ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者
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第七十話 灰塵
闇慈達がディオドラの残りの眷属・・・二人のナイトがいるであろう場所に足を踏み入れると、見覚えのある人物が立っていた。
「や、おひさ~」
「貴様は、フリード・セルゼン!!」
「このクソ神父!!まだ生きていたのか!?」
待っていたのはアーシアと出会った時とエクスカリバー強奪事件の時に敵対した白髪神父『フリード・セルゼン』だった。しかしフリードはエクスカリバー強奪事件の時に祐斗が倒した筈だった。
「まだ生きてたんだなって言ったっしょ?イエスイエスイエス、僕ちんしぶといからキッチリキッカリしっかりちゃっかり生きてござんすよ?」
「相変わらず、支離滅裂な言葉使いだな。まあ良い、ここにディオドラのナイトだ二人いた筈だ。そいつ等は何処に行った?」
闇慈がフリードに尋ねると口をもごもごし始め、ペッと何かを吐き出した。それは・・・人の指だった。
「俺さまが食ったよ」
「何言ってんだ?こいつ、食った・・・?」
一誠はフリードの言葉が理解出来なかったが、力を読み取ることの出来る闇慈と匂いで正体を見破る事の出来る小猫にはその意味が分かったのか、顔をしかめる。
「堕ちる所まで堕ちたか…フリード・セルゼン」
「・・・その人、人間を辞めてます。イッセー先輩」
フリードは口の端を吊り上げて人間とは思えない形相で哄笑をあげる。
「ヒャーハハハハハハハハハ!!!てめぇらに切り刻まれた後、ヴァーリのクソ野郎に回収されてなぁぁぁ!!腐れアザゼルにリストラ食らってよぉぉぉ!!」
そして嫌な音を立てながらフリードの肉体の各部分は不気味に盛り上がって行き、
角みたいなものが隆起し、腕や脚も膨れ上がる。
「行き場を無くした俺を拾ったのが、カオス・ブリゲードの連中さ!!奴ら!俺に力をくれるって言うから何事かと思えばよぉぉぉ!!きゃはははははは!!!合成獣だとよ!!ふはははははは!!!」
背中の片方にコウモリの様な翼、もう片方には巨大な腕が生えて、顔は原型を留めない程変形して凶暴な牙も生え、ドラゴンのような頭部になっていった。終にフリード・セルゼンは人間の面影を一切見せない一つの化け物となった。それを見ていた闇慈は嘆息を吐き出し、考えを口にする。
「貴様も貴様だが、カオス・ブリゲードの連中は何処まで外道なんだ?自分たちの夢の為なら『命』すら省みないと言うのか?」
「ヒャハハハハハハ!そんな考えなんか古臭いぜ?今は『力』こそ全てなんだからよぉぉぉ!!!
フリードは闇慈の考えを貶し、さらに言葉を続ける。
「ところで知ってたかい?ディオドラ・アスタロトの趣味をさ。これが素敵にイカレてて聞くだけで胸がドキドキだぜ!あのお坊っちゃん、大した趣味でさー、教会に通じた女が好みなんだって!そ、シスターとかそう言うのさ!」
((趣味がシスター?・・・まさか))
フリードの言葉に闇慈と一誠は一つの事柄が頭を過ぎる。
「しかも狙う相手は熱心な信者や教会の本部に馴染みが深い女ばかりだ。俺さまの言ってる事わかるー?さっきイッセーくん達がぶっ倒してきた眷属悪魔の女達は元信者ばかりなんだよ!自分の屋敷にかこっている女共もおんなじ!ぜーんぶ元は有名なシスターや各地の聖女さま方なんだぜ!ヒャハハハ!マジで趣味良いよなぁぁぁ!!悪魔のお坊ちゃんが教会の女を誘惑して手籠めにしてんだからよ!いやはや、だからこそ悪魔でもあるのか!熱心な聖女さまを言葉巧みに超絶上手い事やって堕とすんだからさ!まさに悪魔の囁きだ!」
「・・・なるほど。つまりアーシアが正教会から追放されたのは、ディオドラが自分の馬鹿げた趣味のために初めから仕組まれた伏線だったのか?」
フリードは闇慈の質問に答えるかのように哄笑をあげる。
「大当たり~。アーシアちゃんが教会から追放されるシナリオを書いたのは元をただせばディオドラ・アスタロトなんだぜ~?シナリオはこうだ。昔々あるところのある日、シスターとセッ◯スするのが大好きなとある悪魔のお坊っちゃんは、チョー好みの美少女聖女さまを見つけました。その日からエッチしたくてたまりません。でも、教会から連れ出すにはちょいと骨が折れそうと判断して、他の方法で彼女を自分のものにする作戦にしました」
『他の方法』と言う言葉に一誠の脳裏に一つの事が過ぎる。
「聖女さまはとてもとてもお優しい娘さんです。セイクリッド・ギアに詳しい者から『あの聖女さまは悪魔をも治すセイクリッド・ギアを持っているぞ』と言うアドバイスを貰いました。そこに目をつけた坊ちゃんは作戦を立てました。『ケガした僕を治すところを他の聖職者に見つかれば聖女さまは教会から追放されるかも☆』と!!傷痕が多少残ってもエッチ出来りゃバッチリOK!!それがお坊ちゃんの生きる道!!」
一誠を嘲笑うかのように、フリードはトドメとばかりに言い放った。
「信じていた教会から追放され、神を信じられなくなって人生を狂わされたら、簡単に僕のもとに来るだろう・・・と!ヒャハハハ!聖女さまの苦しみも坊ちゃんにとってみれば最高のスパイスなのさ!最底辺まで堕ちたところを掬い上げて犯す!心身共に犯す!それが坊ちゃんの最高最大のお楽しみなのでした!今までもそうして教会の女を犯して自分のものにしたのです!それはこれからも変わりません!坊ちゃん・・・ディオドラ・アスタロトくんは教会信者の女の子を抱くのが大好きな悪魔さんなのでした!ヒャハハハ!!」
一誠の心の底で、言い表せない程の憎悪が沸き上がった。その証拠に握りしめる拳からは血も噴き出していた。フリードを激しく睨み、一歩前へ出ようとしたが、闇慈が肩を掴み、それを止める。
「イッセー。その想いはディオドラにぶつけた方が良い」
「闇慈!お前はこれを黙っていろって言うのか!?」
一誠は闇慈の胸倉を掴もうとしたが、闇慈の瞳にも激しい憎悪を宿していた。
「ここで無駄な体力を使えば、本命の時に全力が出せなくなる。ここは耐えろ」
「闇慈君の言う通りだよ、イッセー君。ここは僕が行く。あの汚い口を止めてこよう」
迫力のある歩みで祐斗は前に出ようとするが闇慈が一旦止める。そしてアグニ&ルドラを呼び出すと祐斗に差し出す。
「祐斗。魔剣士の君ならこの剣を使いこなせる筈だ。これを僕の思いと取って、あいつにぶつけて欲しい!!」
「分かったよ、闇慈君。君の思い・・・確かに受け取ったよ」
「アグニ、ルドラ。主の僕が命じる!今はこの者の力となり、あの外道を灰燼と化せ!!」
【【承知。我が主よ】】
祐斗はアグニ&ルドラが喋った事に少し驚愕の声を上げる。
「闇慈君・・・今、剣が・・・」
「それは後で説明する」
祐斗は頷くと闇慈からアグニ&ルドラを受け取り、両手に持つと祐斗は魔具の力に漲られた。そしてゆっくりとフリードと向き合った。
「やあやあやあ!てめぇはあの時俺をぶった斬りやがった腐れナイトさんじゃ、あーりませんかぁぁぁ!!てめぇのお陰で俺はこんな素敵なモデルチェンジをしちゃいましたよ!でもよ!俺さまもだいぶ強くなったんだぜぇぇぇ?ディオドラのナイト2人をペロリと平らげましてね!そいつらの特性も得たんですよぉぉぉ!!無敵超絶モンスターのフリードくんをよろしくお願いしますぜぇ、色男さんよぉぉぉ!!」
祐斗はアグニ&ルドラを双剣状態で構えると冷淡な声で一言だけ言う。
「君はもういない方が良い・・・」
「調子くれてんじゃねぇぇぇぞぉぉぉ!!!」
憤怒の形相となったフリードは全身から生物的なフォルムの刃を幾重にも生やして祐斗に襲い掛かろうとしたが・・・
フッ・・・
と祐斗が視界から消えた。そして眼前にいたフリードはズバッと音を立て、無数に切り刻まれて四散した。切り口には、焦げた痕や鋭利なモノで斬り裂かれた痕があった。
「・・・んだよ、それ。強すぎんだろ」
頭部だけになったフリードは床に転がり大きな目をひくつかせていた。
ナイト独特に神速に魔具の力が上書きされた事によって勝負は一瞬で決まった。
「・・・ひひひ。ま、お前らじゃ、ディオドラの計画もその裏にいる奴らも倒せないさ。何よりもロンギヌス所持者の本当の恐ろしさをまだ知らねぇんだからよ。ひゃははは・・・」
「立て・・・火柱」
フリードが言い切る前に祐斗は火柱を作り、フリードを灰燼へと誘った。
「・・・続きは地獄の連中を相手に吼えていると良い」
【やるな・・・】
【我が主には劣るが、ここまで我ら兄弟を使いこなせる者が居たとは】
アグニとルドラが順番に賞賛する。そして祐斗は闇慈にアグニ&ルドラを返すと・・・
「闇慈君。この剣ってもしかして・・・」
「そう。この剣は意思を持っている」
【汝も中々の力の持ち主】
【望みと在れば、力を貸そう】
アグニ&ルドラの言葉に祐斗は微笑むと・・・
「是非。お願いするよ」
「おい!何やってんだ?次に行くぞ!!」
一誠の声がけに闇慈と祐斗はすぐに合流し、最深部を目指した。
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