ソードアート・オンライン~ニ人目の双剣使い~
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本戦
「とりあえずシノンと合流かな」
あの後の話し合いで死銃を排除するために一時的に協力関係を結ぶことに決めた。集合場所は特に決めなかったが問題ない
なぜならプレイヤーには全員というアイテムが自動配布されているのだ。十五分に一度全員の端末に全員のプレイヤー位置、そして名前が表示されるのだ
一番近いのが自分たちだった場合。そこで合流しようとそう決めたのだ
とはいえフィールドは直径十キロの円形。結構広いから簡単には出会えない
「っと最初のスキャンか」
地図を覗きこむ。近くにプレイヤーはいない。一番近いのは山岳地帯に一人。名前は
こいつはシノンから岩山の頂上付近から動かないプレイヤーであると聞いている。だからあまり気にしなくてもいいだろう
ちなみにおれがいるのは山岳の麓。草原地帯よりのあたりだな。さっき調べたがシノンは森林地帯に潜伏中。他には砂漠に五人。田園に四人。森林にはシノンを含めて四人。草原の北のほうに二人。都市廃墟に十三人。山岳には俺を含めて二人。そして……姿のない要注意人物
シノンから姿がない場合、洞窟内にいるって言ってた。おそらくそれだろう
それを確認するとちょうど光点は消えてしまった
「さてと……」
とりあえず、死銃の可能性があるの顔を拝みに行くとしますかね……
ピースメーカーの残り弾数。予備も含めて36発
俺はシノンとペイルライダーのいる森林の方へ足を向けた
「……鉄橋か……」
ものすごく狙われやすそうな場所である
「ふぅ……」
俺は今、鉄橋の近くに隠れている。というのもというプレイヤーをターゲットのが現在進行形で追い掛けているからだ。というわけで先回りをさせてもらったのだ
おそらくは死銃ではないと思う。なぜなら俺は死銃を一度控え室で目にしているがそいつの装備は後を追い掛け回すというよりも姿を隠して一撃で仕留めるといった感じのものだったからだ
シノンが近くで隠れているが合流は終わったあとでもいいだろう。シノンも要注意人物は知っているから確認できるまで撃たないだろうし
そうこうしているうちにダインは橋を渡り終わって伏射姿勢に入っていた
対するペイルライダーは無防備に橋に侵入したかと思うと、橋を支える紐を片手だけでグイグイ登り始めた
「へぇ……」
軽業スキルというのもあるらしい。おそらくその類いだろう
そんなマイナーなスキルを身につけているプレイヤーがいたなんて知らなかった
観ている俺はちょっと驚いた程度だが実際に戦っているダインはそうはいかない。あわてて銃口を上に向けるが伏射姿勢だったというのが災いした。伏射姿勢は上方への命中度が著しく低くなる。案の定ダインのばらまいた銃弾はすべて外れた
「なろっ!」
ダインもすぐに銃弾をリロードするも、ペイルライダーが持っていたショットガンのディレイ効果のためにろくに反撃もできず敢えなく敗退となった
「さすがに本戦まで来るプレイヤー。なかなかに強いな」
少なくとも技術ならキリトとまではいかないまでも中層プレイヤー上位並みである。まあ、見切りや聴音といったシステム外スキル。度量。それに生き残る力を見るとSAOのプレイヤーの方が遥かに上だろうが
「ん……?」
突如ペイルライダーが倒れた。ダインのようにDeadタグは出てないから死んではいないだろうが、倒れたまま動かない
理由として考えられるのは……
「睡眠……いや、麻痺か」
対巨大Mobように電磁スタン弾があるとは知っていたが、あれはかなりの大口径しか使えないしそれに一発当たりの値段がすごく高いため大会中ではお目にかかる機会がないと思っていた
だがなぜだ?見たところ装甲が薄いペイルライダーを電磁スタン弾で撃つ理由がわからない
電磁スタン弾を撃つことができるほどの大口径ならば通常弾で、しかも一撃で仕留めることができた
だが現実にペイルライダーは電磁スタン弾で撃たれている
そんな奇妙な行動をするプレイヤーはおそらくただ一人
「死銃……!」
ならばペイルライダーの命が危ない
素早く立ち上がると橋へ行く。場所がよかったのですぐにペイルライダーの前に立つことができた。そして先ほど弾が飛んできた方向をにらみつける
「……」
しばらくの沈黙。聞こえるのは葉が擦れ合う音と橋の下を流れる水の音のみだ
「来たな……」
姿は見えないが足音が聞こえた。水音などで紛れてしまいそうなほど小さかったが聴音を使ってギリギリ聞こえた
そして姿を現したのは全身をギリーマントで包み、顔に骸骨を模したマスクを被っているプレイヤー。目が赤く光っているのがまた不気味さを醸し出している
「お前が死銃か?」
俺はピースメーカーの銃口を突き付けながら言った
だが、そのプレイヤーはシュウシュウといった感じの風の音のような笑い声を上げる
「そうだ。俺が死銃だ。黒の剣士」
「ずいぶんと懐かしい名前を吐くがそいつは俺じゃないぞ?」
やはりこいつはSAO生還者。それもレッドプレイヤーで間違いない。俺はこの揚々の少ない声も風が吹くような笑い声も知っている
「いいや、おまえだ。キリトとリン。光と影の勇者」
「俺は勇者になった覚えはないがな」
俺と死銃は笑うがどちらも相手の隙を伺っているため空気が重い
後ろで倒れているペイルライダーもそれを感じているのか動かない
「だがおまえを倒すのが勇者いうならば勇者にでもなんでもなってやるよ」
「できるのか、おまえに。剣を捨て、そんな旧式の銃を握った、おまえに」
死銃から放たれる濃厚な殺気。これはVRMMOだから殺気なんてものは存在しないが確かに俺は威圧感を感じていた
「剣も銃もそうだが、どういう時に一番強くなると思う?」
「?」
「それは人を守るときだよ、ザザ」
「ほぅ……気付いていたか」
今度は嘲笑ではなく感心したような笑い
「それだけ特徴があるアバターをしていれば、な。赤目のザザよ」
「だが、おまえがログアウトしている間に二人……いや、三人のプレイヤーが死ぬぞ?」
ターゲットは三人か。そんなことをあっさりバラすってことはまだ余裕なのか?
「残念ながらそれは無理な話だな。なぜならおまえはここで俺が倒す」
「やれるものならやってみろ。影の英雄?」
俺はこの時、SAOでの対笑う棺桶の戦いを思い出していた
笑う棺桶。そのリーダーPoHの右腕にしてエストック使い、赤目のザザ。スピードならばあの閃光、アスナをも凌駕してみせた
俺が対決したのは一瞬。アスナを貫こうとしたエストックを弾いただけの一瞬。その後はキリトが斬り掛かっていたっけな
あの時のようにキリトもアスナもいない
しかも俺の手には剣は無い
だが、負けるわけにはいかない。あの時もそうだし、この時もそうだ
「行くぞ、ザザ」
「来い、リン」
後書き
蕾姫「早くも死銃との戦闘開始&正体の看破でした。キリトみたいにリンは脳筋ではないので←」
リン「キリトは脳筋じゃねぇよ。……ちょっと戦いが混じると猪突猛進なバカになるだけだ」
シノン「それを脳筋って言うんじゃないの?」
…………
蕾姫・リン「「!?」」
シノン「?」
リン「なんでいるの?」
蕾姫「原作キャラはあんまり入れないようにしてたのに……」
シノン「結構キャラが変わっちゃってるからいいんだって」
蕾姫「いいのか……」
次回は死銃との戦闘第二ラウンド
では感想その他お待ちしています!
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