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久遠の神話

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第三十七話 人との闘いその七

「出て来るのよね」
「それが厄介だよね」
「他のメニュー頼めばいいけれど」 
 安全牌、それでいくのが妥当だがそれでもだというのだ。
「それをやったらね」
「面白くないよね」
「二百円で何が出て来るか」
 安い、それもお任せメニューの魅力だった。
「それが面白いんだけれど」
「ベイスターズがねえ」
「ここんところ何回最下位になってるかしら」
「ええと?2002年から」
 そこからだ。ベイスターズの暗黒時代は続いているのだ。
「洒落になってないだけね」
「最下位になってるわよね」
「ここんところ連続だしね」
 何年もだ。横浜はダントツで最下位なのだ。
「で、その分あのお店のお任せメニューも」
「そうだよね。壮絶なことになってるから」
「何が何だか」
 その店のメニューの話をした。それからだった。
 上城はあらためてだ。樹里にまた言ったのだった。
「あのお店は今は止めておこう」
「行くとしてもカラオケだけね」
「そう。お任せメニューは止めよう」
 それはだというのだ。
「他のメニューならいいけれどね」
「けれどそれって面白くないのよね」
「あのお店で食べるのならね」
「それでも。外れしか出ないから」
「また別にしよう」
 とにかくスタープラチナのお任せメニューは今は食べないことにした。そしてだ。
 上城が言う料理はだ。これだった。
「ほら、パンとかトンカツとか」
「そういうのなのね」
「学校の近くにいいパン屋とトンカツ屋っていうか食堂見つけたんだ」
「あれっ、食堂?」
「そう。トンカツが凄く大きくて美味しいね」
「そのお店潰れたんじゃなかったの?」
 樹里はその店については首を少し捻ってから答えた。
「確か」
「ああ、前一回潰れたよね」
「何か娘さんがいじめしてたとか騒ぐ人達がお店まで来て」
「無茶苦茶なことになったらしいね」
「それでお店の経営どころじゃなくなって潰れたのよね」
 こう言うのだった。樹里は。
「それで、だったと思うけれど」
「そのいじめられてた娘がパン屋さんの娘で」
「その美味しいっていうパン屋さん?」
「そうなんだ。まあ色々あったけれど」
「トンカツ屋さん、いえ定食屋さん経営再開できたのね」
「いじめの問題も何とかなってね」
 収まったというのだ。それも。
「家族も戻って。一家離散になったけれど」
「いじめでそこまでなるの」
「なるみたいだね」
「いじめって最低の行いだけれど」
「いじめをする人にはね」
「絶対に報いがあるのね」
「そうだろうね」
 遠い、悲しい目になって前を見てだ。上城はこの話をした。
「因果応報っていうけれどね」
「悪いことをすれば悪いことが返ってくるのね」
「そう。どんな悪いこともだけれど」
「特に。いじめは」
「絶対に自分に返ってくるんだろうね」
 そういうものだというのだ。
「人間として最低の行為の一つだけにね」
「いじめは確かに最低ね」
「うん。けれどさ」
「けれどって?」
「その定食屋さんの娘さんって八条高校の生徒さんで」
「えっ、うちの学校なの」
「うん。商業科でね」
 八条高校にあるのは普通科だけではない。商業科や工業科、農業科、水産科と各学科が揃っているのだ。勿論看護科もある。一通りある。 
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