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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第百七十七話 対決四天王

            第百七十七話 対決四天王
    ロンド=ベルはいよいよインスペクターの本拠地に駒を進めた。
「さて、正念場っていうか」
「関ヶ原っていうか」
「ワーテルロー?」
そんな感じであった。
「今こそまさに」
「正念場だけれどね」
「腕が鳴るぜ」
今言ったのは甲児である。
「全力で叩き潰してやるか」
「甲児君はいるもじゃない」
すぐにさやかが彼に突っ込みを入れる。
「そうやってはやるのは」
「まあそうだけれどな」
彼自身それを認める。
「それはな」
「兜らしいだわさ」
ボスもそれを言う。
「けれどここで兜が嫌だとか言ったら」
「インスペクターよりそっちの方が」
「怖いでやんすよ」
ヌケとムチャがそれを言う。
「兜はやっぱりそうじゃないと」
「かえって不気味やんすよ」
「全くだ」
鉄也も同じ意見であった。
「甲児君がそうだと確かに拍子抜けする」
「そうね。そして今は確かにね」
ジュンもここから話す。
「積極的に攻めるべき時だし」
「ギッタンギッタンにしてやるわよ」
マリアも甲児と同じであった。
「ここで完全にケリをつけてあげるわよ」
「それじゃあこのままね」
ひかるは穏やかであった。
「行きましょう、大介さん」
「うん、ひかるさん」
彼も普段通りであった。
「行こうか」
「それじゃあもうすぐだよな」
「そうね、もうすぐだね」
忍と沙羅の目が強くなっていた。
「奴等が出て来たらすぐにな」
「全力で叩き潰してやるわよ」
「何かインスペクターはそんなに悪い奴等じゃないみたいだけれどね」
「そうだな。それはな」
それは雅人と亮も感じていた。
「話のわかる連中みたいだけれど」
「ガルラ帝国と比べたらかなりな」
「それは確かだな」
アランもそう見ていた。
「しかしだ。戦いは戦いだ」
「やるってしかないからね」
ライラが言った。
「今はね」
「そうだな。しかしゲストと兵器が同じだしな」
ジェリドもそれを言う。
「色々とあるっぽいのは間違いないからな」
「来たぞ」
ここでカクリコンが皆に告げる。
「レーダーに反応だ」
「皆さん、御願いしますよ」
カラスがここで告げる。
「敵が来ましたから」
「わかったわ。それじゃあ」
「行かせてもらいます」
マウアーとサラが応える。こうしてロンド=ベルは出撃した。
既にインスペクターの大軍が展開していた。いよいよであった。
「へへへ、随分いやがるな」
「はい、隊長」
「数は。そうですね」
ヤザンにラムサスとダンケルが応える。三人は相変わらずハンブラビである。
「十万は優に超えています」
「二十万近いかと」
「まさに決戦だな」
ヘンケンはここまで聞いて述べた。
「向こうにしてもな」
「あの四人も全員います」
その彼にナタルが報告する。
「どうやら彼等にしても」
「まさに正念場というわけだな」
「はい、それでは」
「全軍攻撃用意」
命令は一つしかなかった。
「いいな、それではだ」
「了解です」
アドレアが応える。
「それでは」
「さて、ここで勝利を収めれば」
ヘンケンはラーディッシュを前進させながら述べた。
「また敵が一つ減るな」
「そうですね。それは大きいです」
ナタルもそれはよくわかっているのだった。
「実に」
「それではだ」
こうして彼等は戦いに入った。またしてもロンド=ベルとインスペクターの戦いがはじまったのであった。両者の決戦がこの月において。
インスペクターは数を頼んで幾重にも防衛ラインを敷いていた。しかしであった。
第一ラインはあっさりと退けられてしまった。
「どけっ!」
忍が吠える。断空砲を放ってそれで敵機をまとめて撃墜する。
そうしてであった。今度は断空剣を抜いて敵を切り倒していく、まさに獣神だった。
「手前等が幾らいてもな!」
「あたし達の敵じゃないんだよ!」
沙羅も叫ぶ。
「まずは一つだね!」
「そうだ、この調子で行くぞ」
雅人と亮もいた。第一ラインはあえなく突破された。
そして第二ラインもだ。また突破されたのだ。
「くっ、僅か二分でか」
「突破されたな」
メキボスはそれを見てヴィガジに応えた。
「あっという間だな」
「忌々しいことにな」
ヴィガジはこう言って歯噛みさえしていた。
「どうする?ここは」
「守り抜くしかないな」
メキボスはまたヴィガジに告げた。
「とりあえずはな」
「そうだね。忌々しいことにね」
アギーハは歯噛みしていた。
「今の状況はね」
「・・・・・・・・・」
「ここに来ればだ」
ヴィガジはその目を鋭いものにさせていた。
「我々も相手をしなければならないな」
「そうなれば容赦はしない」
メキボスもそのつもりだった。
「いいな、敵をまとめて倒すぞ」
「サンダークラッシュを使うつもりだな」
「そうだ」
まさにそうだというのである。
「いいな、やるぞ」
「わかった。ではその時はだ」
「頼んだよ」
「・・・・・・・・・」
「とにかく勝たないと意味がないからな」
メキボスはまた言った。
「さもないと奴等を宇宙に出してしまうことになるからな」
「そうだな。しかしメキボス」
ここでヴィガジが首を捻るのだった。
「地球人は果たして本当に野蛮で好戦的なだけなのか」
「そうだね。それはね」
アギーハもここで言う。
「何か違うみたいだね」
「ウェンドロ様の御言葉を疑うわけではないが」
ヴィガジはそれは否定した。しかしであった。
「どうも無闇に野蛮な存在ではないのは間違いない」
「むしろ」
メキボスはここで呟いた。
「あいつの方が」
「あいつ!?」
「あいつって誰だい!?」
「いや、何でもない」
ヴィガジとアギーハの今の問いには答えなかった。
「気にするな」
「そうか、それではだ」
「別にいいけれどね」
「ああ。しかしな」
ここでメキボスはあらためて戦局を見る。するとであった。
進撃はさらに続いていた。ロンド=ベルはもう戦力の六分の一を撃破していた。
「もうか」
「ここまでやるなんてね」
「やはり強いな」
「・・・・・・・・・」
四人はそれぞれ言った。
「どうやらここに来るのもだ」
「有り得るね、充分」
「覚悟を決めておく必要があるな」
「・・・・・・・・・」
戦いはロンド=ベル有利に進んでいた。彼等もまた戦っていた。
「よし、このままだ」
「了解!」
キャラがハマーンに応える。応えながら拡散メガ粒子砲で敵を叩く。
それで敵機をまとめて吹き飛ばす。ハマーンもまた。
「ファンネル!」
キュベレイのそのファンネルを放つ。それで敵機を取り囲み一掃する。
爆発が複数起こる。ハマーンはその爆発を見届けながら接近してきた敵をビームサーベルで貫く。やはりその操縦は見事なものである。
「生憎だが私も勝たせてもらう」
そして言うのだった。
「せめて脱出して逃げるがいい!」
「うわ、相変わらずだなあの人は」
ケイスケはモニターからそのハマーンを見ながら思わず言った。
「物凄く強いよ」
「そうね。ただ」
「ただ?」
今度はヒカリの言葉を聞く彼だった。
「それだけ強いから頼りになるのよ」
「それはわかってるけれど」
「それでよ」
ヒカリはここでケイスケに言ってきた。
「レーダーはどうなの?」
「敵は随分減ったな」
彼はこう答えた。
「もう半分まで減ったよ」
「そう、半分ね」
「まだどんどん来てるけれどね」
こうも言いはする。
「一応半分は減ったよ」
「一時間で十万機ね」
「あと一時間で倒せるかな」
「倒さないといけないのよ」
こう言い換えさせる彼女だった。
「ここはね」
「何か大変な話だよな」
「何言ってるのよ、いつものことじゃない」
それはいつもだというのだ。
「だからよ。わかったわね」
「ああ、それじゃあな」
こうして彼等も自分達の仕事をする。ロンド=ベルは総員奮闘していた。
そして遂にインスペクターの最終防衛ラインにまで辿り着いた。その頃にはだ。
四天王の近くまで来ていた。そしてここで。
「行くぞ」
「わかった」
「じゃあ頼むよ」
ヴィガジとアギーハがメキボスを送り出す。グレイターキンが前に出た。
そしてロンド=ベルの中に入り。一気に技を出すのだった。
「喰らえっ、サンダークラッシュ!」
「!?これは」
「電撃か!」
それがロンド=ベルを襲う。彼等は瞬く間に大ダメージを受けた。
「くっ、まずい!」
「今攻撃を受けたら!」
「その今だ!」
メキボスはその彼等にこう返した。そしてであった。
四天王の他のマシンも来たのであった。
四機で一斉にロンド=ベルに襲い掛かる。その強さは。
「そう簡単に敗れはしない!」
ヴィガジのガルガウがその爪と牙で暴れはじめた。ダイゼンガーにそれで襲い掛かる。
しかしゼンガーはそれを剣で受け止め。そのうえで言うのだった。
「その気迫やよし!」
「よしというのだな」
「そうだ。今ここで貴様等を認めよう!」
言うと一旦間合いを取って攻撃を再び繰り出してきた。
だが今度はガルガウが受ける。両者の姿勢が入れ替わった。
そしてここで。ゼンガーはまた言うのであった。
「どうやら迷いがあるな」
「迷いだと」
「そうだ、貴様の爪と牙にはそれがある」
こう言うのである。
「この戦いにおいてな」
「少なくともわかったことがある」
ヴィガジもそれは否定してこなかった。
「あることがだ」
「それは何だ?」
お互いに攻防を繰り出しあいながらのやり取りであった。
「そのわかったこととはだ」
「君達地球の人類はだ」
かなり冷静な口調であった。
「我々と違うことはない」
「それか」
「決して野蛮でも好戦的でもない」
それがわかったというのである。
「それはわかった」
「そうか」
「だが。君達が危険だという認識はだ」
「変わらないというのだな」
「変えられないのだ」
こう言うのであった。
「それは言っておく」
「ではどちらにしろ戦うというのだな」
「その通りだ。君達を倒す」
言いながらその爪を再び繰り出してきた。
「ここで倒させてもらう、いいな」
「生憎だが我々にも事情がある」
ゼンガーはその彼等に対して剣を振るう。それで彼に対する。
「そう簡単に倒れる訳にはいかない」
「交渉決裂だな」
「では。やらせてもらう」
こうしたやり取りをしたうえで両者は戦い続ける。そして万丈はメキボスと戦っていた。彼のそのソードが凄まじい唸り声をあげてダイターンに襲い掛かる。
「おっと!」
万丈はそれを剣で受け止めてみせた。
「やるじゃないの、自信だけはあるようだな」
「この高周波ソードも受けるか」
「確かに性能は凄いみたいだね」
万丈もまた不敵な笑みを浮かべていた。
「実力もだけれどね」
「まあこの高周波ソードもな」
メキボスはここで笑って述べた。
「そっちの技術だしな」
「そっちの?」
「おっと、ここから先は言わねえぜ」
彼はここでは口をつぐんだ。
「しかしだ。あんた達のことはおおよそわかってきた」
「へえ、どういう風にだい?」
「俺達と同じだな」
言うことはヴィガジと同じであった。
「決して邪悪でも何でもないな」
「それは理解してくれたんだね」
「むしろだ」
ここでメキボスの眉が顰められた。
「あいつの方がまずいな」
「あいつ?」
「このことも言うつもりはない」
メキボスはまた口をつぐんだ。
「悪いがな」
「そうなのかい。秘密主義ってやつかな」
「そんなところだ。じゃあいいな」
「そうだね。決着をつけるとするか」
「受けるんだな、これを!」
一旦間合いを離しそのうえでグレイターキンからそれを放つのだった。
赤い円形のビームが放たれた。
「フォトンビーム砲!」
「!?これは!」
「グレイターキンも伊達にあるわけじゃない!」
こう言って放ったのである。それでダイターンを一気に倒そうとする。
アギーハもまた。アイビス達のハイペリオンと闘っていた。ハイペリオンの超絶的な機動力に対して遜色なく闘いを進めていた。
「さあ、幾ら素早くてもね!」
「くっ、こいつ!」
「速い!」
アイビスもスレイもその素早さにまずは戸惑った。
「この速さ、ハイペリオンよりも」
「上だというのか!?」
「いえ、大丈夫よ」
戸惑いを感じはじめた二人にツグミが告げる。
「この速さならまだ」
「いける!?」
「大丈夫だというのか」
「ええ、安心していいわ」
こう二人に言うのである。
「ハイペリオンの速さなら」
「そう、ツグミが言うのなら」
「その通りだな」
ここで二人のツグミへの絶対の信頼が出た。そうしてだった。
「行くよ、それじゃあね」
「ええ、御願い」
「行け、アイビス」
二人はアイビスの言葉に応えた。すると。
一気に加速する。それで一旦シルベルヴァントを振り切った。
「何だって!?このシルベルヴァントを」
「生憎だがハイペリオンの速さだ!」
スレイが驚くアギーハに応える。
「そう簡単に合わせられるものではない!」
「動きも負けない!」
アイビスもまた言う。
「この程度の攻撃!」
「ちっ!」
アギーハの攻撃がかわされたのだった。それを見て歯噛みする。
「何て奴だい」
「動きなら負けはしない」
「どんな攻撃もかわしてみせる!」
「言ったね!」
それを聞いてであった。アギーハは激昂した。
その彼女は一気に攻撃に出た。
「あたしを怒らせたね!」
「来た!」
「アイビス!」
「わかってる!」
「受けな、ボルッテクシューターーーー!」
シルベルヴァントから鋭い竜巻が放たれる。それでハイペリオンを撃たんとする。
その竜巻が近付いたところで。アイビスは一気に動いた。
「行くよ、ターン!」
「ええ!」
「それではだ!」
ハイペリオンが分身した。それでその竜巻をかわしたのであった。
「何だって!?」
「よし、やった!」
「いけるわ!」
アイビスとツグミが同時に叫んだ。そのボルテックシューターを無事かわしたのだ。
「このボルテックシューターをかわすなんて」
「言った筈だ!」
スレイが彼女に返す。
「どんな攻撃でもかわしてみせるとな!」
「そういうことだよ」
アイビスも言う。
「私達だって意地があるんだ。だから!」
「やっぱり大したもんだよ」
ここでアギーハはこんなことも言った。
「あんた達はね」
「!?いきなりどうしたんだ?」
アイビスはその彼女の言葉に怪訝な顔になった。
「態度をあらためて」
「事実を言ってるんだよ」
こう彼女に返すアギーハだった。
「あんた達は伊達にバルマー帝国を退けてるわけじゃないね」
「それを言うのか」
「一体何故だ」
「あんた達は決して馬鹿じゃないね」
アギーハはまた言った。
「それに強いね。それでいて」
「それでいて?」
「何だというのだ?」
「野蛮でも好戦的でもないね」
彼女もまたこのことを言うのである。
「それも間違いないね」
「それがどうしたというの?」
鶫が彼女のその言葉に問うた。
「だからといって戦いを止めるわけでもないみたいだけれど」
「止める訳にはいかないからね」
彼女も同じことを言うのである。
「だからね」
「そう。だからなんだね」
アイビスが彼女の言葉に応える。
「なら戦うしかないのか」
「そうさ、戦うからには全力だよ!」
「わかった、それならこっちも!」
「容赦はしないわ!」
「勝つ!」
三人は同時に叫んだ。そうして今両者は再び激突した。
大雷鳳はドルーキンと闘っていた。シカログのそのハンマーを何とか受ける。
「・・・・・・・・・」
「くっ、このハンマーは!」
「トウマ!」
ミナキが彼に声をかける。
「大丈夫なの?」
「ああ、何とかな」
こう答える彼だった。
「大丈夫だ」
「そう、よかったわ」
「ただ」
しかしここでトウマの顔が歪んだ。
「このハンマーは」
「そんなに凄いの」
「あのバラン=ドバンに匹敵する」
まさにその域だというのである。
「これは」
「あれだけだというのね」
「こいつ、やっぱり手強い」
また言う彼だった。
「この攻撃は」
「トウマ、それじゃあ」
「ああ、俺もやる」
彼の気がさらに高まった。
「そして。倒す!」
「ええ、御願い!」
そのトウマに告げるミナキだった。
「倒して、ここは!」
「このドルーキンだったよな」
「ええ」
「何か」
ここでまた言う彼だった。
「俺達に似ているな」
「似ているというのね」
「ああ、似ている」
こう言ってであった。あらためて身構えるのだった。
そのうえで拳を繰り出す。しかしだった。
それは受けられてしまった。ドルーキンの腕によって。
「くっ、やっぱりな!」
「強いのね」
「動きが俺達のマシンに似ている」
そうだというのである。
「これは」
「そういえば確かに」
ここでミナキも気付いたのだった。
「似ているわね」
「それならだ。俺にも考えがある」
「考えが?」
「一か八かだ。やってみる」
言いながら再び身構えるのだった。
「俺もだ」
「ええ、じゃあ頼むわ」
ミナキはトウマを信頼して告げた。
「ここはね。貴女に任せるわ」
「よし、それなら!」
トウマはこうして攻撃に入った。そうしてであった。
ゼンガーは剣を構えた。その巨大な斬艦刀を身構えた。
「参る!」
「決着をつけるというのか」
「そうだ。これで決める」
こう話す彼だった。
「行くぞ、いいな」
「いいだろう。俺もまた」
言いながらその爪を構えるのだった。
「そろそろだ。決めさせてもらう」
「そうか。ならば次の一撃がだ」
「そうだな」
「お互いの決め手となる」
「誇り高き地球の剣士よ」
ゼンガーをさした言葉である。
「来るがいい」
「逃げはしないということか」
「そうだ、受け止めてみせよう」
これがヴィガジの考えであった。
「ここでだ。それで見極める」
「地球人がどうかということかをか」
「そうだ、確かにだ」
それが彼の考えであった。
「見せてもらう。ならば来るのだ」
「いいだろう、それではだ」
「来い!」
「参る!」
ゼンガーが今動いた。そうしてであった。
「斬艦刀、電光斬り!」
大きく旋回したうえでガルガウに向かう。そうしてであった。
「チェストーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」
その剣で思いきり斬る。それで決まった。
「我が剣に」
「ぐうう・・・・・・」
「断てぬものなし!」
「見事だ・・・・・・」
ガルガウは袈裟懸けに斬られていた。最早動くのは不可能だった。
「やはり俺の目は正しかったな」
「脱出しろ」
ゼンガーはここでそのヴィガジに告げた。
「それだけの余力は残っている筈だ」
「俺に生き恥を晒せというのか」
「そうではない」
「ふふふ、そうだな」
彼のその言葉を受けて不敵に応えた。
「貴様はそうした男ではないな」
「そうだ、それはわかった筈だ」
「生きてさらに先を進めというのだな」
「少なくとも貴様はその価値がある男だ」
だからだというのである。
「生きるのだ。いいな」
「わかった。ではそうさせてもらおう」
ヴィガジもその言葉に頷くのだった。
「撤退させてもらう」
「では。また会おう」
こうしてガルガウは爆発したがヴィガジは脱出した。少なくとも彼はこの闘いでは死ななかった。あえて生き残ったのである。
そしてメキボスもまた。
「お互いしぶといな」
「全くだね」
笑ってこう返す万丈だった。
「それはね」
「しかしだ。俺も結構往生際が悪くてな」
「まだやるっていうのかい?」
「そうさ、これでな!」
またその全身に雷を宿らせてであった。
「サンダークラッシュ!」
それをダイターンに放った。その速さは万丈とても避け切れなかった。
激しいダメージを受けてだ。彼は言うのであった。
「くっ、これはまずいね」
「それでもまだ落ちないっていうのか」
「生憎だけれど僕も往生際が悪いんだ」
メキボスの言葉をあえて返してみせたのである。
「それは言い忘れたけれどね」
「じゃあまだやるっていうのか」
「そうさ、けれど僕ももう限界だ」
こう言ってであった。
「これで決めさせてもらうよ」
「何をするつもりだ?」
「さあ、行くよ!」
構えを取っての言葉である。
「日輪の力を借りて今!必殺の!」
こう叫んで、であった。その額に太陽の光を集める。
そのうえでそれを放った。
「サンアタック!」
「何っ!」
それはグレイターキンの腹を直撃した。とてもかわせる速さではなかった。
「な、何だこの光は!」
「この光を外すことはできない!」
万丈はここでまた言う。
「そして!これで!」
「何っ、今度は!」
「これで止めだ!」
こう言ってであった。ダイターンは高らかに跳び。
「ダイターンクラッシュ!」
「うおおおおおおおおっ!」
両足で蹴り抜かれた。グレイターキンはそれで完全に動きを止めてしまった。
「くっ、このグレイターキンをか!」
「勝負あったな」
「確かにな」
それは彼も認めることだった。
「どうやら御前等地球人は俺が思っていた以上だな」
「認めたっていうのかな」
「そういうことだ。これで俺も決めた」
また言う彼だった。
「俺の進むべき道を歩く」
「進むべき道を?」
「少なくともあんた達は宇宙の脅威にはならない」
それがわかったというのである。
「それは確かだ」
「それもわかったっていうんだね」
「そうさ。もう俺は敵にはならない」
このことも告げた。
「まあよっぽどのことにはならない限りはな」
「じゃあこれでインスペクターとの戦いは終わりかな」
「いや、残念だがな」
しかしここでまた言うのだった。
「そうはならない」
「?どういうことだい、それは」
「あんたも闘いの複雑さはわかってるよな」
このことを言うのである。
「そうだな。それはな」
「まあね」
それは万丈も否定できなかった。
「これだけ戦っていればね。それはね」
「そういうことさ。悪いが戦いはまだ続く」
「最後の戦いはかい」
「そこで見るかもな」
また言うのだった。
「色々とな。だが俺は決めた」
「君の道を行くことをだね」
「そうさ。それはもう決めた」
メキボスの言葉は晴れ渡ったものになっていた。
「だからだ。今日はこれでな」
「撤退するのかい」
「そうさせてもらう。グレイターキンはまだ何とか動ける」
本当に何とかであった。戦闘不能ではあったがそれでもだ。
「今のうちに撤退させてもらうぜ」
「それじゃあまただね」
「ああ、これでな」
こう言ってであった。メキボスも撤退した。そうして。
アイビス達とアギーハの戦いもいよいよ佳境になっていた。
その中でだ。スレイがアイビスに告げてきた。
「いいか、アイビス」
「決めるのね」
「そうだ、今こそだ」
こう言うのであった。
「それでいいな」
「そうね、今がその時ね」
アイビスも彼女のその言葉に頷いた。
「本当にね」
「ではいいな」
「ツグミ」
「ええ、私もスレイと同じ考えよ」
ツグミも言ってきた。
「今こそね」
「よし、それじゃあだ」
「あれをやるよ」
アイビスは言った。
「こうなったらね」
「そうか、あれか」
「あれなのね」
「一撃で決めたい」
これがアイビスの考えだった。
「だから。あれで」
「わかったわ。けれどアイビス」
「何?ツグミ」
「出せるのは一撃だけよ」
それで終わりだというのだ。
「今のハイペリオンの状況だと」
「ダメージを受け過ぎた」
スレイが今のハイペリオンの状況を見て話す。
「それで決められなければ。終わりだ」
「一か八かなんだね」
「それでもいいのね」
「ああ、それしかない」
アイビスはこのことがはっきりとわかっていた。だからこその今の言葉だ。
「今はね。それで」
「ええ、じゃあアイビス!」
「行くぞ!」
「二人共動きを合わせて!」
こう叫んでであった。ハイペリオンは一気に加速した。
「来たね!」
「これで決める!」
アイビスはアギーハに対しても叫んだ。
「何もかも!」
「なら。あたしも容赦はしないよ」
アギーハは凄みのある顔で三人に返してきた。
「それならね!」
ボルテックシューターを放つ。しかしであった。
「これで!」
「完全にかわしただって!」
「今の私達にはだ!」
「その攻撃でも意味はないわ!」
スレイとツグミが同時に言う。
「決めろアイビス!」
「ターゲットロックオン!」
さらに言う。
「コンタクトオープン!」
「ファイアリングロックオープン!」
何もかもが解放されシルベルヴァントにありったけのミサイルが放たれる。
そうしてであった。
「マニューバーGRaMXa」
「ええ、それで!」
「いって!」
「フィニッシュ!」
体当たりを浴びせそこにビーム攻撃も放つ。それで決まりであった。
さしものシルベルヴァントも完全に動きを止めてしまった。
そしてアギーハはその中で言うのであった。
「負けだね」
「それでどうするつもりだ?」
「そうだね、ここは脱出させてもらうよ」
彼女が選んだ選択肢はこれであった。
「どうもまだ死ぬ時じゃないみたいだしね」
「そうするんだね」
「また会うことになるだろうね」
彼女は笑って三人に告げてきた。
「ただね」
「ただ?」
「何だというのだ?」
「ウェンドロ様には気をつけるんだね」
このことも言うのであった。
「それはね。よくね」
「ウェンドロに気をつけろ」
「そう言うのか」
「そうさ。気をつけるんだよ」
こう言うのである。
「それはよくね」
「気をつけるだと」
「それは」
「そうさ、それだけは言っておくよ」
シルベルヴァントの各部から火が起こっていた。もう限界であった。
「それじゃあね。あたしはこれでね」
「ウェンドロっていったら」
「インスペクターの総司令官よ」
ツグミがアイビスに答える。
「その彼に気をつけろ」
「やはり最後まで戦いは避けられないのか」
スレイは話を聞いてこう述べた。
「そうなのか」
「そうだな。そして」
「恐ろしい相手」
「決戦になりそうだな」
三人でそれぞれ話していく。
「インスペクターの最高司令官ウェンドロ」
「一体何者なのか」
「そうだな」
そんな話をしながらアギーハの脱出を見届けるのだった。
シルベルヴァントは爆発しその中に消えた。だがアギーハは撤退してしまった。少なくとも彼女達の戦いはこれで終わったのであった。
そしてであった。トウマとシカログの戦いも。最後の局面を迎えていた。
「ミナキ!」
「ええ、トウマ!」
「あれを仕掛けるぞ!」
こうミナキに告げるのだった。
「最後の一撃でだ」
「いいのねトウマ、それで」
ミナキはここでトウマに聞き返した。
「あの技を出して」
「あれしかない!」
だからだと。トウマは言い切った。
「やってやる、それでいいか!」
「ええ、わかったわ」
ミナキは彼の言葉に決意を見た。
「それじゃあ」
「よし、行くぞシカログ!」
彼のドルーキンを見据えての言葉だった。
そして身構え。今叫んだ。
「燃え上がれ!俺の闘志!」
「・・・・・・・・・」
「決めてやる!」
「勝ってトウマ!」
ミナキも言う。するとであった。
大雷鳳が今黄金に輝いた。宝珠は赤くだ。
そしてそのうえで突進する。蹴りを放つ。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
シカログはそれに対してハンマーをぶつける。しかしだった。
「!!」
「そんなものは!」
何とそのハンマーを蹴り潰し砕いた。そして。
そのまま突き進む。そして蹴りを決めて。
「ライジングメテオ!」
その技の名前を叫ぶ。
「インフェルノ!」
その技を今決めたのだ。蹴り抜かれたドルーキンは完全に動きを止めた。
「・・・・・・・・・」
「シカログ!」
その彼にアギーハが声をかける。彼女は既に脱出している。
「脱出して、いいね!」
「・・・・・・・・・」
相変わらず無言だ。だが彼は脱出したのだった。
その直後ドルーキンもまた大爆発を起こした。これで四天王は全員倒れた。
「やったな」
「ええ」
ミナキがトウマに応える。
「これで完全にね」
「四天王は全員倒した」
「インスペクターの軍勢も」
殆ど残っていなかった。その彼等も退いていく。
残っているのはまたしてもロンド=ベルだけだった。誰が見ても明らかな勝利であった。
「勝ったんだな、また」
「ええ、後は」
「そのウェンドロだけだな」
彼はここで言った。
「そいつだけだ」
「それじゃあこれから」
「行きましょう」
またトウマに告げる。
「それでいいわね」
「ああ、これでな」
いいと答える。
「それでな」
「わかったわ。それじゃあこれで」
「インスペクターとの最後の戦いか」
「さて、何が出るかな」
万丈も言う。
「果たして一体何が」
「まあとんでもないのだろうけれどな」
「そうね、今までのパターンだと」
「最後のお楽しみってやつだな」
真吾にレミー、キリーはここでもいつもの調子だった。
「それもな」
「そうね。それもいつものことだから」
「よくないお約束だな」
そんな話をしながら三人は一旦母艦に戻った。ラーディッシュである。
そして他の面々もだ。それぞれ艦艇に戻った。そこで一旦補給を受ける。
「それじゃあ敵の基地は」
「そうよね」
「もうすぐだな」
こう話されるのだった。
「何かいよいよ最後」
「長いインスペクターとの戦いもね」
「これで」
そしてであった。
「最後の戦いはどうなるか」
「まさに鬼が出るか蛇が出るか」
「そんな勝負だけれど」
「一気に行くか」
「敵の基地に」
「そうだ、それしかない」
ここで行ったのはブライトだった。
「おそらく敵の戦力は数として残り僅かだ」
「だからですか」
「一気に」
「そうだ、一気に行くぞ」
こうアポリーとロベルトにも返す。
「それで決着をつけるべきだ」
「基地の中は戦艦も入れそうです」
「随分と広いです」
サエグサとトーレスがここで述べた。
「ですからこのままいけます」
「基地の中に」
「マクロスもなのでしょうか」
エキセドルがそれに問う。
「入られるでしょうか」
「はい、マクロスもです」
「充分に行けます」
二人はこのことも話した。
「ですから御安心下さい」
「それは」
「そうですか。それではです」
「艦で一気に」
「行くんですね」
「はい」
美穂とサリーにも答えるエキセドルだった。
「その通りです」
「わかりました。それでは今から」
「敵の基地に入ります」
「このまま」
こうしてであった。ロンド=ベルはインスペクターの総司令部に入る。この時四天王は。
「動けるのは俺だけか」
「そうだ」
「悪いね」
四天王が全員集まっていた。彼等は無事だったのだ。
「命はあったが」
「悪いけれど機体はね」
「・・・・・・・・・」
「仕方ないな」
それを聞いて静かに頷いたメキボスだった。
「今はだ」
「行くのだな」
「ウェンドロ様を助けに」
「・・・・・・そうだな」
だがここで。彼の顔が少し曇った。
そしてそのうえで。言うのだった。
「少し考えたいことがある」
「考えたいことか」
「それは一体」
「御前等はどう思うんだ?」
真剣な顔で三人に問うのだった。
「ウェンドロ様に対してだ」
「正直に言っていいか」
「そのことだけれどね」
「ああ、頼む」
「どうもな」
「最近ね」
こう前置きしてから話す彼だった。
「ウェンドロ様の御考えがわからん」
「何を考えてるのかね」
それがわからないというのである。
「近頃は滅多に御会いできない」
「そういう事情もあるしね」
「そうだな」
そのことを話すのだった。
「だからだな」
「疑念っていったらね」
「・・・・・・・・・」
シカログは何も話さない。しかし何も話さないことで意見を述べていた。
「そういうことだな、俺もな」
「御前もなのか」
「やっぱりおかしいって思ってるんだね」
「どうもな」
そうだというのであった。
「気になる。だが一応行く」
「そうか、それではだ」
「とにかく頼んだよ」
「俺達がこの地球に来た理由はだ」
そのことにも言及するメキボスだった。
「あくまで査察官としてだったな」
「そうだ、あくまで地球を監視し」
「その危険な武力を抑止するのが目的さ」
「子供に危ないおもちゃは持たせない」
彼はまた言った。
「そういう理由でな」
「しかしそれがか」
「違うっていうんだね」
「・・・・・・・・・」
「若しかしたらな」
そうだというのである。
「それなら何が目的が目的かわからないがな」
「そうだな、そうなると」
「それはね」
「何なんだ、目的は」
メキボスはそれをまた言った。
「俺はそれがどうしても気になる」
「それを見極めにか」
「行って来ればいいさ」
「そうさせてもらう、それじゃあな」
こうして彼等はそのまま向かうのであった。戦いは彼等にとっても大きく変わろうとしていた。

第百七十七話完

2009・12・25  
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