スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇
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第百四十六話 メメントモリ
第百四十六話 メメントモリ
イノベイター達との最初の戦いは終わった。しかしであった。
「ルイスの状態は?」
「どうもね」
沙慈は難しい顔で皆の問いに答えていた。
「思わしくないね」
「そうか、やはりな」
「落ち着いていないのね」
「血走った目であの敵のガンダムのパイロットのことを呟いているよ」
こう皆に話すのだった。
「今の状態を見ていると。ちょっと」
「貴方が傍にいてあげて」
ソーマは優しい声で彼に告げた。
「貴方がね」
「僕がなんだね」
「私も同じだったから」
それは自分もだというのである。
「アレルヤがいつも傍にいてくれて」
「ソーマ・・・・・・」
「だからこうして助かっているの」
だからだというのである。
「アンドレイ大佐やセルゲイ中尉もいれくれるから」
「私は何もしていない」
「僕も。それは」
二人はこう言いはする。
「ソーマの支えになってくれているのはアレルヤ君だ」
「彼がいないと。彼女は今みたいにはなれていなかったよ」
「そうなんですか」
沙慈は彼等の言葉を聞いて考える顔になった。
「それでなんですね」
「だから。いてあげて」
また彼に告げるソーマだった。
「できるだけ傍にね」
「うん。それじゃあ」
ソーマの言葉に頷く。彼はルイスの部屋に向かった。そして見ればティエリアの姿は皆の前にはなかった。
「あいつは?」
「自分の部屋に入ったぜ」
ロックオンが皆に話した。
「今はそっとしてやってくれ」
「そうだな。そうするか」
「一番悩んでるのはあいつだしな」
「ああ、だから頼む」
あらためて話すロックオンだった。
「それでな」
「わかったぜ。あいつはそっとしておいてな」
「ルイスは沙慈に任せて」
「とりあえずはそれでいいわ」
スメラギもそれでいいというのだった。
「それでね」
「それで?」
「まだ何かあるんですか?」
「新型機が届いたわ」
次の話はこれであった。
「まずフラッグの代わりにアヘッドが三機」
「おお」
「それはいい」
「そろそろフラッグじゃやばくなってきたところだしな」
ハワードにダリル、それにジョシュアがそれを聞いて笑顔になる。
「では我々は早速それに」
「乗り換えさせてもらおう」
「それでいいよな」
「是非御願いするわ」
スメラギはこうも彼等に告げた。
「それでね」
「はっ、わかりました」
「それではすぐに」
「新型機に乗り換えさせてもらうな」
まずはこの三人だった。しかし新型機はそれだけではなかった。
「それにもう一機あるけれど」
「もう一機?」
「今度は一体」
「ハレヴィ少尉のよ」
それだというのである。
「けれど。今の彼女は」
「そうね。今はね」
遥が今のスメラギの言葉に応える。
「モビルスーツに乗るのは少し」
「どうしたものかしら」
難しい顔でまた言うスメラギだった。
「今度のモビルスーツはかなり凄いのだけれど」
「それ程までか」
刹那がそれを聞いて尋ねた。
「そこまでの高性能か」
「ちょっとやそっとじゃ扱えないものよ」
スメラギもその性能は認めた。
「レグナントっていってね。かなりのものよ」
「レグナント?」
「それがそのモビルスーツの名前ですか」
「ええ。性能的には問題はないわ」
また性能の話をする。
「ただ。それでも今の彼女だと」
「乗ってもらうのは後でいい」
アンドレイはこう述べた。
「今は落ち着いてもらう方が先だ」
「そうですね。今は」
「その方がいいですね」
皆もここで言うのだった。
「沙慈君に任せて」
「ここは」
「あっ、それに」
ここでふと思い出したスメラギだった。
「エーカー少佐」
「何だ?」
「貴方にも新型機が届いていたわ」
「私にもか」
「そうよ。今のっているマスラオの発展型で」
それだというのである。
「スサノオっていうのよ」
「スサノオか」
「接近戦を得意とするのは同じだけれど」
この辺りは確かにマスラオと同じである。
「その性能はね。かなりアップしているわ」
「そうか」
「それに乗ってもらうわ」
こう彼に告げた。
「御願いできるかしら」
「無論」
グラハムの返答は既に決まっていた。
「では乗らせてもらおう」
「わかったわ。とりあえずはこれでね」
「モビルスーツも行き届いたわね」
セランが言うのだった。
「さて、整備も忙しくなるわね」
「とりあえず今はイノベイターの出方次第ね」
スメラギはまた言った。
「それからね」
「戦いはそれからか」
「じゃあとりあえずは休憩ね」
「さて、お肌の手入れをしなくちゃ」
ボビーはそちらに関心を向けていた。
「もうすぐに荒れちゃうから大変なのよね」
「じゃあボビーさん」
「私達もエステに連れて行って下さい」
「いいお店知ってるんでしょう?」
モニカとミーナ、ラムが言うのだった。
「どっかいいお店知ってますよね」
「この世界の月にもありますよね」
「何処かあります?」
「ええ、知ってるわよ」
明るい顔で応えるボビーだった。
「それじゃあ行きましょう」
「はいっ!」
三人は明るい顔で応える。そのうえで連れ立ってエステに行くのだった。ボビーの身のこなしはやけに女性らしいものであった。
その間沙慈はずっとルイスと共にいた。部屋の中で二人きりだった。
「ねえルイス」
「・・・・・・・・・」
今ルイスは語らない。ただ沈黙して俯いているだけであった。
目も虚ろである。それは何も見えていないかのようだった。
しかし沙慈は。その彼に対して言うのだった。
「今度何処かに行く?」
「何処か」8
「うん、月のさ」
今彼等が月にいるからこその言葉だった。
「月の街で。僕とさ」
「沙慈と」
「何処でもいいよ」
彼女を気遣ってこう言うのだった。
「何処でもね。ルイスが好きな場所に行けばいいよ」
「けれど」
だがルイスはここで言うだけだった。
「私は」
「どうしたの?」
「何処も行きたくない」
こう言うのである。
「何処にも行きたくない」
「何処にもって」
「あのガンダム、あいつが」
目を凍らせての言葉だった。
「あいつがパパとママを」
「パパとママをって。君の」
「あいつが全部奪ったのよ」
目の焦点が合わなくなってきていた。瞳孔が開いている。
「あたしの全てを。左手も」
「君の左手も。やっぱり」
「あいつのせいで」
精神の恐慌が露わになってきていた。
「あいつのせいで皆死んだのよ。皆」
「けれど君は」
「あいつのせいで」
なおも震える声で言うルイスだった。
「全部失ったのよ、あいつは」
「それでどうしたいの?ルイスは」
沙慈は優しい声で彼女に問うた。
「何がしたいの?今は」
「殺してやる」
その血走った目での言葉だった。
「絶対に。殺してやる」
「殺してって」
「あいつは、あいつだけは」
声にも血走ったものが及んでいた。
「あたしが殺す、絶対に」
「それが君の今の望みなんだ」
「何があっても」
ルイスはまだ言うのだった。
「あいつは私が殺す。絶対に」
「わかったよ」
沙慈は彼女のその言葉を受けて頷くのだった。
「それじゃあ君はそうするといい」
「何があってもそうするわ」
今の彼女にはそれしかなかった。
「さもなければ私は」
「わかったよ」
優しい声で頷いてそれを受け止める沙慈だった。
「それじゃあ君は君が望むことをするんだ」
「ええ」
「けれどね。それが終わったら」
ここでまた言う沙慈だった。
「戻って来て」
「戻る?」
「うん、戻ろう」
笑顔でルイスに告げるのだった。
「僕達の場所にね」
「私達の場所に」
「ほら」
ここで取り出したのは一枚の写真だった。そこに映っているのは彼と彼女だった。四年前の二人が笑顔でそこにいるのだった。
「ここに戻ろう」
「そこに」
「うん、戻ろう」
またルイスに告げるのだった。
「この世界にね」
「戻れるの」
ルイスはその沙慈の言葉を受けて述べた。
「私が。今の私が」
「一人じゃ無理かも知れないけれど」
彼はこうも言うことは言った。しかしだった。
「けれど」
「けれど?」
「二人だったら行けるよ」
こう言うのであった。
「僕達二人だったらね」
「あの頃に戻れる」
ルイスはまた呟いたのだった。
「あの頃の笑顔の私に」
「だから一緒に行こう」
彼もまた笑顔で告げた。
「僕達でね」
「けれど」
こう言われてもだった。ルイスは答えることができなかった。
「私は。もう私は」
「戻れないっていうの?」
「もう。何もかもを」
失ったからだというのだ。しかし沙慈はさらに言うのだった。
「君が進めなくても」
「進めなくても」
「僕が手を引いていくよ」
そうしていくというのである。
「君が進みたいその方向にね。手を引いていくよ」
「私が進みたい方向に」
「だから戻ろう」
また告げる沙慈だった。
「僕達の世界にね」
「できれば」
「今は無理でも」
それはわかっていた。彼も。
「何時か戻ろう。いいね」
「・・・・・・・・・」
今は答えられないルイスだった。しかし沙慈の言葉は確かに届いたのだった。
アレルヤとソーマは二人で月の街の中を歩いていた。ソーマがその中で話すのだった。
「ねえアレルヤ」
「何?」
「あの時のことは覚えているわね」
「うん」
ソーマのその言葉に頷くアレルヤだった。
「僕達は兵器として開発された」
「そうだったね」
そのことははっきりと覚えているアレルヤだった。ソーマもまた。
「僕は逃れて」
「私は残ってしまって」
二人はそれぞれ話すのだった。
「そしてあの時の戦いを経て」
「僕は何とか生き残った」
「貴方は死んだって思っていたわ」
彼はそうなのだった。そう思っていたのである。
「けれど。貴方は」
「僕はあれからずっと身を隠していたんだ」
このことも話す彼だった。
「受けた傷を癒して時を待つ為にね」
「それが今というわけね」
「そうだったんだ。今だったんだ」
実際にこう答えるアレルヤだった。
「そして僕はここに戻って来て」
「私と再会した」
「君は。もう機械じゃないんだね」
「連邦も変わったわ」
ソーマの言葉がここで遠くを見たものになった。
「そう。いい方向にね」
「あの早乙女博士との戦い以降だったね」
「覚えているわ。あの戦い」
ソーマはその目でさらに語るのだった。
「あの時は。私達も」
「そうだったね」
アレルヤはまたソーマの言葉に頷いた。
「あの時はね。僕達も」
「もう少しで死ぬところだったわ」
そうだったのである。先の戦いにおいては。
「あの時貴方は私を守ってくれたわね」
「あの時。僕はもう一人の自分と戦っていたんだ」
その中でというのだ。
「そしてそれに何とか勝って」
「私の前に立ってくれて」
「咄嗟に出て来てそれで君を守れた」
「有り難う」
その時のことだったのだ。
「それで私は今貴方と一緒にいられるのね」
「君はあれから幸せだったみたいだね」
「ええ」
アレルヤの言葉にこくりと頷くソーマだった。
「スミルノフ大佐もいてくれて。今の部隊に入ることができて」
「そうだったんだ」
「そして貴方も」
ここであらためてアレルヤを見て言うのだった。
「今こうして一緒になれて」
「ねえソーマ」
そのアレルヤの声が優しいものになっていた。
「僕達。一緒にいられるかな」
「一緒に?」
「そう。一緒にね」
こうソーマに話すのだった。
「何時までも一緒にいられるかな」
「そうね。一緒にいたいわ」
これはソーマも同じことを思っていることだった。
「貴方と一緒に」
「僕達はずっと離れ離れだった」
「ええ」
「けれど。もう一緒にいられるんだ」
言いながらソーマの顔も見るアレルヤだった。
「ずっとね。いよう」
「死なないで」
ソーマはこうも彼に告げた。
「私も死なないから」
「君も死なない」
「そうよ。一緒にいたいから」
だからだというのである。
「私達はずっと一緒に。いたいから」
「わかったよ。僕は死なないよ」
アレルヤは今ソーマに対して誓ったのだった。
「何があっても」
「私も死なないわ」
ソーマもまた誓った。
「貴方を守る為に」
「僕もソーマを守る」
この思いは彼もまた同じなのだった。
「あの時と同じだよ、それは」
「あの時貴方が私を守ってくれた」
その四年前のことである。
「けれど私にも貴方を守らせて」
「うん」
そのソーマの言葉に頷いて答えるアレルヤだった。
「わかったよ。僕達はお互いに」
「お互いを守って」
「それで生きていこう」
こう話し合うのだった。彼等は今それを誓い合うのだった。これまで離れ離れになっていたその絆をもう一歩結びつけ合うかの様に。
彼等はその中で今それぞれの時を過ごしていた。そしてそれが終わる時が来たのだった。
「敵が!?」
「敵が来たの?」
「そうよ」
スメラギが皆に話していた。
「来たわ。遂にね」
「そうですか。イノベイターが」
「姿を現わしたんですか」
「ただしね」
ここでスメラギはさらに言うのだった。
「どうもかおかしいのよ」
「おかしい?」
「何かあるんですか?」
「敵は今月方面に来ているけれど」
まずはその進出方向について述べるスメラギだった。
「その中心に何かがあるのよ」
「何か?」
「何かって」
「あれを見て」
ここでまた言うスメラギだった。
「あの巨大な戦艦?違うわね」
「何でしょう、あれって」
「けれど何かあるわね」
スメラギはそれはわかるのだった。そして彼女だけではなかった。
「兵器なのは間違いないわね」
「よし、それじゃあ」
「攻撃ね」
「!?皆」
ここで叫んだ者がいた。
「散開して!」
「すぐにだ!」
プルとそしてプルツーだった。二人同時に皆に叫んだのだ。
「早く!」
「来るぞ!」
彼女達はまた言う。そこで、であった。
「さ、散開か」
「そうね」
皆二人の言葉を聞いてとりあえず動くことにした。
一斉に散開する。するとだった。
「来た!」
「あれは!」
彼等が散って誰もいなくなったその場所に光が走ったのだった。その光は。
「な・・・・・・何あれ」
「コロニーレーザー?」
「それみたいだけれど」
あちらの世界の面々はすぐにそれを思い出したのだった。
「あれにそっくりだけれど」
「今の光は」
「そういった兵器か」
シナプスもそれを聞いて悟った。
「それで我々を倒すつもりか」
「そうみたいね」
皆シナプスの話からそれを察した。
「それじゃああれを潰さないと」
「こっちがえらいことになるわね」
「それが君達にできるかな?」
今度はイノベイターの軍勢から声がしてきた。
「君達に僕達の攻撃を防げるのかな」
「御前は」
「ふふふ、はじめてかな」
あの金色の目をした少年が出て来た。不遜な笑みを浮かべながら。
「君達に僕の顔を見せるのは」
「誰だ、一体」
刹那が彼に対して問うた。
「御前は」
「僕はリボンズ=アルマーク」
こう名乗ってきたのだった。
「覚えておいてもらえるかな」
「リボンズ=アルマークか」
「そうさ。そして今君達を倒す者さ」
今度は不遜な言葉であった。
「このメメントモリでね」
「メメントモリ?」
「それがこの兵器の名前か」
「そうさ。これこそがメメントモリ」
まさにそれだというのである。
「それがこの光を発するものさ」
「そうか。やはり」
「それなら」
それを聞いた彼等の答えは一つだった。
「それを破壊するまでね」
「どうします?それで」
すめらぎに留美が尋ねた。
「あれを破壊するのですよね」
「ええ、そうよ」
こうその留美に答えるスメラギだった。
「それしかないわ」
「じゃあこのまま全機で」
「いいえ」
しかしその案は退けるのだった。
「それはしないわ」
「しない?」
「確かにうちの部隊にはかなりの攻撃力を持つマシンも多いけれど」
スメラギはそれは把握していた。
「けれどそれでも周りを護衛する敵機が多くて」
「一度には無理ですか」
「彼等の相手をするうちにもう一撃受けるわね」
スメラギはそれを予測していた。
「間違いなくね」
「そうなったら」
「さっきはプルちゃんとプルツーちゃん達に助けられたけれど」
「そうはいかないですか」
「ええ」
そう見ているのだった。
「このままだとね」
「じゃあどうするんですか?」
「それでもやり方はあるわ」
だからといって諦めるスメラギではなかった。彼女としても諦めるわけにはいかなかったのだ。
「それもとっておきなのがね」
「とっておきなのが」
「プトレマイオスはこのまま一直線に向かうわ」
それをするというのだ。
「一直線にね」
「プトレマイオスはそうするのですね」
今度は紅龍がスメラギに問うた。
「そうしてあのメメントモリに一直線に向かってそして」
「一気に叩くわ」
また言うスメラギだった。
「一撃で潰すわ」
「けれどですよ」
ミレイナもスメラギに問うてきた。
「あれだけ大きいのを一撃でプトレマイオスで倒すとなると」
「できないっていうのね」
「そうした兵器もあるにはありますけれど」
それはあるのだった。
「けれど移動しながらですととても照準が」
「ロックオン」
ここでスメラギが名前を呼んだのは彼だった。
「御願いできるかしら」
「俺か」
「メメントモリの急所だけれど」
そのことを言うのだった。
「わかるかしら」
「それは私の方でハッキングさせてもらいました」
今言ったのはルリだった。
「弱点はここです」
「あっ」
「これは」
皆ここで驚くことになった。ルリは何時の間にかハッキングを行いそのうえでメメントモリの細かいデータまで手に入れていたのだ。
そこにはあらゆるものが映されていた。そしてその主砲のところもまた。
「あそこが」
「弱点なのか」
「そうです」
また答えるルリだった。
「あそこを狙えば一撃で破壊できます」
「よし、それをやるのが俺か」
ロックオンはルリの名前を聞いて不敵な声で笑うのだった。
「俺が一撃でやるんだな」
「ただし至近で行わないといけません」
ルリはこうも言い加えてきた。
「さもないと一撃で倒せるものではありません」
「そうか、至近か」
「それにです」
さらに言うルリだった。
「残された時間は十分」
「十分」
「それを過ぎれば」
「再び攻撃が放たれます」
ルリはあえて静かに皆に告げるのだった。
「そうなれば私達にとっては脅威になります」
「十分か」
「じゃあその間に至近までロックオンを向かわせて」
「そのうえで倒す」
皆は作戦を理解してきた。
「そういうことよね」
「わかったわ」
そしてスメラギはこう言うのであった。
「じゃあロックオン」
「ああ」
「貴方はプトレマイオスに乗って」
「プトレマイオスで接近するわ」
それをするというのだ。
「一気にね。十分以内によ」
「よし、わかったぜ」
ロックオンはスメラギのその言葉に対して頷くのだった。
「それならそれでな」
「御願いね。それで皆」
今度は全員に告げるスメラギだった。
「プトレマイオスはこのまま突っ込むわ」
「よし、それなら僕達は」
「プトレマイオスを守っていく」
「それね」
「御願いするわ」
やはりそういうことなのだった。
「そうしてあのメメントモリを倒すから」
「よし、それなら」
「一気に」
これで作戦は決まった。全軍動きだした。だがリボンズはそれを見ても余裕に満ちた態度を崩すことはなかった。
「来るんだね」
「そうだ。御前のその兵器を倒す」
刹那は彼に対して告げた。
「わかったな」
「話は聞いたよ」
それを言われても平然としているリボンズだった。
「じゃあ来たらいいよ」
「随分と余裕だな」
ティエリアはそんな彼の言葉を聞いて眉を静かにしかめさせた。
「この状況で」
「あと十分で君達は終わる」
平然と言うのだった。
「それでどうして慌てる必要があるのかな」
「十分。余裕だな」
だがここでロックオンは言うのだった。
「十分あれば御前のその自慢の切り札を潰せる」
「その間の相手は僕達がする」
アレルヤも言う。
「そしてその兵器までの道を開くんだ」
「いいか、皆」
グラハムが全員に告げる。
「我々は全軍で道を開く」
「はい」
「わかっております」
ハワードとダリルが答えてきたのだった。
「一直線に突撃してそのうえで」
「道を開くのですね」
「つまりこっちは密集してるってわけだ」
ジョシュアはすぐにそれを察して言ってみせた。
「ああした兵器には一番やばい戦術だな」
「倒すか倒されるか」
八雲も言う。
「そういうことですね」
「迷う必要はない。気が楽ってやつだ!」
忍はいつも通りだった。
「十分で道を開く!楽勝だぜ!」
「そうだね。十分あれば充分ってわけよ」
「迷うことはないっていうんなら」
沙羅と雅人も言う。
「簡単な話ね」
「来る敵を倒せばそれでいいんだし」
「このまま向かえばいい」
亮も当然その中にいた。
「それだけだ」
「ええ。それじゃあ全軍」
今ここでスメラギが全軍に命じる。
「行くわよ。十分でメメントモリまでの道を切り開いて!」
「了解!」
「行くぜ!」
イノベイターの軍勢に対して正面から突き進む。しかしリボンズはその彼等を見ても余裕に満ちた態度を崩さず。平然と命じるのだった。
「全軍守りを固めるんだ」
「了解、リボンズ」
「わかった」
彼の同志達がそれに応えて頷く。
「そういうふうにね」
「やらせてもらう」
「リヴァイヴとブリングは右」
彼等は右だというのだ。
「ヒリングとデヴァインは左だよ」
「わかった」
「それじゃあ」
彼等はそれぞれ頷いて位置した。そして。
「リジェネ、君は正面だ」
「わかったわ」
そのリジェネに対しても告げるのだった。
「正面ね」
「君に一番重厚な布陣を任せるから」
こう彼女に告げるのであった。
「僕はここでね」
彼自身はメメントメリにいた。そこから指揮を執っているのだった。
「さて、どう来るかな」
リボンズは傲然とした笑みのまま言う。
「果たして僕達の裁きの光を防げるかな」
その笑みで向かって来るロンド=ベルに対する。ロンド=ベルは一直線に向かって来る。
「行くぞ!」
「ああ!」
皆そのまま一直線に向かう。止まることはない。
「敵が来た!」
「構うか!」
そんなものは最初から想定していることだったのだ。
「くたばれ!」
「死ね!」
早速ビームが放たれるのだった。
コウはデンドロビウムのミサイルをまず放った。
「これなら!」
「ウラキいきなりそれか」
「はい!」
こうバニングに返すのだった。
「とにかく道を開けます!」
「そうだな。それがいい」
「コウ!俺もやるぜ!」
キースも早速ビームライフルを斉射する。ミサイルが敵の中で炸裂し爆発する。キースもまたビームの連射で敵を次々に倒していく。
「いけるぜ!」
「だが油断するな」
バニングがそのキースに対して告げる。
「敵の数はまだ多い」
「何だ?次から次に出て来るぜ」
モンシアは前に立ち塞がる敵を見て舌打ちした。
「どうなってんだこりゃ」
「何か多層的になってるな」
「そうですね」
ヘイトもアデルがここで言う。
「つまり何重にも組んでそれで俺達を防ぐってわけか」
「そういうことになりますね」
「それなら一つ一つ突破してやるだけだ」
「そうね。それだけね」
ギュネイとクェスはかなり単純に考えていた。しかしだった。
「それが正解だな」
「何重でも突き破ってやるわよ」
「その通りだ。全バルキリーに告ぐ」
フォッカーもまたここは派手にやることにした。
「反応弾で風穴を開けてやれ。いいな」
「了解です」
「じゃあやってやりますよ」
「穴を開けたらそこに突っ込む!」
マックスと柿崎に告げた。
「それで前にいる奴等を撃ちまくれ!」
「わかりました!」
輝くも彼の言葉に頷く。彼等も突き進む。
「このまま進め!」
「遅れるなガルド!」
「御前もな、イサム」
二人は反応弾を出した後でその拳で正面の敵を叩き潰す。強引に突き進むだけだった。
ロンド=ベルはまず敵の陣を二つ突破した。しかし陣はまだある。
「まだか!」
「また先に敵が!」
二つ突破してもまだだった。
「次から次に出て来るな」
「けれどそれもわかってるわよ!」
今叫んだのはナナだった。
「わかっていて覚悟していたら何も怖くなんかないわ!」
「その通りナナ」
共にガルバーに乗る京四郎がそれに応える。
「いいか、俺達はダイモスのサポートが仕事だ」
「ええ」
「しかしな、だからといって突き進まないつもりはない」
「そういうことね」
「行くぞ一矢!」
そして一矢に声をかけるのだった。
「このまま突き破っていくぞ!」
「わかってる!」
一矢も最初からわかっているのだった。
「この程度で!」
回し蹴りで敵の戦艦を蹴り飛ばす。一撃だった。
一撃で戦艦が真っ二つになり爆発する。彼もまた本気だった。
「俺達を止められるものか!」
「いいぜ一矢!」
リョーコが今の一矢の攻撃を見て声をあげる。
「相変わらず見事な戦い方だな。痺れるぜ」
「そうですよね。やっぱり一矢さんの熱さっていいですよね」
ヒカルも今の一矢の戦いを見て笑顔になる。
「あそこまで熱いと本当に」
「素晴らしい」
何とイズミも今回は苦しいことこの上ない駄洒落を言わない。
「私達も頑張る、だから」
「その通りです」
ルリもまた言うのだった。
「私達も一矢さんに負けてはいられません」
「じゃあルリちゃん」
ユリカがそのルリに声をかけてきた。
「ナデシコも前に出します」
「今以上にです」
既にナデシコも前線に立っている。しかしそれ以上だというのだ。
「行きましょう」
「わかりました。ナデシコ前進します」
そのすぐ前に敵がいる。それでもだった。
「ミサイル発射です」
「了解です!」
メグミにも一矢のその熱さが伝わっていた。
「いきます、このまま!」
「うおおおおおおおおおっ!」
アムロもまた吼える。
ファンネルだけではなかった。ビームライフルも使う。その一斉射撃は恐ろしいまでに敵機の急所を衝き貫き続けていた。
それにより敵を次々に倒していく。それで突破していく。
だがその先にすぐに。敵が現われるのだった。
「くっ、またか!」
「メメントモリには近付いているのに」
カツはアムロの横で戦っていた。そこで悔しそうに言う。
「どんどん出て来ますね」
「しかもよ」
ケーラがここであることに気付いた。
「敵の数はそれほど減っていないわね」
「!?そういえば」
カツもケーラの今の言葉で気付いた。
「何重も敷いていたらそれで分散されている筈なのに」
「次から次に出て来るわね」
また言うケーラだった。
「これってどういうことかしら」
「それだけれどな」
いぶかしむ二人にスレッガーが言ってきた。
「何か今目の前に出て来た連中な」
「はい」
「何かありますか?」
「ダメージ受けてる奴が結構いるな」
彼はこのことに気付いたのだ。
「結構な。どういうことだあれは」
「ああ、あの戦艦よ」
「そうだな」
カイとハヤトは目の前にいる一隻の戦艦を見て言い合った。
「前に沈めそこねたやつだったな」
「そうだったな。あれだな」
「ということはだ」
「そうですね」
そしてリュウとセイラが気付いた。
「俺達が突破した陣の敵がまた出て来たんだな」
「それですね」
「!?それってつまり」
「あれですか!?」
クリスとバーニィはすぐにこの仕組みがわかった。
「私達が残した敵が後ろに回ってまた陣を作って」
「俺達の前に出て来てるってことですよね」
「そういうことだな」
アムロもここで言った。
「そうやって次々に陣を組んで戦ってくるのか」
「構うことはない!」
だがドモンはそんなことはどうでもいいとするのだった。
「また出て来るならそれを叩き潰す!」
「そうね!」
アレンビーが彼の言葉に応えて頷く。
「どっちにしても敵には近付いているんだし」
「このまま進む!」
やはりドモンはドモンだった。
「敵の邪悪な光、消し去ってみせる!」
「ドモン、あと五分よ!」
レインが彼に告げた。
「メメントモリの二回目の射撃までね」
「五分か」
「そうよ、五分よ」
また彼に告げるのだった。
「わかったわね」
「わかった。五分で敵を突き破る!」
「五分もあれば充分でござろう」
メキルは冷静なものだった。マンダラガンダムがゆるりと動く。
「邪悪、討つべし!」
彼もまたその状を振るう。それにより前の敵を薙ぎ倒していく。
イノベイターの軍勢は確かに次々に出て来る。しかしだった。
「くそっ、止まらないか」
「陣を次々と破って来るわね」
リヴァイヴとヒリングが忌々しげに言う。
「このままでは最後の陣まで来る」
「どうするリボンズ」
「どうするってこのままだよ」
しかしリボンズの顔色は変わらない。
「最後まで来たらそこで止めればいいだけだよ」
「それが御前の考えか」
「それでいいのね」
ブリングとデヴァインがそれを聞いて言う。
「止められるのだな」
「なら」
「止めるのは私よ」
その中で落ち着いているのはリジェネだった。
「私がロンド=ベルを止めてみせるわ」
「やらせるものか」
ティエリアは鋭い声で彼女に返した。
「その光、必ず止まる!」
「止められるものなら止めてみせることね」
リジェネはそのティエリアに悠然と返した。
「この最後の陣を突破できるかしら」
「突破か」
刹那がリジェネのその言葉に目を動かした。
「それなら今してやろう」
「ほお、俺がいるのにか」
「あたしだっているのよ」
アリーとネーナがここで出て来た。ヨハンとミハエルも一緒だ。
「最後の陣、突破させない」
「覚悟するんだね」
「くっ、あの女・・・・・・!」
「ルイス、落ち着いて!」
沙慈が激昂しようとする彼女を止めた。
「今は。それよりも」
「メメントモリなのね」
「うん、最後の陣を突破しよう」
彼はそのことを優先させるというのだった。
「ここはね」
「・・・・・・ええ」
思うところはあるがここは頷くルイスだった。
「わかったわ」
「じゃあ刹那」
「わかっている」
刹那はもう彼の考えはわかっていた。
「行くぞ、このまま」
「プトレマイオスの道を開けよう」
「あと二分!」
スメラギが全員に告げる。
「二分よ。行くわよ!」
「頼むぜ、皆」
ロックオンはそのプトレマイオスの甲板にいた。
「辿り着いたら俺が一気に決めるからな」
「任せたよ、ロックオン」
その彼にアレルヤが声をかける。
「最後の道は僕達が開けるから」
「ああ、頼む」
「行くわ」
ソーマもまた最後の道を開きに前に出た。
「皆の為に!」
「よし!」
「ここで!」
全員で最後の攻撃に入った。それはイノベイターの主力との戦いだった。
正面から壮絶なぶつかり合いになる。それはかなりのものだった。
「どけっ!」
エイジが叫ぶ。
「斗牙!」
「わかってるよ!」
そのうえで斗牙に声をかけるが彼も既にわかっていた。
「道。開けるよ!」
「無茶を承知でやれ!」
エイジはこうも彼に告げる。
「さもないとこりゃ開かねえぞ」
「そうね」
ルナが彼の言葉に頷いた。
「あと二分ね」
「一刻の猶予もありませんよ」
エイナも焦りを覚えていた。
「本当に。今は」
「けれど焦ったら駄目よ」
ミヅキはあえて冷静な言葉を述べた。
「それも駄目よ」
「そうね」
リィルはミヅキのその言葉に頷いた。
「今はそれは」
「そんなこと言ってやれるか!」
だがアポロはそれを聞いていなかった。
「どけ!邪魔だ!」
両手を伸ばして思いきり振り回す。それで敵を薙ぎ倒していく。
「おい行け!」
それと共にプトレマイオスに叫ぶ。
その後ろにはプトレマイオスがいる。スメラギはアポロのその動きを見て応えた。
「今よ!」
「行くのですね」
「そうよ」
紅龍に対して毅然とした声で答える。
「ここで行かないと何にもならないわ」
「わかりました。それでは」
「行きましょう」
留美もまた真剣な面持ちで頷いた。
「それじゃあこれから」
「全速前進!」
スメラギはすぐに指示を出した。
「このまま行くわ。いいわね」
「了解!」
「行きます!」
全速力だった。一気に突き抜けようとする。しかしその左右から。
「来た!」
「敵が!」
「左右から!」
サンドイッチ型だった。一気に向かってきた。そのままプトレマイオスを止めようとするのは明らかだった。
「敵が来ます!」
「左右からです!」
「大丈夫だ!」
「俺達がいる!」
しかしここで真ゲッターとガオファイガーが出て来たのだった。それぞれプトレマイオスの左右に出て敵に攻撃を加え動きを止めたのだ。
「シャイィィィィィィィンスパアァァァァァァクッ!」
「ガトリングドライバアァァァァァーーーーーーーーーーッ!」
それで敵の動きを止めたのだった。
「今のうちに!」
「行くんだ!」
「え、ええ」
流石に今の彼等の気迫にはスメラギも息を飲んでしまった。
「有り難う」
「礼はいい!」
「だから行くんだ!」
だが彼等はそれに対してこう返した。
「あと少しだ!」
「間に合わせてくれ!」
「行くんだ、おい!」
ロックオンもまた甲板から叫ぶ。
「このままな。行くぞ!」
「そうね。今は」
「艦長!」
「あと一分です!」
プトレマイオスからも言葉が出た。
「間に合わせましょう!」
「本当に!」
「わかってるわ。このまま!」
無論プトレマイオスは止まっていなかった。そのまま突き進んでいた。
今度は前から来る。リジェネの直属部隊だった。
「行かせないわよ」
「俺が行く!」
「私もだ」
今度出て来たのはアムロとシャアだった。
「このハイニューガンダムなら!」
「私の相手が務まるか」
彼等はファンネルもビームライフルも一斉に放った。それでその直属部隊を殲滅する。
「今だ!」
「これで最後の道は開けた」
彼等もまたプトレマイオスに言うのだった。
「このままで」
「一気に行くのだ」
「あと二十秒です!」
また時間が告げられた。
「メメントメリにエネルギーが充填されています!」
「このままだと!」
「ロックオン、行くわ!」
「よし」
今スメラギとロックオンは完全に息を合わせていた。
「あと十秒」
「何時でも撃てる」
既に彼は準備万端といった感じだった。
「至近まで行くから」
「なら・・・・・・!」
そのまま突き進む。そうして一直線に進む。だがそれを見てもリボンズの態度は変わらない。
「さて、それじゃあ」
「このままですね」
「射撃ですね」
「そうだよ。このままね」
得意げな顔で告げるのだった。
「撃つんだ。これで終わりだよ」
「終わりですか」
「これで」
「世界はあるべき姿になるんだ」
彼は平然としていた。
「僕達絶対者が治めるね」
「それではこのまま」
「撃ちます」
「うん、このまま」
彼等の狂信者達に対して述べるのだった。
「撃つんだ」
「プトレマイオスが来ていますが」
「どうしますか?」
「無駄だね」
それを言われても平気なものだった。
「間に合わないよ。間に合っても」
「間に合っても?」
「それは?」
「そのまま吹き飛ばすだけだから」
それだけだというのである。
「このままね。それじゃあ」
「はい」
「撃ちます」
「撃て」
平然と告げた。
「これで終わりだ」
「終わらせる」
ロックオンもまた同じことを言っていた。既にライフルを構えている。
「これでな・・・・・・!」
この言葉と共に一気に攻撃を放った。それはそのままメメントメリの急所を撃った。
「やれた!?」
「どうなの!?」
「安心しろ」
彼はスメラギと留美に告げた。
「終わりだ、これでな」
「あ・・・・・・」
「メメントメリが」
その瞬間だった。今メメントメリから光が放たれたように見えた。
しかしそれは攻撃の光ではなかった。彼等はそのまま爆発していくのだった。
「何っ!?」
「まさか」
「メメントメリが!?」
イノベイター達の中から驚きの声があがる。
「破壊されただと」
「まさか」
「支配される連中が!?」
「う、うわあっ!」
「ば、爆発が!」
メメントメリの中にいる者達はその爆発に巻き込まれていく。そして神の光とやらは完全に破壊されて銀河の中に消え去ってしまったのだった。
「くっ、まさかこんなことになるなんて」
だがリボンズは生きていた。彼だけは。
既に脱出していたのである。メメントメリの中にいる他の者を全て見捨てて。
「絶対者に弓引いたこと、後悔させてあげるよ」
脱出用シャトルの中で忌々しげに言うのだった。
「このことは忘れないからね」
こう言い捨てて逃げ去るのだった。既に他のイノベイター達も逃れていた。
だが戦闘はまだ続いていた。残った者達は指揮官達がいないまま戦っていた。
「!?こいつ等」
「まだ戦うのか?」
「メメントメリは破壊したぜ」
「まさか」
スメラギはその彼等の動きを見て言った。
「彼等を洗脳している!?」
「洗脳!?」
「それで彼等を戦わせているのかよ」
「ひょっとして」
皆それを聞いて驚きの声をあげた。
「何て奴等だ!」
「そういえば攻撃が」
「できるだけ動きを止めて」
スメラギはあらためて彼等に言うのだった。
「このままね」
「わかりました」
「それじゃあ」
攻撃を切り替えた。両手両足に攻撃を当ててそれで戦闘不能にするのだった。そうして彼等の攻撃の動きを止めて戦いを終わらせたのだった。
戦いが終わった時イノベイターは皆消えていた。誰もが戦場を離脱していた。
「部下を見捨ててか」
「何て奴等だ」
ロンド=ベルの面々はまずはそのことに嫌悪感を覚えた。
「しかもよ」
「その洗脳だけれど」
その話にもなるのだった。
「麻薬を使ってるわ」
「それで戦意も高揚させていたわ」
「・・・・・・麻薬か」
「そんなものまで使って」
それを聞いて皆唖然とさえした。
「呆れたっていうか」
「とんでもない連中ね」
「所詮手駒だ」
刹那はここで言った。
「奴等にとって自分達以外は手駒なのだ」
「手駒か」
「人間じゃなくて」
「奴等は自分達を人間とは思っていない」
刹那はさらに言うのだった。
「そもそもだ」
「人間じゃない!?」
「じゃあ何だっていうの?」
「まさかと思うけれど」
「そのまさかだ」
今度はこう答える刹那だった。
「奴等は自分達を神だと思っているのだ」
「神って」
「そういう奴等かよ」
そうした存在には多くの者が既に受けている印象があった。それを言うのだった。
「神だから何をしてもいい」
「そういうことなのね」
「それか」
「そうだ。自分達は世界を治める存在だ」
刹那はさらに言ってきた。
「そう考えているのだ」
「おい、一言で言ってやろうか?」
甲児が忌々しげな顔で出て来て刹那に言ってきた。
「それに対する感想な」
「どういったものだ?」
「馬鹿じゃねえのか?」
これだった。
「馬鹿じゃねえのか、あいつ等」
「それか」
「そうだよ、そんな奴は俺も今まで散々見てきたさ」
彼は言うのだった。
「けれどな。どいつもこいつもな」
「消えたか」
「無様なもんだったぜ」
吐き捨てるような言葉だった。
「これもどいつもこいつもな」
「そうか。それならイノベイター達も」
「同じだな」
「そういうことだね」
刹那のその言葉に頷いたのは沙慈だった。
「結局他人を見下しているだけだと何にもならないよ」
「奴等が神というのなら」
今度は大介が言う。
「僕達はその神を倒す。それだけだ」
「一つ言っておく」
ゼンガーの言葉には力が入っていた。
「俺の剣は神をも倒す」
「神をか」
「そうだ。かつて神を断った」
ガンエデンとの戦いのことも話した。
「その時と同じだ。断ち切る」
「よし、それでは俺もそうする」
刹那は今のゼンガーの言葉を受けてさらに述べた。
「神を倒す」
「そうだね。じゃあ刹那」
「ああ」
「行こう」
沙慈も同じ考えであった。
「神を倒しにね」
彼の表情も引き締まったものだった。その顔で言うのだった。今の戦いの意味を。
第百四十六話完
2009・9・3
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