ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者
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第八十二話 異変
それからと言うもの。闇慈はそれと言った問題も無く、執事修行をしていた。そして3日経ったある日の夜中・・・
「今日も何事も無くて良かった。フランやパチュリー様も僕の事を気に入ってくれたみたいだし・・・このまま何か問題でも起こらなければ良いけど・・・」
闇慈が玄関で掃除をしていると、ガタンと勢い良く玄関のドアが開くとメイリンが飛び込んできた。そして両手には何かを抱き抱えていた。
「メイリンさん?どうしたんですか?何時も寝ている貴女が顔色を変えて・・・」
「そんな事を言っている場合じゃないんです!!彼女が酷い怪我をしているんです!!パチュリー様か咲夜さんを呼んできて下さい!!」
「怪我!?・・・って君はサニーじゃないか!!」
メイリンが運び込んで来たのは闇慈にイタズラをした光の三妖精の一人、サニーミルクだった。全身には酷い傷があり、気を失っていた。
「分かりました!!直ぐに呼んできます!!」
~~~~~~~~~~~~
闇慈は逸早くパチュリーを呼びに行き、事情を説明すると運び込まれた病室に案内した。そしてパチュリーは治癒魔法をかけ、傷を塞いだ。それに伴いサニーの顔に血の気が戻り、寝息を立て始めた。
「パチュリー様、サニーは?」
「大丈夫よ、一命は取り留めたわ。でも気になる点があるわ・・・」
「気になる点?」
「彼女は妖精だってことは知っているわね?でも彼女から『魔力』や『妖力』を感じない・・・まるで何かに『吸い取れた』ように。元には戻ると思うけど不思議ね・・・」
その言葉に闇慈はハッとした顔になると傷を確認し始め、そこから微かに残っている力の残照を読み取った。
(・・・っ!!これはセイクリッド・ギアの力に酷似している!!でも何故僕の世界の物がこの幻想郷に!?もしこのセイクリッド・ギアを操っている奴が悪人なら不味い事になる!!セイクリッド・ギアに対抗できるのはセイクリッド・ギアだけ・・・フランを止めてくれた博麗の巫女も恐らく・・・くそっ!!)
「う・・・う、ん」
闇慈の考え事を遮るかのように、サニーが意識を取り戻す。闇慈はサニーに問いかける。
「サニー!サニー!」
「あ、アンジ・・・アンジ!みんなを・・・助けてよ!」
サニーは闇慈の姿を見ると飛びつき、涙を流し始めた。
「何があったの!?」
「私達が住んでいる森に妖怪みたいなのが入ってきたの・・・私達は弾幕とスペルカードで追い返そうとしたんだけど、妖怪はそれを振り払って、変な『手』みたいなので私達の魔力と妖力を吸い取っていったの・・・」
「魔力と妖力を吸収したですって?」
途中から入ってきたレミリアも疑問の声を上げる。力を吸収すると言う能力はこの幻想郷には存在していないからだろう。
「それに・・・スペルカードと弾幕が効かないと言うのはおかしいわね。気になるわ・・・咲夜。私達も行ってみるわよ」
「承知しました、お嬢様」
「アンジ。貴方はフランとメイリンで紅魔館の留守番をしておいてもらうわ」
その事にメイリンは猛抗議する。
「ですがレミリア様!相手は弾幕もスペルカードも効かない相手なのですよ!?どうやって・・・」
「私は紅魔館の主で吸血鬼よ。そう簡単にはやられないわ。それに霊夢も来ていると思うし、大丈夫よ。私は『家族』を残したまま死にはしないわ。行くわよ、咲夜」
「はい」
そう言うとレミリアと咲夜はそのまま出て行ってしまった。フランは心配になったのか闇慈に寄り添う。
「お兄ちゃん・・・お姉様、大丈夫かな?」
「お嬢様も吸血鬼、そう簡単にはやられないと思うよ」
この時、闇慈は別の答えを持っていたがフランを安心させるためにこう答えたが、心の中は心配で満ち溢れていた。
(やっぱり・・・僕も行くべきかな?でも今の僕が行った所で何になる?足手まといになるだけだ・・・)
闇慈が自己嫌悪に陥っている間にフランが・・・
「やっぱり・・・私も行ってくる!!」
「あ!!妹様!!」
メイリンを潜り抜け、レミリアの後を追った。
「不味い!メイリンさん!僕が後を追います!」
闇慈は慌てて外に飛び出したが、フランの姿が見えなかった。そして・・・
ドゴォォォォォン!!!
あの妖精の森で大きな爆発音が聞こえた。闇慈は聞こえてきた方向へ急いで走り始めた。
~~~~~~~~~~~~
「夢想封印!!」
「マスタースパーク!!」
妖精の森の中では紅白の巫女服を着た女子と白黒の魔法使いを思わせる服装の女子がその妖怪らしい人物と戦っていた。そしてお互いの最高技を放つが・・・
「ひゃーははははは!!!効かねえんだよぉぉぉぉ!!!」
その妖怪は上半身は男性だが・・・下半身は百足のような体格をしていた。そして全長4Mはある完全な化け物だった。
そして化け物は体を紫色の棺のようなもので包むと、結界からの爆発と閃光のような二人の攻撃を守り、傷一つ負わなかった。
「げえ!?私達の最高技が!?」
「これでもダメなんて・・・正直キツイわね」
「無駄だぜぇぇぇ。お前達の技はセイクリッド・ギアじゃねえみたいだしな!!この俺様のセイクリッド・ギア【絶壁の棺】『アブソリュート・コフィン』は壊せねえよ!!!」
「なあ霊夢。さっきからセイクリッド・ギアって言ってるけど何なんだ?」
「私が聞きたい位よ」
巫女と魔法使いはそれぞれの意見を述べ合っていたが、化け物は容赦なく襲い掛かる。
「次は俺様だぜぇぇぇ!!!行けよ!!ファングゥゥゥ!!!」
化け物が叫ぶと下半身の百足の足、一本一本から黒い触手のようなものが飛び出した。
「魔理沙。あれに捕まったら終わりよ!!色々と吸い尽くされてしまうわ!!」
「分かってるさ!霊夢!!あれ如きに遅れる私じゃないぜ!!」
霊夢と魔理沙はそれを避けていくが次の瞬間・・・
「ハッ!!!甘めぇな!!!」
二人は先程の紫色の棺に閉じ込められた。
「「なっ!?」」
「かかったな!!俺様の棺は自分を守るだけじゃねえ!!相手を閉じ込める事も出来んだぜぇぇぇ!!!さあ・・・俺のもう一つのセイクリッド・ギア【貪欲の牙】『グリーディ・ファング』でてめえらの力を吸い尽くしてやるぜ!!!行けよ!!ファング!!」
そして閉じ込められた二人に向かって先程の触手を伸ばしたが、途中で第三者の弾幕がそれを許さない。
「ああん?」
その化け物は一旦触手を戻すと撃ってきた方を向く。そこに居たのはレミリアと咲夜だった。
「霊夢、魔理沙。怪我は無いかしら?」
「「レミリア!!」」
「何だ?このガキは?てめえもこいつらの仲間か?」
「まあ・・・そんな所ね。貴方が妖精達の力を吸い取っていた者で間違いないわね?」
レミリアが力を解放しながら化け物に尋ねる。
「へえ・・・小さいなりして力はでけぇみたいだな?これは食いがいがありそうだぜ!!行けよ!!ファングゥゥゥ!!!」
「咲夜。貴方は霊夢と魔理沙を解放するために尽力を尽くしなさい!!」
「はい。お嬢様!!」
咲夜は霊夢と魔理沙を閉じ込めている棺を破壊しようとしたが、中々破壊する事が出来ない。そして化け物とレミリアは弾幕を張りながらお互いの力量を測っていた。
そしてその途中・・・
「お姉様!!フランも戦う!!」
フランが飛び出てて、レミリアの隣に並んだ。突然のことにレミリアは一瞬だが隙を作ってしまう。
「フラン!?どうして貴女がここに!?」
「戦いの最中に余所見してんじゃねえよ!!死ねぇぇぇ!!!」
「し、しまっ・・・」
化け物は大きめの魔力弾を作るとレミリアとフランに向かって放った。レミリアは間に合わないと悟ったのかフランを庇うように背を向ける。
(せめてフランだけでも・・・!!)
「お姉様!?」
「っ!!お嬢様!!」
咲夜は時を止める事が出来るが今回は遅かった・・・そして・・・
ドガアアアアアアン!!!
魔力弾は二人に直撃し、煙と砂塵が舞った。
「ひゃーはははははは!!!やっと殺してやったぜ!!!やっぱり最高だぜ!!殺しってやつはよぉぉぉぉ!!!」
「お、お嬢様ーーー!!!」
「そんな・・・」
「冗談だろ・・・?レミリアとフランが・・・死んだ!?」
咲夜は悲観な叫びを上げ、霊夢と魔理沙は受け入れがたい事に呆然としていた。そしてその砂塵が晴れてくると人影が段々と見えてきた。
「ああん?今ので死んでねえのかよ?」
化け物も少し驚いているようだったがその人影は二人とは別物だと言う事に気づくのは遅くなかった。砂塵が完全に晴れると人影の正体が露わになった。そして隠れていたブン屋はこう記している。
【風になびくは銀の髪、体に纏うは黒き衣・・・】
「何モンだ?てめえは?」
「俺か?・・・俺は」
【闇夜に光るは真紅の眼、そして掲げるは漆黒の鎌!!】
「死神だ!!さあ・・・貴様に『死』を見せてやる!!」
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