| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ゲームの世界に入った俺は伝説のサムライになりました。

作者:ユウスケ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

3話 コヴォルト退治 前編

お礼の宴が終わって、朝を迎えた俺。
初めは、オランドゥさんの自宅で夕食をご馳走になるという話だったのだが
村人達が「おいおい、俺たちも命を救ってもらったんだ。盛大にやろうぜ!」
な感じで宴になり、酒や料理に村人達の質問攻め。
正直かなり疲れたし、酒のせいか記憶もあやふやだ……。
体を起こし、回りを見る。
特にこれといった家具の無い部屋で部屋の隅には俺の刀と薬箱が置いてある。
いつの間にか部屋につれてこられて眠ってしまったようだ。
ベットから出て廊下に出る。

「あ、師匠!おはようございます!!」

「し…師匠?」

廊下に出ると昨日の少女、イシュラちゃんが居た。
もしかしてここはイシュラちゃんの自宅なのだろうか?
っていうか、師匠って何ぞ?

「あれ?覚えていないんですか?昨日の夜、私が師匠って呼んでいいのか
聞いたら『べつにかまわない』って言われたんで呼ぶことにしたんですが……
やっぱり、ダメでした?」

「いや、別にかまわないよ。」

「そうですか?よかったぁ」

俺の言葉に安心するイシュラちゃん。
まあ、恥ずかしいけど呼ぶくらいなら別にいいかな?

「あっ!いけない、師匠を呼びに来たんだった。」

「俺を?」

「はい!朝ごはんが出来たんで呼びに来たんです!」

「そうだったんだ。ありがとう、イシュラちゃん」

「どういたしまして!後、私の事はイシュラでいいですよ」

「わかった」

イシュラちゃ……イシュラと会話を終えた俺は階段を降りてオランドゥさん一家と
朝食を食べた。
朝食の時の会話によると、イシュラが作ったオムレツ以外は
全てレヴィアちゃんが作ったそうだ。
若いのにたいしたもんだ。
是非、妹達に聞かせてやりたい。

「さて、食事も終わった事ですし、昨晩引き受けてくださったコヴォルト退治の
件なのですが……」

オランドゥさんの口から引き受けた事の無いコヴォルト退治の話が出てくる。
おそらく酔っている時に引き受けてしまったんだろう。
昨日の俺よ、いくら酒が入っていたからってイシュラの件といい、
引き受けすぎじゃないかね?
うん。しばらく酒は控えよう。
心の中でしばらくの禁酒を誓いながら、オランドゥさんの話を聞く。

「では青年団に経験を積ませる為に数名同行するように言っておきます。
後、最後の確認ですが……本当に報酬はなしでよろしいのですか?」

昨日の俺よ、殴ってやるからちょっとこい。
と思ったものの、相手は所詮コヴォルトでたいしたことはない。
問題はないだろう。
報酬は昨日食ったり、飲んだりした酒と料理という事で……。



☆☆☆


「キョウ殿!待っていましたよ!」

「あ!キョウのにいちゃん!!」

「おはようございます!」

村長と打ち合わせを終え、刀を腰に差して外に出ると結構な数の村の人たちに
迎えられた。
もしかして出てくるのを待っていてくれたのだろうか?

「ん?何だみんな。もう来ていたのか?」

「そりゃあ、村長。
鬼眼のキョウが戦いに行くんだ、見送りぐらいするさ」

俺の後から家に出てきたオランドゥさんが村の人たちに声を掛けると
昨日、偽者に斬られそうになっていたスキンヘッドのおじさんが
答える。

「その件なんだが、青年団に経験を積ませる為に何人かついていってもらおうと
いう話になった。ジャッコー、誰かいないか?」

「じゃあ、俺とエドとディッキーに……」

スキンヘッド…じゃなかった、ジャッコーさんが次々とパーティーの
メンバーの名前を挙げて決めていく。

「じゃあ、キョウ殿。行きましょうや」

「よろしくお願いします。キョウさん」

「はい、お任せください」

メンバーも決まり、準備も万端。
俺は6人の青年団と共にコヴォルトの出るという近くの森に向かった。



☆☆☆☆



私の名前はイシュラ・アローネ。
ただいま、師匠と青年団の後を尾行中。
何故こんな事をしているのか?
そんなの、決まってる。
師匠の戦う姿をもう一度見るため。
あわよくば途中で合流して、冒険に連れて行ってもらうの!

…………。


てくてくと付いていくけど、問題のコヴォルトは一匹も出てこず。
拍子抜け。
師匠も青年団の皆もどうするか話し合っているみたい。
今なら合流できるかな?

「ギギッ」

「なによ、五月蝿いわね。
今忙しいの」

「ギッギギ!」

「もう!五月蝿いって言ってるじゃない!……え?」


さっきから、鬱陶しく話しかけてくる奴に文句を言って振り返る私。
そして、後ろで私に話しかけていた存在に一瞬呆ける。
だって、私の後ろには………。


錆びた剣や斧を持った、沢山のコヴォルトが居たのだから……。



☆☆☆


「何も出てきませんね……」

「おかしいな……少し前に沢山のコヴォルトを見たって奴がいるんですが……」

「見間違いだったんじゃね?」

俺と青年団が何時まで経っても出てこないコヴォルトについて話をしていると…。

キャァァァァァアア!!

少し離れたところから、女の子と思われる悲鳴が聞こえた。
もしかして……誰か襲われている!?

「出たのか!?」

「誰か襲われてるのか?」

「キョウ殿!?」

悲鳴に向かって走る俺。
あれ?俺ってこんなキャラだったけ?
自分の行動に疑問を持つも、俺の脚は悲鳴の主に向かって全速力で走る。

ええい!もう、どうにでもなれ!!

俺は厳島 京四郎。やけくそに走る、サムライになった青年だ。


 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧