ヘタリア大帝国
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
TURN57 頭を撃つその五
「それで君とも仲良くしたさ」
「こっちもよ」
ランファもランファで言う。
「打算もあったわよ」
「だよな。けれど君もだったんだな」
「まさかと思うけれど気付いてなかったの??」
「まさか」
キャヌホークは両肩をすくめて軽い感じで言ってみせた。
「俺も伊達に提督じゃないさ」
「そういうことはわかってるわよね」
「ああ。充分にな」
男女の交際は恋愛感情だけでは成り立たない、そのことがだというのだ。
「提督ということ以前にこれまでの恋愛経験でな」
「そうよね、私も実際のところね」
「俺以前にもそういう相手がいたんだな」
「ええ、いたわ」
ランファはあっさりと答えた。
「何人もね」
「本当にお互いにな」
「ええ。けれど本当に君が日本軍の捕虜になって関係が終わってたな」
「もう会わないかもって思ってたわ」
ランファハキャヌホークの顔を見て言う。確かに整ってはいるが何処か軽薄な感じがするのも否めない顔だ。
「けれど本当にね」
「思わぬ再会だったな」
「そうよね。ただ」
「こうして再会したからにはか」
「これもお互いのことだけれど」
今度は淡々と言うランファだった。
「まあよりを戻すとかはね」
「ははは、それは本当にお互いにだよな」
キャヌホークも自分の向かい側に座るランファに言う。二人で共に部屋のソファーに座ってそうして話しているのだ。
「もう今更だよな」
「本当にね。だから私も言わないわ」
「自然消滅なら一番いい終わり方だしな」
「ええ。私も好きな人はもういるし」
「俺もさ」
つまりお互いにもう相手ができたというのだ。
「だからそういう話じゃなくてね」
「スカウトなんだな」
「そうよ。太平洋軍に入らない?」
ランファはここで本題に入った。
「あんたもね」
「そうだな。そっちにはキャシーやクリスもいるな」
「ネクスンもね」
「あいつまだ生きてたんだな」
キャヌホークはネクスンについてはこんなことを言った。
「本当に死なないな」
「何度も撃沈されてるけれどね」
「その度に靴紐が切れるだろ」
「ええ、よく切れるわ」
「それでまだ生きてるのも凄い話だな」
「悪運が強いのよ」
ランファも実によく知っていることだった。知ったのである。
「とにかくね」
「そうだな。そうした意味では不死身だな」
「艦隊の人達も生き残るからね」
「生き残る悪運は確かに凄いさ、けれどな」
「それでもよね」
「あいつの艦隊には入りたくないな」
キャヌホークは切実な声でこう言った。
「生き残っても撃沈されるのは嫌だからな」
「その気持ちよくわかるわ。あたしもだから」
「そうだよな。で、本題だけれどな」
「ええ、それでどうするの?」
「俺もスカウトされて悪い気はしないしな」
それでだと言うキャヌホークだった。
「それじゃあな」
「そう。こっちに入ってくれるのね」
「そうするさ。それじゃあこれからは戦友として」
「宜しくね」
二人はお互いに微笑んだ。こうしたキャヌホークもまた太平洋軍の提督となった、彼はすぐに東郷、日本とも会い話をした。
彼は東郷と会ってすぐにこう言った。
「あんたが日本きっての女たらしの東郷司令だな」
「少なくとも嫌いじゃないな」
東郷も東郷でこう返す。
ページ上へ戻る