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魔法少女リリカルなのは〜転生者の誓い〜

作者:muuma001
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第十一話・変化する転生者


俺の今について考えてみよう。

そうすると現在、実に多くの問題を俺は抱えている事が分かる。

それこそ左腕を失ったのは大きな痛手だ

またあれから一度もジュエルシード探索には参加させてもらえないでいることも挙げられよう。

なのはを隣で守りたい、悲しませたくないという俺からすればこの探索に参加できないというのは非常に大きな問題だ。

しかし、俺が再び大怪我を負ってしまうのでは、というなのはを筆頭とした家族の懸念は当然である。

僅か10歳である俺が反対できるわけもなく、何も出来ず今日で病院を退院してから既に3日が経とうとしていた。

ただ一つ幸いな事があるとすれば左腕の一件以来、フェイトと思われるあの襲撃者が姿を見せていない事だ。

まあ、色々グダグダと並べ立てて見たが今の俺の現状を表すのなら一言


「……暇だ」


まさにこの一言に尽きる。

学校に行って、家に帰りそして家の敷地内にある道場で父、そして兄さんや姉さんと共に修行をする。

はっきり言ってしまうとなのはが魔法に関わる前と何ら変わりないはずの日常のはずなのだが

今の俺には何か物足りないのだ。

つまるところは結局俺は、色々と勝手な理由や理屈を掲げて待ち望んでいたというべきであろうこの世界の変化を

楽しんでいたのだ。

最低で自己中心的精神構造を持っているものだと自分でも嫌になってくる。

ただし、救いというか昔との違いがあるとすれば

その感情の中に、妹を守りたいという気持ちが含まれている事である。

その為なら命でも投げ出そうと誓った

なのはに、俺の愛しい妹に誓った。

だからこそ今、俺はその手段を求めているのだ。

目的は守る事、必要なのはその力。

高町家に伝わる剣術では通用しないことは先日学習した

ならばどうするべきか?

答えは一つしかない。

目には目を、魔法には魔法を

そして俺の知り合いでその考えをただの考えだけでなく実現可能な可能性に出来る人物を俺は一人しか知らない。


「ユーノ今時間あるか?」

「みずなさん?何か用ですか…?」


そう、ユーノだ。

彼はなのはの師匠とも言えるべき存在であり、今回の一連の事件の一番の被害者とも言える。

そんな彼に俺は頼る事にした。

ただし、ただ率直に俺の考えを伝え

魔法を教えてくれと言っても優しいユーノは決してそれを良しとはしないだろう。

なのでまずは外堀、魔法の話題に触れつつもユーノが俺に簡単に教えてくれそうな事から聞く事にする。

それは彼の職業から考えても違和感なく話せるものだ。


「なにか面白い発掘品や魔法の物って持ってないか?」


これが俺の考えた外堀の埋める方法、目的に達する為の過程である。

そしてこの俺の唐突な質問にユーノは初め訝しむような顔で俺を見つめてきたが

魔法に最近関わったために魔法に興味がわいたという俺のもっともらしい理由に

そういうことならば、とユーノはそれ以上何かを言う事もなく

なのはの所にいけばそういった物があるという答えが返ってきた。

なぜなのはのところに?

一瞬、頭の中を疑問がよぎったが

それを察したのかユーノが説明をしてくれた。

曰く、レイジングハートには物を収納できる機能が備わっており

自分は主にその目的でレイジングハートを携帯していたとの事。

なるほど、確かにレイジングハートがジュエルシードを収納するシーンが原作でもあった気がする。

某青色ネコ型ロボットの便利なポケット宝石版といったところか

そのうちどこでもいける扉や時空を超える乗り物など出て来そうだ。

いや、そういえば時空を超える船とか、ドアではないが他の場所に転移できる魔法とか装置が原作にチラホラと出来ていたような気がする。

まあ前者は時は超えられないし、転送の方もどこでもではなく決められた場所を行き来できるだけだったはずであるが・・・

さて、そんな物語の設定の置換的発想をしているとなのはの部屋の前についていた。

まずは部屋の扉をノックしてなのはに声をかける


「なのは、入っていいか?」


基本、俺は紳士だ。決して無言で妹の部屋に入るような無粋な事はしない。

なぜなら紳士だから。

大事な事なので心の中で二回呟く。

とりあえず、そんな俺の自己満足はさておき


「お兄ちゃん?何かようなの」


部屋の扉を開き、なのはがこちらを見つめていた。

俺がどう答えるのが最善か考えようとしたが

ユーノが先に説明してくれた。

最近、俺の中のユーノへの好感度がうなぎ登りなのは特に隠す必要があるかは分からないが秘密である。

そしてその俺の中で絶賛好感度上昇中のユーノはなのはからレイジングハートを受け取ると次々に、魔法の品らしきものを取り出してくれた。

たとえば、魔力の回復を補助をしてくれる飲み物や即席の結界を張れる石

どれもかなり便利そうな物ばかりではあったが俺の求めている分かりやすく戦闘に役立ちそうではなかった。

それにユーノが説明してくれるのを聞く限りではどれも大きな欠陥を抱えているらしい。

たとえば先程の物でいうと魔力補助の飲み物はかなり味が悪いらしく下手をすると体調を崩すレベルらしく

また結界を張れる石の方はかなり大量の魔力を使うらしい

どちらもそんなリスクを背負うくらいなら使わない方がマシだと。

しかしどの品もその効果を発揮する仕組みが解明されていないらしく

また古代の遺跡から発見されたり、遺跡にあった書物などをもとにつくられた物の為

ロストロギア、もしくは準ロストロギアとも言える品らしいとも聞いた。

ただこの様な品ばかり出てくる流れでは確かに多少は面白く、興味もあるにはあるがどうもしっくりくる品が来そうにはない。


「これが最後の品です」


ユーノがレイジングハートから眼鏡のような物を取り出す。

一瞬この最後の品に期待したがただ遠くの物が見えるだけの眼鏡らしい

しかもかなり遠くしか見えないため使いどころが難しい品であるとのこと。

駄目か

そう俺が諦めかけたときユーノが突然に素っ頓狂な声を上げた。


「あれ?」


その驚きの声になのはと俺が不思議そうにユーノを見るとその手には小さな人形の手のような物が握られていた。

先程で最後の品と言っていたのにどうしたのだろうか?

忘れていたのだろうか?

そんな事を思いながらユーノに問いかけの言葉をかける


「どうしたんだ?」

「いやっ、それが…」


歯切れ悪そうに口ごもるユーノ。

本当に一体どうしたのだろうか?

若干の間をおいてユーノが驚いた理由を語る

その理由は分かりやすいものだった。


「こんな人形の手みたいな物は全く覚えがないんです」


つまり自分の見覚えのない物が自分のバックに入っていた、と言うようなことである。

まあ、誰だって自分の知らない物を自分の荷物入れや部屋などで見つければびっくりするだろう

それが人形の手だった場合、一人暮らしなら怖くて眠れなくなるくらいは驚きそうだ。

こうしてユーノの驚いた理由に納得したが

真の驚きはここからだった。

突如としてその人形の手が輝き始める


「なっ!?」

「ふぇ!?」

「なのは、みずなさん!僕から離れてッ!?」


ユーノがその輝きをどうにか止めようと何らかの魔法を発動する。

俺はその輝きからなのはを守ろうとユーノとなのはの間に割って入る。

そしてユーノの抵抗もむなしくその輝きは爆発的に強さを増して・・・










白色

それが現在目の前を埋め尽くしていた。

まぶし過ぎて何にも見えない

おもわず目をつぶる。

しかし


「お兄ちゃん!?」


驚きの声

その声に本能的に後ろにいるはずのなのはを振り向く

するとそこには俺を見て驚愕の表情を浮かべたなのは。

その驚きの顔に、またジュエルシードの時のように俺に何か変化が起きたのだろうか?と急いで自分の体を確認する。

すぐに理由は分かった。


「…腕?」


腕。

右腕ではなく左腕。

そう、失ったはずの腕が俺に付いていた。

しかしそれは人の腕というにはあまりに無骨な形で、

また大きさも間違いなくかつての俺の左腕の二、三倍は大きく

更に注目すべきはその腕は一目で作り物と分かる材質、

簡単に言うと金属と思われる素材で出来ている。


まさか


俺の頭の回転が自分でも信じられないくらいに回る

ユーノの覚えのない人形の手

生き返る際に言われた神のプレゼントという言葉

そして何より今までユーノやなのはが魔法を使う際に僅かに感じた力のようなもの

それが今俺の中を、左腕を中心に溢れているのが分かる。

これらから導きだされる答えは・・・

そこまで考えが回ったとき、ユーノが俺の思いついた答えと同じ事を叫ぶ


「デバイス!?」


魔法に詳しいユーノも同じ答えに辿り着いたからには確定と言っても過言でないだろう。

そう、デバイス。

それは俺が再び戦う事が可能になるには十分すぎる力。

つまり、神はこのまま俺が物語からフェードアウトするのは元から許さないという事、

俺が望もうと望まずともだ。

遅かれ早かれ、確実に俺は何らかの形でこのデバイスを手にしていた事だろう。

プレゼント

それが趣味の悪いあの神様らしい、皮肉な更なる戦いへの誘いの言葉だったわけだ。

ならば、と俺は思う。

現状の退屈で暇な日々から抜けだす手段は手に入れた。

やってやろう。

皮肉な神からの差し金でも、

退屈を嫌った心の望む最悪の戦う理由でも


妹を守る。


それが果たせるのなら。

やるしかない。

そうだ、やるしかない。

大事な事なので心の中で二回呟く。

そして、そんな時だ

不意に俺の体に誰かが飛びついてきた。

全くの予想外の出来事に体制を崩して後ろに倒れる。

誰が?

そう思い、倒れた後も俺のマウントポジションにいる誰かを見る。

それは


「ううっ…」


今にも泣き出しそうな顔をしたなのはだった。

なのはは呟く

良かった、と

お兄ちゃんがまた大怪我をしなくて良かった、と

俺はそんななのはの頭を右手で撫でる。

それが愛しい妹を幸せに出来る俺の唯一の事だから

なのはが笑顔に変わる。

ああ、そうだ

これだ

俺はこれを守るのだ。

いや、守らなければいけない。

そう、思わせてくれる素敵な笑顔だった。










そしてこの日を境に俺の平凡な日常は再び変化する。

それが良い変化とは言えないだろう。

でも、だけど、だ。

俺は胸を張って言おう


妹を守る


その誓いだけは決して変化していないと。

 
 

 
後書き

更新が遅れて申し訳ありません。
物語の終わりはもう構想しているのですが
そこまでの流れが中々…、といった感じで
やっと大体の構想は整ったのでペースを上げれるように頑張ります。 
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