スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇
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第百七十六話 メキボスと万丈
第百七十六話 メキボスと万丈
ロンド=ベルはムーンクレイドルに近付いていた。しかしビューティーとレイカからの返信はなかった。
「おかしいよな」
「ああ」
「まさか」
ここで誰もが危惧を覚えた。
「敵に捕まった!?」
「そうかも」
「だったらここは」
「いや、行こう」
しかしここで万丈が言った。
「皆ここは行こう」
「えっ、けれど」
「二人は」
「それはわかっているさ」
いつもの明朗さはなかった。
「それでも今は行こう」
「行こうって」
「今そうやって」
「行くって」
「僕達は今戦争をやっているんだ」
やはり何時になく強い言葉だった。
「それなら。こうしたケースも有り得るからね」
「だから行くんだ」
「今は」
「そうだよ」
まさにそうだと言う。有無を言わせない。
「わかったね。それじゃあね」
「ああ、じゃあ」
「今から」
皆万丈のその言葉に押し切られた。そうしていよいよムーンクレイドルに攻撃を開始した。
「よし、それではだ」
「はい」
「全機出撃ですね」
テツヤとエイタがダイテツの言葉に応える。そしてダイテツの返答は決まっていた。
「その通りだ」
「了解です」
「それじゃあ」
こうしてロンド=ベルの全ての戦艦から全ての機体が出された。こうして戦いがはじまった。
ロンド=ベルは基地に殺到する。既にインスペクターの軍勢も出撃し迎撃体制に入っていた。
「来ました!」
「奴等です!」
「よし!」
ヴィガジが部下達の言葉に応える。
「それではだ。全員持ち場でだ」
「はい」
「迎撃ですね」
「そうだ、メキボスの第ニ陣も来る」
彼のことも計算に入れていた。
「そしてだ」
「援軍ですね」
「ウェンドロ様の総司令部から」
「そうだ、しかしだ」
だがここでヴィガジはさらに言ってきた。
「それはまだ先だ」
「ではまずはメキボス様ですね」
「メキボス様の第ニ陣ですね」
「そうだ、それを待て」
やはり彼であった。
「わかったな」
「はい、それでは」
「まずはそれまでは」
「安心しろ、まだ後はある」
これは部下達だけでなく自分自身にも告げた言葉である。
「安心して戦え」
「わかっております、それでは」
「地球人達を」
「しかし」
ここでヴィガジはふと呟いた。
「ゼゼーナンが言っているのとは違う。地球人は決して劣ってはいない」
彼はこれまでの戦いでこのことを悟っているのだった。
「手強い。しかも愚かではない」
そしてこのこともわかってきたのだ。
「また野蛮でもないな。強いことは確かだが」
そのことを感じながら戦うのだった。そして戦いの中で。
ロンド=ベルはさらに進んできた。最初の防衛ラインが突破された。
「ダイターンキャノン!」
足の裏から砲撃を放ちそれで前の敵を吹き飛ばすダイターンだった。
そうしてさらに。周りの敵を蹴散らしていく。
彼を中心として敵陣を突破するロンド=ベルだった。そうして。
第二次防衛ラインを突破したその時。遂にメキボスが戦場に出て来た。
「間に合ったか」
「うむ」
ヴィガジが彼に答える。
「何とかな」
「どうやら今回も派手にやられたみたいだな」
「それは否定しない」
それは彼もであった。
「御覧の有様だ」
「そうか」
「それで援軍は」
ヴィガジはすぐにこのことを尋ねた。
「どうなった?」
「ああ、安心してくれ」
それは連れて来たというのである。
「二万だ。それでどうだ」
「うむ、済まない」
それを聞いてまずは頷くヴィガジだった。
「それだけあれば基地もだ」
「戦えるな」
「そしてだ」
メキボスはさらに言ってきた。
「おいロンド=ベル」
「んっ!?」
「何だ?」
「それ以上進まない方がいいぞ」
こう彼等に告げるのである。グレイターキンの中からだ。
「言っておくがな」
「?一体」
「何を言ってるの?」
皆それを聞いて怪訝な顔になった。
「はったりか?それとも」
「何かあるの?」
「そうだと言えばどうするんだ?」
メキボスは不敵な笑みを浮かべて彼等に言ってきたのだった。
「引き下がるしかないな」
「まさか」
万丈はここで嫌な予感を察した。
「あの二人が」
「そうさ、基地の中に潜入していたんでな」
こう言ってであった。グレイターキンのその右手に。
二人がいた。宇宙服姿でその手にあった。
「こうして捕まえさせてもらった」
「ビューティ、レイカ!」
「万丈・・・・・・」
「御免なさい・・・・・・」
こう言ってその手の中で項垂れる二人だった。
「失敗したわ」
「そのせいで」
「さて、どうするんだ?」
メキボスはあらためてロンド=ベルに問うた。
「人質はこっちにあるんだがな」
「それで僕達にどうしろというんだ?」
「降伏しろ」
そうしろというのである。
「別に命まで取るつもりはない。だがそのマシンは貰っておく」
「マシンをだと!?」
「そうだ、全てだ」
こうロンド=ベルの面々に告げるのだ。
「御前達のそのマシンを全てだ」
「全てだと!?」
「私達のマシンを全て」
「俺達が興味があるのは技術だ」
それだというのである。
「御前達の命に興味があるわけじゃない」
「その通りだ」
ヴィガジも言ってきた。
「我々も無駄な流血は好まない」
「へっ、よく言うぜ」
それに反論したのは勝平だった。
「自分達から喧嘩売ってきた癖にな」
「いや、勝平」
「どうも違うみたいよ」
しかしここで宇宙太と恵子がその彼に言うのだった。
「この連中はあまり好戦的な雰囲気じゃないな」
「別に侵略とかじゃないみたいよ」
「そうだ、我々は侵略者ではない」
ヴィガジはこう答えるのだった。
「特にだ」
「侵略者じゃない!?」
「じゃあ何だっていうの?」
「我々は監査官だ」
それだというのである。
「君達のその危険性に対する監査官だ」
「あれっ、そういやそんなこと言ってたか!?」
「かなり最初の方に」
皆ここでのことのを思い出したのだった。
「何か俺達が危険だって」
「そう言っていたような」
「その通りだ」
まさにそうだというのである。
「我々はだ。君達のその危険な技術を手放させる為にここに来た」
「その為に地球圏に来た」
「そして俺達から技術を奪って」
「宇宙の平和を維持するのだ」
それがヴィガジの言うことなのだ。
「それを言っておく」
「ではその為にか」
「そうだ」
メキボスはまた万丈の言葉に答えた。
「人質が大事か?それとも戦うのか?」
「メキボス、言っておこう」
万丈は覚悟を決めた顔になり。そのうえで答えてきた。
「僕はビューティーとレイカを助けられる程格好よくできてはいない」
「ヒーローじゃないっていうんだな」
「そこまで完璧なヒーローじゃない」
それは違うというのだ。
「そして今ロンド=ベルは勝っている」
「その通りだ」
メキボスもそれは認めた。
「それもあってだ。今こうしてるのさ」
「あまり奇麗な方法ではないのは確かだ」
それはヴィガジもよく認識していた。
「少なくとも俺のやり方ではない」
「俺も好きじゃないさ」
それはメキボスもなのだった。実際は。
「こういうのはな。しかしな」
「手段を選んではいられないのか」
「そういうことだ」
まさにそうだというのである。
「だからだ。やらせてもらう」
「そうだ。だからこそだ」
万丈はまたメキボスに言ってきた。
「僕は戦う、許せビューティ、レイカ」
二人には謝罪の言葉を告げた。
「これは戦いだ!君達の犠牲は無駄にはしない!」
「何っ・・・・・・」
メキボスもこれには唖然となった。
「まさかここで、いや」
万丈の声の色からわかった。全てが。
「そうか、己を殺してか。人類の為にか」
「そうよ、万丈」
「私達のことはいいから」
ビューティとレイカもこう言うのだった。
「だから。戦って」
「今は人類の為に」
「わかった」
こう言ってであった。ダイターンを前に向けようとする。しかしだった。
「わかった」
それを見て頷いたメキボスだった。
「御前達のことはわかった」
「わかっただと?」
「そうだ、わかった」
こう言うとだった。その手にいた二人を地面に落とした。そこにシャトルが来た。
「行け、あんた達への用は終わった」
「えっ!?」
「まさか」
「さあ、行くんだ」
こう言って行かせるのだった。
二人はそのままシャトルに乗り万丈のところに戻る。万丈はそれを見てメキボスに問うた。
「どういう風の吹き回しなんだい?」
「破嵐万丈だったな」
「そうだけれど」
「御前さんの心はわかった」
こう言うのである。
「人質が通用しないこともだ」
「それでどうするつもりなんだい?」
「このことは謝罪させてもらう」
そして今度はこう言うのだった。
「人質を取ったことはな」
「そう言うのかい」
「そうさ。それじゃあここからは正攻法でやらせてもらう」
「よし、それならな!」
「やらせてもらうわ!」
皆メキボスの言葉を受けてかえって士気をあげた。
「正面からの戦いならな!」
「遠慮も何もなくね!」
「やはり地球人はな」
メキボスはここで冷静に述べた。
「劣っちゃいないな、俺達と比べてな」
「そうだな」
ヴィガジも冷静に述べた。
「俺達と変わらないようだ」
「しかしウェンドロ様は」
メキボスの目がここで微妙に動いた。
しかしであった。言葉を収めてしまった。ここでは。
「いや、いいか」
「どうした?一体」
「何でもない」
ヴィガジに対しても言わなかった。
「気にしないでくれ」
「わかった。それではだ」
ヴィガジもそれに頷くのだった。
「そうさせてもらおう」
「悪いな」
「よし、援軍が来たぞ」
そしてここで、であった。アギーハとシカログが来たのだった。
「待たせたね」
「・・・・・・・・・」
「よし、よく来てくれた」
こう彼等に告げるヴィガジだった。
「それではだ。共に戦うのだな」
「ああ、そうさせてもらうよ」
「・・・・・・・・・」
二人はそうするというのだった。
「ここでね。是非ね」
「俺もだ」
メキボスも戦場に残るというのだった。
「残らせてもらう」
「四天王全員でか」
ヴィガジは冷静に述べた。
「そうだな。今はそれしかない」
「その通りだよ。じゃあね」
「うむ、行くぞ」
四天王全員で戦場に残った。そうして戦う。
ロンド=ベルはその彼等の防衛ラインをさらに突破していく。そのまま少しずつだが確実に基地に近付く。まさに槍そのものになっていた。
「来たか」
「ああ、行かせてもらう」
メキボスのグレイターキンが前に出ようとする。
「ここが正念場なのは確かだからな」
「いや、どうも状況が変わったみたいだよ」
だがここでアギーハが言ってきた。
「それはね」
「変わったっていうのか」
「そうさ、総司令部から命令だよ」
それだというのである。
「撤退しろってさ」
「撤退か」
「ここでか」
「ああ、そうさ」
アギーハは今度はメキボスとヴィガジに告げた。
「ここでね」
「つまりだ」
「次で決めろということか」
「それでいいんじゃないかい?」
アギーハは二人にこんなことも言った。
「別にね」
「そうだな。どっちにしろ後は総司令部が後ろにあるだけだ」
「それではそれもだな」
「そうだよ。じゃあ撤退するよ」
「よし、わかった」
「それではだ」
「・・・・・・・・・」
彼等はこれで撤退した。それも全軍である。後に残ったのはロンド=ベルだけであった。
「これでここの戦いは終わったな」
「はい」
シナプスの言葉にジャクリーンが答えた。
「これで。とりあえずは」
「基地の占領に移る」
次の命令はこれだった。
「いいな、すぐにだ」
「はい、それでは」
「すぐに」
ジャクリーンだけでなくパサロフも応える。基地の占領はスムーズに終わった。
そしてここで万丈は。皆に言われていた。
「しかし、あれは驚いたな」
「ああ、そうだな」
「全くですよ」
こう言うのであった。
「まさか二人を犠牲にしてなんて」
「そこまでするなんて」
「外しはするつもりだったさ」
だがここで万丈は言った。
「メキボスを倒してもね」
「じゃあグレイターキンの腕を切って」
「それで」
「出来る限りの努力はしないとね」
こうも言うのだ。
「例えああした状況でもね」
「それでなのか」
「あそこまで強気だったのは」
「絶対にそうするつもりだったよ」
万丈の真実の言葉である。
「向こうがああするとは思わなかったけれどね」
「じゃあそれで」
「絶対に」
「そうだよ。それでだけれど」
ここで万丈はビューティとレイカに対して告げた。
「君達を犠牲にしようとしたことだけれど」
「大丈夫よ、万丈なら絶対してくれるって思ったから」
「それはね」
二人は微笑んで彼の言葉に応えた。
「だから安心していたわ」
「実際にね」
「そうだったんだ」
「万丈様」
今度はギャリソンが出て来た。
「基地の占領は無事終わりました」
「爆弾とかは仕掛けてなかったんだね」
「はい、それもありませんでした」
これは敵の基地を占領した時に常にチェックしていることである。
「ですから御安心下さい」
「わかったよ、ギャリソン」
「では暫くして」
「うん、いよいよだね」
万丈の顔が真剣なものになった。今まで以上にだ。
「インスペクターと。最後の戦いだね」
「それじゃあ最後の戦いには」
「今から」
「全軍で行くよ」
万丈が音頭を取った。
「今からね」
「はい、それじゃあ」
「今から」
そして皆それに応えるのだった。
「補給や整備が終わったら」
「またいよいよ」
「連邦軍がこの基地に来てくれます」
レフィーナが言ってきた。
「ですから基地の守りは」
「よし、それなら好都合だ」
「それなら」
皆それを受けてさらに意気をあげるのだった。
そして連邦軍についても話すのだった。
「ここまで頼りになるなんてな」
「ああ、本当にな」
「変わったわね」
「こっちの連邦軍ってそんなに酷かったのかよ」
ロックオンがそれを聞いて思わず言った。
「向こうはまあそれなりにやってくれたけれどな」
「そうだね。統一してからはね」
アレルヤもそれは言う。
「かなり助けてもらったよ」
「統一する前は確かにばらばらで困ったがな」
「それは仕方がなかった」
ティエリアはそれは許した。
「国家単位だとどうしても限界がある」
「しかしだ」
刹那も言う。
「この世界の連邦軍は違ったのか」
「酷いものだった」
カミーユが口を苦いものにさせていた。
「官僚主義でスペースノイドのことは全く考えていなかったからな」
「それがバルマー戦役で変わったのです」
アズラエルもあちらの世界の仲間達に説明した。
「未曾有の危機を前にしてです」
「あの時色々出て来たからね」
ミサトも話に入ってきた。
「もうどれだけピンチが一度に来たのかね」
「わからなかったですね」
カミーユはミサトに対しても述べた。
「本当にどうなるか」
「しかしその後ティターンズとの戦いや環境破壊を避けまして」
アズラエルがまた説明する。
「それでかなり改善されました」
「この戦いの途中でも随分変わったな」
一矢はこの戦いのことも話した。
「三輪みたいな奴が一掃されて」
「その様ですね」
テッサがそれに応えた。
「連邦政府及び軍の急進派がいなくなったとか」
「あの人には参りましたからね」
彼についてはアズラエルですら辟易していた。
「いきなり敵ごと自軍を殲滅しようとしましたから」
「ああ、サイクロプス」
「それですよね」
皆それを聞いてすぐにわかった。
「あの時の話か」
「聞いてるけれど凄かったのね」
「私がボゾンジャンプで何とか回避しました」
ルリが言ってきた。
「さもなければ本当に」
「サザーランド司令も唖然だったしな」
シーブックもその時のことを思い出していた。
「ザフトとの戦いでまさかって思ったよ」
「僕も話を聞いて耳を疑いましたよ」
ブルーコスモスの彼にしてもそうであった。
「幾ら何でも無茶苦茶過ぎます。相手が十傑集ならともかく」
「いや、あの人達はあんなことしても」
「死にませんよ」
「不死身の人もいませんでしたっけ」
「全員不死身ではないかと」
アズラエルはとにかく彼等に激しい嫌悪感を抱いていた。
「お腹に大穴が空いてもすぐに回復しますしね」
「やっぱり化け物だ」
「そうとしか」
あちらの世界の仲間達はそう思うしかなかった。
「普通死ぬし」
「それに能力聞いてたらとても人間には」
「まあ二度と出て来ないで欲しいね」
ユウナはしみじみと述べた。
「オーブも大変なことになったしね」
「宇宙空間から生身で攻撃してくるからね」
タリアもうんざりとした顔になっていた。
「コーディネイターでは絶対に無理よ」
「いや、誰でも無理だからそれ」
ティスが速攻で突っ込みを入れた。
「絶対人間じゃないでしょ、それ」
「まあ人間っていうにはかなり」
「無理がある人達だけれど」
「ビッグファイアはもっと凄かったらしいし」
ビッグファイアの存在も知られていた。既に。
「人間なのかどうか」
「本当に」
「本当に死んだのかな」
「どうかな」
そのことは誰もが疑っていた。
「あんな化け物達が本当に」
「死ぬのかな」
「死んでも生き返るんじゃ」
「その可能性は否定できないし」
「まあとにかくね」
話は続く。
「今はBF団は気にしなくていいし」
「そうね。相手はあくまでインスペクター」
そのことにほっとしている一面もあった。
「とにかく今はね」
「インスペクターをとにかく」
「倒そうか」
「そうね」
彼等に話を向けるのだった。
「今はとにかくね」
「あの連中を」
「じゃあ今は」
皆で話していく。
「少し休んで」
「奴等の本拠地に」
「さて、何がわかるかな」
万丈は少し楽しそうだった。
「奴等のことで」
「そういえば侵略じゃないって言ってたけれど」
「それはどうなのかしら」
「ただ言っているだけじゃないのか?」
隼人は少し斜に構えて述べた。
「侵略を侵略だとおおっぴらに言う奴はいないさ」
「そうだな。解放だの保護だの言ってな」
「そう言ってから来るからな」
竜馬と弁慶も言う。
「バルマー帝国やシンクラインは違ったがな」
「それでも大抵はそうだな」
「いや、それはどうかな」
しかしここで黄金が言ってきた。
「奴等、あのヴィガジやメキボスはだ」
「嘘を言っていない」
「そう言うの?」
「連中には連中のプライドがあるみたいだな」
黄金はそのことも見抜いていた。
「少なくともああした状況で嘘を言う奴等じゃないみたいだ」
「じゃあ一体」
「何故?」
「それは俺にもわからないが」
黄金はここでは言葉を濁してしまった。
「しかし。一番上は違うかも知れない」
「トップは」
「あの四人のトップは」
「誰なのかもまだよくわからないがな」
彼等はまだインスペクターのトップは誰かよくわかっていなかった。
「そいつはどう考えているかわからないがあの四人はな」
「侵略じゃない」
「あくまで私達の技術を」
「そうじゃないのか?」
黄金はここでまた言った。
「まあとにかくそれもこれからわかるな」
「そうね。じゃあ」
「準備が整ったら」
皆それぞれまた言い合う。
「本当にそういうことがわかるのね」
「インスペクターについても」
「いよいよ」
「鬼が出るか蛇が出るか」
万丈はわざと冗談めかして言ってみせた。
「それを確かめに行こうか」
こう言ってであった。戦いに考えを巡らせていた。インスペクターとの戦いも遂に最終局面を迎えていたのであった。この月において。
第百七十六話完
2009・12・21
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