以上離れているのも関わらず俺たちの視界の半分を支配している。あの根元にあるらしいアルンに行けばどれほど大きな世界樹の姿が見れるのか想像すらつかない。
「あ、こうしちゃいられない。リーファ、領主会談の場所ってのはどの辺りなんだ?」
「そういえばそうだった…何のために早く抜けてきたんだよ俺たち…」
不意にキリトが我に返り言って、当初の目的を思い出した。
「あっ…そうね。ええと、今抜けてきた山脈は輪っかになって世界中央を囲んでるんだけど、そのうち3つだけ大きな切れ目があるの。サラマンダー領へ続く『竜の谷』、ウンディーネ領と繋がる『虹の谷』、最後にケットシー領に繋がっている『蝶の谷』…。会談はその蝶の谷の内陸側出口で行われるらしいから……」
リーファは視線とともに全体を見渡すべく体を一回転させると、北西へと指を刺した。
「あっちにしばらく飛んだところだと思う…」
「了解。残り時間は?」
「そんなに時間無いっぽいぜ……残り20分弱……サラマンダーはあっちからこっちだから…」
キリトの問いに答えながら南東から北西へと指を動かす。
「俺たちより先行してるのかどうか微妙ってことか……ともかく急ぐしかない。ユイ、サーチ圏内に大人数の反応があったら知らせてくれ」
「はい!」
いつになく真剣な顔でうつむく小妖精にうつむき返し、一気に翅を鳴らして加速に入った。
†
飛んでいて気付いたのだが10分くらい飛行しているにもかかわらずモンスターエンカウントがまったく無い。リーファの話によるとアルン高原と呼ばれるこの場所にはモンスターが一切ポップしないらしい。それが会談をここで行う理由らしいのだが今回に限って、そして俺たちだけに限ってはそれはありがたいことではなかった。
「さっきの…『トレイン』って言うんだっけ?あれができないじゃん…そのサラマンダーズにぶつけてたら時間が稼げるかなって思ったんだけど…」
「…よくそんな悪知恵はたらくわね……でも、今回は洞窟以上の大部隊だから、警告が間に合って全員でケットシー領に逃げ込めるか、もしくは揃って討ち死にか、どっちかだと思うよ」
前者はともかく、後者はやらせるつもりはまったく無いが…と、考えているその時。
「あっ、プレイヤー反応です!」
ユイが唐突に叫ぶ。
「前方に大集団――69人、これが恐らくサラマンダーの強襲部隊です!さらにその向こう側に14人、シルフおよびケットシーの会議出席者と予想します。双方が接触するまであと50秒です!」
ユイの言葉が終わると同時に視界を遮っていた雲が晴れて目の前がクリアになる。その視界に入ってきたのは5人ずつ、楔形のフォーメーションで密集し飛行している戦闘機のような無数の黒い影、翅はクリアレッドということは間違いなくサラマンダーだろう。さらにその向こう、白いテーブルらしきものとそのそばには座るためだろう、丸い椅子も見える。その椅子に座っている者たちは会話がそんなに楽しいのか今まさに迫ろうとしている脅威に気付くことはなかった。
「――間に合わなかったね…」
必死で追いつこうとしている中、ポツリとリーファが言った。確かに、今からだと向こうに到着したとしても全員無事でン逃げ切れる余裕は無い。
「ありがとう、リクヤ君、キリト君…」
そういいながら不意に俺の手を握ってくるリーファ。
「短い間だったけど楽しかった。このまま君たちは世界樹に行って……ここからはシルフ族の問題だから…」
そういい、ダイブに入ろうと翅をたたむリーファの右手を握り返す。
「そう言われても俺たちここからアルンまでの道のりも判らないし……それに」
「ここで逃げ出すのは性分じゃないんでね」
「そゆこと」
キリトとともに笑顔でそういい、キリトがユイをしまうのを確認するとこれでもか、というくらいに翅を震わせて加速する。
…最近、一気にスピード上げること多くないか…などと思うもそれは仕方が無い、と割り切ろう。
「…で、キリト。なんかいい感じの嘘、思いついた?」
「一応、な。お前のことも言うから合わせろよ」
「了解っ!」
頷き向こうを見ると、やっと接近に気付いたのか全員が立ち上がり銀色に光る剣を抜いている。だがそれはサラマンダー軍の数の多さを見れば無駄な行為、その銀色があまりにもろいものに見えた。そんな様子の中、サラマンダーの指揮官らしきプレイヤーがさっと手を上げ、振り下ろそうとしたその瞬間…
ズドォォォォンッッ!!!…と何かが爆発したような音と巨大な砂煙を巻き起こし集団の中間の空き地へと地面へと着陸する。その光景はリーファ曰く、漆黒の隕石と紫電の光に見えたらしい。
「……(痛くないけど…痛ってぇ…)」
キリトは昨日、塔にぶつかった経験があるためなのかなんてことない表情をしてるが音がすさまじかったため反射的に顔をゆがめかけてしまう。それも土煙が消えるころにはちゃんと歪みかけた表情は隠したが…。砂煙が薄れ始めるとキリトはさっそく体を起こして立ち上がるとサラマンダー軍を睥睨し、目いっぱいに息を吸い込む。
「双方、剣を引けぇっっっ!!!!!」
「ぅあっ……大声出すなら先言えよ……」
先ほどの爆発音よりさらに大きな声を出すキリト。サラマンダーも数歩ほどあとずさるほど空気を揺るがす音だったため出したキリト自身はともかく隣にいて急に聞かされた俺の被害は尋常じゃない。鼓膜がその機能と存在を一瞬にして全てを失いそうな感じがして、今も少しキーンと耳の中で甲高い音が鳴っている。
「指揮官に話がある!!」
キリトの声が聞こえることでまだ俺の鼓膜は大丈夫なことが確認できた。そもそも仮想世界で鼓膜がどうとかそんな考えがあるのかどうか知らないけど…。
こちらが乱入してきたにもかかわらずこんなふてぶてしい態度に圧倒されたかのようにサラマンダーのランス隊の輪が割れてその道を指揮官と思われる大柄な戦士が、そしてそのうしろには副官らしき人物が進み出てくるのが見える。男の方はその髪を剣山のように立たせており、浅黒い肌に猛禽に似た鋭い顔立ち。そのたくましい体を守るのはいかにもレアアイテムといっているような赤銅色のアーマー、背にはキリトのと同じくらいの紫色の両手剣を装備している。
対して副官の方は…
「…女?」
その通り男には無い凹凸のある体を持っているプレイヤーだった。サラマンダーの特徴が出ているその髪は肩の辺りで少しカールを巻いているショート、胸は…その……うん、体格はリーファとそんな変わらないくらい。装備はこちらもレア、そしてやっぱりサラマンダー共通の赤、肘上まである篭手や膝上まである靴型防具は鎧のようなのだが上半身はまるで服のような感じだった。胸元を隠すように紅い鎧があるだけで腹は出ており、ミニスカートを装着している。一瞬見ただけでは戦うための服装ではないと感じさせられるがそれを打ち消すかのようにうしろに背負っている盾がその存在感を放っている。
「スプリガンがこんな所に何をしている。どんな理由があろうと殺すが……その度胸に免じて話だけは聞いてやってもいい」
「俺の名はキリト。スプリガン・ウンディーネ同盟の大使だ。この場を襲うからには我々4種族との全面戦争を望んでいる…そう解釈して良いな」
この発言にサラマンダー、シルフ、ケットシーはもちろん、ハッタリと知っている俺も内容を聞いていなかったので思わず絶句してしまう。
「ウンディーネとスプリガンが同盟だと……?」
その指揮官も驚いているようで、後ろにいる女性も同じような表情をしている
「…そんな報告は入ってきてないですが……」
ALOはグランドクエストのせいで多種族よりも1歩先に行くために新たなアカウントで調査先の種族でスパイを送っているらしい。サラマンダーが最大勢力と呼ばれるのはリーファもさっき言っていた領主暗殺とその情報を得るのが上手い、というのがあるだろう。ただ、向こう側は上部が秘密裏に同盟を組もうとしているかも、と思っているらしい。…良い方向に勘違いしてくれているのはうれしいんだけど…。
「……護衛の1人もいない貴様がその大使だと言うのは信じがたいな」
「護衛ならいる。うしろにいる彼がその護衛だ」
ちょっと待ってくれ…俺ここで指名かよ…。キリトは俺の姿を相手に見せるため横に一歩ずれる。
「…貴様は……ヴォルトか…。何故ヴォルトがスプリガンの護衛をしているのか気になるところだが…」
「リクヤ、その人の言うとおりヴォルトだよ」
俺が名乗ったとき時に一瞬だけだがサラマンダーの副官がビクリと動いていた。でも、そんなことは気にしていられず問題は俺がこのでっち上げに上手い具合に乗らなければならないということだ。
「…ヴォルトの上のほうの人は近々、スプリガンとウンディーネ、両種族との貿易をしたいらしいんだ。まぁ、「貿易をしませんか?」「はい良いですよ」なんて成り立つ世界じゃないから…それで貿易のため出された条件がこのスプリガン・ウンディーネ同盟の大使の護衛ってわけ」
キリトを指差しながら自分でも言ってる事無茶苦茶だなと思う…
「この場にはシルフ・ケットシーとの貿易交渉に遣わされただけだ。が、会談を襲われたとなればそれだけで済ますつもりは無い。シルフ・ケットシー・スプリガン・ウンディーネ・ヴォルトの5種族で同盟を組んでサラマンダーに対抗することになると考えてもらおう」
「………」
しばらくの間、沈黙がサラマンダー側と俺たち側を包む。が、その間俺の背中は冷や汗でいっぱいだった。SAOに囚われる前いろいろな人に言われたのだがどうやら嘘が苦手らしくすぐ顔に出てしまうらしい。向こうでは絶対に生きなきゃいけないという信念があったため改善されたと思うが…。
「護衛がいるとはいえそれでも2人、たいした装備も持たない貴様たちの言葉をにわかに信じるわけにはいかないな」
その沈黙を破るかのように口を開くとともに男の方が背中の両手剣を、少女の方はその大きな盾から剣を音高く抜き放つ。
「…じゃあ、どうやって信じてもらおうかな」
敵が地震の武器を構えている時点で実力で示せ、それで判断をしてもいいってことなんだろうけど。
「簡単な話です。スプリガンの方は将軍と、そしてヴォルトの方はわたしとデュエルをしてください」
「それぞれ1対1ってこと?」
おれの質問に少女は頷いて答える。俺としては同じ両手剣使い――俺は2本だけど――である向こうと勝負してみたい気持ちもあったけど…。
「わかった、それでいこう」
キリトの言葉に俺も頷いて同意を表す。向こうは俺たちの承諾を確認すると互いに戦闘に影響の無いが出ない距離まで移動して翅を震わせて空へと体を浮かせる。
「…負けるなよ」
「お前もな」
短い言葉と同時に拳をぶつけてそれぞれの対戦相手のほうへと飛んでいく。…さて、負ければシルフ・ケットシーはその勢いのまま全滅させられるだろうし、名前だけ出てきたウンディーネにも迷惑がかかる。さらに言えば領地にいったことの無い俺たちとしては自分の種族にも濡れ衣がかかる。でも…
「負けるつもりもまったく無いけどな」
女の人と戦うっていうのは少し抵抗があるけど……。
後書き
リ「さて…謎のオリキャラ出てきたな」
涙「謎って言ってもすぐわかると思うんだけどww」
リ「…誰なんだよあのサウスって」
涙「ひ・み・つww大丈夫、次回はものすごく急展開すぎて笑えるからwwいや笑えるほど面白いものでもないけど、というかつまらん!ってなるけどww」
リ「つまらんのはいっつもだろ?」
涙「まぁね。最近どんどん自信なくなってきたし……3月だからかな」
リ「どういうこと?」
涙「終わりのシーズンじゃん?だから次回が最終回!!」
リ「そっか…助けても無いのに終わりかぁ」
涙「納得しないで?…もちろん嘘だから!!」
リ「いや、知ってるけど…。実際に終わりはしないからこれからもこの作品をヨロシク!!」
涙「感想や意見などくれるとたすかります、ではっ!!」
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