八条学園怪異譚
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第二十話 プールの妖怪その六
「そんな女の子同士とかね」
「まあそうだけれどね」
「普通はね」
「何よ、わかってるじゃない」
「というかそうであれば面白いなってね」
「可愛い娘同士のカップルとか」
それで勝手に言っていただけだった、そうした話をしながらだった。
周りは今度は二人の水着姿を見てこうも言った。
「それにしても二人共スタイルいいわね」
「愛実ちゃん胸大きいわね」
「聖花ちゃん脚奇麗で」
二人のそれぞれの身体的長所が見られる。
「愛実ちゃん小柄で胸大きいからね」
「聖花ちゃんすらりとしてて脚奇麗で」
「顔もいいし」
「商業科でなければ」
女の子の方がずっと多いこの学科でなければというのだ。
「もうとっくに彼氏出来てるわよ、二人共」
「商業科って女の子が多いからかえって彼氏出来ないのよね」
「男子にとっては天国だけれどね」
「こっちから見ればまさに修羅場」
「そんな世界だから」
「そう言われてもね」
今度は聖花が言う。
「私達結構忙しいっていうかね」
「そうなのよね。お店のことに部活に」
愛実はまず店のことを話に出す、やはり店の娘だ。
「勉強のこともあるし」
「その他にも色々とね」
聖花は愛実と一緒に行っている学園内の怪談を調べて回っていることについては誤魔化した、流石にこのことを言う訳にはいかなかった。
そしてそのうえで言うのだった。
「彼氏を作る余裕がないのよね」
「忙しくて」
「ううん、そうなの」
「彼氏出来る状況じゃないのね」
「忙しくてそれでなの」
「彼氏とかは」
「欲しいことはね」
聖花も言う。
「欲しいって思うけれど」
「それでも余裕がないのね」
「学園生活を満喫してて」
「付き合えたらね」
それならとまた答える聖花だった。
「その相手ととことんまでいきたいけれど」
「あれ、大胆なこと言うわね」
「ひょっとして結婚まで考えてるの?」
「それでパン屋さん継いでもらうとか」
「そこまで考えてるのね」
「とことんまでっていうと」
「古い考えかも知れないけれど」
だがそれでもだった、聖花は異性との交際はかなり真面目に考えてそのうえでこう周りに話したのである。
「交際は真面目に」
「それだと今時誰とも付き合えないわよ」
また言う周りだった。
「多少は遊ぶ感じでないとね」
「浮気とかは駄目にしてもね」
「それでもね」
「そういうの駄目なのよ」
こと恋愛についての考えはだった。聖花は真面目一辺倒だった、そしてそれは愛実も同じでこう言うのだった。
「清潔でないとね」
「出たわね、愛実ちゃんの清潔癖」
「つまり男女交際も清潔ね」
「清潔にお付き合いしたいのね」
「爛れたこととかはね」
嫌だというのだ。
「好きじゃないから」
「ううん、そうなのね」
「何ていうか二人共真面目過ぎない?」
「もっと砕けていいと思うわよ」
「普段の二人通りにね」
少なくとも二人は真面目だが遊びもわかっている、真面目一辺倒ではないのだ。
だがそれでも恋愛のことについてはだった、二人はあくまで真面目であった。
そうしたことを話してそのうえでだった。周りは話題を変えた。
一人がプールの方を見ながら二人と他の面子にこんなことを言ったのである。
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