スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇
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第七話 インフィニティ=ソウル
第七話 インフィニティ=ソウル
彼等は惑星ラクスに降下していく。その中でだ。
「おかしい」
アムロが言うのだった。
「何も感じない」
「感じないというのですね」
「ああ、そうだ」
こうラクスに答えるのだった。
「誰もいないのか?」
「だよな。何も感じないんだよな」
バサラも言うのだった。
「どうなってんだ、これは」
「誰もいないっていうの?」
「そうじゃねえのか?」
ミレーヌにも答える。
「御前は感じるのかよ」
「ええと、そういえば」
「そうだな、何も感じられない」
また言うアムロだった。
「この惑星からはだ」
「けれどここは確か」
「何かがあったのは間違いない」
今度言ってきたのはクワトロだった。
「しかしその何かがだ」
「わからない。そして」
「問題だ」
「そういうことだ」
アムロと二人で話すのだった。しかし既に降下コースに入っていた。
「何はともあれ行くしかないんですね」
「行くぜ!」
ミレーヌとは対象的にバサラのテンションは相変わらずだった。
「このままな!」
「あんたは本当に変わらないわね」
それでも今はバサラが頼りになっていた。彼の破天荒さがロンド=ベルを救ってきたのは事実だからだ。
そしてだ。この時ゲペルニッチの旗艦では。一人目覚めていた。
「バルゴ!?」
「ガビルか」
彼、バルゴはガビルの姿を見て問うてきた。
「俺に用が」
「私が御前なぞに用がある筈もない!」
彼は忌々しげな口調になって言葉を返した。
「その様なことがだ!」
「ではだ」
バルゴはそれを冷静に聞いて述べるのだった。
「誰が私を呼び覚ましたのだ?」
「私だ」
言って来たのはゲペルニッチだった。
「今はここにいる」
「ゲペルニッチ様だったのですか」
「そうだ」
「有り難いことです」
ゲペルニッチには恭しい態度であった。
「我を先に呼び覚まして頂けるとは」
「夢の隙間に見たのだ」
「我をですか」
「そう、御前の姿をだ」
こう告げるのだった。
「夢の隙間にだ」
「夢!?」
「遥かな星達の煌きの中に消えては輝き」
ゲペルニッチの言葉は続く。
「輝いては消える」
「そのことが」
「流離いの吟遊詩人が奏でる様なまどろみの夢です」
「我が力」
その言葉を受けたバルゴは応えて言う。
「必要とあれば何時でもお貸ししましょう」
「・・・・・・・・・」
ガビルはその彼を嫌悪の目で見ていた。彼等にも動きがあった。
ラクスに降りた面々は。とりあえずはそこで一日を過ごした。その中でだ。ガムリンとフィジカは金竜を見舞っていた。その彼はというとだ。
「あれ、もうですか」
「大丈夫だったんですか」
「本当にかすり傷だった」
見ればその通りだった。左手に包帯を巻いているだけだった。
「すんでのところで急所を外したしな」
「そうですか、それは」
「何よりですね」
「俺は大丈夫だ。しかしだ」
彼はここで話を変えてきたのだった。
「敵はだな」
「はい、そうです」
「そのままです」
二人の顔は安堵からすぐに暗いものになった。
「衛星軌道上にいたままです」
「依然として」
「まずいな」
金竜はそれを聞いてあらためて述べた。
「そしてこの星は」
「残念ですが」
「誰もいません」
「皆で出ての結果だな」
今全員で探索しているのだ。しかしなのだった。
「一人もか」
「はい、誰一人として」
「死体ですらも」
「おかしいな」
金竜は死体一つない状況について言及した。
「滅んだにしても死体が全く無いというのは」
「その通りですよ」
ドッカーも言う。
「どういうことなんですかね、これは」
「わからない。しかしだ」
「しかしですか」
「ここは」
「そうだ。今は待つことだな」
こう言う金竜だった。
「何か発見があるかも知れない」
「ではまだ数日程度」
「探索ですね」
「俺も今日から復帰だ」
ここで三人に笑ってみせたのだった。
「左手のかすり傷だけだからな」
「はい、それじゃあ」
「晴れてダイアモンドフォース復帰ですね」
こうして金竜は何事もなく復帰したのだった。しかしであった。
それから二日探索しても何もなかった。やはりであった。
「駄目だな」
「そうですね」
帰って来たミシェルとルカが言い合う。
「何もないな」
「誰一人として」
「そうだったな」
アルトもそこにいた。彼等も探索に出ていたのである。
「何も見つからないな」
「やはりおかしいな」
オズマもその目を顰めさせていた。
「これはな」
「けれどです」
だがここでルカは言うのだった。
「ここは居住可能です」
「それもかなり良質か?」
「はい、その通りです」
こうアルトにも答えるのだった。
「ですから移住できたと思うのですが」
「上にいる連中にやられたか?」
ミシェルはここで空を見上げた。マクロスクウォーターの甲板からだ。
「ひょっとして」
「それが一番妥当な考えだな」
オズマもそう見ているのだった。
「連中がここにいることを考えるとな」
「そして歌が効く」
アルトの言葉だ。
「それもわかってきたな」
「地球の時からそれはわかっていたんですよね」
「ああ、そうだ」
彼等にフォッカーが答えた。
「それはな」
「正直あいつはな」
豹馬がここで苦笑いと共に言う。
「最初何なんだって思ったぜ」
「武装なしの戦闘機で戦場で歌うんだからなあ」
キースもぼやき気味である。
「最初見て馬鹿どころじゃないって思ったさ」
「いや、あれは普通に驚いたぞ」
神宮寺も言う。
「命は惜しくないのかってな」
「しかしだ」
だがここで竜馬が言った。
「彼は本気だからな」
「そうなのよね」
ミチルも彼の言葉に頷く。
「バサラ君は彼のやり方で戦争を止めさせようとしているわ」
「それでも彼は歌うから」
未沙の言葉である。
「その覚悟は並大抵ではないわ」
「戦場に出て歌う」
今言ったのは大介だ。
「それは滅多なことではできない」
「けれど」
しかしここでクスハは首を傾げさせて言うのだった。
「そこまで歌に賭けられるなんて。自分の命を危険に晒してまで」
「クスハ」
ブリットはそのクスハに声をかけてきた。
「多分それが」
「それが?」
「バサラさんの戦いなんだ」
「戦いなのね」
「戦いを止めさせる為に戦う」
ブリットはこう表現した。
「そうした意味では俺達と同じだけれど」
「それを歌ってなのね」
「そういうことだと思う」
まさにそうだというのだ。
「あの人はね」
「そしてミレーヌもね」
今度はマーベットが出て来た。
「そう信じているからこそ」
「あっ、この歌は」
「確か」
ここで艦内に音楽がかかってきた。ミレーヌの曲であった。
「マイフレンズ」
「ミレーヌちゃんの曲ね」
「それが今」
「元気出していくか」
皆その曲を聞いてであった。
「これからな」
「それでだけれど」
未沙が皆に問うてきた。
「バサラ君は何処かしら」
「えっ、まさか」
「いないとか?」
「彼のバルキリーも見えないの」
まさに案の定であった。
「何処に行ったのかしら」
「うわ、またあいつ」
「勝手なことを」
「言っても聞かないのよね」
未沙の顔はいつもの彼について語る時の顔になっていた。
「というか耳に入っていないのよ」
「鬼の早瀬大尉が唯一頭を抱える相手」
「熱気バサラ」
人の話が耳に入らない人間もロンド=ベルには多い。だが彼はその中でも際立っていたのである。実はミレーヌもそうなのだが。
「まああいつはですね」
「あれっ」
「ガムリン!?」
そのガムリンの言葉だった。
「やる時はやる男ですから」
「ってあんたが言うなんて」
「どういう風の吹き回しなんだ?」
「確かガムリンさんって」
ミカが怪訝な顔で彼に言ってきた。
「バサラさんのことは」
「同じパイロットじゃないですか」
しかしガムリンは微笑んで言うのであった。
「相手のことがわかりますから」
「だからですか」
「それで」
「あいつのことは嫌いじゃなかったのか?」
ナオトも少し驚きながら彼に問うた。
「確か」
「いえ、別に」
しかしであった。そうではないというのだ。
「嫌いではないですよ」
「本当になんですか?」
「ええ、本当に」
こうアキラにも答えるのだった。
「その通りです」
「信じられないことだが」
ケンジもまずはこう言うしかなかった。
「君がそう言うのなら本当だな」
「はい、そうです」
「彼を認めたか」
「無茶苦茶な奴だとは思いますけれどね」
それは否定できなかった。
「けれど凄い奴ですよね」
「まあ何ていうか」
「無茶苦茶だとは思うけれどな」
「嫌な奴じゃないし」
「信念は確かだし」
そういったものはあるのである。
「バルキリーの操縦には全人格が出ると言われています」
「ああ、そうだな」
霧生が今の言葉に頷く。
「それはな」
「いや、それでもですね」
だがガムリンはここで少し気恥ずかしい顔になった。
「凄いと思うのはそのパイロットとしての技量と」
「それと?」
「他には」
「確かに人間としても凄い奴ですよ」
何だかんだでそれは認めるのだった。
「あそこまでのパワーを持った人間はそうはいませんからね」
「確かに」
「ロンド=ベルの中でも」
「かなり」
「バサラの歌は全然理解できませんけれど」
「うふふふふふ」
それを聞いても楽しげに笑うミレーヌだった。その時バサラは。
シビルの前にいた。彼女もいたのだ。
「おい、シビル!」
バサラは彼女に対して叫ぶのだった。
「今日こそ御前にわからせてやるぜ!」
そして奏でる歌は。
「プラネットダンス!」
「あいつが」
ギギルはそれを遠くから見ていた。
「ああしてシビルに歌を聴かせてから随分経つ」
それを言うのだった。
「一体何時まで待たせる気だ?」
彼は明らかに苛立っていた。
「アニマスピリチア」
そしてこのことにも思いを馳せた。
「力が、力が足りねえんだ!」
「何故だ!?」
そしてバサラも言う。
「俺の歌は届かねえっていうのか!?俺の歌が!」
「うおおおおおおお!」
ギギルは遂に我慢できなくなりだ。前に出た。
そのうえでバサラを殴ったのだった。
「アニマスピリチア!」
「何っ!?」
「生ぬるいぜ!」
そしてバサラにさらに言うのだった。
「手前、あの」
「御前が、御前が!」
ギギルはバサラをさらに殴りながら彼に言う。
「御前しか起こせないんだよ!」
「俺がか」
「ああ、そうだ!」
こうバサラにさらに言う。
「もっとだ!」
「もっとか」
「そうだ!もっとアニマスピリチアをシビルにだ!」
こう言うのだった。
「わかったな!」
「ならだ!」
そしてバサラもだ。それに応えて再びギターを持ち。
「行くぜええええええええっ!」
「それは」
「突撃ラブハートだ!」
その歌を奏でるのだった。
「貴様、誰の為に歌っている」
「そんなのわかってるだろうがよ!」
これがバサラの返事だった。ギターを手に歌っていた。
「俺はな!」
「俺は」
そしてギギルは思うのだった。
「何なんだ、御前は」
そのうえで次に思うことは。
「その前に俺は、俺は一体何者なんだ」
こんなことを考えるのだった。そしてこの頃。
「危ういところだったな」
「はい」
「全くです」
ブライトに対して八雲とキムが応えていた。
「皆何とか間に合ってくれました」
「この危機に」
「来るとは思っていたが」
ブライトは二人に対してまた言った。
「しかしだ」
「はい、上からです」
「次々に来ます」
八雲とキムはさらに言う。
「その数かなりです」
「シティ7は既に戦闘予定エリアを離脱しています」
「いいことだ」
ブライトはまずはそれに安心した。
「それではだ」
「はい」
「では」
「総員出撃だ」
ブライトは指示を出した。
「いいな」
「了解です」
こうして戦闘配置に着く。そこには金竜もいる。
「隊長もう」
「大丈夫なんですか」
「だから何度も言っているだろう?」
金竜はガムリンとフィジカの言葉にここでは苦笑いになっていた。
「ただのかすり傷だ」
「ですよね。それじゃあ」
「本当に」
「ああ。しかしだ」
金竜はコクピットの中で首を傾げさせていた。
「あの男はまたか」
「戻って来ません」
未沙がマクロスの艦橋の中で憮然とした顔になっていた。
「相変わらずです」
「やれやれ、何処に行ったのか」
「わかれば苦労しません」
こんなことも言う未沙だった。
「全く」
「まあそのうち帰って来るんじゃないの?」
フェイは能天気に述べた。
「バサラのことだから」
「あんな破天荒な奴は見たことがない」
ハッターも言う。
「しかし凄い男だからな」
「大丈夫ですよ」
ミレーヌが皆に話してきた。
「あいつは絶対に戻って来ますよ」
「殺したところで死ぬ奴じゃないしな」
ゴルの言葉である。
「まあ俺達にしろそうだけれどな」
「た、確かに」
「不死身のグン=ジェム隊四天王だ」
ガルとジンも当然いる。
「し、死んでたまるか」
「不死身なことには自信があるからな」
「そうだよ。こんなところで死んでもね」
言うまでもなくミンも健在だ。
「一銭の価値もないからね」
「勝ってバサラの音楽を聴きながら美味い飯だ!」
グン=ジェムも豪快に言う。
「いいな、野郎共!」
「おうよ!」
彼に応えたのはエイジだった。
「やってやるぜ!美味い飯の為にな!」
「あんたもノリいいわね」
ルナはそんな彼に少し呆れていた。
「全く」
「悪いか?」
「悪くは無いわ」
ルナもそうは言っていなかった。
「けれど。それでも」
「いや、いいじゃない」
斗牙も微笑んでいる。
「何かこう。白熱してきてね」
「そうですよね」
ルカも笑いながら言ってきた。
「こうした雰囲気って」
「そうだよね、ルカ君」
「はい、斗牙さん」
「ええと」
エイナは二人の会話を聞きながら少し戸惑っていた。
「どちらがどちらなのか」
「わからないわね」
「はい」
こうミヅキにも答える。
「斗牙さんにもそうした人が出来たんですか」
「何かいやらしい表現だな」
「全くだ」
それを聞いたミシェルとティエリアの言葉だ。
「今のはな」
「雰囲気が似ているだけではないのか?」
「いや、そういうあんた達もね」
ルナは呆れながら二人に突っ込みを入れた。
「全然区別つかないから」
「そうか?」
「僕達は特に」
「話は置いておけ」
刹那の言葉である。
「来るぞ」
「ああ、そうか」
「それならだ」
「上から前方に降下して来るぞ」
カティの言葉だ。
「総員迎撃用意!」
「よし!この不死身のパトリック様が相手をしてやるぜ!」
「あんたも不死身だったな」
「そういえば」
皆このことも思い出したのだった。
「うちの部隊って本当に」
「不死身さんばかり」
「けれど死ぬような目は勘弁だよ」
「全くですよ」
トールとニコルは苦い顔だった。
「あの時本気で死ぬかと思ったしさ」
「よく助かりましたよ」
「私も死ぬところだったしな」
マイヨもであった。
「運がよかった」
「このアークエンジェルにしても何度撃沈しかけたか」
マリューにも心当たりのあることだった。
「運がいいのはいいことね」
「クサナギだってねえ」
「あの、ユウナ様」
トダカが呆れながらユウナに言ってきた。
「危なくなったら騒ぐ癖は本当にいい加減に」
「いや、そうは言ってもね」
「周りの者がさらに動揺しますので」
「いつもですし」
キサカも言う。
「これで終わりかとか何でこうなるのとか」
「御免御免、気をつけてるんだけれどね」
相変わらずいきなり起こったことには弱い彼であった。
「どうしてもね」
「どうしてもではないです」
「全くです」
二人の言葉は厳しい。
「気をつけてもらわないと」
「困りますので」
「わかったよ。さて」
「はい」
今のユウナの言葉にはアズラエルが応えた。
「また変な敵が出て来たみたいだけれど」
「あの敵ですね」
「あれは何かな」
バルゴを指差しながらの言葉だ。
「宇宙怪獣かな」
「いや」
だがここでチーフが言うのだった。
「あれは違う」
「違うのかな」
「連中と違う知能があるようだ」
「というと」
「生態兵器か」
サコンはそう考えた。
「まさかとは思うが」
「それじゃあかなり」
「あれも危険だってことね」
「しかも」
バルゴだけではなかった。
「敵がさらに降下してくるし」
「これはかなり」
「まずいんじゃ」
「そうだな」
ここで大文字は気付いた。
「我々をこのまま追い詰めるつもりだな」
「おそらくは」
エキセドルも言う。
「我々を大地に縛りです」
「おそらくはな」
それはグローバルも気付いていた。
「しかしだ」
「しかし?」
「大丈夫なんですか?」
「敵が戦力を小出しにするならだ」
実質その通りだった。一度には来ていなかった。
「それを叩くだけだ」
「それだけですね」
「今は」
「そうだ、叩く」
グローバルの言葉は微動だにしない。
「このままだ。いいな」
「さて」
そしてバルゴはそのロンド=ベルを見て言うのであった。
「見せてもらうぞ。御前達のスピリチアを」
「何をしに来たのだ」
ガビルは忌々しげにそのバルゴに問うた。
「決まっている」
「決まっているだと!?」
「御前ごときがゲペルニッチ様の夢を叶えるなぞ不可能だ」
「俺ではだというのか」
「そうだ」
また言うのであった。
「それはない」
「ないというのか?」
「その美の華を咲かせるのはだ」
彼はかなりムキになって言うのであった。
「私の役目だ!」
「ならばだ」
それを聞いても動じないバルゴだった。
「好きにするがいい」
「好きにというのか。私の」
「そうだ」
冷たい言葉ではあった。
「今の御前にできるのならな」
「おのれ・・・・・・」
「俺は俺のやり方でやらせてもらう」
彼は彼だというのだ。
「それでいいな」
「私もまた同じだ」
「貴様もだというのか」
「そうだ」
こう言ってであった。それぞれロンド=ベルに向かう。
バルゴのその動きを見てだ。ロンド=ベルの面々は驚きを隠せなかった。
「おいおい、あの大きさでか」
「随分速いわね」
「しかも動きが緻密ときたものだ」
真吾にレミー、キリーが言う。
「これはかなりな」
「手強い相手みたいね」
「強敵も減らないわね」
しかしであった。ここでだ。戦場に彼が出て来た。
「バルキリー!」
「よし!」
「真打ち登場だな!」
「やっと出て来たな」
神宮寺もいつもよりのっていた。
「戦争を変えるロックスターがな!」
「いいか、どいつもこいつもだ!」
そのバサラがバルキリーの中から叫ぶ。
「俺の歌を」
そしてさらに。
「俺の歌を聴けーーーーーーーーーーっ!!」
こう叫ぶのだった。それを聞いたガムリンも言う。
「変わったな、何もかもがだ」
「ああ、これでだ」
「この戦いはあいつのものになったな」
金竜とフィジカも言う。
「完全にだ」
「もうこれで」
「奴の美は刺激的過ぎる」
ガビルが躊躇いながら言う。
「これは」
「おい御前等!」
しかしバサラがここで怒りを見せた。
「攻撃を止めてだ!」
「何っ!?」
「攻撃を!?」
「そうだ!」
こう大声で叫ぶのだった。
「攻撃を止めて俺の歌を聴け!」
これが彼の主張だった。
「俺の歌を何で聴きやがらねえんんだあっ!」
「バサラ!」
「うおおおおおっ!」
そのまま突っ込む。何とガビル達にだ。
「何っ、来たというのか!?」
「まさか!」
「そうだ、熱気バサラ!」
ガムリンがその彼に対して言う。
「歌え!」
「歌えってんだな!」
「そうだ、歌え!」
ガムリンが彼に言うのはこれだった。
「御前は歌え!」
「そうだ!」
今度は闘志也が言う。
「あんたが歌わなくてどうするんだ!」
「それが御前だよな!」
サンシローも叫ぶ。
「自分の信念の為に生命を張ってるんだったな!」
「ああ、そうだ!」
「なら歌え!」
彼も言うのだった。
「そのままな!」
「俺達は戦う」
フォッカーはまずは自分自身について語った。
「そして御前は歌うな」
「ああ」
「それは同じ意味だ」
こう言うのであった。
「だからだ。行け」
「止まるなんてな!」
今叫んだのはロックオンだった。
「あんたらしくないぜ!」
「いや、今前に出てますから」
斗牙はそれを見ていた。
「ですから」
「なら行け!」
「そうだ、ここは!」
「あんたには歌があるのよ!」
全員がその突っ込むバサラに対して言う。
「だからその歌でだ!」
「道を切り開け!」
「散るがいい!」
ガビルがその彼の前にいた。
「散って美を知るがいい!」
「バサラ!」
ミレーヌも彼に言う。
「歌って!ここは!」
「よおおおおおおし!」
バサラのその全てが限界を突破した。
「行くぜえええええええええええええっ!」
「来た!」
「このテンション!」
「のってきたじゃない!」
誰もがバサラの今の演奏を受けて力を取り戻す。
「俺のハートにもガンガン来るぜ!」
「歌え!」
「歌ってバサラさん!」
その極限まであがった士気の中での彼への言葉だ。
「ここは!」
「是非!」
「ミレーヌ!ビヒーダ!」
レイが二人に声をかける。
「俺達もだ!」
「行くのね」
「そうだ、行くぞ」
こうミレーヌに返してだ。今四人が一つになった。
そしてその演奏は。
「ドクター千葉!」
「うん、これは」
「歌エネルギーが五万チバソングを突破しました!」
美穂が千葉に告げる。
「これならいける!サウンドブースターを超えた!」
「はい!」
「バサラ君!」
彼もまた晴れやかな顔でバサラに告げる。
「このまま行ってくれ!」
「とことんやりゃいいんだな!」
「そうだ!君達次第ではだ!」
こう彼に言うのである。
「光や時空を揺るがすことさえ出来る!」
「えっ、歌で」
「時空まで」
「そうだ、できるんだ」
こう美穂とサリーにも答える千葉だった。
「だからだ!」
「ああ!行くぜ!」
最早バサラを止められるものはなかった。そうして。
「ファイアーーーーーーーーーーッ!!」
「くっ!」
「これは!」
ガビルもバルゴもであった。彼の圧倒的な歌の力を受けて。
大きく吹き飛ばされだ。そのうえで言うのだった。
「何だというのだ!」
「これは!」
「この刺激的な美は」
「何だというのだ」
「それにしても」
ここでふと洸が言った。
「ライディーンの中にこいつ等に関する記憶がある」
「そうなの?やっぱり」
「ああ、間違いない」
こうマリにも話すのだった。
「こいつ等の存在はムー帝国やプロトカルチャーに関係しているのか?」
「まさか。そんな」
「わからないけれど」
それはまだ確信はできないことだった。
「ライディーンは覚えている」
「そうなのね」
「このことも調べる必要がありそうですね」
猿丸が言ってきた。
「今度は」
「先生、そっちも頼めるかな」
「はい、それではです」
猿丸は洸のその言葉に快く応えたのだった。
「そちらもお任せ下さい」
「頼んだよ、それじゃあ」
「それにしても戦いは」
麗が一変した戦局を見て言う。
「変わりましたね」
「そうだな。やはりバサラの存在が大きい」
神宮寺も言う。
「今回はな」
「はい、本当に」
「俺達もだ」
そしてこうも言うのであった。
「このままだ」
「突撃ですね」
「そうだ、勝つ」
まさに一言であった。
「この戦いもだ」
「わかりました、では」
「全軍総攻撃だ!」
「よし!」
「このまま!」
全軍でバロータ軍を攻めにかかる。これで決まりだった。
バロータ軍は遂に軍を送らなくなった。それで終わりだった。
戦いはロンド=ベルの勝利に終わった。バルゴもまた。
「くっ・・・・・・」
「どうするつもりだ?バルゴよ」
「止むを得ん」
まずはこう答える彼だった。ガビルへの返答だ。
「撤退だ」
「そうか」
「後詰は俺が務める」
彼がそうするというのだった。
「だからだ。御前はだ」
「ふん、何を言うかと思えばだ」
だがここでガビルは不敵に笑って言うのであった。
「殿軍こそ我が美だ」
「何っ!?」
「味方の為に戦う。これぞ犠牲美!」
まさにそれだというのだ。
「だからだ。バルゴ、御前は去るのだ」
「御前が後詰を務めるというのか」
「そうだ」
また言う彼だった。
「わかったな。それではだ」
「ふん、いいだろう」
バルゴも彼のその言葉を受けて頷いた。
「好きにしろ」
「そうさせてもらう。熱気バサラよ」
「何だ?」
今度はバサラへの言葉だった。
「貴様の刺激的な美はだ」
「どうだってんだ?」
「面白い。だが危険過ぎる」
そうだというのである。
「今後はそれを倒していく。これこそ私のこれからの美だ」
「相変わらず何を言ってるのかわからねえんだがな」
「美はそれだ」
まさにそうだというのだ。
「それではだ。撤退しよう」
「じゃあ俺達もだな」
バサラがまた言う。
「この星を離脱するのか?」
「そうだな。今は」
「これ以上残っても仕方ない」
「それじゃあ」
去るというのであった。
「明日だ。この星を経つ」
「わかりました」
「それじゃあそれで」
こうしてこれからのことも決まった。ロンド=ベルはラクスを経つことになった。
それにあたってはラクスにあった施設を利用することになった。その設備は多少老巧化こそ見られたがそれでも見事なものであった。
それを使って出ることになった。その中でだった。
「しかしな」
「そうよね」
「何ていうか」
「これだけの施設があってどうして」
「滅んだのかしら」
「何故?」
それがどうしても彼等にはわからにことであった。どうしてもだ。
「滅ぼしたのなら一体誰が」
「どうやって」
それですらもわからないのだった。
「滅ぼしたのかしら」
「一体」
「それもわかるのかな」
首を傾げるしかなかった。今は。
「これから」
「どうなのかな、それは」
「本当に」
「それにしても」
ここでまた話す彼等だった。謎が謎を呼びそれが解けないままにもなっていた。だが大きなうねりがそこにあるのは多くの人間が感じてはいた。
第七話完
2010・2・28
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