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やはり俺達の青春ラブコメは間違っている。

作者:殻野空穂
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第三章
  やはり比企谷八幡はケチっている。...と彼は思う。

 突然だが特別棟の三階にある奉仕部の部室から一階の自動販売機までは多分十分ほどかかる。
 俺的には歩くことすら面倒なので、もうこのままばっくれてしまいたい。しかしそうすると俺の人生が絶賛上映終了中、になってしまうかもしれないので超めんどくさい。
 もう面倒くさがりすぎて、生きることが面倒だ、とか言って魔物になっちゃうレベル。ソウ○サク○ファイスのやりすぎだろ、俺。
 まあ、ずっとめんどくさがってだらだらしてる訳にもいかないので今日の依頼について比企谷の話を聞くことにした。
「ひきがやー、きょうはほうしぶにむりやりいれられてからはじめてのいらいだねー。このあとぼくらで、だれがいちばんゆいがはまさんのいらいのかいけつにこうけんできるかでしょうぶすることになるわけだー。そこんとこひきがやはーどうおもうー?」
「おお、桐山、...居たのか。背後に立たれると全然気づけないな。あと喋り方がすっごいだるそうだけど?」
「まあね、いろいろめんどうになったよ。かいだんとかー、ちょうつかれるマジきちく。マジひらつかせんせい」
 パソコンに打った文字を変換するのが面倒で平仮名で済ますくらいには面倒。
 階段を降りるのも一苦労だぜ。軟弱(なんじゃく)すぎでしょ俺。マジイケメンすぎでしょ俺。
「階段降りるだけで息切れるってある意味凄いな。某インフレ異能力バトル漫画に出てくる球○川さんを彷彿(ほうふつ)とさせるなぁ。いや、実際にいるんだなぁ、こんな奴が。...ってか良く生きてこれたな! 素直に驚けるわ!」
「うん、でも普通に生きてこれたかはわかんないけどね」
「ホントに桐山は変わった生き方をしてるよな」 
「...え? ああ! あ、あはは、そうだねぇ~。は、はは...何かもう正直どうでもいいんだけど。え、何この人...俺の何なの? うはっw 怖っ」
「は? なにそれ、ひどくない? 一番の理解者だと思ってたのは俺だけだったの? やっぱり俺の敵なの?」
 比企谷は少し暗い表情になったかと思うと俯いてしまった。まあ、奉仕部のメンバーの中でも男子二人という心細い状況では仲間と言うか何と言うか...道連れがいたほうが安心するのは俺も同じだ。それはきっと比企谷の心の支えにはなっていたわけで...。とにかく比企谷には悪いことを言ってしまった。
 悪いことをしたら「ごめんなさい」で仲直りだ。さあ比企谷、俺たちの友情を再確認しようじゃないか!
「ごめん、ごめん、冗談。落ち込まないでくれよ比企谷。俺たちは曲がりなりにもお互いを理解しあっているじゃないか。...だから今俺の所持金はゼロだということも、俺が、君は優しいからお金を貸してくれる、と期待していることも!...比企谷、お前だって気づいてるんだろ? 自分自身の優しさに...お金が無くて困っている俺に...お金を貸してくれるお前なりの不器用な優しさに...」
「シリアスな口調で言ってもダメだからな? その無言で手を差し出すのをやめろ...。それにしてもお前よくそんなこと平然と言えるな。ある意味すごいぞ。...そしていい加減その手を引っ込めろよ、 諦めが悪すぎるでしょう?」
「...お前らしく無いよな比企谷。自分をごまかし、偽るなんてお前が一番嫌っていた事だっただろう? ...どうして...お前に何があった比企谷ぁぁぁあ ! そして俺に金を恵んでくれぇぇぇえ ! さあ来いっ help me♪」
「無理がありすぎるし、声がでけぇ...。くそっ、しょうがねぇな、雪ノ下と由比ヶ浜の分だけな。それで良いか?」
「え? 同じ部活の人間に、しかも一人だけにジュース買ってくれないとか比企谷マジ鬼畜、いじめ、人権問題。...いや、でもホントにごめん比企谷、俺マゾじゃないんだ。そういうのは申し訳ないんだけど財津くんだけにしてほしいな。本当に申し訳ないと思うんだけどさ...。あ、あとお前がどんな趣味を持っててもお前のな、仲間なんだからな?」
「お前、俺に対していろいろ申し訳ないこと言ってるからね? あと財津とか言ったら材木寺(ざいもくでら)に失礼でしょうが!」
「比企谷、俺は『キリッと(のど)ごしミネラル珈琲(コーヒー)』で良いからね、頼んだよ? あと材木寺(ざいもくでら)ってもしかして本気で言ってる? だとしたら失礼にあたるよ? 俺は冗談でウケを狙って言ってたのに...。あとで材木寺(ざいもくじ)くんに謝りなよ? あとさー、「何とかくんに」の「くんに」という部分に卑猥な表現を感じ取ってしまったのは...はたして、俺だけだったのかな...」
「なんで最後、ちょっとシリアスっぽく言ったんだよ! 声のトーンの割には内容がごみ過ぎるだろうが! ちゃんと話聞けよ、雪ノ下かよ! 後、まだ買ってあげるって言ってないからね?なんでコーヒー注文してんの?それと、そのコーヒー高すぎるでしょう?なんでそんな多くを望めるの?」
「いつもは何も望んでないからだよ。ボーナスだよ...ありがとう。なんだかんだで買ってくれる優しい比企谷とはトモダチだよ」
「いや、買わないぞ? そしてよくそういうこと言えるな! リア充が間違ってるってわかっててそういうこと言うか、普通?」
「じゃあいい。俺にだけはコーヒー買ってくれなくていい。それで四人中三人しか、逆に言うと四人の中で一人だけジュースを持っていないという微妙な空気を作り出すがいいさ。全力で目を見開いて涎をだらだらたらしながら浅ましい目でお前らを見つめてやる!...あれ? なんで雪ノ下と由比ヶ浜にはジュース買ってあげたんだ?女子だからか?男女平等を(うた)う現代社会において、そういうのはおかしいんじゃないかなぁ?『俺も平等に扱えよ』ってなわけで金貸してくれやおんどりゃあ」
「わかったよ。でもこの三百円もするコーヒーは買わないからな...あとキャラが崩壊してる...。特に語尾」
 何がキャラ崩壊だよ。誰が俺のキャラを決めたんですかぁ? もしかしたら古風な奴かもしれないという可能性は否定できないのにね。何で決めつけるのかな? あと、マジでコーヒー買ってくれないんか? ふひっ。
「っく…まあいい、甘んじて受け入れよう」
「お前は一体なにを甘んじているつもりなんだ?」
  …何を甘んじているって…俺は三百円のコーヒーを飲みたかったのに百円のヤグルドジョバでいいって言ってんだよ?それなのにありがとうの一つもないとか…マジでどうでもいい。

               ×      ×      ×

 その後比企谷は「スポルトップ」。あとの二人には『何とかいちご100%』と『男のカフェオレ』を計300円で買った。そして、俺の分...。
「桐山、お前は『ヤグルドジョバンニ』でいいよな?」

 

 ...はい?
 俺はこの腐れぼっちの言っていることがよくわからなかった。ちなみに俺も腐ってるしぼっち。
 まずこの商品についてだが『ヤグルドジョバンニ』。...それは『ヤグルドジョバ』に『ンニ』がついているだけだが、その『ンニ』が有るか無いかで全く別の商品と言ってもいい。
 はっきり言おう。『ヤグルドジョバ』...100円。『ヤグルドジョバンニ』...80円。
 
 ...つまりケチった。
 ここで問題となるのは俺以外の人間との差額だ。
 比企谷、雪ノ下、由比ヶ浜。この三人はそれぞれ百円の品物を所持することになる。もちろん買ったのは比企谷なので同じ人物。式にするとこうだ。
 俺と雪ノ下との差額=100-80=20
 当然だが俺と三人の間には二十円の差額が生まれる。さべつ発見!
 差別はダメ! そう小学校の時に教わったよ? ダメなことは注意してあげるんだよ、とも教わったよ?
 そして友達ってのはお互いが注意しあうものらしいから、比企谷にも注意してあげないと...。
「比企谷!君が差別をするなんて俺は非常に残念だ!みんなのより二十円安い。...それが何を意味してるかわかるかいっ? 君は俺を百円の雪ノ下さんより二十円安いと判断したんだ! 由比ヶ浜さんより二十円安いと判断したんだ!無意識にねぇっ!...そして挙げ句『ヤグルドジョバンニ』だと。ふざけるなよ!ジョバンニなんて程好(ほどよ)い酸味がないジョバみたいなものだっ!」
「おう、そのまんまだな。なんか上手く揶揄(やゆ)したみたいに言うなよ...。ほれ、程好い酸味のないジョバだぞ~」
 そして比企谷は僕に80円の飲み物をくれました。彼は100円の飲み物を三本抱えています。
 女子にあげるつもりです。僕は怒りました。僕を怒らせた野郎が現れたのは去年僕の小指をへし折ろうとしたタンスの(かど)の野郎以来です。
 差別はいけないなぁ。僕は奉仕部の真面目な部員なので比企谷くんのために嫌が...平等の大切さを教えてあげようと思いました。
 女子二人にも嫌がら...せをしないと気がすまないので嫌がらせをしよう!...と心に決めて、純粋でありながら、穏やかな心で嫌が...嫌がらせをしようと『僕』に誓いました。
 僕は比企谷くんに自分の考えていることを感じ取られないように気をつけながら、彼に接することにしました。
「悪いね比企谷。わがまま言っちゃてさ。ヤグルドジョバンニ、これスキなんだよなー』
 完璧な演技。今すぐハリウッドスターに!...なれないけど。...フフ、嫌がらせとは良い響きだ。
「え、これ好きなのか?...これ最近全然売れてなくてすっごく安いし、正直これで済むとはなぁ、まあラッキーだ...」
 おいおいでっかい独り言が漏れてるぜ? まあ、残念ながらそんなんじゃ済まさないし、アンラッキーだけどな。
 今に後悔することのなるぞケチ八幡。あの時二十円をケチらなければ、ってな。
 ...そうさ俺の人間の器はおよそ二十円。朝マックなんて目じゃないプライドだぜ☆

 
 

 
後書き
申し訳ありませんが途中公開していた十二話を下書きに設定しました。
書き溜めをするためです。話別評価をしてくださった方もいるのにっ!
くそ.....普段は気にならない自分の無能っぷりが腹立たしい...。

頑張っているんですが色々難しいんです。こっちをたてればあっちがたたず...みたいな。
簡単に言うとオリ主を喋らせると元々の原作キャラを薄くしてしまう。...って感じです。

なので更新遅くなります! 結局はそれで以上!
そして感想をもらえると生きている心地がする! これでホントに以上! 
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