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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第百八十一話 傭兵

               第百八十一話 傭兵
金星に向かうロンド=ベル。彼等の進撃は順調だった。
「今のところはね」
「ああ」
「敵は来ないわね」
「何かあれだぜ?」
ゼオラとアラドが話をしていた。
「金星の前に大きな小惑星があってな」
「それを基地にしてるのね」
「ああ、メキボスさんの話だとな」
そういうものがあるとゼオラに話すのだった。
「そこに軍がいるらしいぜ」
「それじゃあそこに辿り着くまでは」
「敵はいないみたいだな」
そう話すのだった。
「どうやらな」
「つまりそこで最初の決戦になるわね」
オウカが二人の話に入って来た。
「金星に入る前のね」
「そうですね」
彼女の言葉にラトゥーニが応えてきた。
「そしてそこを足掛かりにして金星に」
「間違いなく激しい戦いになるわ」
「そうですね。それは」
「間違いなく」
ゼオラもアラドもその言葉に頷いたのだった。
「それじゃあこの戦いでまずは基地を手に入れて」
「そこから」
「そうなるわ。その基地は」
「既にメキボスから場所を教えてもらったよ」
万丈がオウカに応えてきた。
「もうね」
「そうなの。早いわね」
「こういうことはどんどん進めていかないとね」
こう言って微笑む彼だった。
「そしてそこにはね」
「はい」
「他にもわかってるんですか?」
「ゲストの戦力の三割がいるらしい」
今度は戦力についての話だった。
「どうやらね」
「三割ですか」
「結構いますね」
「半分でもいれば僕達に対抗できたんだろうけれどね」
万丈は今度はこんなことを言った。
「三割じゃね。確実に勝てるね」
「そうですね。大体戦力でバルマーの二個艦隊程度ですよね」
「そっからあのヘルモーズやズフィルードがいないとなると」
「あの三人の将軍の誰かがいてもまず問題はないよ」
万丈はそう分析していた。
「もっとも援軍が来るかも知れないけれどね」
「それでも一気に攻めて」
「勝てますね」
「その通りだよ。それじゃあね」
さらに言う万丈だった。
「行こうか」
「はい、わかりました」
「それじゃあ」
こうしてロンド=ベルはまずその金星上空に浮かんでいる基地に向かった。その頃その基地にはロフがいた。そうしてそこで言うのであった。
「ロンド=ベルが来るがだ」
「はい」
「それはもう聞いています」
部下達が彼に応えて言う。既に総員配置についている。
「我々の戦力でまずは」
「彼等を迎え撃つのですね」
「そうだ。だが」
ここでロフの顔が苦いものになった。そのうえで言うのであった。
「援軍を要請したのだがな」
「それはどうなったのでしょうか」
「ゼゼーナン司令は今ある戦力だけで戦えとのことだ」
「何っ、それではです」
「あのロンド=ベルにこの戦力だけですと」
「難しいものがある」
ロフもそう読んでいたのだった。万丈と同じである。
「数が足りない」
「はい、あのロンド=ベル相手にはです」
「とても」
これは部下達も思っていた。ロンド=ベルとのこれまでの戦いの結果である。92
「それでは我々に対して」
「捨石になれというのでしょうか」
「今ゲスト本国から援軍が送られることになっている」
ロフはここでまた言った。
「ゲイオス=グルードやライグ=ゲイオスばかりの親衛隊がな」
「ゲスト親衛隊が」
「彼等がですか」
「司令は彼等を切り札とされるおつもりだ。そして彼等が来る前にだ」
「時間を稼ぐ為に」
「それで」
ここで誰もがゼゼーナンの考えがわかった。彼の下にいるだけに彼がどういう人間なのかよくわかっていた。だからこそであった。
「我等を捨て石にして」
「そのうえで」
「そうだ。だがそれもだ」
ここでロフは半ば自分に言い聞かせて言った。
「戦略だ」
「そうですか」
「それでは」
「ましてや我等は傭兵だ」
今度は自分自身についての言葉だった。
「捨て石となるのもだ」
「戦略のうちですか」
「そうだというのですね」
「戦う。しかし命は粗末にするな」
これがロフの部下達への命令だった。
「いいな。決してだ」
「わかりました。では」
「その様に」
彼等はロンド=ベルを待ち受けていた。そうしてであった。
ロンド=ベルが彼等の前に出た。こうして戦いがはじまった。
「あの基地を奪取する」
大河が言った。
「そしてゲスト軍を倒す」
「へっ、一気に叩き潰してやるぜ」
彼の横にいる火麻がいつもの様に威勢のいい言葉を出した。
「それで金星に殴り込みだ!行くぜ!」
「わかりまシタ」
スワンが彼の言葉に応える。
「それでは」
「全軍攻撃ですね」
今度はスタリオンが言ってきた。
「今から」
「うむ、それでは諸君」
大河が彼の言葉に応えて述べた。
「総攻撃だ!」
「了解!」
「わかりました!」
こうして攻撃に入る彼等だった。一気に基地に殺到する。
それに対してロフは。基地を中心にして堅固な陣を組んでそれに対抗するのだった。
「いいか、できるだけ引きつけろ」
「はい」
「それでは」
「そうしてだ」
彼はさらに言っていく。
「生きろ」
またこのことを告げるのである。
「いいな。何があってもだ」
「生きろといわれるのですか」
「そうだ、生きろ」
それが彼の命令だった。
「わかったな」
「ですが我々はです」
「傭兵です」
正規軍もいる。しかしその大半が傭兵であった。傭兵といえばだ。
「盾になるものです」
「それをですか」
「傭兵やそういったことは関係がない」
これもまた彼の考えであった。
「わかったな。そういうことだ」
「傭兵であっても」
「生き残れと言われるのですか」
「戦え」
それは言うのだった。
「しかし無駄には死ぬな」
「無駄には」
「だからこそ」
「そうだ。生きろ」
この言葉を繰り返す。
「わかったな。それではだ」
「はい、生き残ります」
「戦い。そして」
「ゲストはこれで終わりではない」
そしてこうも言うのだった。
「あの男がいなくなろうともだ。ゲストはだ」
「では司令」
「それでは」
「来ました!」
そのロンド=ベルが遂に来た。そうしてだった。
「攻撃態勢に入っています!」
「我々もまた!」
「迎撃する!」
まさしくそうするというのだった。
「いいな。このままだ!」
「了解です!」
「では!」
こうして両軍の戦いがはじまった。ロンド=ベルが攻めゲストが防ぐ。基地での戦いがこうして幕を開けたのであった。
戦いは激しいものだった。だがすぐにゲストの劣勢が見えてきた。
「ここだ!」
バニングがGP-01を素早く動かしビームライフルを放つ。それにより敵をまとめて撃墜する。
そうしてそのうえでさらにモンシア達も攻撃に入った。
「よし来た!」
「ここでさらに攻めて!」
「穴を開けてやります!」
こう言って三人も一斉攻撃を浴びせる。三人で戦艦を一隻撃沈した。
「く、くそっ!」
「脱出だ!」
「無念!」
戦艦に乗る者達が慌てて退艦していく。沈む戦艦はそれだけではなかった。
「二番艦撃沈です!」
「そして五番艦もです!」
「戦艦も損害が出ているか」
ロフは報告を聞きながら呟いた。
「戦いがはじまって二分だ」
「はい」
「しかしもう三隻の戦艦が撃沈され」
「戦力の二割を失いました」
「もうです」
「やはり。この戦力ではか」
ロフは今度は歯噛みして呟いた。
「相手にはならないか」
「ですが閣下」
「ここはです」
「わかっている」
こう返す彼だった。
「それはだ」
「ではこのまま」
「戦い続けるのですね」
「その通りだ、最後まで戦う」
この意思は健在だった。
「だが。生き残れ、いいな」
「わかっています」
「では」
何とか踏ん張ろうとする。しかしここで。
彼等の後方から軍が来た。それは。
「まーーたせたな、ロフ!」
「何っ、御前は!」
ゼブであった。彼が軍を連れて来たのである。
「何故ここに」
「何故って、みーーーりゃわかるじゃない」
いつもの調子で返してきたゼブだった。
「そーーーなのはさ」
「見てわかるだと!?」
「援軍だーーーよ」
それだというのである。
「直接指揮できる軍連れてやってきーーーたぜ」
「正規軍の御前が何故だ」
「そーーーんなの言いっこなーーーしだよ」
また言うゼブだった。
「ロフちゃんほーーっておけますか。助太刀さーーせてもらうぜ」
「そうか、済まない」
そこまで聞いて静かに頷くロフだった。
「それではだ」
「そーーーさ、やらせてもーーーらうぜ」
こうしてゼブの援軍が来た。これでゲストの士気があがった。
「よし、これで!」
「まだ戦える!」
「やるぞ!」
こう言ってだった。彼等は踏み止まるのだった。
ロンド=ベルの攻撃は相変わらず激しい。しかしだった。
ゼブの援軍も来て彼等の戦力と士気があがった。それで持ち堪えるのだった。
「おいおい、こりゃよ!」
「ええ、そうね」
「強い」
ロンド=ベルの面々も思わず言った。
「これはかなり」
「陥落させるのは難しいわね」
アラドとゼオラも言う。二人も最前線で戦っている。
「けれどよ、ゼオラ」
「何?」
「これってチャンスじゃね?」
だがアラドはこんなことも言うのだった。
「今ってよ」
「何でチャンスなの?」
「敵がどんどん来てるじゃねえか」
彼が言うのはこのことだった。
「そうだよな、今」
「ええ、そうだけれど」
「じゃあその敵倒せばよ」
アラドはさらに言う。
「後の戦いはかなり楽になるぜ」
「そういえばそうね」
ゼオラも彼の言葉で気付いた。
「敵がいなくなれば」
「そうだろ?敵は減らせるうちに減らさないとな」
「そういうことね。だったら」
「ああ、性根据えて戦おうぜ」
これがアラドの結論だった。
「いいな、それで」
「わかったわ、それじゃあ」
「そういうことだよな」
「なら話が早いわ」
二人の言葉にジャーダとガーネットも応えてきた。二人のヒュッケバインも見事な動きを見せている。今も二人でスラッシュリッパーを放ち敵艦を撃沈した。
「くっ、脱出だ!」
「止むを得ん!」
ゲストの将兵達が急いで脱出する。戦いは彼等に有利なままだった。
「こうやってな」
「敵を減らしていけばね」
「その通りだ」
ランティスもここで言った。
「今のうちに倒し後はだ」
「あの頭にくるおじさんね」
プリメーラも言う。
「あのおじさんとの決戦にも」
「有利になる」
ランティスは彼女の言葉にも応えた。
「だからだ」
「ここはやっつけちゃうのね」
「いいな、それで」
「ええ、私はいいわ」
プリメーラは彼の考えにこれといって反論しなかった。
「ランティスがそう考えるのなら」
「わかった、それではだ」
こうして彼も戦う。そうしてであった。
ゼブの軍勢も倒していく。またしても数を減らしていくゲスト軍だった。
しかしであった。また来たのだった。
「ロフ、無事!?」
「セティ、御前もか!」
「そうよ、来たわ」
こう言って彼女の軍勢も来たのであった。
「貴方を放っておける筈がないわ」
「何故来た」
だがロフは不機嫌な顔で彼女に返した。
「俺のところに」
「貴方だからよ」
これがセティの返答だった。
「貴方だから来たのよ」
「許婚を捨てた俺のところにか」
「そんなことは関係ないわ、私は今だって」
「セティ」
「おーーーっと、それまでだーーぜ」
ここでゼブが話に入ってきた。
「悪いけーーれどよ」
「そうか、そうだったな」
「戦闘中ね」
「そーーーいうことさ、わーーかったらな」
「うむ、わかった」
「それなら」
彼等もそれに頷きであった。
セティの軍も来た。こうして三将軍が全て揃ったのだった。
それだけにゲストの攻撃は熾烈であった。ロンド=ベルもその進撃を止めた。
だがそれは一瞬だった。すぐに。
「横だ!」
洸が叫んだ。
「敵の横を衝くんだ!今だ!」
「横!?そうだな」
神宮寺が彼の今の言葉に応えた。
「今ここで敵の横を衝けば」
「一気に崩れる」
洸はまた言った。
「だからここで」
「よし、そうだな」
神宮寺は彼のその言葉に頷いた。
「横だ!横に兵を回してくれ!」
「ではまずは」
「私達が」
麗とマリはその言葉に応える。
「そこを衝いて一気に」
「敵陣を崩すのね」
「いつもながらですね」
猿丸は少し怯えながら言う。
「大胆ですね」
「いや、ここはそれが正解よ」
エルフィが話に加わってきた。
「じゃあ私達もね」
「そうね。それじゃあ」
キャシーもそれに続く。
「横を衝いて一気に」
「敵陣を崩す」
「それで勝てる」
ドニーとジャンもそれに賛成した。これで決まりだった。
四人も敵の左側面に回り込む。ラーゼフォンもまた。
「俺も!」
彼もだった。遥も続く。
そしてだった。フェイもまた動いた。
「ならばだ」
「あれっ、隊長」
「ここで動くんですか?」
「やっぱり我々も」
「側面を」
「そういうことなのね」
「そうだ」
フェイはアレックス達五人に対して答えた。
「それでいいな」
「ええ、いい判断だと思いますよ」
アレックスは微笑んで彼女のその考えに賛成した。
「ここはやっぱり。それですね」
「それではだ。行くぞ」
「了解です」
「それじゃあ今から」
「一気に」
「攻めましょう」
アレックスだけでなくジュゼとイワン、それにハンスも頷く。こうして彼等も向かう。
エターナルもだった。ラクスがバルトフェルドに言っていた。
「今ですね」
「はい、今敵の横を攻めれば」
「それで陣が崩れます」
彼女もわかってきていたのである。戦術が。
「だからこそここは」
「エターナルはこのまま敵陣に突っ込ませます」
「はい」
それでいいというのだった。
「ではその様に」
「ストライクフリーダム、インフィニティジャスティスも」
二機のガンダムもだった。そして。
「俺もだ!」
「貴方もですか」
「そうだ、俺も行かせてもらう!」
シンのインパルスディスティニーが真っ先に来た。ミーティアに乗っている。
「やらせてもらう!」
「わかりました。それではです」
「いいんだな、それで」
「勿論です」
こう返すラクスだった。
「貴方のその心」
「ああ」
「戦いを終わらせる為にあえて戦うその心」
それを言うのだった。
「見せてもらいます」
「わかった、それじゃあな!」
「おいシン」
「早いんじゃないかい?」
少し遅れてアスランとキラも来た。
「幾ら何でもだ」
「急ぎ過ぎだよ」
「そうでもなければやられる!」
この辺りは激情家のシンらしかった。
「だからだ、俺はだ!」
「そうか。それならだ」
「僕も!」
二人もシンの言葉に引っ張られた。
「行かせてもらう!」
「これからの平和の為に!」
「食らえ!」
早速ミーティアのミサイルとドラグーンを放つシンだった。
「これでゲストとの戦いもだ!」
「そうです、終わらせましょう」
また言うラクスだった。
「そしてまた平和に近付けます」
「では我々も」
「はい」
ラクスは今度はダコスタの言葉に応えた。
「砲撃を」
「わかりました」
今応えたのはアイシャである。
「正面に」
「はい、そうです」
戦いはロンド=ベルが側面を衝いたことで一変した。さしものゲストも崩れてきた。
「まずいな」
「そうね」
セティがロフの言葉に応える。
「このままじゃ」
「全滅する」
その危険を感じ取っていた。
「どうするかだが」
「撤退するの?それとも」
「撤退だ」
彼が下した決断はこれであった。
「さもなければ全員ここで死ぬだけだ」
「そーーだな、そーーれじゃな」
ゼブも賛成した。これで決まりだった。
「総員撤退する」
「次は金星ね」
「そーーこだね」
こう言って彼等は残った軍を連れて撤退した。これで戦いは一旦終わった。
ロンド=ベルは基地に入った。激しい戦いだったが何とかであった。
そうしてであった。基地に入りまずは多くの物資を手に入れた。するとそれは。
「これはまた」
「そうですな」
ギャリソンが万丈の言葉に応えていた。
「地球の物資と殆ど同じだね」
「エネルギーも弾薬もそのまま使えます」
「全くだ」
そうなのだった。
「地球の軍事技術を使っているとは聞いていたけれど」
「まさかこれ程までだったとは」
「いや、意外だね」
万丈の顔は少し拍子抜けさえしていた。
「ここまでとはね」
「左様ですな。しかし」
「しかし?」
「これはかえっていいことです」
こう言うギャリソンだった。
「これはです」
「いいのかい」
「補給に苦労しません」
だからだというのである。
「同じであればそれだけ」
「そうだね。言われてみればね」
万丈も納得した顔で彼の言葉に頷いた。
「同じならね」
「左様でございます。では万丈様」
「うん」
「これからダイターンの整備とワックスがけにかかります」
まさに彼の日課である。
「ですから私はこれで」
「いつも済まないね、ギャリソン」
「それは私の仕事でございます」
さりげなくプロフェッショナルなものも見せる彼であった。
「ですから。お気遣いなく」
「そう。だったらね」
「では。お任せ下さい」
こう言ってその場から姿を消す彼だった。しかし入れ替わりに。
「あっ、ナタルさん」
「その格好どうしたんですか!?」
「一体」
「ナタルさん!?」
万丈は声がしたその方に顔を向けた。するとだった。
そこにナタルと皆がいた。そのナタルの格好は何と。
「何でメイド服なんだろう」
万丈はそのナタルの格好を見て首を傾げさせてしまった。今の彼女はカチューシャまで付けて黒と白の見事なメイド姿になっているのである。
「一体あれは」
「何でその格好なんですか?」
「負けたのだ」
こうフレイに困った顔で返していた。
「ラミアス中佐にだ」
「マリューさんにって」
「一体何が」
「カードで遊んでいた」
それだというのである。
「それに負けた方がだ」
「メイドになるって」
「そんな勝負していたんですか」
「私は断るつもりだった」
幾分言い訳めいた口調になっていた。
「だが。押し切られてな」
「それでだったんですか」
「それで」
「これはかなり恥ずかしい」
実際に顔を真っ赤にさせてしまっている。
「どうしたものだ、これは」
「まあ負けたのなら仕方ないじゃないですか」
「そうそう、それだと」
「それに」
「それに?」
ここで周りの皆の声に応えるのだった。
「それに。何だ?」
「似合ってますよ」
「そうよね、これはね」
「かなりね」
これが周りの意見であった。
「スタイルいいから余計に」
「可愛いし」
「何着ても似合うじゃないですか」
「お、大人をからかうな」
その顔をさらに真っ赤にさせて言うナタルだった。
「私はだ。別にだ」
「別に?」
「どうかしたんですか?」
「好きでこんな格好をしているわけではない」
これは本音である。
「こんな格好はだ。とても」
「けれど本当に似合ってますよ」
ユリカが楽しく笑いながら言う。
「ナタルさんって本当に可愛いですから」
「可愛いか」
「はい、とても」
それはしっかりと言うのだった。
「奇麗ですよ」
「そうなのか」
何故かユリカに言われると少し違うナタルだった。
「ならいいがな」
「奇麗」
ステラも言ってきた。
「ステラも着たい」
「おっと、御前は駄目だ」
「特定の奴に刺激が強過ぎるんだよ」
しかしすぐにスティングとアウルが彼女に言ってきた。
「シンが発狂するからな」
「それは止めておくんだ」
「そうなの」
「全くシンときたら」
今度はフレイが困った顔で言う。
「ステラのことになったら発狂するからね」
「普段からかなり野生だけれどね」
ルナも言う。
「エイジそっくりだし」
「っていうか同じにしか見えない時あるわよ」
フレイはそのものずばりで言った。
「シスコンだしすぐ頭に血が昇るし馬鹿だし」
「確かに。そっくりよね」
「そりゃ私もさ」
ここで自分のことも言うフレイだった。
「マリューさんやユリカさんと他人の気がしないし」
「時々声そっくりになってるわよ」
「自覚してるわ」
それは彼女自身もなのだった。
「そのことはね」
「そうだったの。やっぱり」
「そりゃそうよ。ステラちゃんやリィルちゃんにもね」
「あんたもそうした人多いわよね」
「そういう意味だとレトラーデさんやミスティさんと同じね」
こうも言うのであった。
「あと霧生さんとも」
「そうそう。あの人とマサキって声同じに聞こえるのよね」
「何かそういう人は多いわ」
「それってかなり羨ましいわよ」
ルナは実際にそういう顔になっていた。
「パートナーがいるみたいで」
「まあ確かに」
言われてみればだった。フレイ自身もそう感じていることだった。
「それはあるわね」
「そうでしょ、やっぱり」
「だから私この部隊好きなのよ」
「自分と似てる人も多いからなのね」
「そういうこと。ただね」
「ただ?」
「びっくりする時もあるけれどね」
そういう時もあるのだという。
「ほら、例えば敵に似た声の人がいたら」
「ああ、よくあるわね」
それに頷くルナだった。
「ほら、サンドマンさんのお兄さんとマシュマーさんやライトさんって声似てるじゃない」
「あれは本当にびっくりしたわ」
そのことだった。
「メイシスさんだって。敵の時思わずリツコさんが言ったのかって聞きなおしたし」
「そうだったの」
「最初敵だった時にね」
その時の話だと話すフレイだった。
「もうね。そういうことって何度もあったのよ」
「あんたも色々あったのね」
「あるわよ。他にもね」
「他にも?」
「ジェリドさんなんか最初敵で。ヤンロンさんと戦ってる時は」
「どっちがどっちかなのね」
ルナもその事情はわかった。
「わからなくなったのよ。もう完全に」
「話が余計にわからなくなってってことね」
「あとは」
さらに話すフレイだった。
「ほら、アスランとかテリウスとか」
「あの二人?」
「メキボスと声似てない?」
「自覚はあるよ」
そのテリウスが出て来て言う。
「実際のところね」
「やっぱりそうなの」
「蝿とかさ。色々言われてるけれどね」
このことも言うテリウスだった。
「それは自覚あるから」
「私もよ」
今度はカナンが出て来た。
「太夫と言われるのも慣れたわ」
「全くだ。俺にしても」
コウまで来た。
「悪だの麻呂だのな。前は皇帝とか野菜王子だったのにな」
「そちらの世界との関わりはどうなっているんだろう」
キラも言う。
「僕緑の鮫になってたみたいだし」
「私なぞ犬だぞ」
レーツェルまで来た。
「犬になって大活躍だったのだが」
「もう無茶苦茶ね」
今言ったのはプリシラである。
「私も恐竜になった記憶があるし」
「誰でもそういう記憶があるのかな」
ブリットも言う。
「いやさ、俺も蝙蝠に愛着出て来たし」
「何か皆色々あるんだな」
リュウセイが来た。
「なあライ、御前もだよな」
「俺は一つ目のスナイパーになった覚えがある」
彼もであった。
「それがある」
「私なんかもっとですよ」
ユンも来た。
「あのですね、別に包丁持って恋人刺したりとか隅っこで領主とか白ブルマーとかはきませんから」
「ユンさん、一体何処の世界にいたの?」
フレイも彼女の言葉には唖然となっている。
「二つ位混ざってるけれど」
「何か随分と滅茶苦茶になってるみたいな」
「確かに」
皆そのユンを見て言う。さらに。
「そういえばフレイ、あんたも」
「私?」
「そう、あんたよ」
セニアが言うのである。
「レフィーナ艦長をお姉ちゃんって呼んでたでしょ」
「その記憶あるわ」
実は心当たりがあるのだった。
「そういうセニア王女だって」
「そうそう、深窓の令嬢だったわよ」
「そういう記憶あるわよね」
「何かね」
「みつめて?」
今言ったのはアヤである。
「私もそっちにもいたような」
「次の王様もね」
さらに言うセニアだった。
「そっちには他にも」
「私か?」
何とカティが出て来た。
「盗賊だったか」
「私はお嬢様だったわね」
レインもであった。
「確かね」
「わたくしもですわね」
「そうね。私も」
風とダイアナも登場した。
「プリシラさんにしましてもアイナさんにしましても」
「心当たりのあることよね」
「ええ、確かに」
アイナもそのことを認めて頷いた。
「あるわ」
「最早何が何だか」
「何とカオスな」
皆この状況にかなり呆れだしていた。
「誰もが心当たりあるって」
「ありとあらゆる世界にそういう記憶があるなんて」
「俺達って一体」
「俺なんかどうなるんだ?」
今言ってきたのは竜馬だった。
「ここにも似ている奴が多いし他のありとあらゆる世界にだ」
「ええと、世紀末の記憶は?」
「その時沙羅さんと一緒にいたら」
そうだというのだ。
「あと昔の東京で大次郎とよく喧嘩していたな」
「他にレスラーでしたよね」
「そんなに青筋立てんでええやねん」
ついつい言う彼だった。
「さやかさん」
「そうそう、何かその言葉懐かしいわ」
実際に応えて言うさやかだった。
「もうね」
「俺なんか最近よ」
甲児もだった。
「角生えた光の巨人に愛着が出て来たぜ」
「メビウス以降よね」
「ああ、そうなんだよ」
こうさやかに返すのだった。
「何かよ。世界って不思議だよな」
「少なくとも世界は一つじゃない」
今言ったのはアムロだった。
「俺もそれはよくわかる」
「全くだ」
竜馬も彼のその言葉に頷く。
「何かとな」
そんな話をしているうちに時間が過ぎていく。そうして整備と補給を終えた彼等はいよいよ金星に降下し最後の戦いに挑むのであった。

第百八十一話完

2010・1・9
 
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