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魔法少女リリカルなのはStrikerS~赤き弓兵と青の槍兵

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本編
  三十四話~繋がる思い

side ランス


「はぁ?検査?」
「ええ」


エセ白衣を捕まえた翌日。シャマルにそんなことを言われた。


「士郎さんの検査をやるから一緒にやっちゃおうかなって」
「いや、今日は仕事が……」
「ないわよ」
「何故に!?」
「はやてちゃんに話したら受けさせておけって。代わりに明日の仕事増やすそうよ」


あの鬼め。


「大丈夫よ。小一時間で終わるわ」
「は~、わーったよ。受ける」


結局受けることにした。




side シャマル


「これは……」


二人の精密検査は初めてだったが、この現象は驚きだ。
確か魔術回路……だったかしら?
その核としてリンカーコアが機能している。
丁度心臓とそこから延びる血管のような関係だ。
だが、驚くべきはそのリンカーコアのランクである。


「Dランク……しかも安定性がないわ…」


おまけに、そのリンカーコアには外部から魔力を貰っている様子があった。恐らく、なのはちゃん達とのパスだろう。もう少し詳しく調べることができればいいのだが、二人の秘密は公には出来るものではない。


「しばらくは様子見ね」


今はそうするだけしかできないのだから。



side ティアナ


あの事件が終わり、1ヶ月近く事後処理に追われていた私達機動六課。
異変に気が付いたのはそんな時だった。
なのはさんと士郎さん。二人がなんだかぎこちないのだ。
あの感じは……


「恋愛関係ね……」


二人があんな状態じゃヴィヴィオも喜べないわよね。
ここは私が!


…………………………………………………………………


「こんな所まで呼び出してどうしたの?」


臨時本部となっているアースラを出て、港の方になのはさんを呼び出す。


「少し、聞きたいことがあるんです」
「いいよ。何かな?」
「士郎さんとの事いつまでそのままにしておく気ですか?」


驚き、赤くなってしまうなのはさん。だが、


「………このままじゃいけないとは思ってる。だけど、どうするかまでは……」


まあそんなことだとは思ってたが。


「そんな煮え切らないのはなのはさんらしくないですよ。私たちの憧れで、ヴィヴィオの母親なんですから、ビシッと決めてください」
「……そうだね。ありがとう、ティアナ。私、もう迷わない。思うままにやってみるよ」
「それでこそなのはさんです!応援してますよ。あと、差し出がましいことして申し訳ありませんでした」


私がそう言って謝ると、


「ううん。おかげで気持ちの整理がついたよ。だから、謝らないで」
「ですが…」
「いいの。心配してくれたんでしょ?大丈夫。もう迷ったりしないから」


そう言って士郎さんのところへと向かって行った。


「………頑張ってください、なのはさん」


私にできるのはここまでだ。後はなのはさんの問題。
でも、きっと大丈夫。そんな予感があった。




side 士郎


「こんなところにおったんか」


後ろからの声に答える。


「はやてか」
「また盛大に悩んどるなぁ」
「………そうだな」


考えたところで、答えは出ない。


「なのはちゃんは、待ってるで。士郎の答えを」
「ああ」
「自分の気持ちをぶつければええんや。難しく考える必要なんかない。士郎がなのはちゃんをどう思ってるか、それを伝えるだけでええんや」


私は、なのはのことをどうみている?……
彼女は私にとって、どういう存在なのだろうか?あの笑顔は、私にとって……
……そうか。答えは、すぐそこにあったのだな。


「っと、仕事が残ってるから私は戻るで。それじゃ」


あの狸娘はまた大嘘をついた。仕事など既に終わらせてあるだろう。だが、今はその大嘘に感謝しよう。
何故なら………


「士郎君!」


今一番会いたい人が私の後ろにいるのだから。
気を利かせてくれたはやてに感謝しよう。


「なのは、聞いてほしいことがある」
「うん。聞くよ。ちゃんと聞く」


私の思いを、全て。彼女へと。


「私も、君が好きだ。だから、笑っていて欲しい。そのために、私にできることをさせてほしい。これが、私の答えだ」


単純だが、この短い言葉に彼女に対する思いを全て込めた。
やがて、ゆっくりと彼女が口を開く。


「ありがとう。私も士郎君が好き。だから、ずっと一緒にいてほしい。私の大好きな人として。最愛の娘の父親として。家族として、ずっと一緒にいてください」
「ああ。どんな時でも、一緒にいるよ。君の傍に、ヴィヴィオの傍にいる」


お互いに言いたいことを言い終えると、どちらからともなく距離を詰める。
手を伸ばせば届く距離。肩が触れ合うほどの距離。お互いしか目に入らない距離。
そして………


唇の、触れ合う距離。




とても永く感じた時間の後、ゆっくりと離れる。


「………戻ろっか」
「………そうだな」


アースラへと帰る。見つけたものを離さぬよう、しっかりと握りしめて。




side フェイト


「ふぅ……」
「ため息か、テスタロッサ」
「シグナム……」
「ランスのことか?」


やっぱりわかるのかな……


「どうすればいいのかな?」
「さあな。だが、お前らしくまっすぐにぶつかれば悪い結果にはならないだろうな」


私らしく、か……


「でも、もしダメだったら……」
「何がダメなんだ?」


不意に聞こえた声。いつもと同じその声。


「ランス……」
「二人して辛気くさい顔してよ、らしくねえな」
「そうだな。私達らしくない」


シグナムはこちらを一瞥し、


「そう言えば、テスタロッサがお前に話があるそうだ。ちゃんと聞いてやれ。私はアースラに戻るからな」


そのままアースラに戻って行くシグナム。去り際に念話で、


(後はお前次第だ。健闘を祈る)


そう言い残して去っていった。


「で、話ってなんだ?」


ランスは私の目の前に来て、まっすぐに私を見ている。
ここまできたら、進むしかないよね。


「大事な話。ちゃんと聞いてほしい」
「大事な話?もしかして告白か?」
「うん。私は、ランスが好き。俺を頼れ、って言ってくれて嬉しかった。いつもふざけてても、いざって時にはいつも私のことを助けてくれる、そんなあなたが好き。だから、これからも、私の一番近くに居てくれる……?」




side ランス


予想はしていた。俺を見る目が変わっていた、ということから薄々は気が付いていた。
最初はこんな目をする何て思わなかった。
もっと恋愛沙汰に対しては奥手だと思っていた。
そんなこいつがこんなにも意志の強い目をするとはな。
それに………


「………くっ、くくく、はははははっ!」
「な、何で笑うの……?」
「いやな、お前との出会いを思い出すとな、はははははっ!」
「出会い……っ/////!?」


どうやらこいつも思い出したようだ。


「あ、あれは……」
「“バカー!!”とか言いながら追っかけ回して来たよな」
「うう……ラ、ランスだって子供みたいなことしてたもん!!」
「お?そうだったか?」
「そうだよ!」


そう言われればそんなこともあったな。
だが、


「でもよ、これで俺の勝ちだな」
「何が?」
「恋愛は、惚れた方が負け、だろ?」


しばし考えこむフェイト。そして、


「うん。負けちゃった」


とても嬉しそうに笑いながらそう言った。


「ああ。俺の勝ちだ。だから……」


ゆっくりと近づき……抱き寄せる。


「改めて、これからもよろしくな。フェイト」
「…………うんっ!」


二度目の生、とも呼べそうな今の状態。望んで得たものではないが、今は……


ただ、彼女(フェイト)のために………


「ね、ランス」
「ん?」
「私のファーストキス、貰ってくれる?」
「ああ。いいぜ」


こうして過ごすのも悪くはない。 
 

 
後書き
遂にここまで来ました。長かった……

アンケートはここまでで締め切ります。

結果は呟きで近日中に発表する予定です。

それでは~ 
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