ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者
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第八十話 妹
「何処にいるのかな?この屋敷の中をうろついているって言ってたけど・・・」
午後二時。昼食を済ませた闇慈は次の仕事を咲夜に聞いた。今度はレミリアの妹の面倒を見るように言いつけられたが妹の姿を見つける事が出来なかった。何でも屋敷の中をうろついているらしく初めて来た闇慈にとってそれは困難なことだった。
そして探している闇慈が廊下の扉を開けた途端、何かが天井から闇慈に襲い掛かってきた。
「っ!!」
闇慈はそれを素早く受け止めた。しかし受け止めたのレミリアに良く似た金髪の少女だった。そして背中には七色に光る翼のようなものが付いていた。
「へえ・・・フランの不意打ちを受け止めるなんて凄いね」
「もしかして・・・君がレミリアお嬢様の妹?」
闇慈はゆっくりその金髪少女を降ろすと尋ねた。その少女は笑顔で答えた。
「うん。私はレミリアお姉様の妹、【フランドール・スカーレット】。フランって呼んで良いよ」
「僕は知っていると思うけど、黒神闇慈。フランが言ってくれたように言うなら、アンジ・クロガミ。よろしくね?フラン」
「うん♪アンジお兄ちゃん」
その後闇慈はフランの部屋に案内され、室内で遊んだ。
~~~~~~~~~~~~
暫く遊んだ後、闇慈はフランを自分の膝の上に乗せて、物語を読み聞かせていた。しかしその途中から・・・
「すぅ~、すぅ~」
疲れたのか闇慈の膝の上で寝息を立てていた。闇慈はフッと少し笑顔を零すとゆっくり持ち抱え、フランのベッドに寝かせ、毛布を掛けた。そしてその寝顔を見ながら疑問を過ぎらせる。
(一見小さな女の子だけど・・・力の大きさはレミリアお嬢様より、はるかに上回っている。その事をお嬢様が知っていない訳が無い・・・大きすぎる力か・・・くっ!!)
闇慈は『あの事』を脳裏に過ぎらせると顔をしかめて、拳を握る。
(っ!!ダメだ。今は給仕中だ。心を縛っていては支障が出てしまう!!・・・おやすみ、フラン)
闇慈が出て行こうとするとフランが起きていたのか闇慈の手を取り、それを妨げた。
「お兄ちゃん。何処に行くの?」
「あ・・・ゴメン。起こしてしまったみたいだね、フラン」
闇慈は再びフランの元に寄り添い、イスに腰掛けた。
「大丈夫だよ。・・・お兄ちゃん」
「ん?どうしたの?フラン」
「さっき、怖い顔してた・・・何かあったの?」
フランが少し怯えた目で闇慈を見ていた。闇慈はフランの頭を優しく撫でて気持ちを落ちかせた。
「見てたんだね。ゴメン・・・怖かった?」
「うん・・・優しい闇慈お兄ちゃんがあんな顔するなんて思ってなかったから」
闇慈はこの時、この力の事を話すべきか迷っていた。
話した所で何か変わるのか・・・。何か良い事でもあるのか・・・。心の傷が塞がるのか・・・。
闇慈は少し考え、出した答えは秘密にすることにした。
「ゴメンね、フラン。僕にも悩みの一つや二つはあるんだ。でもそれは教えてあげる事は出来ないだ」
「え~~。知りたいよ!!」
フランがダダをこね出したので、闇慈はフランに言い聞かせる。
「フラン。君が秘密にしていたいこと無理やり聞いてくる人を君はどう思うかな?」
「う~ん・・・壊す♪」
「笑顔で怖い事言うんだね・・・フラン」
フランの返答に闇慈は苦笑しながら、続ける。
「でもそれって今フランがやっていることと同じだよ。僕にも知られたくない事がある。それをフランが今聞き出そうとしている。違う?」
「あ~う。そう・・・」
「自分にされて嫌な事を他人にはしない。これ・・・僕と約束できるかな?」
「は~い」
「良い子だ。ご褒美にオヤツを作ってきてあげるよ。何が良い?」
フランの素直な返答に闇慈は笑顔で答え、オヤツを作ると言い聞かせるとフランはパァと笑顔になった。
「ホント!?じゃあ、フラン。クッキーが食べたい♪」
「クッキーか・・・少し時間が掛かるけど、良い子で待っていられるかな?」
「うん♪」
それを聞いた闇慈は一旦厨房に戻ろうとするとフランが闇慈にこう言った。
「お兄ちゃん。お兄ちゃんに何があったのかは分からないけど、フランはお兄ちゃんの味方だからね♪」
フランの言葉に闇慈は笑顔で答えた。
「ありがとう、フラン」
その後、闇慈が焼いてきたクッキーと淹れて来た紅茶で小さなお茶会を開いた。クッキーの出来栄えはフランも満足するほどだったみたいだ。
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