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【ネタ】アホの子ルイズちゃん

作者:花極四季
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第九話

 
前書き

サイトがいらないんだが、どうすれば退場させられるだろうか(ぉ 

 
おはようございます、ルイズです。
現在、お空の旅を満喫中です。
浮遊大陸アルビオンに向かうべく乗った船ですが、何だか嫌な雰囲気。
馬車の中の雰囲気が最悪です、とかではなくこれから起こりそうってこと。
こんな逃げ場のない空間で何が起こるのやら。
さて、今日も一日頑張ろう。



「まさか、空賊に襲われるとはね」

嫌な予感の正体は、空賊の襲撃だった。
威嚇射撃一発の後に停船命令。こちらの応答は一切受け付けない。
自分達が優位だと信じ切っているのか、はたまた焦っているのか。
並走する空賊の船上には、いかにもな姿格好の乗組員が複数いる。

「戦時中の空域に入るんだ。これぐらい想定の範囲内だけどね」

「あっちの風石爆破していい?」

船内の構造は量産の問題上基本的に変化することは稀。
動力源となる風石となれば、絶対安全な箇所に置かれるのが当然。
つまり、私なら船内の構造を理解していれば、ピンポイント爆破で船なんて余裕で破壊できるのだ。

「それはやめておいた方がいい。問答無用で艦隊砲撃してくるならともかく、威嚇射撃で済ませ横付けしようと目論んでいる辺り、この船に被害を与えるつもりはないのだろう。破壊してもこの船ごと道連れにされたら敵わんし、刺激するのはよそう」

「そんな心配する必要なさそうだけど」

「これは隠密任務でもあるんだ。敵側に自分達の存在が気取られるのは避けたい。派手にやると警戒されかねん。万が一があってはいけないんだ」

「仕方ないわね………」

ワルドにたしなめられている間に、船が完全に横付けされる。
甲板にはメンバーは私とワルド、あとは船員だけ。
サイトは船内で待機している。船酔いしたっぽい。
キュルケ達は、シルフィードを船内に乗せるのは無理があるという理由から、別行動を取っている。
つまり、あっちのメンバー内でギーシュはハーレム形成しているようなものなのだ。
まぁ、三枚目キャラは、モテずに主人公の友人ポジに収まるって法則があるから、よろしくやってる心配はしてないけど。
あ、ミス・ロングビルは学院に帰ったのかいつの間にかいなくなっていた。
彼女は様子見で派遣されたらしいし、付き合う理由はないからいいんだけどね。
ついに横付けに成功した空賊が、我が物顔で乗り込んでくる。

「船長は誰だ?」

「私だ」

「お前だったのか」

「暇を持て余した」

「ブリミルの」

「「遊び」」

空賊のリーダーと船長がなんかやってる。
なんか握手してるし。

「よし、この船は俺が乗っ取った!」

「いや、その流れでどうしてそうなる」

突っ込まずにはいられなかった。

「積み荷は頂いた。船員の命もな!―――っと、そこのお嬢ちゃん達は貴族かい」

「ええ、そうよ。それよりさっきのやり取りはなに?」

「こりゃあいい、身代金をたっぷりもらえるぜ」

「私達を人質にしたら、命が幾つあっても足りないわよ。それより、さっきのやり取りは」

「よし、連れていけ!」

こいつもスルーかよ。




船内なう。
杖を没収され(仕込み杖含む。セクハラだったから検査役の股間に蹴り入れておいた)、硫黄立ちこめる牢屋に閉じこめられた私達。
サイトは別の場所で捕まってるんだろう。ここにはいない。

「大人しく捕まる理由はなかったんじゃないかしら」

「ふむ、あの場でリーダーと思わしき奴を捕らえても良かったのだが、それだと博打になる。万が一奴がリーダー格でないなら、人質は効果を持たなくなる。それに、空賊にどこまで仲間意識を期待していいものかもわからないしね」

「―――仲間意識に関しては、問題なさそうだけどね」

「それは、どういう?」

「おい、静かにしろ!」

ワルドの問いは、見張り番に遮られる。
ちょっとした道具と時間さえあれば、鉄格子を破るなんて訳ないんだけど、流石に不足し過ぎている。

「それにしてもアンタら、アルビオンの貴族派かい?」

「別にそんなんじゃないわ。アルビオンがどうなろうと、私には知ったこっちゃないし」

「………へぇ、じゃあなんでこんな時期にこんな場所に?」

「教える義理はないわね。―――いや、あるにはある、か」

「ほう、聞かせてもらおうじゃないか」

「貴方でもいいけど、何なら貴方のトップに合わせて欲しいわね。勿論杖はいらない」

「そんな真似、出来るとでも?」

「出来るわよ。何せ貴方―――いや、貴方達は本来私達寄りの存在だから」

「――――――!………ちょっと待ってろ」

驚き、一考した後慌てて部屋を出る。

「ルイズ、さっきのは一体」

「ワルド。貴方はもう少し観察眼を鍛えるべきね」

疑問符を浮かべるワルドを尻目に、見張りを待つ。

「お頭がお呼びだ」

案内された先には、先程のスルー野郎が立っていた。

「ほう、さっきのお嬢ちゃんか。何やら面白い話を聞かせてくれるようじゃないか」

「ええ。それよりも、船内で帽子を被るのは些か礼儀知らずではなくて?」

「帽子?そりゃどういう―――ああ、なるほど」

一瞬の思考の後、納得する風に頷く。

「帽子、か。成る程確かに、飾りで気取るという意味では言い得て妙だ。それより、何故分かった?」

「貴方が誰かまでは知らないけれど、そもそも賊というのはあそこまで統率の取れた動きはしない。貴方達のそれは、訓練された者の動きだった。それに、どんなに口を悪くしても、身体が正直なら歪なだけよ。賊は、あんな洗練された歩き方はしない」

「っ、ハハハ!面白い子だな、君は」

口調が代わり、顔に手をかける。
髭とカツラを取った男は、笑顔でこう告げる。

「申し訳ない。私はウェールズ・テューダー。アルビオンの皇太子だ」

思わず舌打ちしそうになった。
このイケメンが、死ねばいいのに。

「生憎、私は貴方がウェールズ皇太子だと出で立ちで理解することは出来ません。何か証拠はおありでしょうか」

「ふむ……ではこれを。風のルビーはアルビオン王家に伝わる秘宝と言われている代物だが」

こちらの手元にもアンから借りた水のルビーがある。
だけどぶっちゃけ、事情知らない人からするとそんなの知るかって感じだけど。

「証拠としては不十分極まりないけど、まぁいいわ。私はアンリエッタ姫殿下より密命を仕った、ルイズと申します。意趣返しに、これが証拠の水のルビーになります」

「ふむ、どうやら本物のようだね。遠路はるばる、このような場所までの密命ご苦労だった。して、密命の内容とは?」

「これを」

アンのラブレターを手渡す。

「これは―――。いや、それよりも君達をニューカッスル城に案内しよう。この手紙の内容を遂行するには、一度あそこに戻る必要があるからね。あと、捕らえていた者は全員解放し、事情を説明させていただくので、証人として君達も同伴して貰いたい」

「わかったわ」




あれから色々あって、ニューカッスル城に到着。
ヒャッハー!硫黄だー!とか叫んでいた偽空賊達は、どこまで成りきってるんだと思わずにはいられなかった。
結婚がお流れになる材料である恋文も回収。ミッションコンプリートである。
そして今、アルビオン兵達が最後の晩餐を上げるべくどんちゃん騒ぎをしている。
蝋燭の残り火のような、一瞬の命の光。
彼らはこの戦場で死ぬつもりだ。
私は、それについてどうこう言うつもりはない。
ただ一人の相手を除いて。

「ルイズ………」

夜空を見上げていると、サイトが元気なさげに話しかけてくる。

「どうしたのよ」

「ごめん。俺使い魔なのに、いざって時にルイズの傍にいられなかった。危険がいつ迫るかなんて、わかっていたのに」

「そんなこと。何事にも絶対はないわ。戦場だからといって、常に気を張り続けるのは無理なんだから」

「それでも、俺は―――」

「この話はもうおしまい。本当に悔やんでいるなら、次挽回しなさい」

それだけを告げ、私はウェールズの下へと足を運ぶ。

「おや、君は………」

「ルイズです」

「パーティーは楽しんでくれて―――る様子はなさそうだね」

「ええ。死者への供物を美味しくいただくなんて、無理な話ですわ」

「はは………手厳しいね。アンから話には聞いていたけど、どこまでも自由なんだね、君は」

「私のことをご存じなのですか?」

「ああ。アンは君がいてくれたから、王女になる覚悟を決めたんだろう。結婚、か。従姉妹の結婚だ、喜ばないわけにはいかないな」

「お止め下さい。自分の意思に背いた発言は、アンへの侮辱になります」

「―――それでも、建前は必要だ。王族となるとね、その辺りが顕著になるんだよ」

「この場では、誰も憚る者はいませんよ」

「そうだね。………正直な話、残念に思うよ。政略結婚なんて当たり前なことだと理解していたつもりだったけど、従姉妹が―――誓いを契りを結んだ相手が勝手な都合で引き裂かれるというのは、どうにも容認できない。まぁ、どうせこの身は明日にでも死ぬかもしれないのだから、今更な悩みだけどね」

「ウェールズ様は、この戦で死ぬつもりなんですよね」

「ああ。誰よりも真っ先に」

そう答えるウェールズの瞳は、ただ真っ直ぐを見つめる。

「それが無意味なことだとしても?」

「無意味なのは承知している。だが、もしここで逃げおおせても、血眼になって、僕の首を取りに来る。更なる争いの種が拡がるだけだ」

「見上げたお心です。ですが、取り繕うのはもうやめませんか?」

「………駄目だ。これを口にすれば、躊躇いを持ってしまう。この想いは墓まで持っていくつもりだよ。まぁ、まともな弔われ方は期待していないけど」

「―――はぁ。ほんと、女々しい男ねウェールズ」

もう、限界。

「み、ミス・ヴァリエール?」

「アンが書いた手紙がラブレターだってのはバレバレなのよ。そしてあのアンが、勇敢に死ねだなんて文を書く訳がない。間違いなく、亡命を懇願する内容が綴られているでしょう。それを突っぱねてまで死を受け入れる、ね。これだから莫迦は嫌いなのよ」

ドズ、と言う音と共に崩れ落ちるウェールズ。
地面に伏した彼に向かって、一言。

「生憎、バッドエンドなんて趣味じゃないの。アンタが私の友達の意見を否定するなら、こちらもアンタの意見なんて尊重するつもりはないわ」





 
 

 
後書き
ウェールズって画像を見るまでオールバックの無精髭なキャラをイメージしてた。なにあのイケメン。クソが。
ウェールズのキャラが安定しない。誰だお前。
あと今回の話少し投げやり気味だったのは反省してる。 
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