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万華鏡

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第十八話 プールその十三

「今度あのホテルに行くのは優勝の時って言ってるわ」
「心からその時が来ることを祈るわ」
「有り難うね」
「まあそれでみプールだったらいいわよね」
「私はそうした願掛けはしてないから」
 阪神が優勝してから、というのはだというのだ。
「特にね」
「あのチームって願掛けしたらならないからね」
「不思議なことにね」
 これを阪神タイガースの法則という、このチームはファンが願いを掛ければその願いとは裏腹なことになるのだ。
 ある大学教授が優勝すれば吉野の吊り橋を渡ると言い切った、その年は何と昭和六十年であったのだ。
 こうしたチームだ、だからだというのだ。
「私はしないから」
「それがいいと思うわ、阪神だからね」
「とにかくプール行くのはね」
「いいでしょ」
「何か楽しみね」
 里香は微笑んで言う。
「それって」
「そうよね。それじゃあね」
「ええ、水着も持って行って」
「競泳水着以外にも持ってるわよね」
「持ってるわ」
 そちらも大丈夫だというのだ。
「琴乃ちゃんもね」
「うん、後は皆にも確認して」
「そうしようね」
「今度は海とその傍のプールで」
 遊ぶという話になった。このことは部活帰りのマクドナルドで話された、美優はビックマックを豪快に食べながら笑顔で応えた。
「いいんじゃないか?」
「美優ちゃんは賛成なのね」
「ああ、あたしも新しい水着買ったしさ」
 だから余計にだというのだ。
「いいと思うよ、それで」
「私もね」
 景子はチキンナゲットを摘んでいる。
「海行きたいって思ったところだし」
「私もよ」
 最後に彩夏も笑顔でバニラシェイクをストローで飲みながら言う。
「水着あるから」
「じゃあ今回も五人でなのね」
「行こうね」
 彩夏はにこりと笑って琴乃に答えた。
「皆でね」
「うん、それじゃあ」
「皆で行くのが楽しいのよ」 
 彩夏はこんなことも言った。
「海っていうのはね」
「というか一人でいたらさ」
 美優はビッグマックを食べ終えた。
「すぐに変な奴が声かけてくるからな、海は」
「それもあるからね」
「水着だとさ」
 これが声をかけられる第一の原因だ。
「もうスタイルとか肌とか丸見えだからさ」
「ビキニだと下着だからね」
 景子はビキニはそれと変わらないとさえ言った。
「もう一緒だから」
「ワンピースだってスタイル完璧に出るしな」
「胸もお尻もね」
 景子は今度はベーコンレタスバーガーを食べている、そして美優はフライドポテトを手に取ってかじっている。
「そのまま出るからね」
「しかも水着の下はすぐにな」
「裸だからね」
 まさに生まれたままの姿だ。
「それで女の子が一人でいたら」
「絶対に声かけられるよな」
「向こうも見るからね」
「そうなんだよな」
「だから一人で行くと危ないのよね」
「世の中おかしな奴も多いからな」
「景子ちゃんと美優ちゃんでも?」
 琴乃は普通のlハンバーガーを食べながら二人に問うた。
「強いのに」
「いや、おかしいのが何人か来たらまずいから」
「それだとな」
 二人は琴乃にこの場合を話す。 
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