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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第百三十五話 シリウスの真実

                 第百三十五話 シリウスの真実
「やれやれ、長かったな」
「全くだぜ」
地球に着いたロンド=ベルの面々はまずは上海に入っていた。
「土星からここまでな。予想していたけれどな」
「長かったなあ」
「やっとここに着いたかよ」
誰もがこう言い合って話をしていた。
「しかしあれだよな」
「あれって?」
ここでアポロの言葉を聞くのだった。
「何かよ、宇宙は宇宙で面白かったよな」
「っていうか御前宇宙に出たことなかったのかよ、あの戦いまで」
「ああ、なかったぜ」
こうサブロウタに答えたのだった。
「今までな」
「そうだったのかよ。そういえばこっちの世界ってあれだよな」
「あれって?」
エルフィが彼の言葉に応えた。
「何かあるっていうの?」
「結構地球にいる勢力が多いよな」
彼が言うのはこのことだった。
「天使達だってそうだしな」
「そうね。それはね」
エルフィもそう言われると納得するものがあった。
「こっちの世界はそうね。そうした勢力が多いのは確かね」
「だろ?俺達の世界は宇宙からも色々やって来るからな」
「それに他の惑星で独立した勢力もあったわね」
今度言ってきたのはキャシーだった。
「そうだったわね。ギガノスとか」
「そうさ。ティターンズとかジオンの系列とかもな」
彼等もその中に入るのだった。
「いるからな。結構以上にわんさとな」
「随分と大変な世界のようだな」
ドニーはサブロウタの言葉を聞いて述べた。
「何時聞いてもな」
「まあ大変なのは事実さ」
サブロウタもそれは否定しなかった。
「俺もかつては連邦軍の敵だったしな」
「そういうメンバーも多いようだな」
ジャンはそのことを言ってきた。
「そのアクシズやティターンズの面々にしろそうだな」
「俺だって最初は敵だったんだぜ」
ここでトッドが笑いながら出て来た。
「まあ色々あって今はここにいるけれどな」
「私もだ」
今度出て来たのはガラリアだった。
「縁あってだ。ここにいる」
「まあ色々あるさ」
トッドは笑ったまま言った。
「ショウの野郎どころかトカマクまでいるしな」
「俺何でここにいるかすっごいわからないんだけれどさ」
トカマクはまだ自分がどうしてここにいるのかわかっていなかった。
「本当にあの時墜落してだったから」
「俺もだ」
シオンも出て来た。
「何故かこの世界にいる。どういうことだ?」
「世界の間を阻んでいる障壁がなくなってきたのかしら」
キーンは首を捻りながら述べた。
「ひょっとして」
「そうかもな」
ニーもその可能性を否定できなかった。
「ひょっとしたらな」
「その可能性は否定できないのね」
「そうでなければおかしい」
ニーはリムルにも答えた。
「ここまで色々な世界が入り込むようになっているとな」
「俺は未来のバイストンウェルから来た」
シオンは言った。
「これも有り得ないことだな」
「俺もそう思う。それに」
「それに?」
チャムがショウに問うた。
「ショウ、まだ何かあるの?」
「この世界は一万二千年前の記憶がない」
「それはあれじゃないの?」
チャムは自分が知っている中でショウの言葉に答えた。
「やっぱり。天使達が何もかも破壊したからじゃ」
「そうだったわね」
マーベルがチャムの今の言葉に頷いた。
「それでこの世界の記憶が途切れているのね」
「それもおかしいが俺はもう一つ引っ掛かるんだ」
しかしショウはまだ言うのだった。
「この世界とパラダイムシティは似ていないか?」
「似ている!?」
「パラダイムシティと!?」
「ああ、似ている」
こう皆に答えるショウだった。
「何かな」
「そうだな」
今のショウの言葉に頷いたのはそのロジャーだった。
「私のいたパラダイムシティは四十年前の記憶がない」
「そうよね、本当に誰も知らないのよね」
チャムは今度はロジャーに対して言うのだった。
「四十年以上生きている人達も」
「そして私は確かに四十年前に事件の解決を依頼された」
問題はもう一つあるのだった。
「二十五の私がだ」
「って何それ」
それを聞いたルナが言ってきた。
「何回聞いても矛盾しまくってるんだけれど」
「矛盾で済まないわね」
ミヅキが彼女の横から言う。
「二十五で四十年前ね」
「タイムスリップしたとか?」
こう言って首を捻ったのはスメラギだった。
「だとすると」
「この世界にそんなのあるのか?」
「さあ」
ルナは神宮寺の問いにも首を捻る。
「聞いたことはないけれど」
「確かにな。こっちにはないよな」
「ええ、ちょっとね」
「だとすると一体何なんだ?」
今度言ったのはエイジだった。
「ロジャーさんが依頼された話ってのはよ」
「私にもわからない」
ロジャー本人にもなのであった。
「依頼されたが。それも覚えていなかった」
「矛盾してるよな、やっぱり」
「そうよね」
マリはエイジのその言葉に頷いてみせた。そして猿丸に対して問うのだった。
「猿丸さんは何かわかる?」
「私の専門ではないですし」
彼でもこう言うしかなかった。
「ちょっと。この世界のことも調べましたけれど」
「よくわからないのね」
「申し訳ありません」
そしてこう言うのだった。
「ちょっと」
「そう、わかったわ」
「ただ」
だがここで彼は言った。
「一つ気になることがあるのですが」
「気になることですか」
「はい」
こう麗にも答える。
「何かパラダイムシティとこの世界は似ているような」
「似ている!?」
麗はそれを聞いて目を顰めさせた。
「あの街とこの世界がですか」
「私の気のせいですかね」
また述べる猿丸だった。
「だとすればいいのですが」
「そういえばそうだな」
だがここで神宮寺は彼の言葉に頷くのだった。
「何か似ているな」
「ミスターもそう思いますか?」
「ああ。あの街は四十年前の記憶がない」
まず言うのはパラダイムシティについてだった。
「そしてこの世界も」
「一万二千年前の記憶がない」
今度言ったのは洸だった。
「そういうことかい?大先生」
「はい、その通りです」
猿丸はその洸の言葉に頷いたのだった。
「そこが似ていると思います」
「だよな、そういえば」
「何か似てるよな、確かに」
「ああ」
ここで皆彼のその予想に頷くのだった。
「何でだ?似ているんだ?」
「だとしたら」
「あくまで予想ですので」
また述べる猿丸だった。
「詳しいことは何とも言えませんが」
「そうだな。今の時点ではあくまで憶測だ」
神宮寺も言う。
「しかしだ。大先生よ」
「はい?」
「その予想、多分大きな外れじゃないぜ」
こう彼に言うのだった。
「多分だけれどな」
「そうですか。やはり」
「ああ。もう少し見ないとわからないがな」
「それではこのまま暫く」
「鍵はだ」
ここでシリウスが言う。
「やはり天使達なのか」
「彼等以外いないんじゃないの?」
こう言ったのはメリッサだった。
「やっぱりね」
「俺もそう思う」
宗介もここで言ってきた。
「何しろ以前にも世界を滅ぼしたからだ」
「その一万二千年前にね」
この年があらためて彼等の中に刻まれる。
「だとすればやはり」
「天使達が鍵なのかもね」
彼等はこの考えに至らざるを得なかった。
「やっぱり。ここは」
「彼等が」
「どちらにしろだ」
不動がここで彼等に言ってきた。
「それもすぐにわかることだ」
「すぐにですね」
「そうだ、すぐだ」
このことを言うのだった。
「すぐにだ。それではだ」
「はい」
「それでは?」
「まずは地球に帰った祝いをする」
何故かここでこう言う不動だった。
「少しの残留希望者を残し海に行くぞ」
「えっ、海に!?」
「といいますと?」
「若しくはプールだ」
彼はとにかく水に行くと主張する。
「そしてそこで思いきり羽根休めをするのだ」
「あの、司令」
スメラギがかなり戸惑いながら彼に声をかけてきた。
「それは何故ですか?」
「何故とは?」
「ですから。何故海かプールに」
このことを問わずにはいられなかったのだった。
「行くというのですか?」
「これから間違いなく天使達との戦いだな」
「はい」
「その前に英気を養うのだ」
彼が言うのはこのことなのだった。
「だからこそだ」
「英気ですか」
「皆土星から帰ってきたな」
またこの話に戻るのだった。
「その前に連戦があった。ならば疲れているな」
「ええ、それは」
これはスメラギにとってはよくわかることだった。
「かなり」
「だからこそだ。皆そこで英気を養うのだ」
「だからこそ海かプールにですか」
「無論私も行く」
彼もだという。
「それで君はどうするのだ?」
「私ですか」
「そうだ。どうする?」
こう問うのだった。
「嫌ならいいが」
「いえ、それでしたら」
少し乗り気なのを見せるスメラギだった。
「私も。喜んで」
「それではだ。皆もいいな」
「ええ、それじゃあ」
「喜んで」
何はともあれ皆海に出ることになった。海水浴場は雲一つなく清らかな海がそこにあった。皆その海を見て満面の笑みを浮かべていた。
「いやあ、海なんてな」
「ああ、久し振りだな」
「全くだぜ」
皆満面の笑顔で言う。
「やっぱり海はいいよな」
「本当にな」
「おニューの水着用意して正解だったわよね」
「本当にね」
ルナマリアとメイリンが笑顔で言う。姉は黒の、妹は白のビキニでそれぞれ見事なプロポーションを砂浜に見せているのだった。
「最近さ、あのミニ禁止されて少しストレス感じてたのよ」
「そういえばお姉ちゃん最近普通のズボンだったわよね」
「あれよ。未沙さんに怒られて」
やはり彼女の指摘からなのだった。
「それで止めたよ」
「ああ、やっぱり」
メイリンもそれを聞いて納得した。
「未沙さんって厳しいからね。服の着こなしなんか特に」
「それでズボンにしたのよ」
そういう事情があるのだった。
「おかげでね。何か気が張ってね」
「それがいいのではないのか?」
二人よりもさらに見事なプロポーションだったのはカティだった。黒い競泳水着だがそれが余計にプロポーションのよさを際立たせていた。
「軍人ならば。気を張り詰めていて悪いことはない」
「え、ええ」
「そうですけれどね」
二人の目はカティのその見事なプロポーションに釘付けだった。
「それでもカティさんって」
「かなり」
「どうした?」
「プロポーションいいんですね」
「それもかなり」
やはり言うことはこれだった。
「やっぱり気をつけてるんですか?」
「スタイルとか」
「いや、別に」
だが彼女はこう二人に返すのだった。
「何も気をつけてはいない」
「そうなんですか?」
「本当に?」
「あのな、大差はな」
しかしここでパトリックが出て来て言うのだった。
「大佐は間食もしねえし毎日ちゃんとカロリー計算して食ってそのうえトレーニングを欠かさないんだよ、これがな」
「えっ、凄い真面目じゃない」
「だからなのね」
「大佐は尋常じゃねえぜ」
そして真顔でまた言うのだった。
「本当によ。それはわかっておきなよ」
「え、ええ」
「まさかそこまでなんて」
二人も驚きのことであった。
「流石カティさん」
「パーフェクトってわけね」
「諸君等も女ならばだ」
今度はハマーンが出て来た。彼女はワインレッドのビキニである。そのビキニには肩紐がなくそれが余計に彼女の色気のある肩を見せていた。
「常に節制しておくべきだ」
「げっ、ハマーンさんもかなり」
「流石二十一歳」
「私はまだ二十一歳だ」
このことをはっきりと言うのだった。あらためて。
「それはわかっていてくれているな」
「ええ、確かに」
「そのスタイルは」
スタイルを見ればわかることであった。
「あとスメラギさんとテッサちゃんも」
「かなりなのよね」
「私もね」
そのスメラギは緑の露出の多いワンピースだった。テッサは白と黒のチェックのビキニである。テッサのそれは何処か下着めいていた。
「結構。体型の維持には気を使ってるのよね」
「そうなんですか?」
「どういうわけかね」
ここでスメラギはそのテッサを見て苦笑いを浮かべてきた。
「テッサちゃんに負けていられないって思ってね」
「私にですか」
「どういうわけかしら」
自分で言って首を捻るスメラギだった。
「私とテッサちゃんね」
「はい」
「何か他人のような気がしないのよね」
「そうですよね」
何とそれはテッサも同じなのだった。
「ずっと一緒にいたみたいな」
「そうそう」」
「そんな感じがします」6
こう言うのだった。
「何故でしょうか」
「二人は・・・・・・ええと」
「プリ何とか?」
そしてこう言い合うスメラギとテッサだった。
「でしょうか」
「そうじゃないかしら」
この辺りは今一つ自分達でもわからない二人だった。
「何かね」
「そんな感じがしますよね」
「ええ」
二人もわからないが周囲もかなりわかっていなかった。
「そうよね。何なのかしら」
「意味がわからないところがあります」
「いえ、何となくわかるわ」
「右に同じ」
ここで言ったのはマリューとミサトだった。
「どうやらあんた達もそうした世界と縁があるのね」
「私達と同じみたいね」
「何か僕もそうですしね」
シンジも言うのだった。
「ウラヌスとかで」
「じゃあ僕もなのかな」
キラも心当たりがあるようだった。
「ジョーカーとかドキドキ愉快とか」
「それならまだいいんじゃないのか?」
アスランはここで曇った顔になった。
「俺は蝿だからな」
「御前はそればかりじゃねえのか?」
思わず言い返すシンだった。
「何かよ」
「あとは龍か?」
「それはまだいいんじゃないのか?」
今度言ったのはブリットだった。
「それは」
「そうみたいだな。何かな」
「しかし何か皆色々あるんだな」
アムロもここで言うのだった。
「俺にしろマリュー艦長達とは縁を感じるしな」
「俺はそもそもアムロ中佐と縁を感じますよ」
コウはそうなのだった。
「どうも。聖何とかでしょうか」
「私は前からだった」
それはブライトも同じなのだった。
「アムロとはな。縁を感じていた」
「そうだな。だから俺とブライトは馬が合うのかもな」
「ははは、初対面の時は随分と衝突したがな」
こう言って笑いはしたブライトだった。
「今となっては懐かしい話だがな」
「確かにな。今はもう昔だな」
「そうだな」
「何か世界は私達が思ったより色々な世界があるみたいね」
ミサトはこうも思うのだった。
「どうやらね」
「そうかも知れませんね」
テッサが言った。
「それも」
「それにしても葛城三佐」
「何かしら」
「水着は着られないんですか」
スメラギが問うのはこのことだった。
「水着は」
「ちょっとね」
こう言って苦笑いで返すミサトだった。観れば長袖長ズボンにサングラスに麦藁帽子である。まさに完全武装と言っていいものだった。
「直射日光が怖くて」
「私もよ」
「私もです」
それはリツコにアクアも同じなのだった。
「どうしてもね。何かね」
「お肌が気になって」
「それって気にし過ぎなんじゃ?」
「私もそう思うます」
スメラギとテッサが言うにはそうなのだった。
「別にそこまでしなくても」
「いいのでは?」
「甘いわね」
「ミサトに同じよ」
ミサトとリツコはそんな二人の言葉に反論した。
「直射日光ってのはね。後で来るのよ」
「シミとかね。絶対に来るから」
「やっぱり気にし過ぎなんじゃ?」
「そうですよね」
やはり二人から見ればそうなのだった。
「どうしても。それは」
「少し」
「私も二十三ですし」
アクアも完全装備なのだった。
「そうでもないと。日焼けしてそれこそ」
「二十三ってそんなにやばいのか?」
「そんなこと言ったらナタルさんとかマリュー艦長はどうなるんだよ」
ディアッカに続いてシンが失言する。
「もうよ、完全なおばさんなのによ」
「ふうん、おばさんねえ」
「興味深い言葉だな」
それを聞いたマリューとナタルが反応してきた。マリューは下着のような淡い赤のビキニである。露出もかなり派手なものになっている。
「シン君、一度よく聞かせてもらえないかしら」
「少し砂浜でな」
「私もだな」
そしてハマーンも出て来たのだった。
「先程二十一歳がどうとか言っていたな」
「それじゃああっちでね。優しいお姉さん達が」
「話を聞いてやろう」
こうしてシンは三人に何処かに連行されていったのだった。
しかしそれでも。話は続いていた。
「それでこの世界にだけれどよ」
「ああ」
「それで一万二千年前だよな」
その話に戻るのだった。
「天使達が滅ぼした」
「急に出て来たな」
「それが妙に気になるんだよな」
皆は言うのだった。
「明らかに何かがある」
「こっちの世界にかなり関わっている」
それはわかるのだった。
「けれどな。何があるんだ?一体」
「この世界とパラダイムシティの関係に」
「それをどうやって見極める?」
その話にも至る。
「これから」
「どうやって」
「やっぱり一つしかねえんじゃねえのか?」
アポロが言ってきた。
「やっぱりよ」
「一つしか?」
「っていうと一体?」
「天使達をぶっ潰すんだよ」
彼が言うのはこれだった。
「あの連中をな。それでわかるだろうがよ」
「ちょっと。それはどうなのよ」
ピンクの半ズボンタイプの水着のシルヴィアがクレームをつけてきた。
「要するに倒せってだけじゃない」
「それが悪いのかよ」
「悪いも何もね」
クレームはさらに続くのだった。
「何の答えにもなってないじゃないの」
「そうだな」
シリウスも妹の言葉に続くのだった。
「それではな。何の答えも出ない」
「いや、わからん」
だがここで不動が言うのだった。
「少なくとも天使との接触にはなる」
「天使とのですか」
「そうだ、なる」
彼の意見はアポロと同じであった。
「そこから何かがわかるものだ」
「それじゃあここは」
「そうだ。まずは戦う」
何につけてもそれだというのだった。
「それでいいな」
「わかりました。それじゃあ」
「それで」
シルヴィア達はまだ釈然としないがそれでも答えるのだった。
「天使達との戦いですね」
「それから」
「そうだ。ここで英気を養ってからだ」
また言うのだった。
「そのうえで天使達との本格的な戦いに入るぞ」
「わかりました」
皆彼の言葉に頷く。
「それじゃあそれで」
「そういうことで」
まずはこれからだった。どうするかはこれからなのだった。
「世界には何かがある」
「だからこそ」
また言う彼等だった。
「行きますか」
「ってことだよな、やっぱり」
こうしてバカンスの後でまた戦場に戻ることになった。すぐに天使達の動きが伝わった。
「西の方ですか」
「そうだ、西安だ」
不動はその場所を伝えた。
「そこに天使達が目撃された」
「中国内部だし」
「近いな」
「幸いってところだよな」
「だからこそだ」
彼はまた皆に告げた。
「諸君、いいか」
「はい」
「出撃ですね」
「その通りだ。総員西安に向かう」
やはりであった。
「そのうえで天使達と戦う。いいな」
「わかりました」
「それじゃあそれで」
こうしてまずは西安に向かった。するともうそこには無数の天使達がいた。
「数は二千ってところですね」
「あれっ、それだけかよ」」
エイジはその数を聞いて拍子抜けしたようであった。
「それだけしかいねえのかよ」
「そう思えるか」
「ああ、まあな」
こうサンドマンにも答えるのだった。
「今となっちゃよ」
「それもそうだな」
そしてサンドマンも彼のその言葉に頷く。
「これまで億単位の敵と戦ってきたのだからな」
「そんなのと比べたらよ」
そういうことだった。
「やっぱりよ。どうってことはねえぜ」
「しかしだ。侮ってはならない」
だがサンドマンはここで言った。
「決してだ。確かにガルラ帝国は倒れた」
「ああ」
「天使達もまた敵だ。それならば」
「油断するな、ですね」
「その通りだ」
ルナに対しても答える。
「彼等は一つ一つが強い」
「そうね」
ミヅキがそれに頷いた。
「それもかなりね」
「ええ。だから」
また言うルナだった。6
「本当に気合入れて行かないとね、絶対にね」
「じゃあ行くわよ」
「諸君、まずは彼等を迎え撃つ」
サンドマンが作戦を伝えた。
「そしてそのうえでだ」
「そのうえで!?」
「どうするんですか?」
「その時におって言いたい」
今はこう言うだけだった。
「その時にな」
「あれっ、ていうとよ」
エイジは彼のその言葉を聞いて述べた。
「今はこのままってことかよ」
「そうだね」
斗牙も言う。
「迎え撃つってことだね」
「戦術はそこから動かす」
サンドマンがまた告げた。
「それではだ。全軍迎撃用意!」
「了解!」
「それじゃあ!」
「陣は鶴翼とする!」
しかし陣も伝えるのだった。
「そのうえで迎撃としよう!」
「鶴翼!?」
「まさか」
ブライトとシナプスはその陣を聞いて考える顔になった。
「あれをやるというのか」
「まさか」
彼等は何かをわかったようだった。しかし今はそれを言わない。何はともあれ彼等が迎撃態勢を整えた。そのうえで天使達の攻撃を待つ。
天使達はそのまま突っ込んでくる。その正面には護りの堅いマシンが揃っていた。
「HAHAHA、来たな!」
「相変わらずテンションいいねえ、ハッちゃん」
ハッターにフェイが声をかける。
「その調子でいけば問題ないんじゃないの?」
「そうか。俺が今回の主役ってわけだな」
「あっ、それはないから」
それは速攻で否定するフェイだった。
「絶対にね」
「何っ!?このアーム=ド=ハッター軍曹の出番はなしか!」
「なしも何も敵は天使よ」
彼女が言うのはこのことだった。
「じゃあ私達は脇役じゃない」
「脇役だっていうのか!?」
「そうよ。私だって残念だけれどね」
彼女も声は残念そうであった。
「主役じゃないのは」
「アクエリオンが主役ということか」
「その通りよ。まさか主役の座を奪うってことはないでしょ」
「主役は奪うものではない!」
ハッターにはそんな考えはないのだった。
「自分からなるものだ!そういうことだ!」
「それならいいけれどね」
「うむ。では潔く自分から主役になろう」
「それは変わらないのね」
「俺は変わることがない!」
何処までも自分の言葉を熱く語る。
「この熱い心はだ!」
「それはいいけれどよ、ハッちゃんさ」
その彼にアムが声をかけてきた。
「あんた、敵が前にいるんだけれど」
「何っ、何時の間に!?」
「ってさっきからよ」
「気付いていなかったのか?」
レッシィも彼に言ってきた。
「まさかとは思うが」
「くうう!いつものフェイとのやり取りで忘れていたぞ!」
「どういうAIしてるんでしょうね」
「かなり出来が悪いな」
アムとレッシィの言葉には容赦がなかった。
「あんたひょっとしてボーゾックとかと一緒に作られなかった?」
「まさかと思うが」
「何ィ!?そんな組織は知らん!!」
それは知らないのだった。
「大体俺はそっちの世界には縁がない筈だ!」
「それならいいのだがな」
ギャブレーはそれを聞いて述べた。
「どうも色々と縁者が多いからな。あの世界とはな」
「そうだな、確かにな」
ダバもそれに乗ってきた。
「俺もそちらには縁がないようだけれどな」
「私はあったような気もするが」
ギャブレーも今一つ確信がないようである。
「しかしだ。ボーゾックとはまた頭が悪そうな組織の名前だ」
「そうよね。まあハッちゃんが知らないならいいけれどね」
「それはいいとして早く敵を倒した方がいいぞ」
「さもなければだ」
テムジンまで話に加わってきた。
「軍法会議ものだぞ」
「兄弟!そんなものは恐れてはいない!」
そんなものを恐れるハッターではなかった。
「しかしだ!俺は戦う!」
「もう敵が一杯来てるけれど」
ルナがまだ騒ぐハッターに突っ込みを入れた、
「ライデンさんはもう戦いに参加してますよ」
「早くしてくれ」
そのライデンからもハッターに言ってきたのだった。
「迅速にな」
「よし!戦闘開始だ!」
やっと戦いに入るハッターだった。
「破壊の天使達、覚悟しておくんだな!」
言いながら早速攻撃を開始する。それと共にロンド=ベルの面々も次々に戦闘に加わるのだった。だがサンドマンはここでまた言った。
「一歩退くのだ」
「退く!?」
「ここでですか?」
「そうだ。一歩だ」
こう全軍に命じるのだった。
「中央はな」
「中央は、か」
「やはりな」
彼の言葉にまた反応するブライトとシナプスだった。
「では今回はこのまま」
「あれをするというのだな」
「中央の部隊は退いていくのだ」
また命じるサンドマンだった。
「それでいいな」
「ちっ、何か釈然としねえな」
アポロはサンドマンのその言葉に今一つ賛同できないようだった。
「もっとよ。派手にぶっ潰しておきたいものだぜ」
「いや、ここはそうあるべきだ」
「そうね」
だがそれに対して言ったのは桐生とレトラーデだった。
「サンドマンさんの言葉に従おう」
「そういうことね」
「何かあるっていうのかよ」
「あるから言ってるのよ」
今度彼に言ったのはミスティだった。
「そうでしょ?サンドマンさんにも考えがあってよ」
「俺はあまり考えるのは性に合ってねえんだよ」
「あんたのことはどうでもいいの」
シルヴィアがすぐに彼に言ってきた。
「っていうかあんた今はアクエリオンにも乗ってないじゃない」
「それがどうしたんだ?」
今乗っているのはシルヴィアにシリウス、それにピエールだった。
「俺がアクエリオンに乗れるのは変わってないぞ」
「せめて乗ってない時位大人しくしなさいってこと」
彼女が言いたいのはこのことだった。
「わかったわね」
「とりあえず耳には聞こえたぜ」
「じゃあそういうことでね」
「まあ今回は大人しく見てるんだな」
ピエールは陽気にアポロに告げてきた。
「俺も久し振りに乗らせてもらってるし楽しくやらせてもらうぜ」
「兄様」
シルヴィアは今度はシリウスに声をかけてきた。
「ここはサンドマンさんの言葉通りに」
「そうだ。下がる」
こう言うのだった。
「このままな」
「ええ」
こうして中央にいるアクエリオン達はそのまま下がった。そのうえで敵を招き入れる。そうしてであった。左右の軍はそのままであった。
中央軍は下がり続けている。そして。彼等が下がりきったところでサンドマンはまた命じた。
「よし、時は来た!」
「時!?」
「っていうと!?」
「その通りだ。左右の軍はそのまま敵の攻撃に移る!」
彼は言った。
「そのうえで後方も完全に遮断するのだ」
「完全包囲か」
「そして殲滅だな」
ブライトもシナプスはここで確信したのだった。
「そのうえで天使達との前哨戦を飾るか」
「そういうことなのだな」
「まずは緒戦を抑える」
やはりサンドマンはこう言った。
「そしてだ」
「勢いに乗る」
「そういうことだな」
「如何にも」
その二人の言葉にも答えるのだった。
「では諸君、このまま包囲殲滅するのだ!」
彼はあらためて指示を下した。
「勝利を我等の手にする為に!」
「了解!」
「わかりました!」
こうして彼等の本当の戦いがはじまった。天使達の軍勢を包囲しそのうえで総攻撃に入る。その中には当然アクエリオンもいた。
「兄様」
「シルヴィア、いいな」
「ええ、御願いするわ」
「俺としちゃ不本意なんだけれどな」
ピエールは苦笑いではあった。
「それでいいぜ」
「そうか。それではだ」
「兄様が軸でね」
アクエリオンを操るというのだった。
「今回は頼むわ」
「よし、それではだ」
シリウスはここでそのうえでアクエリオンでの本格的な攻撃に入る。
彼を中心としたアクエリオンの動きも見事だった。天使の中に入り次々と倒していく。
「いい調子じゃねえか」
それを見たピエールが笑顔で言ってきた。
「このままだぜ、このままな」
「うむ」
それに頷くシリウスだった。
「それではな」
彼は順調に調子をあげていた。そのまま倒していく。しかしここで。
「!?」
右手に違和感を感じたのだった。
「これは一体」
何かと思った。その時だった。
その右手からあれが出て来た。それはまさに彼が何であるかを教えるものであった。
「何っ、馬鹿な!?」
「馬鹿な!?」
「どうしたの?兄様」
「いや、何もない」
翼はすぐに消えた。それを幸いに冷静に二人に返すのだった。
「何もな」
「そうかよ」
「だったらいいけれど」
「うむ」
何とかその場を取り繕うのだった。
「それではだ」
「よし、じゃあよ」
「そろそろ大詰めね」
何も気付かない二人の笑顔は明るいものだった。
「一気に勝負つけるぜ!」
「行きましょう、兄さん!」
「それではだ」
平静を取り繕いながら二人に応える。
「このまま正面に進み敵を殲滅していく」
「おうよ!」
「それじゃあ!」
こうしてこの場は何事もなく戦った。そうして勝利を収めた。ロンド=ベルはまずはこの前哨戦を制したのであった。
そしてその後は。とりあえずは西安に入る。そのうえでまた飲み食いであった。
「おい、美味いぜこの麺」
「そうだね」
斗牙がエイジのその言葉に頷いていた。
「炒飯もね」
「俺のには負けるか?」
ディアッカもここにいた。
「流石によ」
「あんた最近また腕あげたしな」
ジュドーが彼に告げる。
「料理の腕な」
「料理はやればやるだけあがるんだよ」
こう応えるディアッカだった。
「最近リィナちゃんも凄いしよ」
「私も作り続けてるし」
だからだというのであった。
「ディアッカさんも時間あればよね」
「だから料理が趣味なんだよ」
言いながら今度は水餃子を食べるディアッカだった。
「料理なら任せておけって」
「あんたがいてくれて本当によかったよ」
「全く」
ビーチャとエルもそんな彼を素直に賞賛する。
「おかげで美味いものが増えたさ」
「そうよね。うちの部隊って料理上手が多くて助かるわ」
「それにしてもこの羊料理ってさ」
「美味いよね」
イーノとモンドはその羊料理を食べていた。
「癖がないよね」
「臭いがかえって食欲をそそるしね」
「そうそう。羊の臭いも慣れたらね」
ルーは明るく骨付きの羊肉を食べていた。
「これがまたいいのよ」
「それでも何かこの辺りって」
「空気がな」
プルとプルツーはその辺りを気にしていた。
「乾いてるし」
「砂が多いな」
「帰ったらすぐお風呂入らないと」
「大変なことになるな」
「けれどよ、ここってよ」
「そうだよ。凄い街なんだよ」
大島と高須がここで皆に話す。
「かつての大帝国の首都だったんだぜ」
「それこそ長い歴史があるんだよ」
「そうだったのかよ」
これはアポロにとっては全く未知の話だった。
「ここってそんなに大層な街だったのかよ」
「ひょっとしてアポロって」
「学校は」
「学校?何だそりゃ」
きょとんとした顔でユミとカオリに返す有様だった。
「食えるのかよ」
「ってマクロスに学校あるじゃない」
かなめも今の彼の言葉には驚きだった。
「私も宗介も普段か通ってるじゃない」
「そういえばアポロもいなかったか」
宗介はそこを突っ込んできた。
「毎日学校にな。通っている筈だが」
「ああ、あそこがかよ」
言われてやっと気付いたようだった。
「あそこが学校だったのかよ」
「おい、こいつ大丈夫か?」
流石に今の言葉にはリュウセイも唖然としていた。
「何で学校ってことがわからねえんだよ」
「多分何も考えずに通っていたんじゃないかしら」
アヤがこう述べる。
「リュウセイだってまだ学生だったわよね」
「ああ、まあな」
実はまだそうなのだった。
「時々先生に色々と間違えられるけれどな」
「私もそうだけれどね」
間違われるのはアヤも同じであった。
「セシリーちゃんとね」
「ですよね」
ここにはそのセシリーもいた。
「最近間違えられるのも慣れましたよね」
「ふふふ、そうね」
また笑って応えるアヤだった。
「私もかなり間違えられます」
「そういえばよ」
ここで皆レイヴンを見た。
「あの変態仮面二号」
「二号さんなのね」
「どう見たってあれだろ?」
皆こそこそとレイヴンを見ながら話しだした。
「あのザフトのよ」
「ああ、そっくりだ」
イザークがここで言う。
「あの男にな」
「声は違いますけれどね」
ニコルはそれは違うと言いはした。
「しかし。何かどうも」
「絶対あの仮面取ったら何かあるぜ」
シンがここで言った。
「あの兄ちゃんはよ」
「そういえばですけれど」
エルフィがまた皆にこそこそと告げる。
「あの人声は」
「マサキさんに似てますよね」
「あとヒイロにな」
こう話すのはフィリスとジャックだった。
「けれど雰囲気は何か」
「違うんだよな」
そうなのだった。
「よくよ、俺あの変態仮面と間違えられたけれどよ」
「あれは災難だったな」
ウーヒェイがデュオに言う。
「そうだよ。クライマックスだったらいいんだけれどよ」
「あいつは駄目か」
「何かあの人の雰囲気って」
「そうだな」
カトルとトロワも話す。
「ヒイロやマサキさんよりも」
「むしろだ」
「メリッサさんか」
そのヒイロが言った。
「あの人に似ているな」
「そうなのよね。何でかしら」
アムもこの辺りが不思議なのだった。
「あの人に似てるのよね」
「そうだな。声は男だが」
レッシィはかなり鋭かった。
「雰囲気は女だ」
「いや、それがかなりおかしいと思わないかい?」
ダバはそこに突っ込みを入れる。
「身体つきだって男の人なのに」
「そうだな。しかし雰囲気は」
ショウも言う。
「女というのは」
「そういえばあの人が服を脱いだところを見たことがないし」
「皆風呂に入ったところも洗濯したところもないんだよ」
「あれっ、じゃあ何処に住んでるの?」
キーンはこのことが少し気になった。
「あの人」
「お城に住んでるけれど」
こう彼等に答えたのはルナだった。
「それも自分の部屋に」
「何か余計にあいつに似てるな」
「そうよね」
シンとメイリンがそれを聞いて余計に顔を合わせる。
「仮面が全部悪いんだよな」
「あの仮面がどうしても変態色を出すのよね」
「その通りだ」
ミゲルの言葉も容赦がない。
「最早仮面はな」
「最近あの人も仮面外してるしね」
こう言うのはシーブックだった。
「クワトロ大尉も」
「あれもかなり怪しかったけれどな」
ビルギットも言いにくいことを言う。
「何かよ。モロバレなのに周りが気付いてないふりするのはよ」
「いた、それはいいだろう」
何故かそのクワトロを庇うバーンだった。
「気持ちはわかる」
「まああんたもな」
カミーユが呆れた顔でそのバーンに告げた。
「あの仮面はかなりあれだったぞ」
「反省はしている」
一応はこう言うバーンだった。
「もうあんなことはしない」
「それはそうとしてだけれど」
「ああ」
ショウはまたダバの言葉に応えた。
「レイヴンさんはね。何か隠してる」
「そうだな。それは間違いないな」
このことは何となくわかることだった。
「問題はそれが何かだけれど」
「これは予想だが」
ニーはふと言った。
「誰かと関係があるのかもな」
「誰かって?」
「グラヴィオンのメンバーの誰かか」
こう言うのだった。
「あっ、それってひょっとして」
「あるかも」
実際に彼等もそれに頷くものがあった。
「けれどよ。俺だとするぜ」
「ええ」
マーベルはエイジの言葉に応えた。
「俺が探してるのは姉ちゃんだからな」
「そうだったな。御前が探しているのはな」
ハイネもそれを聞いて言う。
「お姉さんだった。そうだったな」
「そうだよ。あの人は男だろ?だからよ」
「違うということだな」
ギャブレーがそれに対して述べた。
「それならな」
「だとすれば誰のでしょうか」
エイナの言葉である。
「一体。どなたの」
「考えてみればかなりの謎よね」
フォウも言う。
「これも」
「そうよね。何かレイヴンさんって謎だらけよね」
ファも首を傾げていた。
「何もかもが」
「今ロンド=ベルで一番の謎?」
アンナマリーがここで言った。
「ひょっとして」
「だよな、やっぱり」
「えらいことがわかったな」
「いや、それ前からだぞ」
スティングにアウルが突っ込みを入れる。
「言われただろ?本当に誰なんだろうって」
「ああ、そういえばそうか」
「そうだよ」
「何かスティングも結構天然か?」
「みたいだな」
ロックオンとティエリアも話す。
「今気付いたんだがな」
「ステラとはまた違った感じで」
「ステラ天然」
ステラはそれを聞いてもよくわからない感じだった。
「そうだったの」
「天然じゃないステラって何なのかしら」
ミレイナはふとこのことを考えた。
「ちょっと。想像ができないけれど」
「確かに。そうなんだよな」
サイもそれには同意だった。
「僕達も結構ステラとは付き合い長くなってるけれど」
「最初は敵だったんだよなあ。その時物凄く怖かったよ」
トールがその時のことを思い出していた。
「野獣そのものでさ」
「そうだよね。本当に野獣で」
カズイも話す。
「アークエンジェルを撃墜しようって凄かったよね」
「あんた達もね」
ミリアリアはスティングとアウルを見ていた。
「凄かったわよ、本当に野獣で」
「あの時はもう戦うだけだったからなあ」
「そうそう」
二人にとってもそれは過去のことだった。
「ロウさんとか劾さんもいてくれたけれどな」
「結構孤独だったしな」
「今全然孤独じゃないよね」
アレルヤが彼等に問うた。
「そうだよね。君達も」
「ステラ寂しくない」
今度はそのステラが答えた。
「シンもフレイもいるから」
「シンはわかるけれど」
「何でフレイ?」
皆はこのことに少し首を傾げさせた。
「まさか感じが似てるとか?」
「そういえばそっくりだけれど」
「何でかわからないけれど私に雰囲気似てる人相当多くない?」
フレイはそのことを言わないではいられなかった。
「ナタルさんもそうだしリィルちゃんもユリカさんも」
「全部クローンか?」
「外見全然違うのに?」
ルナマリアがシンに突っ込みを入れる。
「それはないわよ。流石に」
「そうか。それもそうだな」
「大体それを言うと」
メイリンも言う。
「私だってあれじゃない。クスハちゃんとクローンになるわよ」
「ああ、そういえば御前等声そっくりだよな」
皆このことにも気付いたのだった。
「何かよ。メイドさん達の中にもいるしな」
「私はミリアリアと似ているな」
クランも言う。
「最初会った時自分自身かと思って驚いたが」
「僕は勇とだったし」
「その通りだ」
勇がサイのその言葉に頷く。
「だからか。性格は全然違うのに気が合うな」
「そうだね。本当にね」
「世の中あれだぜ。そっくりな人が多いぜ」
剣人も言ってきた。
「弾児とジュリイさんだってそっくりじゃねえか」
「俺もそうだが」
弾児もそれは認める。
「そういう御前もカイ=シデンさんとだな」
「ああ、似てるよな確かに」
自覚している剣人だった。
「クローンかって驚いたのは確かだぜ」
「どうなってんだろうな、俺達って」
勇もこのことが不思議でならなかった。
「似ている相手が何人も同じ部隊いるなんてな」
「私もフレイと同じだけ多いが」
ヒギンズが名乗り出てきた。
「一体何人いるんだ?」
「そうだ。私もそれが知りたい位だ」
レッシィがヒギンズのそれに応える。
「最初プルとプルツーの声を聞いてアムがいるのかと思ったぞ」
「私だってそうですよ」
レトラーデも言ってきた。
「未久ちゃん私とそっくりですし」
「そうですよね」
ここには未久もいるのだった。
「あとミスティさんも」
「私も?」
「雰囲気マリーメイアちゃんとかニナさんに似てますね」
「確かガンバスターのパイロットの」
「カズミさんですよね」
未久が応える。
「アマノカズミさんですよね」
「その人に似てるってよく言われるわ」
「私にもね」
ラーダが微笑んで述べてきた。
「似てるってよく言われるわね」
「そうなのよね。本当にね」
「俺はあの人だしな」
桐生はレイヴンを見ていた。
「やっぱりこの世界は色々とあるな」
「それにしても。何故かしら」
またかなめが首を傾げる。
「レイヴンさんの雰囲気がむしろメリッサさんに似てるっていうのは」
「確実に何かあるね」
アーサーも言う。
「これはね」
「そうだよな、やっぱり」
「アーサーさんにもわかるんですね」
「僕もねえ。色々と難しいからね」
実は彼もなのだった。
「ええと。金竜大尉もそうだし他にはヒューゴ君もそうだし」
「顔と性格は全然違いますよね」
「それでも何かね」
やはりそこには色々とあるのだった。
「そっくりだからねえ。ロンド=ベルって凄いよね」
「大体タリア艦長だって」
「だよなあ」
皆彼女のことも話す。
「レミーさんと似てるし」
「もうそっくり?」
「飲むと結構以上に明るくなるしね」
「あれで実は一児の母なんだよ」
アーサーがこっそりと話してきた。
「凄いだろ、それって」
「えっ!?そうだったんですか!?」
「あのプロポーションで」
「うん、そうなんだ」
また話すアーサーだった。
「ミリアさんもお子さんいるって聞いてるけれどね」
「そういえばミリアさんも」
「凄いスタイルだし」
まだ十代の面々も彼女達には驚きを隠せない。
「ミサトさんもリツコさんもスタイル抜群だしね」
「もう大人の色気がプンプン」
「おばさんなんか何処がいいんだよ」
しかしここでまたシンが言った。
「あんなよ。垂れ乳の目尻に皺があるおばさん達の何処がいいんだよ」
「あんたそれ言って何回死んだのよ」
アスカがその彼に目を顰めさせて尋ねてきた。
「そんなこと言ってるとまた死ぬわよ」
「今あの人達いねえじゃねえかよ」
こう言って平然と笑うシンだった。
「大丈夫に決まってるじゃねえかよ」
「いや、それは甘いな」
だがその彼にカミーユが忠告してきた。
「シン、残念だが」
「甘いって何がだよ」
シンの笑みはそのままだった。
「ニュータイプの勘が何か感じたのかよ。ひょっとしてよ」
「思いきり感じてるけれどね」
「私も」
シーブックとセシリーの顔が曇っていた。
「これはかなり」
「すぐに逃げた方がいいわよ、シン」
「何だよ。あんた達までそんなこと言ってよ」
こんなことを言っているとだった。不意に縄が飛んできて彼の首を捉えた。そうしてそのまま彼を何処かへと引き摺っていったのだった。
その縄の先にいたのは。タリアにミサト、それとリツコであった。
「これからどうなるかな」
「言うまでもないだろ」
皆これからシンがどうなるかよくわかっていた。
「さて、また残骸になるのかあいつ」
「何処までも馬鹿な奴」
今はこう言うしかなかった。
「まあ何はともあれレイヴンさんは果たして誰か」
「それが問題ね」
こんな話をしていたがシリウスのことには誰も気付いていなかった。そしてこれが大きな災厄になることを今は誰も知らないのであった。

第百三十五話完

2009・6・17  
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