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ソードアート・オンライン~ニ人目の双剣使い~

作者:蕾姫
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二人の双剣使い

「ふぅ……」

俺やキリト。そしてシノンは順当に勝ち進む。俺に関して言えば一番苦労したのは一回戦だった。それ以外はほとんど俺の速さに反応できないやつばかりだった

つまり速さが足りない!!

すまん、なんか電波を受信した

一回戦のあと、シノンがキリトとのことを尋ねてきたがはぐらかした。人には思い出したくない過去がある、と言って。そう言うとしぶしぶだが引き下がってくれた

それよりも、だ。次は準決勝。相手はキリト。楽しみだな。キリトと戦うのは久しぶりだ

フィールドは荒野。ほぼ視界を遮るもののない平坦なフィールドだ。それでいい。キリトとの勝負に小細工など必要ないのだから

「さて……」

スタート直後だがキリトの姿ははっきり見える。だんだんと姿が大きくなっているのは近づいてきているからだろう

「よう、キリト」

あくまでいつも通り声をかける。だが、どちらも戦闘に入る隙をうかがっているのは百も承知

「よう、リン。おまえと戦えて嬉しいよ」

そう言うとキリトは腰から光剣を抜いた。さらにそれとは逆の手で銃を握る

対して俺は両手にピースメーカーを持つ。どちらもお互いが使っている武器に関して熟知している

キリトはFNと光剣。俺はピースメーカー

銃弾斬りに銃弾撃ち

そして、二人の双剣使い

もうかわす言葉など必要ない

いざ……尋常に

勝負!!

キリトの光剣がブウンと音をたてたのを合図に俺とキリトはほぼ同時に飛び出した

俺が後ろに下がりながら立て続けに放った二発の銃弾をキリトは無駄のない動きて斬り捨てる。お返しか、しらないがキリトのFNが火をふいた

俺はその銃弾を銃弾で反らす。後ろ向きに動く俺と前向きに動くキリトではキリトの方が速い

この攻防の間も、キリトは着実に近づいて来ている

俺は右手の銃で一発撃ち、さらにすぐ後で左手の銃で一発撃った

その軌道はほぼ一緒。だからかキリトはあとから来た銃弾に反応しきれずその身で受けてしまう。だが、キリトは怯まない。さらに距離を詰めようとしてくる

残り弾数、右3左4

距離はあと10mほど

キリトのことだ。もう同じ手は通用しないだろう

だから他の方法で隙をつくる

牽制に二発放つもキリトの持っている光剣に弾かれる。銃弾で銃弾を撃つ俺がいうのもなんだが、とんでもないやつだ

残り弾数右2左3

もう牽制は意味ないだろう。これ以上は無駄弾。なら、一番得意なレンジ。近距離で戦うしかないだろうな。武器ではあちらの方が圧倒的に上。技術もあちらの方が上だろう
だが、まだ俺には奥の手がある

「ふっ!!」

俺は反転し、前に跳ぶ。もちろん前にはキリト
だが、キリトも俺の反転をよんでいたのか光剣を振りかぶっていた

俺は続けざまに二発の銃弾を放つ。キリトはそれを光剣で弾く。それによってキリトは俺を斬る余裕が無くなった

残り弾数右1左2

「くっ……!」

キリトの表情に焦りが入る。キリトは後ろに下がりながらも水平に光剣を振った

それは悪手だ。もちろんキリトをそういうふうに誘導したのだが
銃弾を弾いたキリトの光剣は横に流れていた。そこから俺を斬るためには水平斬りしかないだろう
だから俺は足を曲げ地面を滑る。今回のフィールドである荒野には丈の短い草が生えている。地面との摩擦係数はかなり小さいのだ。つまりスライディング要領でキリトの剣の下をくぐり抜けたのだ

キリトは光剣を振ったあとに己の失策に気付いたのだろう
顔が悔しげに歪む

俺は滑りながら三発の銃弾をキリトのブレイクポイントである心臓のあたりに撃ちこんだ

だが、キリトのHPを削りきるには至らない

俺は舌打ちしながらもそのままキリトの後ろに抜ける

振り返って止まるとキリトも止まった

その距離約5m

「それで弾切れだろ、リン」

「……言うと思うか?」

だよな、そう言ってキリトは笑った。わかっているのだろう。俺の持っている銃に弾が入ってないことを。だが、キリトは構えを変えない。弾込め、もしくは下がる余裕はない

「惜しかったな、リン。あそこでかわされるとは予想外だった」

「倒しきれたと思ったんだがな……」

俺とキリトは苦笑いを浮かべる。これを観ている観客はなんで動かないのか疑問に思っているんだろうな

「安心しろ。おまえが守りたかったものは絶対に俺が守ってやる」

「自分で守るからこそ意味がある」

「へ?」

「一度守ると決めたものは絶対に自分で守るって決めてるんだ」

俺がそういうとキリトは嬉しそうに笑った

「なに、笑ってるんだよ」

「いや、お前らしいって思ってな」

「何を今さら」

俺はキリトの言葉にため息をつきながら肩をすくめる

「背中を預けた仲だろ」

キリトは相変わらずそんなことを臆面も無く言えるよな。……俺も言ってる気がするが

「このタラシが」

「なんで罵倒の言葉が返ってくるの!?」

「うるさい。そんな言葉を吐かれた女が落ちないわけないだろ」

「は?」

どうやら本当にわからないようで首を傾げるキリト。……なんかムカつく
ついでに言うとこの会話の最中でも構えを崩さないキリトにムカつく

「無自覚なのが一番怖いよな……」

アスナはともかくシリカとリズベットが可哀想だ。俺?両方の気持ちに気付いてるよ。でもやっぱり……

「そろそろ観客も焦れてきたんじゃないか?」

「……そうだな」

なんだかんだ言いながら戦いが始まってから20分ぐらい経ってるし

「じゃあ、リン。その状況からどうやって逆転するんだ?守るんだろ?」

ニヤリと笑うキリト。そこに挑発はあっても油断はない

「言ってろ!!」

俺はその言葉と同時にピースメーカーをポケットに納め、内ポケットに両手を入れながらおもいっきり後ろに跳ぶ。それとほぼ同時にキリトも動く。力強く地面を蹴りながら俺に近づいてくる。その剣は大きく後ろに引かれている

内ポケットから抜き出された俺の手に握られていたもの、それは右手には弾。左手には銃剣(・・・)

俺がSAOで極めたのは二刀流だけではない

銃剣の形は剣で言うとエストックのような形をしている。今回それを見たキリトが思い浮かべたのはエストックではない

「投剣!?」

俺は右手のスナップを利かせてその銃剣を投げる。すぐさまその手でピースメーカーを取り出し弾をリロード。時間が無くて一発しか入れることができなかったが、キリトのHPを吹き飛ばすのにはそれで十分だ
その間にキリトは投剣をかわす。俺が改めてキリトに銃を向けたときにはもうすでに立ち直っていた

俺はもう一つのピースメーカーも取り出す

一斬と一弾。あとはこれだけで勝負がつく

足が地面に着いた瞬間蹴りだす。向きは先ほどとは逆。つまりキリトのいる方向へ

キリトの光剣と俺の左手(・・・)の銃が交錯した

キリトの光剣は形こそ剣の形だが、刃の部分はエネルギーの塊で実体がない。金属系の物質とぶつかり合ったとき、弾くことができない。それは攻撃しやすく防御し難いということを意味する
だが考えてみてほしい。刃の部分は確かに実体がない。だが、柄の部分は?その柄を金属系の部分。例えばピースメーカーの銃身などで受ければ?

「柄を弾いたか……」

今の体制はキリトの頭に右手のピースメーカーを突き付けている状態である
光剣を弾いてすぐにピースメーカーを突き付けたのだ

「俺の……負けだな」

後一歩まで追い詰めたのだらか悔しさも大きいのだろう

「リン。絶対守れよ」

「ああ……」

バレット・オブ・バレッツ。予選準決勝第二試合。リンVSキリト
勝者リン
試合時間24分13秒
 
 

 
後書き
蕾姫「なんかタイトルが最終回みたいですけどまだまだ続きます」

リン「紛らわしいな」

蕾姫「まあ、気にしないぜ。今回はリンVSキリトです。キリトに勝たせる……どうするよ、公式チート野郎相手に……って考えた結果あんな感じになりました。ショップで買った銃剣という伏線(?)はここで回収させてもらいました」

リン「あれ……伏線だったのか」

蕾姫「うるせぇよ。下手で悪かったな」

一応この戦いはシノンが観てました。一人称なので載せることができませんでしたが

ではまた次回。感想その他お待ちしています!
 
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